検事の本懐 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
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レビュー : 161
  • Amazon.co.jp ・本 (465ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800202895

作品紹介・あらすじ

骨太の人間ドラマと巧緻なミステリー的興趣が見事に融合した連作短編集。県警上層部に渦巻く男の嫉妬が、連続放火事件に隠された真相を歪める「樹を見る」。東京地検特捜部を舞台に"検察の正義"と"己の信義"の狭間でもがく「拳を握る」。横領弁護士の汚名を着てまで、恩義を守り抜いて死んだ男の真情を描く「本懐を知る」など、全五話。第25回山本周五郎賞ノミネート作品。

感想・レビュー・書評

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  • 柚月さんの本は『最後の証人』に次いで2作目。
    ヤメ検弁護士・佐方貞人の検事時代を描いた連作短編。
    このシリーズ、面白い!
    第3弾を読まなければ~

  • 皆さんのレビューが良かったので、読んで見ました。
    結果、読んで良かった!
    最近歳のせいか些細な事で涙してしまうけれど、この本も読む途中泣いてしまった。
    各章に登場する主人公の周りの人々につい共感してしまって。
    若い頃勤めていた会社では、真面目に誠実に仕事をしていたので、仕事ぶりはそれなりに認められていました。お世辞やおべっかは使えないし、美人でもなく、愛想もよくなかったけれど。
    でも、今の会社ではそれではダメだなって思う。たぶん、認められるのは、上と仲良くやれて、愛想が良くて、プレゼンテーションの上手い人間。「真面目に働くとバカをみますよ、ここは」と若い同僚にも最近言われたし。
    この小説の登場人物は、そんな私みたいにバカを見る人だらけ。その中で佐方検事は、「希望」。
    まともに生きようとする人にも冷たい社会の中、佐方検事のような非凡な人間が現実にいたらよいなあと思います。できれば身近にいてほしい。
    シリーズ本なので順を追って読もうと思う。

  • 「検察の正義は法だけを裁くものではなく、人として裁くものでなければならない」を信念とする、佐方検事の短編連作集。5話どれも読み応えあるが、特に第5話「本懐を知る」は、検事佐方の背景を知る上で、秀逸である。

  • 「自分は事件をまっとうに捜査するだけ」といつもクールな佐方シリーズ第2弾。
    検事時代の若き佐方の人となりを知り、ますます好きになった。
    5編の短編はどれも男くさいヒューマンドラマ。
    佐方のカッコいい生きざまに魅せられた。

    今回も心にガツンとくる文章が多かった。
    「遠目から見れば一面緑の樹海でも、目を凝らせば一本一本の樹の集まりです。私達の仕事は樹海ではなく樹を見なければいけない」
    「検察の正義は法だけで裁くものではなく、人として裁くものでなければならない。佐方は法と人、両方で罪を裁ける人間だ」
    「相手に真実を吐かせようと思ったら、人間として向き合うべき」

    違和感を覚えたことは納得するまで追及し、事件の裏の裏まで貪欲に調べあげる佐方。
    そんな佐方シリーズも次回第3弾で終わることが非常に残念でならない。

  • 佐方貞人、やっぱりスゴイ。
    検事時代の話に戻って、5話の短編。

    どれも、良かったけれど、
    「罪を押す」と「本懐を知る」が特に。

    同じ本を読んだ学生の息子が
    「思うに、普通のことをきちんとできる人が
    仕事のできる人、なのかなぁと思ったよ」と。

    その通り。
    でも、それがもっとも意志のいることなのだよね。

    佐方氏シリーズはあと1冊。
    もっと書いてほしいなぁ。
    こういう、真面目な人好きだわぁ。
    なかなか、現実にはいないものね。

  • 思い込みってできるだけ取っ払いたいな。
    何に左右されることなく物事を判断できるようになれればいいけど。

  • 事情聴取の前に検面調書(検察官面前調書)が出来上がっていて、あとは、サインを書かせるだけ・・・何としてでも起訴できる証拠を見つけ出す
    前もってストーリーありきの取り調べ こんな事は小説の中だけと、思いきや現実にこんな信じられないことが起きている
    厚労省課長 村木厚子さんの「私は負けない」の中には、生々しい取り調べの様子が書いてある
    この小説の中では、上からの圧力に屈せず、検察官としての信義を通した佐方貞人がいたが、現実には、こんな検察官はいるのだろうか?
    「恩を返す」の中の高校生の佐方貞人と天根弥生の昼休みの貯水タンクを挟んでの屋上デート?は、佐方貞人の初恋ではないだろうか?
    心がぽっと温かくなったシーンだ

  • 一遍一遍嚙みしめる様に、踏みしめる様に読んだ。
    決して読みにくい訳ではないんだけど「次は?」と勢いづいて読む感じではなかった。
    検挙率をあげるには「正義」「真実」は不要なのか?
    警察・司法って何?
    その中では佐方はとても生きにくいだろうと思った。
    それでも真実の為決して曲げない。
    清々しい程自分の信念に真っ直ぐだ。
    その真っ直ぐさは父親譲りなんだろう。
    派手さはない。だけど「実直」という言葉が似合う短編集だった。

  • 五話から成る連作短編集。主人公は『最後の証人』で活躍したヤメ検弁護士の佐方貞人。この作品では佐方が弁護士になる前の検事時代のエピソードを描いている。中でも『本懐を知る』が非常に良い。読みながら涙が溢れた。これまで柚月裕子の『臨床真理』『最後の証人』と読んだが、最高傑作ではないだろうか。

    この本に収められた作品のどれも素晴らしい。『樹を見る』では佐方の視点と推理力に舌を巻く。『罪を押す』でも佐方は類稀な才能を発揮するのだが、何よりもその真っ直ぐな気持ちと真相に涙する。『恩を返す』では佐方の過去に触れ、佐方の人間性がいかにして育まれたかの断片を知る。『拳を握る』。組織に従属することと正義を貫くことの難しさを佐方の人間性が物語る。最後の『本懐を知る』。佐方貞人の父親の真実に迫る最高傑作。

    池上冬樹の解説も非常に良い。本当に良い。

  • 滋味深い味わいがある主人公・佐方貞人。いくつかの短編が、事件に関わるさまざまな立場の人の視点から描かれ、それによって主人公の人となりがみえてくる。実際には、限られた証拠をもとに起訴までのストーリーを練り上げてハンコをつかせるようなことも行われているようで、こんな検事も上司も、検察庁にはいないんでしょうけど、こんな風に真実が明らかにされていけばもっといい世の中になるんだろうなと思う。シリーズを追いかけてみよう。

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著者プロフィール

柚月裕子

一九六八年、岩手県生まれ。二〇〇八年、『臨床真理』で第七回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、デビュー。一三年に『検事の本懐』(宝島社)で第一五回大藪春彦賞を、一六年に『孤狼の血』(KADOKAWA)で第六九回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)、『慈雨』(集英社)で〈本の雑誌が選ぶ二〇一六年度ベスト一〇〉第一位、一八年に本作『盤上の向日葵』で二〇一八年本屋大賞第二位を獲得。その他の著作に『最後の証人』『検事の死命』(以上、宝島社)『パレートの誤算』(祥伝社)『ウツボカズラの甘い息』(幻冬舎)『あしたの君へ』(文藝春秋)など。

「2020年 『盤上の向日葵(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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