そして父になる【映画ノベライズ】 (宝島社文庫)

  • 宝島社
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レビュー : 326
  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800215154

作品紹介・あらすじ

学歴、仕事、家庭。すべてを手に入れ、自分は人生の勝ち組だと信じて疑わない良多。ある日、病院からの連絡で、6年間育てた息子は病院で取り違えられた他人の子供だったことが判明する。血か、共に過ごした時間か。2つの家族に突きつけられる究極の選択。そして、妻との出会い、両親との確執、上司の嘘、かつての恋、子供との時間-。映画の余白を埋めていく、文字で紡がれる、家族それぞれの物語。

感想・レビュー・書評

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  • 「そして父になる」是枝裕和氏

    1.購読動機
    休暇中、文字を食べたくて、読めればなんでもよかったんです。
    子供の取り違え事件。
    数年前に過去の事件として記事となりました。
    その取材もしたうえでの書籍ということであったため手にとりました。

    2.本書内容
    病院から電話があり、事件は動きだします。
    「取り違えの可能性あり。遺伝子検査を。」
    残念ながら、運命はいたずらで、6年過ごした子供は実の子供ではないこととなりました。

    本当の血の繋がった子供の育ての親との対面、そして実の子供とも面会へと事態は展開します。

    親はどのようにこの事態を受け止めるのか?
    また、流したい衝動と戦うのか?

    子供らは、みたこともない大人の家に預けられ、少しずつ距離を縮めていく対応にどんな表情で、どんな叫びを押し殺し、生活をしようというのか?

    小説のなかの文体は、痛々しいくらいに真っ直ぐです。
    時には、本を折りたたみたくなるくらいに。

    3.最後に
    私たち読者は、両家の大人、そして同じく運命に翻弄された子供たちに、ページを折りながら寄り添う気持ちで進めるほかありません。

    読み終えて
     ありふれた日を
      省みて
       尊き生を 
        まぶたに描き

    #読書好きな人と繋がりたい
        
        
        




  • (No.13-47) 本ではなく、映画のレビューです。 映画館で見ました。

    産院での取り違え事件。昔多発したことがありました。でもその後対策がとられたはずなので、なぜ今?と、映画を見るまではそこが疑問でした。
    そのところがちゃんと納得できるようになっていたので、映画をリアルに感じることが出来ました。

    二つの家族を両方等分ではなく、子供が一人だけの野々宮家に重点を置き、主人公は子供の父親の野々宮良多に定めているという構成も良かった。
    「そして父になる」・・・、題名どおりこれは良多の成長物語ですね。

    この映画は見る人の立場によっていろいろな見方があるでしょう。
    私の立場だと、良多の親の目線で見てしまいました。
    すでに人の親であり、一人前の社会人としてバリバリ活躍しているという自負を持っている良多ですが、彼を親目線で見ると、なんとも危なっかしくてはらはらします。
    頭は良いのですが、いわゆる頭でっかちタイプ。学生時代は多分優等生で、大手企業に務め都心の高級マンション住まいといういわゆる勝ち組。最初のうちは、全く挫折経験が無いのかとも思えました。あとから、自分の親とのあれこれが描かれ、辛いこともあったことが分かりましたが。

    演じているのが福山雅治なので、そこはかとなくガリレオの雰囲気を感じてしまったのですがかえって良い感じでした。そういうのは監督の計算に織り込み済みなのかもしれない。良多がいまいち人の感情の機微に疎いというか、会社とは無関係の対人関係が稚拙、というのが伝わってきます。
    親として子供とどう向き合えば良いのか、頭の中ではシュミレーションしても実際の場面でちゃんと出来ない。

    彼と対極的なのがもう一つの家族の、リリー・フランキー演ずる斎木雄大です。良多より年齢も上で個人商店主。人扱いがうまいし、子供と全然構えず自然体で接することが出来る人。

    血と育つ環境について、すごく細かいことが散りばめられていて考えさせられました。

    ただこの映画で取り違えられた二人の子供にとって、とても運が良かったともいえる設定。
    どちらの家庭も子供を愛し大切に育ててきて、一度は、育てた子と産んだ子の両方を引き取りたいと考えたくらいなのです。
    虐待や離婚、どちらかの親が亡くなっていたり、犯罪者になってたり、反社会的な人だったり、もしそんなことがあったらこういう展開にはならない。
    だからとても静かな物語で、親子関係に集中できました。

    きっと見た人達は皆、家族について思い出したり考えたりしたことでしょう。
    私も映画を見たおかげで、自分と夫の親や祖父母のこと、子供たちが小さかった頃のことのなどいろいろ思い出しました。

    日本映画は、なんともいえない「間」があったり、逆に説明過剰だったりすることが時々あり、私はそういうのが苦手です。
    この映画は、たくさん削ぎとってここまで絞ったんだろうなという感じを受けました。見て良かったです。

  • 子ども取り違えという、堪え難い試練と向き合う二組の家族の物語。タイトルにもなっているように、エリート志向の強い父親の心の変遷が軸になっていますが作品全体からは、妻、母、継母、そして子。みな、それぞれの心情、心の機微が手に取るようにこちらに伝わってきて色々と考えさせられました。 血か共に過ごした時間か… 何かを手に入れることは、同時に何かを失うことなのか。そんなことを想起しましたが、人の心はそんなに容易く割り切れはしない。主人公の父親が、幼少期からのわだかまりや固執していたものからようやく脱皮できたように、少しづつ少しづつ、時間を味方にして前に進めれば良い… そんな読後感でした。 対照的な父親、母親、そしてその環境で育ってきた子の描写が秀逸でグイグイ引き込まれました。絶対、映画も観てみようと思わせてくれる一冊です。(4.5)

  • 何が正解なのか、最後まで読んでもその答えは提示されていない。
    もともと正解なんてあるはずもない問題で、無理にそこに答えを見出そうとすれば間違った方向へといってしまうからだと思う。

    良多の生き方を見ていると、結局育てられてきた環境がその後の人格形成に大きな影響があるように思えてくる。
    ならば私も母親のように、ときに激しくぶつかりときに笑いあいながら、心地いい距離感のある親子関係を築いていくのだろうか?
    親が親であること。それは当たり前のことで疑ったことすらない。
    幼い二人の少年にとって親以上にショックな出来事だったはずだ。
    きちんとした理由もわからずに両親と引き離され、これまで見たこともなかった人間を父と呼べと言われても出来るわけがない。
    何故こんなことになってしまったのか。
    その原因を思うとき、言葉にならない憤りを感じる。
    思うようにならない人生。
    こんなはずじゃなかったのに!!と苛立つ毎日。
    辛い気持ちはわかる。
    でも、まったく関係のない人の人生を、まるで何かに復讐するようにめちゃくちゃにしていいはずがない。
    物心がつく前に、親子の歴史が刻まれる前に、もっと早く何とかすることが出来ただろうに。
    自分は義理の息子と良好な関係を築き、平和で幸せな日常を送っている。
    検査で発覚しなければ、ずっとそのまま知らん顔をして過ごしていただろうと思うと、故意に乳児の入れ替えをした看護師に対して言いようもない嫌悪感がわく。
    謝罪の言葉など何の意味もない。
    たった5万円でどれほど反省しているというのだろう。
    金額の問題ではないのだ。
    きちんと詫びるべきところは詫び、ひたすら誠意を見せる以外に許される道はないと思うのだけれど。
    自分のした行為がどんなに重大な結果をもたらしたか。
    幼い子どもたちにどんな傷を残すことになるのか。
    現実をしっかりと受け止めて、たとえ時効になってはいても取り返しのつかないことをしたと自覚してほしかった。
    少しずつ父親になっていく良多。
    裏切られ、自分が被害者の立場になって初めて向き合う家族というもの。
    いつのまにか深く傷つけていた子どもの心。痛み。哀しみ。
    やり直すのに遅すぎることはない、と信じたい。
    ふたつの家族の未来がどうか幸せなものになるように。
    いろいろと考えさせられる物語だった。

  • 6歳まで育てた息子が、実の子ではなく…
    その時、親として迫られる選択。「血」か「時間」か。

    映画(第66回カンヌ映画祭審査員特別賞受賞)はまだ観ていませんが、ぜひ観たい!

  • もし、我が家で同じようなことがあった時に自分はどの様な対応をするのだろうか?

    長年の親子関係?血の繋がり?考えさせられると同時に子供達が愛しくなりました

  • ご存知!?某ガリレオさんで映画化されました。
    親子とは血の繋がりか、年月掛けて育てた情か、、
    どちらを取るか決断、そして決別が。。

  • 子供と一緒に過ごすこと。
    一緒に過ごした時間が子供との関係。
    それだけじゃない、というのも本当だと思うが、それもとても大切な要素。

    自分の親に対して持つ不満。
    不満に思っているはずなのに、似たようなことを自分の子供にしている。

    血なのか、教育なのか、経験なのか。
    いいことも、わるいことも、望ましいことも、望ましくないことも、望むと望まざるとに関わらず、引き継いでいるし、引き継ぐことになるのかもしれない。

    ところで。いろいろ考えながらこうして感想を打っているが、横で娘が(僕が聞きたくもない)パヒュームの歌を歌いながら、いろいろ話しかけてくるので、集中できずうっとうしいが、多分これが幸せなんだと思う。

    まぁいいか。

  • 映画を見る予定でいたのですが、先に本を見つけてしまい読んでしまいました。おもしろい本はケータイいじるのも忘れて読みふけってしまいますね。
    最後は、涙、涙でこんなに泣いた本は久しぶりです。

    いま同じ年頃の息子がいるけど、この本を独身の頃に読んでいてもないたかな。

  • 知ってたからこそ、今日まで読めなかったけど、読み始めたらいつものごとく一気読み。
    もっとゆっくり読みたいけど、先が気になってしまって。
    血か
    時間か
    父親が左遷されたあたりから、気づいて変わっていくまでのところがよかったかな。
    よかったね、気づいて。
    人は自分しか変えることはできないからね。

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著者プロフィール

映画監督、テレビディレクター。1962年生まれ。大学卒業後、テレビマンユニオンに参加。1995年、映画監督デビュー。2004年、『誰も知らない』がカンヌ国際映画祭にて最優秀男優賞(柳楽優弥)受賞。

「2017年 『是枝裕和』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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