サッド・フィッシュ 行動心理捜査官・楯岡絵麻 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
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感想 : 79
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  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800254559

作品紹介・あらすじ

行動心理学を用いて相手のしぐさから嘘を見破る刑事・楯岡絵麻。その手腕から"エンマ様"と呼ばれていた。人気歌手の死は本当に自殺なのか。老婦が殺された原因はご近所トラブルによるものなのか。SNSを巡る事件の裏には何が隠れているのか。捜査に勤しむ絵麻のもとに、かつて恋人だった公安の男が姿を現す。彼に頼まれ、絵麻は国際テロ組織にスパイとして潜入していた女の行方を追う。

感想・レビュー・書評

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  • 自供率100%の〈えんま様〉こと、刑事・楯岡絵麻の連作短編集。

    シリーズ第4作だったが、未読でも問題なかった。

    キャラがはっきりしていて、ぽんぽんとテンポがよく、コミカルなタッチ。

    行動心理学と人並み外れた洞察力で、相手の嘘を見抜いていく。
    最初に見えた構図がひっくり返るのは、おもしろかった。

    刑事でありながら、西岡がクレーマー行為を繰り返すのは、ひっかかる。

  • 相手のしぐさや表情から心の中を読み取ってしまう行動心理捜査官楯岡絵麻シリーズ。4つの事件を扱っているが、どれもエンマ様こと楯岡絵麻が関係者の嘘を見破っていなければ事件は解決されないか、冤罪で終わってしまうのだ。現実にはこんな凄い捜査官っているだろうか。そもそも行動心理捜査官っているんだろうか。最後の話では、絵麻の昔の男が出て来るが、こいつが公安なのにサイコパスなのだ。いや、サイコパスであるほうが、優秀な公安官になれるのかもね。題名の「サッドフィッシュ」とはSADFISHで、悲しみ、怒り、嫌悪、恐怖、興味、驚き、幸福の英語の頭文字をつなげたものだ。人間が生まれながらにしてもつ基本的な7つの感情で、これをエンマ様がしぐさや表情から読み取ってしまうのだ。桑原桑原。

  • 今回の題名は期待に応えてくれるだろうか?どうなんだろう。表情行動の中に人間が生得的に有するとされる、悲しみ(sadness)、怒り(anger)、嫌悪(disgust)、恐怖(fear)、興味(interest)、驚き(surprise)、幸福(happiness)、これらの頭文字を取ってSADFISH。これもノンバーバルコミュニケーション分野で出てくる。

    いつものように4つの短編だが、関連する。特に2話で布石が打たれ、前作に続き楯岡絵麻がピンチに陥る。そして、筒井と綿貫ペアの言葉とは裏腹な行動が好感が持てる。この2人がワンパターン化を緩和してくれていると感じた。
    今回も題名は、言葉遊びのレベルだと少し残念な気持ちになった。

  • 久しぶりの楯岡絵麻シリーズ。
    短編数編の後メインは、あの八木小春シリーズでも活躍するC-Mas塚本が追う国際テロリスト事件の全貌。
    ここでの塚本は人を駒のように扱う冷酷な面が主立ってるけど、八木小春シリーズを見た後だとなぜか憎めない(笑)。
    終盤のピンチの展開は引き込まれました。
    前作から西野に加え、筒井と綿貫との信頼関係も強くなったかな。
    個人的には第一話の「目の上のあいつ」が結構好き。

    • hs19501112さん
      “あいつ”って、別シリーズからのキャラだったんですか。始めて知った。
      “あいつ”って、別シリーズからのキャラだったんですか。始めて知った。
      2020/08/25
  • 身近な事件から国際テロ組織のスパイまで振り幅の大きい1冊でした。
    完を重ねるごとに筒井&綿貫コンビとエンマ様&西野コンビの連帯感が増していきます。

  • シリーズ第4弾。
    ほぼ取り調べのシーンだけで描く今作はシリーズが進むごとに、「今回はどんな手法で来るのだろう?」とページをめくるワクワク感がある。
    今作の第1話目は取調室ではなく、珍しく関係者に話を聞きに行くと言うスタイルで描かれ、普通の警察小説っぽくなってしまったのかと思いきや、伏線として、絵麻が元恋人の公安刑事と接触するシーンも描かれる。
    その後はお決まり通り、取調室の様子が描かれるが、事件解決後の西野との居酒屋シーンが全くない。
    取り調べも何となく上の空の絵麻を何だかんだと心配する西野、井筒、綿貫。
    そして、最終話で絵麻は元恋人のため、潜入捜査に協力する…
    前半はいつも通り、後半で変化球を投げてくる手法に今回も見事にハマってしまった。
    やはりライトな作品を書くイメージが強いので、潜入捜査のシーンの緊迫感やサイコパスの描き方はちょっと弱いものも、「今回はこう来たか…」と思わせられるので、それはそれで、やっぱりこのシリーズは面白い。

  • シリーズ第4作。
    やっぱ好きだな、この設定、この世界観、このキャラクター達。“ヒロインの事件”が2作目にして早々に解決し、以降はキャラ物色(コメディ色)
    が急上昇してしまった点に少々の不満はあるけれど、それはそれで別ものとして楽しめる。

    【目の上のあいつ】
    “いわゆる推理小説”な色合いが強く、強烈な突っこみドコロもあり、多少興醒め(苦笑)。

    ※仮にも本庁の刑事が、“誰の指紋も残っていない注射器”の怪しさに、ヒロインから指摘されるまで気づけないって???

    ※ソファごと遺体を運ぶ?たったひとりで?

    とはいえ、上述の通りこの世界観丸ごと好きになっているため、十分楽しめた一編。

    ※意識されての設定かどうかは不明だが、ヒロインが核心に迫る前からなんとなしに“佐村河内守”の騒動が思い浮かんできていた。よって、被害者のマネージャーも自然と新垣教授のイメージ。
    読み進めると、、、あら、当たってた♪

    【ご近所さんにご用心】
    仕掛けはともかく“背景”は、わりとすぐに予想がついてしまった(苦笑)。しかもそんな奴、現実にもいそうで嫌だ・・・。
    新たに“ヒロインの物語”が始動した模様。
    デキる女とデキる男がくっついたのではツマらない、きっとそこから2ひねりくらい捻っての面白い展開が待っていると信じる(笑)。

    【敵の敵も敵】
    よくある事件(よくあって欲しくは無いけど)をテーマにした一編。最近たまに見かけるこうした事件も、こんな些細なきっかけから始まったケースがあるのだろうな。
    真犯人の犯行計画にはリアリティが感じられないものの、エンタメとしては十分楽しめた。

    “楯岡絵麻の物語”の構図が明らかに!
    次編のタイトル「私が愛したサイコパス」からすると、この一冊で決着が着きそうなのが残念だけど・・(2冊分くらい引っ張ってほしい)。

    【私の愛したサイコパス】
    ・・・マンガだ(笑)。90年代後半の習慣少年少年マガジン辺りがよく似合う感じ。

    「百舌の叫ぶ夜」を思い出した。手術ひとつで、そんなに簡単に“人形にんげん”が出来上がるものなのだろうか。

    突っ込みどころはあれども、楽しく読めた(笑)。

    ---------トータル‐‐‐‐
    1作目を読んだ頃とはこの作品への「見方」がだいぶ変わってしまったが、好きなシリーズには変わりなし。2017年11月現在では、もう1冊続編が出ている模様。そちらも、買うべし。

    ★3つ、7ポイント半。
    2017.11.28.古。



    ※このシリーズを原作に少年漫画化なんぞされたら、当たりそう。

  • 第二話 いやあこれはやばい。最初は単純な話と思ってたけどエグすぎる。代理ミュンヒハウゼン症候群かと思ってたけどそこか。強姦て言われた時の怒り方。どうやったら愛し合ってたと思うんだろうか。胸糞悪いし 筒井さん切ない。

    第3話 こんなに馬鹿な話あるか 馬鹿すぎる。騙されて悪くない親友殺すとか。救われん話。

    私の愛したサイコパス
    塚本はほんまなんなんやろ。みんなを不幸にしていって。初美のことを送り込んだんが間違い。歪んでる工藤の方がよっぽ初美のこと想ってた。ホンマにざまーみろ。1人で死んでいけばいい。西野よくやった。

  • 今回、絵麻は公安で元彼に頼まれ西野にも内緒でテロリストの調査をすることに。筒井、綿貫は全く的外れな推理だけど絵麻に何か起こっている事を感づいて結局は絵麻の力になっている。サイコパスだという元彼、人を愛することができたけど、彼女のために元彼女を平気で利用しているんだから、本質的には変わってないのかな。

  • ①目の上のあいつ、②ご近所さんにご用心、③敵の敵も敵、④私の愛したサイコパス、エンマ様の恋話もあって興味津々だけれど、ドラマでは好印象だった西野さんがキャバクラ通いで嫌な印象、綿貫&筒井コンビとの協力関係はなかなか面白い!

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著者プロフィール

佐藤青南
一九七五年長崎県生まれ。「ある少女にまつわる殺人の告白」で第九回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞し、二〇一一年同作でデビュー。一六年に『白バイガール』で第二回神奈川本大賞を受賞。ドラマ化された「行動心理捜査官・楯岡絵麻」シリーズ、「白バイガール」シリーズ、絶対音感刑事・鳴海桜子が活躍する『連弾』『人格者』『残奏』など、著作多数。近著に『犬を盗む』『ホワイ・ダニット 行動心理捜査官・楯岡絵麻』『ストラングラー 死刑囚の逆転』がある。

「2023年 『残奏』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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