- Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
- / ISBN・EAN: 9784800240460
作品紹介・あらすじ
「バチスタ」シリーズでおなじみ加納警視正&玉村警部補が活躍する珠玉のミステリー短編集、ついに文庫化!出張で桜宮市から東京にやってきた田口医師。厚生労働省の技官・白鳥と呑んだ帰り道、二人は身元不明の死体を発見し、白鳥が謎の行動に出る。検視体制の盲点をついた「東京都二十三区内外殺人事件」、DNA鑑定を逆手にとった犯罪「四兆七千億分の一の憂鬱」など四編を収録。
感想・レビュー・書評
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本作品は、バチスタシリーズのスピンオフで、短編集となっています。
この本は海堂さんの他作品に比べると、展開が早くちょっとイマイチな気がしてしまいました。
私は短編集だと、イマイチに感じる傾向があるのでそのせいかも知れません。
しかし、海堂さんの作品はキャラがほぼ漫画のようで面白く、これを読んだおかげで、随分前に読んだバチスタシリーズをまた読みたいと思わせてくれました。
海堂作品を読んでない方は、まず派生元のバチスタシリーズを読む事をお勧めします。
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後編の「巡礼」から見たので、慌てて本作を購入。過去にあった事件も書かれていて、内容的には殆ど新しい内容の後編の方が良かったかも知れない。本作は他の方が書かれているように玉村警部の影が薄く、タイトルに違和感が、、?
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一時期、この人の本を中毒のように読み漁った人は多いのじゃないだろうか。自分がそうであった。海堂エンターテイメントは、一冊読むと辞められなくなる。海堂ワールドは広がり、深みを増し、得体の知れないものとなり、やがてそのターゲットが見えてくる。
海堂尊。医師と作家の二足の草鞋を履く男。このミステリーがすごい!大賞(完全なる新人対象)受賞作家。
機関銃のように連作長編小説を撃ちまくり、合間にスピンオフ・シリーズを二つ三つ立ち上げて、それらのどれもがドラマ化されたり、映画化されたりする。役者の顔を俳優たちに当てはめた途端、役者が交代してしまい、イメージ造形が混乱した。だから本を読むときは役者たちの顔を記憶から削除して、また顔のない登場人物に戻したりして読んだものだ。
特に桜宮サーガ中最も重要な人物である厚労省の白鳥役は、小説と映画ではイメージが違い過ぎ、脳内混乱の収拾に戸惑った苦い経験もあり。小説読みは小説だけ読み、映画好きは小説なんて読まない、だから原作と映画がまるで異なる外見であっても構やしない。そんなディレクターのもとに作られた、いい加減な戦略としか思えない。あくまでぼくにとっては小説の方が正しい。何せ、海堂尊が創り出したのはこちらのキャラクターなのだから。
いっとき、凄まじいまでの人気の嵐を巻き起こしたこの海堂旋風もどうやら一息ついた。今は海堂尊はチェ・ゲバラを軸にしたキューバの歴史もの三部作(?)を書いているみたいだが、ぼくの方は何事も遅れがちなので、今になって桜宮サーガの読み残しを整理する。
その読み残しの一冊。本書は別冊宝島『このミステリーがすごい』に四度に分けて掲載された加納・玉村の警察コンビの短編を纏めた一冊。毎年投票参加しているので『このミス』なら毎度手元に贈られ書棚に並んでいる。もしかしたらその都度読んでいたものなのかもしれないが、記憶にないのでまあいい。
警察側が主役とは言え、四つの短編すべてが立派な医療ミステリーであり、海堂尊という作家の軸にある医師の部分のレジュメとも言える医療改革の主張集でもある。とりわけ死因の判断がこの国では不透明過ぎるという従来の慣習に杭を打ち込むのだが、過去にTVインタビューを拝見した時、その主張を多くのメディアに伝えるために作家を目指したという。
Ai(オートプシー・イメージング)。解剖率が2%という世界水準最低の日本。解剖が駄目なら遺体をCTスキャンすることで死因判明がより明確になるのに、なぜ導入できないのか、という問いかけ。
DDP(DNA鑑定データベース・プロジェクト)。事件現場の遺留物のDNA鑑定結果をデータベースで検索し個人を特定する操作方法。厚労省のサイレント・マッドドッグこと斑鳩広報官が創設をアピールしている。
以上二つの問題の有無により事件現場の捜査がどれほど効率化されるかを問うような具体例としてのモチーフが、どの作品にも投影されている。
さらにある作品では、デジタル・ハウンドドッグこと加納警視正の得意技であるDMA(デジタル・ムービー・アアルシス)=事件現場をビデオ撮影しデータ化して解析する捜査方法や、軍事衛星が常に解析しているグーグルアースデータにより、人工衛星から、事件現場と時間を特定した映像を入手できるはず、との意見も作中でもたらされる。
またある作品では、歯型の画像が使用されず診断書での状態報告だけで歯型を特定してしまう鑑識現場での死者の同定作業を欺くような犯罪例が描かれている。日本の警察捜査が、CSIのような科学捜査には未だ未だ遠い後進国であることを小説は強く訴えかけている。冤罪大国であった歴史含め、なかなか改善されず、動脈硬化状態に陥った日本を少しでも切り裂こうと、日々作品に意志を込めて来た作者の姿勢と才能に敬服する。 -
変わり者だけど有能な加納警視正と、彼に振り回される玉浦警部補の組み合わせが、コミカルでたのしかった。
オーソドックスな推理小説の短編集になっていて、読みやすかった。
長編だと、もっとクセのあるストーリー、というイメージ。
司法解剖の実施率の低さと、その問題を打ち破る新技術の数々も、興味深かった。
バチスタシリーズ番外編の短編集。 -
バチスタシリーズに登場する加納・玉村コンビが主役のスピンオフ作品。『東京二十三区〜』は海堂さんならではのアイデアだと思う。『エナメルの証言』はヤクザの組幹部が相次いで焼身自殺したら、いくら完璧に偽装しても不審に思われて捜査されると思うのだが。加納はデジタル・ハウンドドッグと大層な通り名を持っているが、本書ではなんとかアナリシスではなくGoogle Earthを使って犯人を追い詰めていたのがちょっと笑えた。災難と言いながらも加納に振り回されることで、タマちゃんには良い結果になっていると思う。
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ミステリ
かかった時間 こまぎれなのでわからない
大半はおそらく9月くらいに読み終えていて、最後のパートだけ残っていた。
かつて夢中で読んだチームバチスタ三部作をなんとなく思い出しながらこのスピンオフを読み進めたが、残念ながら、田口が白鳥に迷惑をかけられる人だった、くらいの記憶しかなかった。
それはさておき、全体的に読みやすかったし、具体に落とすとアレだが、オチはなんとなく「真面目に生きてたらいいことある」というメッセージだったので、読後感もよかった。 -
チームバチスタシリーズの玉村警部補を中心に書いたお話です。読みやすくいのでサラッといけます。
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玉村警部補と加納警視正のコンビが絶妙。
そして田口医師と玉村警部補、似た者同士の
幕間の傷の舐め合いが笑笑
どれも鑑定の結果が必ずしも正しいとは限らない、
そこから事実が明らかになるというもの。
こんなふうに気付けるのかは疑問だけど、
読み物としては面白かった。