いつまでもショパン (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
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本棚登録 : 2761
感想 : 240
  • Amazon.co.jp ・本 (405ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800220431

作品紹介・あらすじ

難聴を患いながらも、ショパン・コンクールに出場するため、ポーランドに向かったピアニスト・岬洋介。しかし、コンクール会場で刑事が何者かに殺害され、遺体の手の指十本がすべて切り取られるという奇怪な事件に遭遇する。さらには会場周辺でテロが頻発し、世界的テロリスト・通称"ピアニスト"がワルシャワに潜伏しているという情報を得る。岬は、鋭い洞察力で殺害現場を検証していく!

感想・レビュー・書評

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  • 橋本愛主演の映画化で話題、「さよならドビュッシー」シリーズの最新刊が登場!
    ポーランドで行なわれるショパン・コンクールの会場で、殺人事件が発生。
    遺体は、手の指10本が全て切り取られるという奇怪なものだった。
    コンクールに出場するため会場に居合わせた岬洋介は、取り調べを受けながらも鋭い洞察力で殺害現場を密かに検証していた。
    さらには会場周辺でテロが多発し……。


    岬洋介シリーズの一冊。
    もう順番ぐちゃぐちゃになっちゃってますが、どれから手を付けても面白いものは面白い!!

    舞台はポーランドのショパンコンクール。
    大きな舞台だけあって、ピアノ演奏者のレベルも違いますね!
    どの人の実力もずば抜けている。
    このずば抜けた実力の持ち主たちの中で、岬さんはどのような評価になるのか?
    でもって、これはピアノの話だけでなく、しっかりミステリなんですよ(笑)
    これが凄い。

    ピアノの演奏だけで、震えが来るほどの描写なのに、しっかりミステリでも読者を楽しませてくれる。

    本書最後のノクターン、鳥肌が立って、目に涙が溜まりました。


    ショパンは、何年も前だが、平野啓一郎先生の「葬送」を読んでいた為、
    ショパンにまつわる人の名前が出てきても、大抵は把握できていた(*^-^*)
    あの本も凄い熱量だったなぁ・・・。

  • テロを起こすこととピアノを演奏すること。どちらも人間の手による行為でありながら、それぞれが人々に与えるものは絶望と希望という相反する深い感情。絶望は憎しみや悲しみ、怒りを生み出し、希望は慈しみや感動、力強さを生み出す。絶望の縁からは何も生まれない。幾度となくそう思ってしまう瞬間がある。けれども、夜の闇が深いほど数え切れない星の瞬きが綺麗に見えるように、どれだけ深い絶望に飲み込まれたとしても希望は容易く消えることはないのだと、その度に一筋の光に助けられるのだ。人だけは闇の中で消えそうで消えない火を灯し続けることが出来る。

    ピアノから離れられなくなるピアニストたちは、ある者は何か大切なものを見失ってしまい、そしてある者は何か大切なものを思い出させてくれる。その旋律は時に戦場で奇跡となってキラキラと降り注ぐことさえある。例えお伽話のようなものだとしても、絶望の果ての痛みから生み出された音楽だからこそ、傷つけ殺し合う人間たちの上に尊い光となって射し込むこととなる。音楽の力だけでテロや戦争はなくならない。そんなことは分かってるのだけれど、音楽には人間の心を取り戻す力があることは信じてたい。信じている。

  • 岬洋介シリーズ第3彈は、ポーランドの首都ワルシャワで5年に一度行われるショパン・コンクールが舞台。テロが頻発する中決行されたコンクールだったが、コンクール会場で警察官が殺害されてしまい、コンクール関係者の関与が疑われる事態に。コンテスタントの一人が犠牲になるなど、参加者にも身の危険が及び、平常心でいられないコンテスタント達。そんな過酷な状況下で、岬洋介と盲目のピアニスト榊場隆平が大活躍。その演奏でポーランド期待の星、ヤン・ステファンスをも魅了していく。

    本書の読みどころは、やはり数々のショパンの楽曲の演奏風景の描写と、その対極としての残酷で悲惨なテロの描写だろう。そしてもちろん、テロの犯人は誰か、という点も重要ではあるのだが、本作ではミステリーの要素はあまり強くない。

    読んでいくうち、犯人候補は絞られてくるのだが、最後まで読み切れなかった。それもそのはずで、著者は犯人を匂わせるヒントを読者に与えていない。

    「どんなに身構えていても、どれだけ拒絶しても、いったん音を耳にすると否応なくその世界に引き摺り込まれ、後は岬の意のままにされてしまう」岬洋介のピアニズムの麻薬性っていったい…。この辺りはちょっとマンガチックだな。

    著者はポーランドまで取材に行ったのだろうか。ポーランド、一度訪れてみたいなあ。

  • ショパン・コンクールと天才ピアニスト・岬洋介、そしてテロリスト…

    絡み合う糸がほどかれた時、見えてくるものとは果たして…?

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    突発性難聴というピアニストにとっては致命的な病を抱えながら、岬洋介はショパン・コンクール出場のために、ポーランドに降り立った。

    一方、若きポーランドのピアニスト・ヤンも、父親からのゆがんだ重圧に苦しみながら、ショパン・コンクールへ臨んでいた。

    しかしコンクール会場で、残忍な殺人事件が発生。
    会場周辺でテロも頻発し、さらには“ピアニスト”なるテロリストもポーランドに潜伏しているという情報が入る。

    “ピアニスト”の真の目的とは…?
    そして岬、ヤンが奏でるピアノの行く先とは…?

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    ピアニスト・岬洋介シリーズの1冊ですが、今回も例によって岬自身はオーラのある脇役であり、話はポーランドのピアニスト・ヤン目線で進んでいきます。

    ピアノ演奏が文字で表現できていることが不思議でならないのですが、しかし岬洋介シリーズも4冊目のため、若干ピアノ演奏時の文章に悪い意味で慣れてしまいました。

    ショパン・コンクールを通してのヤンの成長がメインでもあり、推理ものとして読んでしまうと、物足りなさを感じます。
    その一方で、この物語は無差別なテロの残虐性や、そんな恐怖の環境の中で暮らさざるを得ない人々のやるせなさに触れられる小説でもあります。

    長編「いつまでもショパン」の他、巻末には短編「間奏曲」も収録されています。
    「間奏曲」の時期は、長編「いつまでもショパン」の直前にあたりますが、既刊「おやすみラフマニノフ」の登場人物がメインなので、そちらを読んでからの方が、より楽しめます。

    このシリーズはどこから読んでもよいお話にはなっているものの、岬洋介の生い立ちを順番に知っていくほうが、物語の根底に流れるものも含めて楽しめます。
    第一作の「さよならドビュッシー」から「おやすみラフマニノフ」、「いつまでもショパン」の順番で読まれることをオススメします。

  • 岬シリーズ。岬がショパンコンクールに出場するにあったって、ポーランドにゆく。そこで殺人事件に遭遇する。通称”ピアニスト”と呼ばれるテロリストが犯人だという。岬はコンクールに臨みながらも犯人を探り当てる。
    ショパンコンクールだけあって、犯人探しよりも、ショパン、ポーランドについて、何よりも音楽の解説が多く、私個人はすっかり酔えました(お酒なしでね)。いや、それだけでなく、ヤンの生い立ち、苦しみ、そしてショパン、岬の苦しみ加わり物語が熱くなっています、マリーの悲しみも。読むのはあっという間でした(どっぷりこの小説の世界に浸りました)。ミステリとのバランスはどうかと思いますが、岬のノクターンとかそれぞれの成長とか悲しみとか、音楽に乗せられ私はシリーズの中では一番かなあ、酔った度合いで。

  • 岬洋介シリーズ。
    ポーランドで開催されるショパン・コンクールでの話。
    コンクールのすぐそばにはテロ事件の恐怖もあり…。
    今回の話の中心はヤン・ステファンス。
    彼のコンクール参加と周囲の出来事を経て心の成長を綴ったかたちになってました。
    人の心に触れる音楽。成績よりもっと偉大なもの。
    それを最後に教えられた気がしました。
    岬洋介は主人公というよりは、それを支える名脇役。
    今回もそれを現した作品でした。

  • この話の主体はもちろんショパン。ショパンがポーランド出身だったことも知らなかった私にしてみれば、知らないことがいっぱいだった。
    日本から現れた、盲目で絶対音感を持つピアニスト。あれ、辻井さんと何かがかぶる。

    英雄ポロネーズとか、ノクターン、スケルツォなど、ものすごく専門的なタッチの説明とかその音楽的技巧、作曲された時期の説明など、かなり描かれていて勉強になりました。YOUTUBEで聞きながら読んだ。
    ところどころにラフマニノフの後継者やドビュッシーの後継者の話がちらほらと。
    ヤンが親からの呪縛に気付き、あがき、テロの事件や他の参加者の音楽を聴いて、殻を破るまでの過程と、テロ事件と刑事事件の犯人捜しのミステリが混じりあってたけど、最後の岬のノクターンで終わるとことか、もうやられた!って感じ。

  • 岬洋介シリーズを読むのは何作目だろうか?
    高校時代の難聴で音楽を諦め、司法試験トップになったのに音楽に復帰して、本作ではショパンコンクールで再度難聴で演奏を停止。高校時代を思い出してしまう。
    本作はショパンコンクールのため、ポーランドが事件の場所となる。次々と事件が起きるのにコンクールは中止とならない。本の内容は岬シリーズに特有の圧倒的に音楽の解説が中心となる。作家自身が音楽に堪能かと思うと全く違うらしい。音楽シーンが非常に多く、事件の解決が唐突に岬によってなされる。これでも謎解きがありミステリーなのか?

  • 岬洋介シリーズ3作目
    今回はショパンコンクール期間中にテロが起きるスケールの大きな話だった。この本で初めて、ポーランドやショパンについて深く知れた。逆境に負けない国民性やショパンを誇りに思っており、ポーランドのショパンを他国民が分かるはずないという考え方もあるんだなぁと。音楽の表現が丁寧で演奏する上でどう大変なのかも細かく書いているので、毎回このシリーズを読むときはその曲を聞きながら、この表現はこのメロディかなーって推測してる。だから、読むのがいつもよりゆっくりになってしまう。(早くページをめくりたいけど笑) 日本人で盲目の18歳のコンテスタントが出てきたけど、辻井さんがモデルなのかな?最後はノクターンで争いを止めるところが人の心を動かす音楽って素晴らしいなと思った。

  • 第一作のキャラクターが出てきたときはちょっと感動した。岬さんは相変わらずのキャラクター。でも少し内面が見えた気がしてちょっと好きになった。

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著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。2009年『さよならドビュッシー』で第8回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、翌年デビュー。以後、ミステリーを軸に精力的な執筆を続けている。2020年には作家デビュー10周年を迎え、12ヶ月連続での新作刊行を達成した。近著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『復讐の協奏曲』『境界線』『ラスプーチンの庭』『ヒポクラテスの悔恨』『能面検事の奮迅』など多数。

「2021年 『嗤う淑女 二人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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