僕はお父さんを訴えます (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
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本棚登録 : 436
感想 : 48
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  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800208118

作品紹介・あらすじ

第10回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞受賞作。何者かによる動物虐待で愛犬・リクを失った中学一年生の向井光一は、同級生の原村沙紗と犯人捜しをはじめる。「ある証拠」から実父に疑念を持った光一は、司法浪人の友人に教わり、実父を民事裁判で訴えることを決意する。周囲の戸惑いと反対を押して父親を法廷に引きずり出した光一だったが、やがて裁判は驚くべき真実に突き当たる。

感想・レビュー・書評

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  • 期待ゼロで読みはじめたけど、予想外に面白くて良い読書ができた!
    ナチュラルな表紙のイラストと可愛いわんちゃん。
    内容はそれとは裏腹に残酷で悲しみに満ちたものだった。

    中学生・光一の飼い犬、リクが殺された。
    その犯人を探すために未成年が裁判を起こす。しかも相手は父親。

    前半と後半でまた雰囲気が違う。
    裁判が始まるまでは、【裁判とは】から始まり、どう言った流れで裁判をするのかがとても分かりやすく描かれていた。
    難しい用語も噛み砕いて解説されていて、とても勉強になった。

    判決が出る辺りから一気にミステリー調。
    光一の行動にいちいち謎が多く、そこがちゃんと種明かしされていく。
    ミステリー好きな方からしたら少々荒い内容だったようだけど、私は全然気づかなかったし、大いに驚いた。


    ここに書けないのが口惜しい。。

    でも、こんな悲しいことがあっていいのかと思う。「よくあること」なのか、これは。
    3分の1は多いよ…
    そこが一番ショックだった…


    【僕はお父さんを訴えます】
    この言葉の反抗的な印象とは違い、光一の父への想いは尊敬があり、畏怖があった。
    そして傍に寄り添うリク。
    読了後に表紙の印象が変わる。

    すごく悲しい話しだったけど、これは実際にあることなのだ。裁判の勉強に適していることもあって是非中学生に勧めたい本。

  • わたしが言いたいことは全部、解説に書いてありました。引用すると、『あえて悪く言えば、するする読めるということは起伏や刺激がないということでもある。物語全体も、話の途中から大体の真相は見えてくる』。

    解説にも呈示されているけれど、宮部みゆきさんの「ソロモンの偽証」を読んだことがあると、宮部さんの作品とは、比べものにならないなと、思ってしまう。

    法律用語をわかりやすく説明してくれるのはいいけれど、ある程度他の小説などで知識があれば、そうした説明は不要だし、全体として物足りなさを感じるはず。
    伏線のはり方も、ちょっと甘め。
    帯が大袈裟だったかなあ。

  • ほんとに怖い内容だった。

    私にも愛犬がいるから、特に動物虐待の話はキツい。読み始めたら最後まで読まなきゃ怖くて読むのをやめられなかった。

    この父親はおそらく病気だろう。だからと言って許されることはない。
    昨年の虐待死事件の犯人の父親を思い出す。どうしてあんな事して自己弁護が出来るのか…人間が動物と違う所の一つに自己嫌悪というものがあると思う。自分の行った愚行に嫌悪感を抱かないなら、もはや人ではないと思うのだけど。

    色々な事を思い出して吐き気さえする。
    朝起きたらうちのワンコをすぐ抱っこして癒して貰おう。

    あーこんな夜中にこの本はやめるべきだったなぁ泣

  • 中学生が父親を訴えます。題名そのままですが、民事で具体的な手続きも出てくる。なかなか賢い中学生だな。裁判に興味があるのだな。いろいろあって実際に裁判が出来て終わり!ではなかった。
    彼はどの時点でこうしようと思っていたのだろうか?最初から?いろいろ考えてしまった。この状況がここまで追い込んだのかとか。

  • 面白かったです。
    まさかの結末でした。
    「このミス」は結構えっっとなる話が多いですよね。
    ぜひ読んでみてください。

  • このミスに選ばれる本ってやっぱり面白い。
    今まで知らなかった作者だなぁと思ってたらまだ書き出して間もないらしい。才能あるって羨ましい。
    文章も読みやすくストーリーが面白い。

    中学生のボクがお父さんを訴えるなんてなんでと思ったら犬を殺されたから。
    犬思いなんだねと思って騙された。

    犬は殺したらいけないよー。たとえその先にうったえたかった真実があるとしても

  • 兎にも角にもリクが可哀想すぎて、心が痛くてたまりません。光一も酷い目にあっているので同情できなくありませんが、自分が虐待されていたからといってリクを虐げてよい理由には全くならないわけで。

    本書でも言及されていますが、ペットのいる家庭で児童虐待があった場合、3割以上の家庭で子供による動物虐待が行われているという現実があるようです。そのことは理解でき、光一が虐待に走ってしまうのは仕方がないと思いつつも、リクが愛らしく「くぅん」と鳴く様子や虐待のありさまの描写を目にすると、どこにもぶつけようのない怒りと悲しみが沸き立ってくるのです。

    本書の主軸となる話はあくまで法廷ミステリ的な部分だと思うので、その点だけ見れば光一が裁判を起こした本当の理由と結末には心底驚かされ、なかなかの佳作なのではと思います。

    リクを殺したのは光一自身で、父が隠している「何か」を明らかにするために裁判を起こしたことは、およそ予想がつくことだと思います。その「何か」が光一への虐待なのではと予想はしていたのですが、あの友井羊氏が私に予想できる程度のどんでん返しを用意しているはずがないという期待もあったりします。

    とはいえ、本作はかなり初期の作品で、そのころの作品ならそういう展開もあるかも…… などと高をくくっていたところに、全く意識していなかった真相が出てきたので、これには相当な驚きがありました。

    その点は本当に素晴らしいと思うのですが、やはりリクのことを思うと複雑な気持ちになります。改めて表紙のイラストを見、光一の膝の上に頭を乗せ、口角を上げて光一を上目遣いでみつめるリクの姿を見ると、なんでこんなに可愛らしい愛犬を……と、やるせない気持ちに。

    記憶に強く残るインパクトのある作品でしたが、後味が少々よくない印象がどうしてもぬぐい切れず、★5をつけるのはためらわれてしまいました。

  • 『ボランティアバスで行こう!』で初めて友井羊さんの小説を読み、私にとってはこれが2作目です。

    中学生の主人公が、飼い犬を殺した容疑でお父さんを訴える、という大変なお話。
    最初重たい感じでしたがサクサク読めました。

    途中からなんだか、モヤモヤ感、
    そして、なんでお父さん、あんななんだろう

    う~ん。
    大賞受賞らしいけれど、ちょっと浅いかな。

  • 装丁からは想像しなかった内容。
    話の途中から真相が見えてきたけれど、読みやすい文章で鼓動は速くなって、先へ先へ読み進める事が出来る。
    息子が父親を裁判で訴える…大胆な設定、現実的に問題な深刻な真相を、重たくなり過ぎない文章で綺麗に纏められていて、読了の感じが良かった。

  • リクくんがひたすらかわいそうで、最後までずっと胸が痛かった。

    敦さんは司法試験に落ちて自堕落になっている自分を情けないと言っていましたが、私は作中いちばんかっこいい大人だと思いました。

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著者プロフィール

2011年、『僕はお父さんを訴えます』で第10回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞してデビュー。14年、『ボランティアバスで行こう!』が名門ミステリファンクラブ「SRの会」13年ベストミステリー国内第1位に選ばれる。著書に“スープ屋しずくの謎解き朝ごはん”“さえこ照ラス”“レシピで謎解きを”の各シリーズ、『映画化決定』など。

「2023年 『無実の君が裁かれる理由』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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