【テレビドラマ化】このミステリーがすごい! 四つの謎

  • 宝島社
3.23
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感想 : 35
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  • Amazon.co.jp ・本 (310ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800235299

作品紹介・あらすじ

寝台特急での密室殺人、ピアニストの死の謎、元特撮ヒーローの受難、猛吹雪からの脱出-最強の『このミス』大賞作家、書き下ろし4編!!

感想・レビュー・書評

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  • 短編集。読みやすかった。
    海堂尊と中山七里は読んだことのある作家だけど、安生正と乾緑郎は初めて。

    中山七里「残されたセンリツ」
    さくっとした展開。「自殺に見せかけて殺させる」というどんでん返しつき。

    乾緑郎「黒いパンテル」
    まさかのファンタジーでびっくり。

    安生正「ダイヤモンドダスト」
    4つのなかで一番気に入った。謎解き感はないが。
    他の本も読んでみなくなった。
    舞台が新宿駅とその周辺で、普段からよく利用している場所なので、イメージも膨らみやすく、楽しめた。

    海堂尊「カシオペアのエンドロール」
    オリエント急行の殺人を思わせる設定。楽しい。
    が、図書館で借りた初版本だから?号車番号が度々間違ってたり、みんなの前に居たはずなのにそうじゃなくなってたりと、何だか変な感じがあって、物語に没頭できなかった。

  • ドラマ化された本です。
    ドラマ化するために書かれたのかどうかは分かりませんが、もしかして作家さんたちは、無理やりねじ込んだスケジュールの中で急いで書き上げられたのかな?と思ったくらい、どれもあまり良いとは思えませんでした。

    中には私が思うミステリーとは違った感じのものもあり。
    単に私の好みではなかっただけなのかも。
    書き下ろしとのことですので、こういう形ではなく、ちゃんと一冊として仕上げられた作品も読んでみたいと思います。

  • これは原作者がかわいそう

    <span style="font-size: 2em;"></span> 2014年12月29日、コミケのために上京し、ホテルでドラマを観ました。『このミステリーがすごい!ベストセラー作家からの挑戦状』。同題のアンソロジーに収録されたミステリ作家四人の短編をドラマ化したものです。
     そのうちの一編「黒いパンテル」が、特撮ヒーロー番組を題材にしていると聞いていたので、特に興味がありました。
     観てみて驚きました。この話、僕が書いた『妖魔夜行』「さようなら、地獄博士」(1994)にそっくりなのです。



    :book:950407:妖魔夜行真紅の闇 シェアード・ワールド・ノベルズ:


     この時点では原作を読んでいなかったので、東京から帰ってすぐ、AMAZONで単行本『このミステリーがすごい! 四つの謎』(宝島社)を取り寄せて読んでみました。

    ●山本弘「さようなら、地獄博士」
    >  主人公・克己は平凡なサラリーマン。まだ9歳だった22年前(1972年)、毎週、特撮ヒーロー番組『銀河鳥人マグナマン』を観ていて、悪役の怪人・地獄博士に恐怖していた。
    >  ある夜、克己は新宿の焼鳥屋で、地獄博士役の俳優・朝津三郎と知り合う。それをきっかけに、彼の周囲では『マグナマン』のストーリーを模したような事件が続発する。幼い娘が人形に変えられ、妻も行方不明になる。地獄博士は克己に電話をかけてくる。克己は二人を取り戻すため、単身、『マグナマン』の撮影に使われた“お化けマンション”に乗りこんでゆく……。

    ●乾緑郎「黒いパンテル」
    >  主人公・須藤は、今でこそ建設会社で働いているが、30年前(1983年)は俳優で、特撮番組『ブラック・パンテル』の主役をやっていた。しかし撮影中の事故で、悪役・ドラクル伯爵を演じていた先輩俳優の二ノ宮が死亡し、番組は打ち切りになった。
    >  そんな彼の周囲に、死んだはずの二ノ宮が出没し、『ブラック・パンテル』のストーリーと同じように小惑星が地球に接近してくる。さらには娘が行方不明になり、ドラクル伯爵からメールでブラック・パンテル宛ての挑戦状が届く。須藤は娘を取り戻すため、ブラック・パンテルのコスチュームに身を包み、撮影に使われた廃工場に向かう……。

     主人公が特撮番組の視聴者か俳優か、よみがえった悪役の正体が妖怪か幽霊かという違いはありますが、後半の展開はかなり似ています。人生に疲れていた主人公が、かつてのヒーロー番組の悪役との対決を通して、家族への愛を再確認し、自分の生きてきた人生が間違いではなかったことを悟る……というのも共通しています。
     しかし、僕はこれを盗作とは思えません。単に僕と同じアイデアを思いつき、小説に書いてしまっただけなんだろうと思います。

     えっ? どっちが面白いかって?

    <span style="font-size: 2em;"> <span style="font-size: 2em;">そんなの「さようなら、地獄博士」の方に決まってるじゃないですか!</span></span>(笑)

     致命的だと思うのは、「黒いパンテル」には(原作もドラマも)、昔の特撮番組に対する思い入れがまったく感じられないこと。
     たとえばヒーローのブラック・パンテルのマスクが、レスラーのような布製の覆面で、後頭部で紐で結ぶようになっていると説明されているんです(ドラマでも再現されています)。いや、1983年って、『宇宙刑事シャリバン』と『科学戦隊ダイナマン』の時代ですよ? 布製のマスクのヒーローなんていないでしょ。
     もっとも、敵役の俳優が急死したというのは、もしかして、『快傑ライオン丸』(1972年)のライバル・虎錠之介役の俳優が放映期間中に事故で急死した事件がヒントなのかな、という気もします。ライオンと黒豹、同じ猫科動物をモチーフにしたヒーローというのは似ています。
     だとしてもマスクが布製である必然性はないと思うんですけどね。『バトルフィーバーJ』(1979)のバトルケニアだってマスクは黒豹っぽかったけど、布製じゃありませんでしたし。

     また、「さようなら、地獄博士」の主人公は、何の力もない一般人です。それが知恵と勇気を振り絞って、子供の頃に自分を脅えさせた悪役に立ち向かい、倒すんです。
     ところが「黒いパンテル」の主人公は、ブラック・パンテルのコスチュームを着て、不思議な力で本当に超人になって大活躍するのです。
     いや、「夢破れて冴えない人生を送っていた主人公が、生きる勇気を取り戻す」というのがテーマである以上、本当にスーパーパワーを持っちゃったらいけないんじゃないですか? それでは現実逃避であって、主人公が自分の力で勝ったことにならないのでは? 
     あと、小惑星が地球に衝突しようとしているという設定も、ストーリー上、まったく意味がありません。主人公が悪役に立ち向かう動機は、「家族を救うため」で必要十分のはずです。平凡なサラリーマンの行動に、「人類を救うため」という大きな動機は必要ないし、むしろ妻や娘への愛をぼやけさせてしまうのではないですか?
     この小惑星、ドラクル伯爵が消えると勝手に軌道が変わって飛び去ったらしく、どうも本当に二ノ宮が操っていたようです。地球を滅ぼす小惑星なら、質量は何億トンもあったはず。<span style="font-size: 2em;">たかが幽霊が小惑星を操っちゃだめだ</span>と思うんですけど。
     あと原作でも小惑星が「赤い天体」と書かれてるんですど、ドラマではさらに、<span style="font-size: 2em;">宇宙空間の小惑星がめらめら燃えてまして</span>(笑)。テレビドラマのスタッフの科学知識っていまだにこの程度なのかと、苦笑するしかありませんでした。

    「黒いパンテル」が「さようなら、地獄博士」に似ていること自体は、何も問題じゃありません。残念なのは、「さようなら、地獄博士」を超えてないってことなんです。

     ついでなので、『このミステリーがすごい!』収録の他の作品についても、原作とドラマの比較をしてみます。

    ●中山七里「残されたセンリツ」

    >  有名女性ピアニストが、演奏の直後、楽屋で毒入りのコーヒーを飲んで死ぬ。他殺なのか自殺なのか。他殺だとしたら犯人は誰なのか。

     ドラマ版では、刑事が最後に関係者全員を集め、謎解きをやってみせます。昔からミステリではよくある場面だけど、この話ではわざわざ関係者を集める必要ないんじゃないか?……と思ったら、原作読んで驚きました。
     原作では刑事は関係者を集めたりせず、真犯人のところに直接、会いに行くんです。そりゃ、普通そうだよなあ。何でこんな意味のない改変したんだろ?

    ●安生正「ダイヤモンドダスト」

    >  東京が記録破りの寒波に見舞われ、新宿駅に避難していた人々に凍死の危機が迫る。

     これはミステリではなく、ディザスターもの。
     いやー、これはテレビドラマ、それも30分枠の予算で作るのは無理ありますわ。原作に比べると、エキストラの数も少なく、かなりしょぼい印象。原作ではブリザードが襲ってくるシーンが大迫力なのですが、それがまったく再現されていません。
     しかもドラマのラストでは、原作にないミステリ的などんでん返しがあります。これもどうなんでしょうね。主人公の心情が原作とまったく違うものになっちゃってるですけど。それにこの殺人トリックは、偶然に頼りすぎてて無理があると思います。

    ●海堂尊「カシオペアのエンドロール」

    >  北海道から東京に向かう寝台特急カシオペアのスイートルームで、人気映画シリーズ『貴婦人探偵』の監督が死体で発見される。容疑者は車内にいた映画の関係者たち。偶然この列車に乗り合わせた加納警視正と玉村警部補のコンビが事件を捜査する。

     さあ、これが一番の問題だ!
     僕はドラマ版を先に観て、「海堂尊ってこんなひどいミステリ書くのか!?」と思ってしまったのです。原作読んでみたら、すごくちゃんとしたミステリでした。海堂さん、失礼な誤解をしてしまって申し訳ありません。
     このドラマ、原作をずたずたにしてる!
     原作では、被害者の遺体が一度消えて、また出現します。そのトリックの謎解きがメインなのに、ドラマではその部分をばっさりカット! 単に被害者は刺されて殺されてただけでした。
     そりゃあ尺の関係でプロットを省略しなきゃいけないのは分かるけど、ミステリなのにかんじんのトリックの部分を削ってどうすんですか?
     さらに加納警視正が真犯人を指摘する根拠も、原作とはまったく違いました。「東京出身のはずなのに北海道の方言を知っていたから」というしょーもないものに変えられていたんです。
     今どきのミステリでそんなダサいのない! つーか、東京の人間が方言を知ってることだってあるでしょ。
     原作を変えるにしても、もうちょっと考えなさい、脚本家。無能すぎです。
     で、やっぱり原作を読んでいちばんあきれたのが、ドラマ化の際に削られた、事件の背景に関わる重要なエピソード。

    > 『貴婦人探偵』シリーズの前作では、原案者が考えたプロットは、ミステリとしてちゃんとしたものだった。ところが無能な女性脚本家がそれを改変してしまったため、論理的に成立しない話になってしまい、ミステリ・ファンから激しい非難を浴びた。

     あのー……。
     <span style="font-size: 2em;">これ予言ですか?</span>(笑)。
     これって、このドラマ版「カシオペアのエンドロール」そのものでしょ?
     原作者が意図したわけでもないのに、メタな話になってしまってるんです。

     全体を通して言えるのは、この番組は<span style="font-size: 2em;">「企画自体が間違ってる」</span>ということ。「ダイヤモンドダスト」 にせよ「カシオペアのエンドロール」にせよ、2時間枠で4本、1本あたり30分ではとうていドラマ化不可能な内容なんです。
     これは番組を企画したプロデューサーからして無能だったということでしょう。原作者の方には同情するしかありません。

  • 全て短編ですぐ解決するので気軽に読める。続きが気になって夜更かしして読まないといけないという悩みがない。

    単純なミステリーだけではなく、他殺に似せようとしたけど自殺要素が入っていそうだったり、超自然的な展開だったり、殺人は起きていないけど殺意は感じられそうだったり、深く考えるとシンプルな善悪で判断できないような話な気がする。

    列車の事件、弱さゆえに他人を傷つけ振り回してしまっているだろ、というところが染みる。

  • すべて既読って?

    文庫で読んだのかな?

  • 中山七里 ピアニストの死の「意味するもの」
    乾緑郎 ヒーロー俳優だった男のミステリアスな奇跡と振り回されるユーモア。
    安生正 猛吹雪で首都凍結。生き延びるために発揮される平常時と違うリーダーシップ。
    海堂尊 閉鎖空間の列車で起きる殺人事件。終点までに解決できるか。2重3重に用意された「転回」。玉村警部補シリーズ
    どれも読みごたえあったが、さすが海堂作品が結論を予測させない展開だった。

  • これくらいの長さだとストレス溜めずに気軽に読めるなー

  • 4人の作家による短編集。

    中山七里さんは岐阜県出身ということで、多治見市や瑞浪市の地名が登場して嬉しかった。以前約10ヶ月間住んだことがあったので。『さよならドビュッシー』も読んでみたい。

    乾緑郎さんの短編は、謎がはっきり解けるわけではなかったが、会話のやり取りがおもしろかった。

    安生正さんの短編では、大雪の東京が描かれていた。緊急事態の際に、2人の会社員の生死をわけたのは何か、について考えさせられた。パニックになって動き回ってはいけない。肝に命じたい。

    海堂尊さんの短編は、この中では1番ミステリー色が強く感じられた。犯人は誰だろう?と読み進めるうちに犯人がわかるのだが、黒幕的存在が最後に判明。

  • こういう色々な作家さんの寄せ集めのような作品は次に読みたい人を探すのにピッタリ。

  • オチが好きでそこに至るまでの過程がめんどくさいと思ったりしてあまりミステリーの長編は読まなかったりするけど、短編集なので一気に読めた。
     読者の中には酷評もあるけど、面白かったな。ミステリーの醍醐味を味わった感じ。海堂尊さんはすごいな。読みごたえがあった。

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著者プロフィール

1958年、京都市出身。京都大学大学院工学研究科卒。第11回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、『生存者ゼロ』にてデビュー。同作から続く〈ゼロ〉シリーズは、累計130万部を超えるベストセラーに。現在、建設会社勤務の傍ら、執筆活動を続けている。著書に『レッドリスト 絶滅進化論』(幻冬舎文庫)、『ホワイトバグ 生存不能』(宝島社)、『不屈の達磨』(角川春樹事務所)などがある。

「2022年 『首都決壊 内閣府災害担当・文月祐美』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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