生存者ゼロ (『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
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本棚登録 : 1073
感想 : 183
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  • Amazon.co.jp ・本 (409ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800205001

作品紹介・あらすじ

北海道根室半島沖の北太平洋に浮かぶ石油掘削基地で、職員全員が無残な死体となって発見された。救助に向かった陸上自衛官三等陸佐の廻田と、感染症学者の富樫博士らは、政府から被害拡大を阻止するよう命じられた。北海道本島でも同様の事件が起こり、彼らはある法則を見出すが…。未曾有の危機に立ち向かう!壮大なスケールで「未知の恐怖」との闘いを描くパニック・スリラー。2013年第11回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • このミス大賞受賞作は面白いけれど、新人っぽさというか今ひとつ感が強いものが多いが、この作品はこれがデビュー作なのかと疑うほど完成度が高かった。最初の話の流れが現在のコロナ禍と重なる面もあって、すぐに引き込まれ一気に読みきった。(ウイルスの説明や自衛隊用語はよくわからず読みにくかったので、そこはちょっと飛ばし読み)
    残念ながら宗教的なことは全くわからないので、ラストの意味が理解できず消化不良気味。

  • 「このミス大賞」の作品とはどうも相性が悪い。
    というよりも「このミス大賞」というネーミングが、
    年間の「このミステリーはすごい!!」のランキングで一番になった作品と同様のものと誤解させ、
    本を売ろうとする宝島社の販売戦略がミエミエなのだ。
    「このミス 1位」と「このミス大賞」とは全く似て非なるものなのだ。
    にもかかわらず、
    この作品が「このミス大賞」という新人賞に応募されたものと気付かず、
    その年の“ナンバーワンミステリー”と思い、
    ミスリードされて購入した読者も実際多いのではないだろうか。
    私自身、少し前まではそう勘違いしていた。
    だからはっきり言えば「このミス大賞」受賞作品の完成度はそれほど高くない。
    この作品も、あくまで“圧倒的な迫力を誇るB級パニックサスペンス”という気がする。
    ストーリーは大掛かりなのだが、所々の細かい部分に粗さがあるというか。
    まあ、新人なのだからそれも当然なのだが……。
    まずまず面白くは読めたが、ミステリーの完成度として考えると、如何なものであろうか。

  • 面白かったけど…ミステリ…なの?

  • 2013年の「このミステリーがすごい」大賞受賞作。

    根室半島沖で稼働していた石油掘削基地との連絡が突然途絶えた。テロ攻撃の可能性から、出動した自衛官の廻田が見たものは…。
    一面が血の海と化した室内に残された無残な沢山の死体。皮膚が溶解し、筋肉がむき出しになり、全身が壊死したように痛んでいる。
    新種のウイルスや細菌による感染と断定され、除染が行われ、海上ということもあり隔離もうまくいき収束したかに見えたが、その9か月後に、北海道中標津の小さな町で被害が出た。石油掘削基地同様に、生存者はゼロ。
    自衛官の廻田と伊波、自衛隊医官の広瀬、昆虫学者の弓削、そして感染症学者の富樫が、パンデミックの解明と被害拡大の阻止へ乗り出すが…。
    被害が札幌へも押し寄せる。その間の政府の右往左往ぶりは、東日本大震災や福島の原発事故の時の政府の対応を彷彿とさせる。
    パンデミックの原因の意外さや、道東から西へ西へと進んでくる被害に、ぐいぐい引き込まれて読み進んでいくけれど、神やら黙示録やらと非科学的な伏線もあり、???というところも多々あり。
    そんな余計な伏線が無い方が、スピード感がもっと増し、すっきりとわかりやすいような気がするのだけれど。
    面白いのだけれど、がっかり感がある。

  • 序盤面白かったが、中盤以降は入り込めなかった。

  • 後半の人間描写がところどころ煩わしい。美女博士も唐突。均等に苦悩や過去を見せなくてもいいのでは。アイデア一発なのだから徹底的に冷徹にグロく人体破壊していってもよかったかと。そこから先に見える狂気や愛情の表現のほうが深く感じるはず。
    裏切られてばかりのこのミスものの最近では秀作。

  • 安生正『生存者ゼロ』(宝島社、2013年)読了。
    文庫本化したときに生協で見て気になっていたのですが、『大言壮語だろう』と、そのときはスルーしました。

    ただ、少し前に、書店にこのミス大賞の受賞作品がズラッと並んでいて、表紙が「読んでみて~」と叫んでいるように思えたので(笑)、読むことにしました。
    ネット上では、「このミス(失敗)」などと批判する書評も見られますが、小生には面白かったです。

    何しろ、久しぶりのパンデミックもの。冒頭、アフリカの奥地で未知の細菌を研究する研究者(富樫)が登場するので、『これは、「ジェノサイド」(高野和明、2011年)に向こうを張った作品か』とワクワクドキドキして読み始めました。

    生存者ゼロの舞台は北海道。
    まずは根室沖の石油掘削プラットフォームで作業員全員の死亡が確認されます。このときに現場を確認したのが、自衛隊三等陸佐の廻田(かいだ)。原因は不明。
    ただし新種の細菌ではないかと考えた首相以下、関係閣僚は、細菌学者の富樫を呼んで意見を聞きます。
    これに対して富樫は次のように答えます。

    「最悪のケースは飛沫系感染を行う偏性好気性菌の場合ですが、適切な隔離処理がなされなければ数週間で北海道が壊滅することもあります。」[p.46]

    それを聞いても、首相も関係閣僚も突発的で局地的な出来事で済ませようとして、有効な対策を打ち出せないまま時は過ぎます。

    やがて根室沖から北海道川北町、中標津町で住民全員が謎の死。
    このあたりから道民としては身近で起こった出来事として手に汗握ります。
    それはやがて十勝地方を飲み込み、札幌市街に及びます。
    その様子を、廻田は何もできないまま見つめます。

    「何が起ころうとしているのか、その答えがたちまち目の前に現れた。いきなり、二百メートルほど先の国道三十六号線で舗装が盛り上がった。それも一か所だけではなく、右手の南七条米里通、その向こうの北海学園大、左手の東北通といった、対岸のあらゆる場所で、次々と地表面が波打ちながら盛り上がり、その斜面から粉砕されたアスファルトの破片がバラバラと転げ落ちる。」[p.337]

    幸いにして勤務先がある地域は出てきませんが、白石区も江別も出てきますので、その中間の厚別区もアウトでしょう。(苦笑)

    クライマックスはまさに阿鼻叫喚の地獄が描かれます。
    北海道を見捨てようとする政府。それに立ち向かう廻田三佐。
    手に汗握る展開です。

    なぜこんなことになってしまったのかは、ネタバレになるのでここでは書きません。
    ただ、話は途中から細菌とは別の方に向かいます。しかも細菌学者の富樫は麻薬中毒になってしまい、これまた現実離れした展開になります。「このミス(失敗)」と揶揄する人たちは、原因が後出しジャンケンではないか、あるいは富樫の人物設定に無理があるのではないかということかもしれません。小生も、『単純なパンデミック(広範囲に及ぶ細菌病)ではなかったのね』と思いましたし、麻薬中毒なのに大団円で正常な判断をする富樫に『これはどうかな』と疑問を持ったことは事実です。

    ですが、やっぱり舞台設定が身近であること、廻田三佐が自衛隊員然としていること、奇想天外なストーリーであることなど、いろいろな要素を総合すると、素直に『面白かった』と評価したくなります。

    もちろん最後は、一筋の光が射し込みますのでホッと一安心。

    密室で起きる事件の謎を解くというのも緊迫感がありますが、こうしたスケールの大きい話も小説だから作ることができる話。ただし映画化してはいけませんね。想像力で恐怖を味わうのが大事。

    それにしても、もし北海道が何らかのパンデミックに襲われたら、政府は何もしてくれないのでしょうか。いや、もはや北海道は島ではありません。津軽海峡線で繋がっていましたし、先週新幹線も開通しましたので、あっという間に本州に伝染します。北海道だけ隔離しようとしても無意味です。助けてくださいね。(笑)

  • 疲れた。
    なかなか読み終わらなかった…。
    結末が知りたくてなんとか読み進めたものの、モヤモヤする終わり方…

    終始グロいので映画化とかはないかな…?
    あったらちょっと見て見たいかも。

  • 読みごたえがあった。後半はドタバタしてたが、政府や官僚は実際もこんな感じだろうな…
    2014.5.23

  • 北海道沖で発生したパンデミック。
    どんなに怖いウイルスか…
    と思わせておいて
    実は人食いシロアリとは恐ろしい…。
    部下を亡くした自衛官と
    家族を亡くして薬中になってる感染症研究者
    きゃらも濃いです。

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著者プロフィール

1958年、京都市出身。京都大学大学院工学研究科卒。第11回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、『生存者ゼロ』にてデビュー。同作から続く〈ゼロ〉シリーズは、累計130万部を超えるベストセラーに。現在、建設会社勤務の傍ら、執筆活動を続けている。著書に『レッドリスト 絶滅進化論』(幻冬舎文庫)、『ホワイトバグ 生存不能』(宝島社)、『不屈の達磨』(角川春樹事務所)などがある。

「2022年 『首都決壊 内閣府災害担当・文月祐美』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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