- Amazon.co.jp ・本 (241ページ)
- / ISBN・EAN: 9784799714904
作品紹介・あらすじ
警察官であるガブリエルには秘密があった。自宅のアパートの窓から見えるその部屋に住む男-彼を自分のものにするために、親切な隣人を装って綿密な計画を立てていたのだ。そして真冬のある夜、ついにその計画は実行された!ガブリエルが思いを遂げた1週間、その小屋で何があったのか!?精神分析医・浅野が手がけた一つのプロファイルがここに明らかになる…!英語圏、中国語圏、韓国語圏などで話題のクライムBLノベル、日本語初翻訳。描き下ろし追加イラスト、新たに彩色したカラーイラスト、日本を舞台に浅野が登場する短編を収録。
感想・レビュー・書評
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私が近親BL好きになったきっかけの一冊です。
暗い雰囲気もラブラブしてない感じも大好きです。ぶっ刺さる人にはぶっ刺さると思います。
一生大好きです!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
父子ものって設定って知って購入したのでこの作者さまがたの他の作品は未読です。
日本の商業BL的な甘さは一切ない、息子から父への執着と愛憎のクライムサスペンス。クリミナルマインド的な世界観とガブリエルの執着ぶりは好みで話もおもしろかった!
けど文章がなんというかノベライズ的というか、元作品や元映像ありきのように感じて、映画みたいでありはするものの言葉を選ばずに言うなら同人誌のような所もあってもっと掘り下げが欲しかったな〜って所感。わりと淡々と進んでた。
ガブリエルとウリエルが迎える結末は納得はできるもののもっと心理描写とかの厚みが欲しかった…。最後にガブリエルがウリエルに語りかけるシーンは胸に詰まるくらい印象深かったです。好きですこのふたり。
ただガブリエルとウリエルのラスト後の浅野というキャラクターの話はこの本しか著者の本を知らない自分からしたら完全な蛇足でした。なので満足感はいまひとつかな。本編のふたりはとにかく好きだけど。 -
こちらも電子書籍で。
思ってたより重かったー。雰囲気系。 -
★★★☆☆『In These Words』でお馴染みの浅野先生が出てきます。イラストが多く読みやすい。←ここ大事!!クライムBLノベルってあるけどBLじゃない犯罪心理小説。23年間父親の存在を知らなかった警察官のガブリエル、父親の存在が分かった時…父親に恋い焦がれるあまり心の闇に取り込まれたガブリエルが父親にした行為とは!?ただ父親に愛して欲しかっただけ、でも愛情表現が普通じゃない。心の問題ってのは難しいねぇ。ガブリエルの存在を知らなかった父親のウリエルにしたら晴天の霹靂!!好き嫌いに分かれる本だと思う。
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普段、海外の推理物、探偵小説、警察小説を読み慣れているので、世界観は違和感なく入ってくる。BLと言うよりもML寄りだが、だからこそどうしても比べてしまう。「俺」が自分の存在さえ知らなかった実の父親に対して愛情を募らせる心理状態が、父と肉体関係を結ぶ、と言う事に繋がるきっかけが最後まで解らなかった。彼はノーマルなはず。愛情が高じて、と言うにはあまりにも説得力が弱い。父への思慕が肉体関係を結ばなければならない、となるだろうか。あともう一つ、亡き妻とのエンゲージリングを無理やり抜いた際に、骨が見えるほどの傷を負わせる、と言うのにも違和感があって、傷が化膿してそのような状態にまで陥ったんだろうが、あの傷を負わせると言う事がウリエルが自分の生を手放す心境になっていく(指が腐っていくのとリンクしている)モチーフなんだろうが、結果、いろんなモチーフは散りばめられているのだが、読後は消化不良感が残ったのが正直なところ。ほぼ光の入らない監禁部屋となったあの小屋も、「俺」が今一度子宮に戻って生まれ直すための演出として必要だったのだろうが、その自分がこしらえた舞台装置の中で「俺」は何がしたかったのか…ウリエルを死なせなければならないと言う彼の決着の着け方も、父を監禁する息子の話の演出として成された感が否めなかった。面白くない訳ではないのだが、絵の完成度に比べると甘いな、と言う気がしてならんかった。
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父子でバッドエンドですが我的には納得できるストーリーでした。
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『In These Words』でお馴染み、Guilt|Pleasureの小説。
失ってからその存在の尊さを改めて感じてしまう失望感の中で、人の精神はどんな風に自己を確立していけるのか。
23年間の人生の中で全くの空白だった『父親』という存在を知ったとき、警察官である主人公の心はどんな風に変化を遂げたんだろうなって。
欲しいと思った愛情や温もりや想いを一つずつ無くしてきた主人公にとって、最後の綱でもあった父親との一週間は、冷たく凍る世界であり、熱く滾る時間でもあり、父親の存在が無かった23年間を埋めてくれる温もりでもあったわけで。
近親相姦とダークな物語が平気という方は読んでみる価値はあるかと。
決してヌルイBLとしての物語ではなく、そういう要素が含まれた犯罪心理学的小説と思って読むほうが適しているんじゃないでしょうか。
終わりは衝撃的でもありますし。
飢餓的なほど相手を求める想い。
読み終えた時、自分の中にどんな風にその物語の存在が残るかは、もしかしたら自分の経験してきた『想い』の嵩に比例するのかもしれません。
生まれたときから父親の愛情を受けて育った弟と、その父親の愛情を全く知らずに育った兄。
父親を想う兄弟の愛情にどれだけの違いがあるのか量ることは難しいけれど、普遍的な父親という存在から飛び立とうとしていた弟も、不変的な存在として父親を求めた兄と同様に、『父親』という存在から離れられなくなってしまったことを思えば、「血の繋がり」というものが形として見えてくるんじゃないかなと感じます。
『In These Words』の主人公、浅野克哉がNY時代にプロファイルした事件の一つで、少しだけ浅野も登場します。
数年後、兄のその後は出てきませんが、弟は日本に戻って大学の講師をしている浅野に再会します。
その時の彼を垣間見て、弟があの事件から己自身の『人生』という場所に生還して行こうとしているのが解ります。
そのきっかけは、月日なのか、兄のその後だったのか、はたまた浅野の存在だったのかは解りません。
そこを想像するのも読後の楽しみかもしれませんね。