ブラック・コール 行動心理捜査官・楯岡絵麻 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

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  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800224934

感想・レビュー・書評

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  • 行動心理学を駆使し、被疑者の嘘を見抜く捜査一課の女性刑事・楯岡絵麻シリーズ第2弾。
    1作目が、ほぼ取調室だけというユニークな作品だったのに対し、行動の場が広がり、一般の警察小説っぽくなってきた。
    それぞれに被疑者がいる短編4話だが、全編を通じて底に流れるのは15年前に絵麻の恩師が殺害された事件であり、彼女が刑事になったのは、犯人を捜し出すため。
    第4話で、その犯人と対峙することになり、彼女の刑事になった目的は達成される。
    シリーズは終わりかと思いきや、絵麻は警察を辞めることなく、このシリーズまだまだ続く模様。

  • 楯岡絵麻シリーズの2作目。前作は取調室から出た描写が無かった絵麻が出ていく。
    最初は元高校美術部教師、意外な展開があるので面白い。絵麻のことばに「お金とか肩書きの問題じゃない。人柄が良くないと、一緒にいても疲れちゃうわよ」とある。その通りである。では人柄が良いとはどんな状態だろう。言葉遣い、気遣い(相手への思いやり)、傾聴する態度、思い込みで判断しないなど、枚挙にいとまが無い。

    プログラマーの取調べにおいては、取調べの可視化を求める弁護士が絡む。ここでも楯岡絵麻のことばが印象深い。「弱者を装う強者の権利主張ほど、たちの悪いものはない」、なるほどと納得できる面がある。「人格障害的な資質は、カリスマ性とイコールでもある」というのもそうかもしれないと同時に怖いと思うのである。

    アブナイ十代は題名の通り。代謝が落ちている時は時間が短く感じるらしい。反対のような気もするが。

    15年前の事件に迫るのが最終章で、ドキドキハラハラする。単純接触効果は知っていたが、心理学へ誘われる。最後は意外な結末だった。そして敗北の意味もわかる。前作より面白かった。

  • 人並外れた観察力と、行動心理学の裏付けによるノンバーバル理論により、被疑者を100%自白に追い込む。
    〈エンマ様〉こと楯岡絵麻の、シリーズ第2作。

    今回は、被疑者の癖を見抜くのにかける時間が短めで、早めに攻撃に切り替える感じ。
    相棒である西野との掛け合いもコミカルで、テンポよく、楽しかった。

    本作では、絵麻が警察官になるきっかけとなった事件と向き合うことに。
    わりと早い段階で一区切りつけた上で、シリーズが続いているのだな、と。

  • 行動心理学を駆使して犯罪者を追い詰めるエンマ様こと楯岡絵麻。今回は、荒れていた自分を救ってくれた恩師を殺したサイコキラーに迫る。被疑者との最初のやり取りの中でサンプリングを組み立て、それを基に被疑者の発言のホント・ウソを見分けていく。ちょっとした違和感があれば、それをもヒントにして真実にたどり着く。凄い技だ。実際にこんな技能は現場で使われているのだろうか。ないだろうな。それにしては、エンマ様は無敵である。スカッとするところでもあり、物足りないところでもあるかな。

  • 一気に読んでしまいました。15年前の事件を少しずつ出していくと思っていたので、直接対決にはビックリしました。

    ドラマ版から入ったので、筒井さんと綿貫さんのコンビも大好きです。本でも出番がたくさんあるといいなぁと思ってます。

  • シリーズ第2弾。
    今作では4編を収録。前作では取調室での様子が9割を占めていたが、今作は現場での聞き込みの様子も描かれ、ちょっと普通の警察小説になってしまったのが、残念。
    それでも、短編と言う形で描かれながらも、背後には15年前の絵麻の恩師が殺害された未解決事件を継続して描いていくのかと思っていたのが、2作目で犯人と対決することになり、少し意外な展開。
    この作者さんはライトな作品を描くイメージだったので、結構グロい犯罪を取り扱っていたことも意外だった。
    15年の時をかけて、犯人に辿り着いた絵麻。多分ここで第1部の区切りなのだろう。次作から、また新たな展開を期待!

  • サイレント・ヴォイスの続編として読了。
    短編数編を経て主なる話は絵麻が長年追い続けた殺人犯との解決編。
    温和と冷酷な兄。短絡的で残虐性な弟。終盤の殺人者の残虐性は文字でも身震いがするほどエグイ表現の数々。
    「エンマ様の敗北」。正義とは何かを考えさせられる、そんな今回の物語でした。

  • ちょっと無理では、という冷静なツッコミは脇に置いておいて読んだ方が楽しい。主人公の能力は、気持ちとしては超能力ぐらいに思っておくとよい気がする。

  • 評価は4.

    内容(BOOKデーターベース)
    行動心理学を用いて相手のしぐさから嘘を見破る、警視庁捜査一課の美人刑事・楯岡絵麻。その手腕から“エンマ曜”と呼ばれる。元教え子を8年間監禁した容疑をかけられる美術教師の真相とは。他人のパソコンを遠隔操作して殺人予告を書き込んだ容疑がかかるプログラマーと、彼についた人権派弁護士との対立。そして15年前に絵麻の恩師を殺害した犯人との直接対決など、難事件に挑む!全4話収録。

    なかなか面白くあっという間に読了。
    シリーズものなのに少し順序を間違えたが、1巻さえ読んでおけば後はあまり影響は無い。
    段々頼もしくなる相棒西野が良い味出してきてる。

  • 久しぶりに一目惚れした作家さんの、2作目を早速に購入(笑)。連作短編集。どうやら既巻で4冊出ているらしい。

    しかし、今作の最終編「エンマ様の敗北」で早くもヒロインの事情に肉薄してしまうご様子…。
    人気出たがために大筋の謎が解消してしまっても惰性で続けられるシリーズ……であっては欲しくないのだけど。



    【イヤよイヤよも隙のうち】
    ……前作を含め6編も読み進めてきて今さら気づいたのだけど・・・このヒロイン、ドSだわ(笑)。だからこそ、マッチョだけれどもM男気質な西野くんとの軽妙な掛け合いがユーモラスで面白いのだと、今ごろね。

    ……と、冗談はさておき、読者へのヒロインの事情の開示に、急展開。この描写だと、敵は警察上層部かい????


    【トロイの落馬】
    ……どこかで見聞きしたような事件(笑)。事件の顛末こそさすがに現実離れした展開だったけれども、エンタメ性は十分。で、ほんのり心温まる決着が、いい感じ。犯人も真犯人も、現実に居てもおかしくない設定だった点が、うすら寒い。。。

    ……ヒロインの事情、また一歩前進。どうやら“ヤツ”自身が警察内にいるわけではなさそうだけどね・・・姓でしか描かれていない人物全ての“名前”が気になり過ぎる(苦笑)。


    【アブない十代】
    ……“同性愛ネタ”は、前作でも使ってたよね・・・(笑)。時計の仕掛けも、ひと昔前の“いわゆる推理小説”やら名探偵モノの少年漫画で何度も目にしてるし。

    でも、もうそんなんはどうでもよし!

    もはや、一編一編の展開よりも“ヒロインの事情”の方に気を削がれ過ぎてるワタシ(苦笑)。

    ……さて、“恵子”の素性も判明し、いよいよ次編で決着か・・・と思うとやや寂しくもあり、でももう、頁を捲る手は止められない!!!



    【エンマ様の敗北】
    ……コミカルな雰囲気が急になりを潜めて、突然凄惨な描写が続々と・・・。

    でっ!

    “ヤツ”は一人じゃなかった?
    え?二重人格?
    え?そんな過去が…
    え?兄ちゃん、、、そっか…… 。
    エンマ様、形成不利・・“敗北”・・?
    わぁっ、そうきたか。

    で、山下さん・・・

    と、終始期待を裏切られ続けたという(苦笑)。で、ここでタイトルの意味を理解。




    “ヒロインの事情”が解決してしまいテンションも落ちてしまいそうだけれど、続編あるなら、まあ、読まねば、ね。


    ★4つ、9ポイント半。
    2016.08.18.新。


    2冊目にしてもう、完全に佐藤青南ファンになってしまった♪

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著者プロフィール

佐藤青南
一九七五年長崎県生まれ。「ある少女にまつわる殺人の告白」で第九回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞し、二〇一一年同作でデビュー。一六年に『白バイガール』で第二回神奈川本大賞を受賞。ドラマ化された「行動心理捜査官・楯岡絵麻」シリーズ、「白バイガール」シリーズ、絶対音感刑事・鳴海桜子が活躍する『連弾』『人格者』『残奏』など、著作多数。近著に『犬を盗む』『ホワイ・ダニット 行動心理捜査官・楯岡絵麻』『ストラングラー 死刑囚の逆転』がある。

「2023年 『残奏』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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