検事の本懐 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (465ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800202895

感想・レビュー・書評

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  • 佐方貞人シリーズ第2弾。
    検事を辞め弁護士になっていることを知りながら読む、任官後3年ほどの検事当時のエピソード5編。
    人に寄り添いながら事件に向き合う佐方の人間としての包容力と真っ直ぐさに好感を持つ。
    父親のこと、育ちのエピソードに触れることができたが、佐方の人間性がどのように育まれたのか、これ以降のシリーズも気になる。
    20-15

  • あえて、カテゴリーを人生訓としました。

    左方貞夫、こんなすごい検事を、今までどんなドラマの中でも物語の中でも診たことがありませんでした。この作品の中には短編が5つおさめられていますが、どの作品も、左方検事の正義とはなにか、ということがぎゅぎゅっと詰め込まれている感じで、読み進み、残りのページが少なくなっていくことが残念で残念でなりませんでした。楽しみを先にとっておこう、というタイプなんだけど、もう、読みきらずに入られませんでした。刑事・検察モノのなかで、こんなに引きずり込まれたのは本当に久しぶりでした…学生時代にのめり込んだ和久峻三の作品以来…いや、それ以上だね。

    柚月裕子さん、あなたの作品は全部読むぞ!!と心に決めたお正月でした。

  • 「盤上の向日葵」が凄く良かったですが、それよりも良かったかも

    受けた恩を返しきる人々の人生は、筋が通って清々しく、、、、、。

  • それぞれの話がじんと来て、全体としても完成度が高い。痺れる話ばかりです。こんな強い男になりたいですね。次の佐方に早く会いたいです。

  • 2017/8/20 Amazonより届く。
    2020/10/19〜10/21

    佐方の検事時代を描く連作短編集。「樹を見る」、「罪を押す」、「恩を返す」、「拳を握る」、「本懐を知る」の五篇。どの作品も素晴らしいが、佐方の生い立ちが描かれる「本懐を知る」が一番か。解説の池上冬樹氏の「女横山秀夫」は言い得て妙である。解説の内容も素晴らしい。

  • 一遍一遍嚙みしめる様に、踏みしめる様に読んだ。
    決して読みにくい訳ではないんだけど「次は?」と勢いづいて読む感じではなかった。
    検挙率をあげるには「正義」「真実」は不要なのか?
    警察・司法って何?
    その中では佐方はとても生きにくいだろうと思った。
    それでも真実の為決して曲げない。
    清々しい程自分の信念に真っ直ぐだ。
    その真っ直ぐさは父親譲りなんだろう。
    派手さはない。だけど「実直」という言葉が似合う短編集だった。

  • 「最後の証人」読んで初めて人に左右されずにシリーズを読みたいと思った本。
    短編だが面白い。一番は「恩を返す」かな。
    最後のエピソードには何故か泣ける。
    「取り調べを受けるのは参考人という記号ではない。親が付けた名がある人間です。相手に真実を吐かせようと思ったら、人間として向き合うべきでしょう。」…ですよね!

  • 「佐方貞人」シリーズは本当に面白い。
    本作は2作目となる短編集だが、佐方の検事時代、更には高校生の時のエピソードまであり、彼の人物像を理解しイメージするためには必読の一冊だと思う。
    ドラマ化された際のキャストは上川隆也さんだったようだが(観ていません)、私のイメージともぴったりの配役。

  • ★特長
    佐方弁護士の検事時代や学生時代のエピソードを描く5つの短編ミステリーを通じて、人柄や魅力が描かれている。

    ★感想
    第一話 樹を見る
    所轄管内で起きた連続未解決放火事件。
    所轄と県警の同期同士が解決を争う。
    容疑者のガサ入れ令状欲しさに佐方検事へ送検。
    佐方は見事、所轄の見逃した真実に行き着く。
    同期同士のマウントの取り合いが見苦しく、それに引き替え、佐方検事のなんと清々しいこと。

    第二話 罪を押す
    佐方が米崎地検の筒井のもとに転勤になって間もない頃の、彼の他人の内面を読み取れる、深い人間性を示す事件、エピソード。
    佐方は着任後一年、事務処理能力の高さは誰もが認めるが、筒井の思う優秀さ(事件の動機の深い部分まで凝視して向き合える)はまだ見えてきていなかった。
    貧しさから刑務所に入るために繰り返された窃盗事件。
    一任された佐方は勾留期限まで引っ張った後、なぜか不起訴の決定を下す。
    警察作成の一件記録から抱いた2つの疑問を解くために、警察からあるものを取り寄せ、事件の真相にたどり着く。
    佐方は法と人、両方で罪を裁ける、検察の正義を背負う存在になるだろうと筒井は思った。

    第三話 恩を返す
    広島県呉原市での高校時代の甘酸っぱい事件での恩を、大人になってから返す話。

    第四話 拳を握る
    中経事業団と国会議員の贈収賄事件。
    全国から応援を集めた東京地検特捜部。
    その中に山口県地検事務官の加東と、佐方。

    第五話 本懐を知る
    主役はニュース週刊誌の専属ライター兼崎。
    政治家や検事、弁護士など権力者の犯罪を明らかにすることにより、再発防止を促す企画で14年前に業務上横領で実刑を受けた弁護士の事件を追う。
    通常、弁護士が犯罪を犯した場合、示談か起訴猶予にしてしまうのに、不思議に思う。
    その弁護士こそ佐方の父だった。
    佐方の父は服役後弁護士資格を失い、亡くなっていた。
    謎を追うため当時の関係者に取材を行うが、多くの
    人は佐方の父を悪く言わない。
    悪く言うのは顧問先社長の息子のみ。
    佐方にも取材するが、何も話さない。
    謎は深まるばかり…。
    そこには佐方の父と今は亡き顧問先社長との友情とある事情があった。

    ★魅力
    このシリーズの主役、佐方の人柄、佐方の父の人柄に魅了されるエピソードの数々。

    ★おすすめの人
    単なる事件の表面的な部分ではなく、人間の深い部分の妙味を楽しみたい方。

  • 佐方が弁護士になった前作よりも、検事時代の本作の方が面白かった。短編なので少し物足りない感はあるけれど。

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著者プロフィール

1968年岩手県生まれ。2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、デビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞、16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。同作は白石和彌監督により、18年に役所広司主演で映画化された。18年『盤上の向日葵』で〈2018年本屋大賞〉2位となる。他の著作に『検事の信義』『月下のサクラ』『ミカエルの鼓動』『チョウセンアサガオ咲く夏』など。近著は『教誨』。

「2023年 『合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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