夜よ鼠たちのために (宝島社文庫)

著者 :
  • 宝島社
3.51
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本棚登録 : 662
レビュー : 97
  • Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800231734

作品紹介・あらすじ

脅迫電話に呼び出された医師とその娘婿が、白衣を着せられ、首に針金を巻きつけられた奇妙な姿で遺体となって発見された。なぜこんな姿で殺されたのか、犯人の目的は一体何なのか…?深い情念と、超絶技巧。意外な真相が胸を打つ、サスペンス・ミステリーの傑作9編を収録。『このミステリーがすごい!2014年版』の「復刊希望!幻の名作ベストテン」にて1位に輝いた、幻の名作がついに復刊!

感想・レビュー・書評

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  • いやぁ~、ホンマ生きているうちに読めて良かったぁぁ~(笑)
    聞きしに勝る傑作とはこのこと!
    ( kwosaさんご紹介ありがとうー!)

    信じ込まされていた物語の構図を一気に反転する、
    切れ味鋭いドンデン返しの数々に
    何度ページをめくる手が震えたことか…。
    (しかも反転に次ぐ反転の嵐やし!)


    本書は長らく復刊が待たれていた、
    先の読めない展開と意外な真相が胸を打つ
    9編からなるサスペンス・ミステリーの短編集です。

    恥ずかしながら著者の連城さんに関しては
    直木賞を受賞した『恋文』のイメージから
    純文学を書く作家だと勝手に思い込んでいたけど、
    ミステリーの大御所でもあられたんですね(汗)

    収録されている短編はすべて
    切れ味鮮やかな傑作揃いだけど、
    中でも僕が惹かれたのは、

    わずか二年で退職し郷里に帰った
    元刑事が語る
    一年前の誘拐事件の驚愕の真相とは…
    『過去からの声』、

    夫婦双方から別々に浮気調査の依頼を受けた探偵が巻き込まれた
    殺人事件。
    何度となく反転するストーリーに悶絶しまくった(笑)
    『奇妙な依頼』、

    唯一の心の友であった鼠を無惨に殺された孤独な男の復讐劇を
    壮絶技巧で描いた哀切極まる傑作
    『夜よ鼠たちのために』、

    妻の殺害を企む人気俳優。自分とそっくりの男でアリバイを偽装した完全犯罪の行方は…。
    漫画「ドラえもん」で影がのび太を乗っ取るエピソードを彷彿とさせる驚きの展開に指は震え、
    しばし放心状態にさせられた(汗)
    『代役』、

    可愛がっていた弟分と愛する女の共謀により
    刑務所に入れられた男の悲しき復讐劇を
    ハードボイルドの香り高く描いた
    傑作!
    『ベイ・シティに死す』、

    かな~。


    冒頭でも述べたように
    とにかく次から次へと飛び出す超絶技巧のオンパレードに
    もうひれ伏すしかないんやけど(笑)、

    丹念に丹念に積み重ねていく登場人物たちの心理描写と
    人間の業の深さや哀しみを描いた
    流麗にしてメランコリックな文章は
    ミステリーとしての驚きを越えるほどに、
    読み終わった後に深い余韻をもたらせてくれる。
    ( また限界まで贅肉を削ぎ落とした文体もスゴいし、だからこそ読者を選ばない「読みやすさ」が生まれるのです)。

    しかもすべての短編が
    それぞれ違ったテイストでいて長編並みの密度を持ち、
    尚且つこの完成度を保っているのは
    もうコレは奇跡に等しいでしょ~(笑)

    なお、本書は『このミステリーがすごい!2014年度版』の
    「復刊希望!幻の名作ベストテン」の第1位に選出されています。

    ミステリー好きなら
    絶対に狂喜乱舞する作品だし、
    読みやすくテンポのいい文体なので
    ミステリー初心者や
    意外なドンデン返しのある物語をお探しのアナタにも
    強く強くオススメします。

    • kwosaさん
      円軌道の外さん

      こちらこそありがとうございます。
      自分が読んで「よかったー」「おもしろかったー」って思った本を読んでくれて共感しても...
      円軌道の外さん

      こちらこそありがとうございます。
      自分が読んで「よかったー」「おもしろかったー」って思った本を読んでくれて共感してもらえるのはホントに嬉しいことです。
      読書は一人で完結するものですが、読後にさらにこうやって同好の士と繋がれるのは幸せですね。

      表題作はもちろんのこと、傑作ぞろいの中でも『奇妙な依頼』『ベイ・シティに死す』はよかったですよね。
      僕は『化石の鍵』も好きでしたよ。
      読後に「ああ」と膝を打つタイトルの詩的な表現と、ミステリではどうしても作りものめいてしまう密室の謎が、解明とともに人間的な物語の主題に繋がる感じが痺れてやみません。

      連城ミステリは単にトリックやギミックに終わらず、ドラマと不可分なところがたまらないんですよね。
      最近読んだ『小さな異邦人』も面白かったですよ。
      なかでも『無人駅』『冬薔薇』には震え、幻惑されました。
      2014/11/22
    • 円軌道の外さん

      kwosaさん、またまたありがとうございます!

      確かにそうですよね!
      読書も音楽も本来個人レベルで楽しむものだけど、
      自分が受...

      kwosaさん、またまたありがとうございます!

      確かにそうですよね!
      読書も音楽も本来個人レベルで楽しむものだけど、
      自分が受けた感動や驚きを
      誰かと分かち合う喜びも捨てがたいし、
      そうすることでまた新たな視点で物事を見れるようになりますよね(^^)
      ああ~、そういう考え方もあったんやぁ~って(笑)
      じゃあ今度はそれを頭に置いて
      再読してみようとか(笑) 

      kwosaさんが言うように、
      連城ミステリは単にトリックだけに終わらず
      人間がちゃんと描かれてるところに僕も惹かれました。
      道尾秀介氏が『本格ミステリーは人間を書くのに最も有効な手段だ』って昔何かのインタビュー出言ってたけど、
      まさにそれ(笑)

      読み終わったあとに
      『いやぁ~、スゴいトリックだった!』と思うと同時に、
      『そして、いい物語だった!』って思わせてくれる連城さんの作品は、
      まさに名作の条件を満たしてますよね。

      『小さな異邦人』ご紹介ありがとうございます!
      読みたいリストにしかとメモりました!(笑)(^^)
      これも短編集なんかな?


      2015/04/14
  • 傑作短編集。
    ミステリとしての構成も素晴らしいが、
    心理描写、動機も面白く没入できる。
    古さは否めないが、それも味がある。

  • 表題作がベスト。抜群にいい。他はそれなり。

  • キレのある短編ばかりで面白い。全てに共通するのは情けない男。ただ物凄く共感できてしまう。描写が良いのか主人公になりきったかのような錯覚に陥るほど。
    またオチも見事。一捻り加わっていて騙される楽しさを感じられる。

  • 私が読んだミステリーの短編では一番よかった。すごく完成度が高い!

  • 某所で見かけた

    「連城三紀彦は推理小説好きには避けて通れない道」

    との評にいても立ってもいられなくなり手に取った。読み終わり、それは紛れもない真実であったことを知る。暗く澱んだ心の奥底を描き出す筆致と、意表をつくトリックのアイデア。読む者全てを酔わさずにおれない、味わい深い銘酒のごとき作品集だった。

  • 綾辻先生がおすすめしていたので気になってた一冊をやっと読みました。
    短編でいて、どの話も最後に意外な結末が用意されている、完成度の高いミステリだった。至福。男と女の痴情の縺れ、情念どろどろの話ばかりで一気に読むと濃厚すぎて疲れてしまいそうだったので、1話ずつじっくり読みました。
    お気に入りは「夜よ鼠たちのために」「二重生活」「代役」ぐるっと物語が反転するの、たまらない。最後の「ひらかれた闇」だけはちょっと他の作品に比べたら劣るけど、いきってる昭和のヤンキーたちに時代を感じて面白かった。これのオチは、今となってはもはや使い古されたネタだけど、当時は驚愕の真相だったんだろうなぁ。

  • 80年代初頭に発表された作品の短編集。昭和ノスタルジィ漂うミステリーを楽しめました。どの作品も凝った事件背景、動機があって読み応えのあるものばかりでした。「二重生活」「夜よ鼠たちのために」が特に好きな構図でした。主人公たちがみな影のある人物でどろりとした気持ちを抱いて暮らした結果、事件が起こる。短編なのに重厚なストーリーで贅沢。

  • 全体的に暗く、毒のある話ばかりだが、
    読み終えた後余韻の残る
    味のある物語ばかりだった。

    それだけでも十分読み応えがあるが、
    さらに全ての話がどんでん返しの仕掛けも
    併せ持っていて、
    非常に贅沢な短編集だった。

  • いずれの作品も、最後まで読むと勘違いや誤認に気づき、意表を突く反転構造を持っていることがわかる高水準の短編集。
    個人的には、「過去からの声」が一押し。

    「二つの顔」
    絵の中の理想の女に取り憑かれた画家の信じやすい性格を利用した犯罪。
    冒頭の不思議な謎から物語に引き込まれる。
    警察の○○のチェックがこんなにも杜撰だとは思えないけど。

    「過去からの声」
    誘拐事件のからくりに関する作者の斬新な発想に驚愕。

    「化石の鍵」
    新しく取り換えられた鍵を巡る謎。

    「奇妙な依頼」
    浮気調査を依頼された興信所の社員が、依頼者とその対象者との間で買収され、何度も寝返る話だが、最後に明らかとなる依頼理由の逆転には意表を突かれた。

    「夜よ鼠たちのために」
    医療過誤で妻を失った男が、医師たちに復讐する話。
    最後まで読むと、あることに勘違いしていたことがわかる。
    石津家のお手伝いさんが耳にした電話の会話内容が意味深長。
    伊原が会議室に移動してからの最初の会話に矛盾があるのでは?

    「二重生活」
    男女2人ずつの入り組んだ恋愛模様。
    最後の方になると、ある事柄を誤認していたことがわかる。
    動機も対象も逆転する。

    「代役」
    パイプカットをした男性が、子供をつくるために自分と瓜二つの男性を妻にあてがうという奇妙な話。主人公が妻を殺そうとして現場に向かう場面になると、話があらぬ方向に変調し、いったいどうなっているのかと戸惑った。鏡を見ているような反転構造の真相。

    「ベイ・シティに死す」
    元恋人と弟分に裏切られ、無実の殺人の罪を帰せられたヤクザが復讐する話。
    元恋人から、意外な真実を明かされる。

    「ひらかれた闇」
    麻沙先生の推理には、相当な飛躍を感じるが、犯人の犯行理由には作者らしい倒錯した論理が隠されていた。

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プロフィール

1948年愛知県生まれ。1978年『変調二人羽織』で第3回〈幻影城〉新人賞に入選。1981年「戻り川心中」で第34回日本推理作家協会賞、1984年『宵待草夜情』で第5回吉川英治文学新人賞、同年『恋文』で第91回直木賞、1996年『隠れ菊』で第9回柴田錬三郎賞を受賞。2013年10月19日に逝去。著書多数。日本の多くのミステリー作家に多大な影響を与え、他界後も多くの作品が再刊されている。2014年日本ミステリー文学大賞特別賞を受賞。

「2017年 『女王(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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