どうせ死ぬなら「がん」がいい (宝島社新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800202864

感想・レビュー・書評

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  • 今春義父が亡くなり、本書を読んだのは8月。まさにこの本に書かれている通りの死に方だった。
    理想的な死に方だったと思うし、この本を読んで、「実例がここにもありますよ」と言いたくもなる。ただし、義父は高齢だったから。

    自分や配偶者ならどうするかを考えた時、義父の実例もあるし、本書で述べられていることを、「高齢なら」受け入れる用意がある。自分も「自分の考えるところの高齢」になったら、こうするつもり。
    問題は今からの20年間は自分としてはまだ高齢と捉えることができず、その間は、ジタバタしてしまいそうなことだ。

    また、もし本書の考え方に傾倒したとしても、問題は山積しているように思える。
    どこへ行ったら、本書のような考え方の医師に出会えるの?
    がんと、転移しない「がんもどき」を明確に診断できる医師はどこにいるの?

    がんの直接的な治療はせず、《「ものを飲みこみにくい」とか「呼吸がつらい」といった不便が生じてQOL(生活の質)が落ちるので、そこで初めて治療を受ければいい(50ページ)》ということに共感しても、現状では治療を受けないと言った途端に医療現場から見放される。
    「痛みは軽減させたい」とか「QOLは下げたくない」の部分の治療をしてくれる医師はどこに?

    本書に賛同できても、著者達自身、医学界で村八分になるとおっしゃっているのに、私達はどこへ行ったらいいのだろう?

  • 友人のご両親が癌になった、という話がチラホラ聞こえてくるようになった時に、SNSでこの本を知って読んでみよと思い図書館で借りました。

    「大往生したけりゃ医療と関わるな」という本の著者の中村仁一さんと、「がん放置医療のすすめ」という本の著者の近藤誠さんの対談本。異端児医師2名の意見には反発も多いのかもしれません。

    死ぬのは怖いけど(怖いから?)、死について真剣に考えることは今までなかったけれど、自分や両親の年齢的にも、今、死に方について考えておくのは大事だなと思いました。

    「がんは治療しなければ痛まない」という意見は今まで聞いたことがなかったのと、日本人は「医者の言うことなら絶対」という考えの人が多く、必要のない医療をたくさん受けている人がいるという意見も一理あると思いました。あと、動物が自然死する場合、飲んだり食べたりできなくなっても苦しまずに安らかに死んでいけるようにできている、という意見も、そうかもしれないと思いました。

    自分が長生きした時には、健診には行かず、延命治療はしないで死ぬのがいいなぁと思いましたが、認知症になったら怖いという思いはなくならないし、癌以外の病気になったら治療を受ける可能性が高そうだし、還暦前に癌になったら医療に頼りそうな気もします。

    とりあえず、選択肢として、癌は放っておくという方法もあることを、健康なうちに知ることができたのはよかったです。

    【メモ】
    自分の命なのに自分で責任を持って調べる人、考える人が少なすぎる。

    どう死にたいかっていう意志を書き残すとか、家族とちゃんと話し合いをしておくことは必要。

    「死ぬってこいうもんだよ」って、死んでいく姿をまわりに見せて行くとまわりは安心するから。死にゆく姿を見せるのは“遺産”ですからね。

    死を見なくなると余計、死ぬことがこわくなる。

    人々は太古の昔から、身のまわりでのたくさんの「自然死」を目撃してきました。しかし、医療技術が発達するとともに、自然死がどういうものか忘れられてしまった。代わりに、医療による悲惨ながん死をたくさん見聞きするようになった。それが、現代人ががんを恐れる最大要因なのではないか。

  • 久々に頷きを与えてくれた著作。

  • 勉強になった。自分の死に方を遺産にすると言う事は考えた事がなかった。
    死はいつも考えないといけない。

  • これは、考えた。
    がんについて、死について。

    がんは本来痛まない病気なのだという。そしてすぐ死ぬこともありえない。
    それは治療の痛みで、寿命を縮めてしまうのだという。

    うーん、こういうことはマスコミなどでは一切言われていないことなので(たぶんそんなことをいうとスポンサーが降りる、特に医療系の)
    本を読む価値はここにあるのだろう。

    死についても考えなきゃ。
    犬の餌にでもなればいいかな、と最近思っていたので、さらに、もっと。

  • 認知症で自分がわからなくなって死ぬより、私は期限があり最後まで自分を認識できる状態で死ぬために癌がいいと思っていた。贅沢な話だけれど、80歳くらいになって癌になり死んでいくのが理想だと思う。60、70ではまだやりたいことに対する欲が出てしまう。でも、もし80になってみたらまだ欲が消えないかもしれない。作家に対しての批判もあるようだけれど、こういう生き方もあり決めるのは本人だから、何が間違っているということはないと思う。医療費のことも確かに問題が大きい。

  • 既存の健康診断やがん治療について2人の医師の立場から真向否定するもの。

    ごく一部の効果のあるがん治療以外では治療しても無駄だということ、そして健康診断が病気を増やしているという2人の言説は、頷けるものがある。
    もちろん、健康に越したことはないが、五体満足で老衰死というのはほぼありえないので、自分や親族が実際に病気にかかった時の心構えをすることができた。

  • 医療の裏に対話形式で切り込む本。感想は人それぞれあると思うが、世間の声が少しずつ、彼らのほうに向いている気はする。

  • 現代の手術、抗がん剤を中心としたがん医療に異を唱え、がんは怖くない、何もしなければ痛まない、医療が余計なことをするから悲惨な死に方をしていくんだというスタンスをお持ちの二人が対談形式ですすめるこの本。以前から興味を持ってこのお二方の著書を読んでいますが、すべてが正しいかどうかは別として納得できる部分は多くあります。私の祖母も肺がんで亡くなりましたが抗がん剤の影響で髪は抜け、耳は一切聞こえなくなり、1年半の闘病の末、最後はお化けのようになって亡くなって行きました。抗がん剤を使わなければ1年半がどのくらいになったかはわかりませんが、もう少し人間らしく余生を過ごすことができたのではと家族の間では後悔がいまだに残っています。寿命は長ければいいってものじゃない、最後まで人間らしく生きられるかどうかなんだなぁということをあらためて気付かされます。がんが怖くなくなる一冊です。

  • がんは治療しないほうがいいというお二人の対談本。
    「がんは痛まないで、手術や抗がん剤治療で痛む」「がんの9割は、末期発見・治療断念・放置がいちばん」「がん検診は受けるな」「検診でいくらでも見つかる潜在がん・がんもどき」「食べないから死ぬのではなく、死に時がきたから食べない」等、ことごとくがんの常識を粉砕してくれる。
    最終的に、自然死、人間の寿命、死に方=生き方を示唆してくれる。

著者プロフィール

1948年、東京都生まれ。医師。「近藤誠がん研究所」所長。
73年、慶應義塾大学医学部卒業後、同医学部放射線科に入局、79~80年、アメリカへ留学。83年から、同放射線科講師を務める。96年に刊行した『患者よ、がんと闘うな』(文藝春秋)で抗がん剤の副作用問題を初めて指摘し、医療の常識を変える。2012年、第60回菊池寛賞を受賞。13年、東京・渋谷に「近藤誠がん研究所・セカンドオピニオン外来」を開設。14年、慶應義塾大学を定年退職。
ミリオンセラーとなった『医者に殺されない47の心得』(アスコム)ほか、『「健康不安」に殺されるな』『「副作用死」ゼロの真実』『コロナのウソとワクチンの真実』(和田秀樹氏との共著)『新型コロナとワクチンのひみつ』(以上ビジネス社)、『最新 やってはいけない! 健診事典』(講談社)、『医者が言わないこと』(毎日新聞出版)、『どうせ死ぬなら自宅がいい』(エクスナレッジ)など著書多数。
2022年8月13日逝去。

「2023年 『医者に殺されるなー僕が最後まで闘い続けた"医療不信"の正体」(仮)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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