あなたのいない記憶

著者 :
  • 宝島社
3.48
  • (12)
  • (45)
  • (49)
  • (9)
  • (2)
本棚登録 : 343
感想 : 56
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800262370

作品紹介・あらすじ

絵画教室をやめて以来、大学で約十年ぶりに再会した優希と淳之介。旧交を温める二人だったが、絵の講師の息子だった「タケシ」という人物について、それぞれ記憶が書き換わっていることに気づく。タケシのことを架空の人物と思っていた優希と、有名スポーツ選手と勘違いしていた淳之介は、タケシの幼馴染・京香に連れられ、心理学の専門家・晴川あかりのもとを訪れる。「虚偽記憶」現象の原因究明を始めた四人が辿りつく真相とは-。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • タケシの思いが純粋で、純粋なだけに辛さが胸に刺さる。

    2人の幸せなストーリーもあっただろうに、それに想いを馳せるとやるせない。

  • みんなの記憶の中に眠る”タケシ”。
    幼い頃、同じ絵画教室に通っていた人達の頭の中に存在する同一人物であるはずなのに、みんなで”タケシ”を語る時、何故か全く異なる人物像が浮かび上がる。
    みんなの言う”タケシ”は果たして同一人物なのか。本当に実在する人物なのか。誰の言う”タケシ”が正しいのか。

    「記憶って本当に曖昧なんだな」
    ほんと、そう。
    自分の記憶力に自信がなくなった。今頭の中にあるこの記憶はあの記憶は本物?
    確かに年数が経つに連れ、昔の記憶も自分の都合のいい方へ作り変えられていくことが多々ある。
    他人から言われたこと、テレビで見たこと、経験したこと等、本来の記憶の上に積み重ねられた様々なものが、新たな記憶として塗り替えられていく。

    物語の終わり方がちょっと意外だった。この後のことを考えると…苦しむ結果にならないといいけれど。
    心残りが増えるだけなのではないだろうか。
    複雑な余韻が後に残る。

    心理学の専門家・晴川あかり先生がとてもいいキャラ。
    晴川先生の心理学の話が面白かった。”虚偽記憶””権威効果”等初めて知ったことが多く興味深い。
    この先生をメインにしてシリーズ化したら面白いかも。

  • 上京した大学で再会した、高知のお絵かき教室仲間。
    思い出話をするうちに、二人の記憶がかみ合わないことに気づく。

    ふたりの中で、まったく別の記憶として存在する〈タケシ〉。
    不可解な状況が謎めいて、〈虚偽記憶〉も興味深かった。

    カウンセラーの晴川あかりもよかった。

    後半はせつない。

    最後は、ちょっと引っかかるものが。
    本人の意思をないがしろにする行為だし、それまでのポリシーと矛盾する。

  • 2.4
    残念ながらあまり好きな感じではありませんでした。
    前半に読ませどころが無く、なかなか読み進みませんでした。
    ややこしい話を余計ややこしくしている感じがあり、読み辛かった、、(。´_`。)
    前作はかなり面白かったのですが、、今作は登場人物の魅力もあまり感じられなかった。

  • 他人によって自分の記憶が操作され書き換えられてしまう。現実味無いと思うけれど、小さな記憶の入れ違いは意図せずに自然と起きているのですよね。
    記憶は曖昧なもの。
    但し、真実を知る事が正しいとも思えない。
    面白い題材とは思いますが、残念ながら私は共感出来ませんでした。
    2.5寄りの3

  • 優希と淳之介はタケシの記憶が互いに違うことに気づき、彼の幼馴染と共に疑問解消の為奔走し、酷な現実と直面する。

  • 自分の記憶が間違ったものであったと知らされたら、しかも自分が目標や拠り所としてきたものがそうだったら、衝撃だろう。記憶って曖昧で不確かなものだなぁと、感じた。そんなに簡単に置き換えられるものなのかなと、疑問にも思った。

    晴川先生の話はなかなか面白かったけれど、最後はどうなのかなぁというか。
    あなたのせいで彼がひどい状態だなんて、探偵役とはいえ、カウンセラーがそんなこと暴露するだろうか。タケシの両親は、息子が命をかけて守った相手を、普通に受け入れられるだろうか。
    辻堂ゆめさんということで、途中で、もしかしてもう生きていないのでは、とも思ったけど、いてよかった。

  • 辻堂作品6作目。同じ☆4でも、これが一番落ちるかも?狙いは結構おもしろくて、どう話が進むのか気になって読みはしましたが、ここまで都合良くならないかなぁ、という気がしました。
    後は、劇場型で目線変わるのも良いけど、ちょっと中途半端だった印象を受けました。最初の2章くらいは本当に読みにくかったし。むしろ、晴川先生のエピソードは削って最後らへんでひっくり返しのために使うか、最初からメインで出ても面白かったかも。

  • タイトルから、純粋な文学だと思っていたが、何と作者は2013年の「このミス」受賞者。「虚偽記憶」をテーマにどんな本格的な推理が繰り広げられるのだろう?と期待と不安にページを手繰っていくと、そこにはとてつもない愛情と優しさが…3人に虚偽の記憶を植え付けたタケシ。絵画教室で一緒だった優希と淳之介が大学で10年ぶりに再会したことにより、タケシがなぜ嘘の記憶を作らなければならなかったのかが明らかにされていく。この謎は本当に解かなければいけなかったのか…解かないことも優しさなのではないか…すごく深く人を思いやる気持ちが描かれていて、涙をこらえるのがやっとだった。自分もタケシのように、愛する人を思いやれる人間になりたいと思った。

  • 切ない話でした。

全56件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

神奈川県生まれ。東京大学在学中の2014年、「夢のトビラは泉の中に」で、第13回『このミステリーがすごい!』大賞《優秀賞》を受賞。15年、同作を改題した『いなくなった私へ』でデビュー。21年、『十の輪をくぐる』で吉川英治文学新人賞候補、『トリカゴ』で大藪春彦賞受賞。

「2023年 『東大に名探偵はいない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

辻堂ゆめの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×