田村耕太郎の世界を観る目 日本を見る目

著者 :
  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800207715

作品紹介・あらすじ

情報には必ず裏がある!アベノミクス、ネット選挙、憲法改正…本質を見抜く目を鍛えれば、世界の姿が観えてくる。

感想・レビュー・書評

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  • ●我々日本人は流れてくる情報を疑う姿勢がまだ足りないように思う。私は常に「疑うこと=思考」、「信じること=思考停止」と言っている。「頑張って努力して勝負するときに自分を信じること」や「長く信頼関係を築き上げてきた相手を信じること」は大事だが、あふれる情報を信じてしまうことはこれからの時代はさらにリスキーだと思う。

    ●日本人よ、均質を捨て異質を求めろ
    親しい脳科学者によると、脳は異質な人と会う時にもっとも活性化されるという。いわゆる手さぐり状況だ。リラックスしている時、脳は眠っている。スティーブ・ジョブズもジョセフ・シュンペーターも「点と点をつなげることがイノベーション」と言っている。バックグラウンドや考えが違う人同士で会うと、盛り上がらないこともたまにあるが、それでも実は何らかの刺激を受けているのだ。

    ●違いを求めなければ、鮮度の高い情報は得られない
    日本で国籍の違う人や面白い人々を頻繁に集めるのは大変だが、多様性は、国籍や文化や言語だけではない。私は世代や業界や現在地が違えば、同じ日本人でもものすごく違うと思う。特に世代や現在地の違いは大きい。

    ●東大の挑戦
    8000名の学生のうち留学生は370名で4.5%しかない。これがこれからの課題だ。まず飛び切り優秀な東大生を提携先の世界の名門に送り込み、行く先で「こいつが学ぶトーダイとはどんな学校なのか?行ってみたい!」と東大の評判を上げ、多くの優秀な外国人を引き寄せるのだ。変化の時代に、均質性を高める組織はもろくなっていく。同じような日本人ばかりでなく、多様な人材を集めることが東大の挑戦の「へそ」であると思う。

    ●これからの時代の「教養のススメ」
    これからの時代を生きるには二つの「またぎ」が必要だ。一つは、地域を「またぐ」こと。もう一つは分野を「またぐ」ことだ。この「またぐ」力こそが教養のエッセンスであると思う。地域や分野を「またぐ」知識の事を欧米でリベラルアーツと呼ぶ。本来は「人間を真に自由にするために学ぶべき技法」という意味だ。いろいろな変化が起こる時代に「自分で自分の自由を確保するための技法」と言ってもいいだろう。我々は、このリベラルアーツを身に着ける必要がある。

  • 民主党は派閥がなかったから若手が台頭できたが、結束できないから、政界で力を発揮できなかった。
    哲学を学部字だしに専攻した者は各業界で引く手あまた。知の構造化の訓練を受けているから、何をやっても成功する可能性が高い。自分の価値観を自分に問いただしてそれを詰めておくことが大切。

    世界で最も企業的に農業をやっているのがオランダ。
    ドラッカーがアメリカであまり評判が高くない理由の1つは思想のスケールの大きさが経営学という枠に収まらない点にある。
    これからの時代、問題はいっそう複雑化する。グローバル化とリベラルアーツ化は別々に進むのではなく、同時に相互に影響を与えながら進行していく。

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著者プロフィール

田村耕太郎(たむら・こうたろう)

国立シンガポール大学リークワンユー公共政策大学院 兼任教授
米ミルケン・インスティテュート フェロー/一橋大学ビジネススクール 非常勤講師

早稲田大学卒業後、慶応大学大学院(MBA)、デューク大学法律大学院、イェール大学大学院各修了。オックスフォード大学AMPおよび東京大学EMP修了。

証券会社社員、新聞社社長を経て、2002年に政界入り。10年まで参議院議員。第一次安倍政権で内閣府大臣政務官を務めた。日本人政治家で初めてハーバードビジネススクールのケース(事例)の主人公となる。

その後、イェール大学研究員、ハーバード大学研究員、世界で最も多くのノーベル賞受賞者(29名)を輩出したシンクタンク「ランド研究所」で唯一の日本人研究員を歴任。他、米国、シンガポール、イスラエル、アフリカのベンチャーキャピタルのリミテッド・パートナーを務める。

「2023年 『地政学が最強の教養である』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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