- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784800212955
感想・レビュー・書評
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リーマンショックから半年、厚生労働省から一通の通知が発出される。これを受け、働く世代も実質的に生活保護に受け入れることを認めることとなる。以降働く世代の受給者は増え続け過去最高を更新し続けている。貧困ビジネスの暗躍、生活保護受給者を陥れる闇社会など、生活保護をめぐる問題は山積だが、最たる元凶は働ける人が受給し続けているということ。実にやるせない現実がルポルタージュ形式で綴られる。生活保護を受ける生活を続けていくうち確実に働く意欲は減衰していく現実。働きたいという気持ちさえも生活保護を受ける中で損なわれていく。セーフティーネットの脆弱性と緊急事態に場当たり的な対応しかできなかった政府。生活保護制度そのものが自立への意欲を損なわせる制度設計。課題をあげればきりもなければ果てもない。処方箋だけは全く見えない。これが日本の実相。進撃の巨人にでも襲われなければ真剣に将来を考えないのか、この国の人は。
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10年以上前の本である。
この後にコロナ禍があって更に状況は悪化した。
今や有名インフルエンサーが、生活保護を受けろ、という時代である。
働ける世代を生活保護から抜け出す援助、不正受給の摘発。
問題は更に複雑になり、厄介になったが、世相も諦めムードで、マンパワーも足りていない。 -
生活保護の実態が、良く分かる。國の最重要課題のひとつである。
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この実態はなかなか重たいです。。この後、生活保護世帯はどんどん増えていくことが予想されますし、これは日本人国民世帯の生活を圧迫することになっていくでしょうね。
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面白いが、暗澹たる気分になってくる。
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タイトルは衝撃的なのに、結局なにが言いたいのか分からない本になってる。
生活保護費に制度上の問題(貧困の罠)と呼ばれるものがあるのがテーマなのか、それともそれを食い物にする業者が跋扈しているのがテーマなのか。
または、生活保護を受給来る人に問題があると言いたいのか(本書では否定されているが、明らかにその趣旨であるだろう箇所がある)。
生活保護に問題があるのだ、といいたいのは分かる。が、その問題は何か?
生活保護の目的とは、保護に至るようになった人間をいかにして再起させるのか?また、再起が不能になった人の尊厳をいかに守るのか。
ということなのだから、問題があるとしたら目的との不一致に決まっている。
どのあたりが不一致なのか?という視点で統一して書いていればもっと伝わりやすい本になっていたたろう。
衝撃的なタイトルから入った企画なのだろう。だから、日本の総人口と保護の比率の推移をかんがえないという致命的欠点まで犯している
読む価値はないとは思わない。
すくなくとも、貧困ビジネスや医療と生活保護の関わりなどは読むに値する。
が、先に述べたようにだからなに?という本になっているのが問題なのだ。
貧困ビジネス業者の悪行を叩きたいのか、貧困ビジネス業者が生活保護者の再起に致命的な影響を与えていると書きたいのか?
この本の趣旨なら後者で書くべきだが、本の内容は前者だ。
そして、時折後者でかかれる項目がある。
このような内容の本には視点の統一が求められることが理解できる本ではある。 -
大阪市の生活保護受給者と貧困ビジネスに関するルポ。弱者を狙った貧困ビジネスの実態について参考になった。
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リーマンショック以後ニュース等でもよく取り上げられていた生活保護制度。知っているようで知らない内容がたくさんあった。
生活保護制度のみにとどまらず、社会福祉制度の在り方、働くこと、生きていくことについて考えさせられた。 -
まさしく日本の病巣の一つである。
リーマンショックのセーフティネットの拡充のため、一課長の通知が、生活保護受給者の激増を招き、それを悪用する貧困ビジネスを生み出す。
生活保護が受給者の働く意欲を失わせて、国民全体に思い負担を課している。
働く意欲のない人は冷たく切り捨てるのがいいのか、それとも辛抱強く自立支援をしていくのがいいのか?気の長い話である。
国民負担には限界があるし、最低賃金で一生懸命働いている人たちとの不公平感もあるだろう。
どうすればいいのか、すぐには結論は出ないが、貧しい人や貧しい人を助けるための制度を食い物にする貧困ビジネスは許せない。