どこかでベートーヴェン (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (436ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800271044

作品紹介・あらすじ

加茂北高校音楽科に転入した岬洋介は、その卓越したピアノ演奏でたちまちクラスの面々を魅了する。しかしその才能は羨望と妬みをも集め、クラスメイトの岩倉にいじめられていた岬は、岩倉が他殺体で見つかったことで殺人の容疑をかけられる。憎悪を向けられる岬は自らの嫌疑を晴らすため、級友の鷹村とともに"最初の事件"に立ち向かう。その最中、岬のピアニスト人生を左右する悲運が…。

感想・レビュー・書評

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  • 岬洋介シリーズ第4弾!
    ここから、一気に過去に戻り高校時代に逆行!

    天は二物を与えずとかいうけど、三つも四つも持ってそうな…
    まぁ、この時一度は、諦める決意をするやけど…ピアニスト…

    相変わらず、クラッシックに全く興味がない私にも、読んでる間は、凄いとかんじる筆力には感心する。
    聞きたくなるもんね。このシリーズ読んだ後は、クラッシック!

    無自覚なイケメンで、音楽の神に認められ、更に鋭い観察眼で事件まで解決…
    もう言うことないやん。
    でも、ピアニストになりたいねんな…それしか考えてないところに、好感は持てる。

    しかし、これはミステリー!
    それも、しっかり、こなしながらの音楽小説。
    ええ感じ!
    一気読み!
    残りのシリーズ揃えよ〜(^_^)v

  • 前段があってこそ。情景の描写が生き生きとしてました。川が音楽になって生きてました。

  • 加茂北高校音楽科に転入した岬洋介は、その卓越したピアノ演奏でたちまちクラスの面々を魅了する。
    しかしその才能は羨望と妬みをも集め、クラスメイトの岩倉にいじめられていた岬は、岩倉が他殺体で見つかったことで殺人の容疑をかけられる。
    憎悪を向けられる岬は自らの嫌疑を晴らすため、級友の鷹村とともに“最初の事件”に立ち向かう。


    このシリーズは面白い!!
    さよならドビュッシーもかなり楽しめたが、これもグイグイ引き寄せられる。

    中山先生の音楽描写は本当に見事で、知らない曲になると YouTube で一通り聴いてから本を読んだりしたが、
    その描写の正確さというか、あぁ、ここでこうなのね~と、唸ってしまう。

    もちろん物語もドンドン進む。
    読めば読む程加速していく面白さ。

    このシリーズは全部制したい!

  • ピアニスト岬洋介シリーズ 第4作 エピソード0
    ピアニストを目指していた高校生岬洋介君の最初の事件が描かれる。

    前作「いつまでもショパン」からのプロローグが、エピソード0へ無理なくリードする。
    田舎の高校に転入した彼の才能に 嫉妬や羨望がうずまく。悪条件が重なり、同級生殺害事件の重要参考人となってしまう。
    今回のトリック(かな)的には多少無理があるかなぁとは思いますが、開発工事の是非、それに絡む政治的な談合、貴重な学校生活と岬洋介のプロフィールの肉付けは興味深いですね。ここで、難聴も発症しますが、これをどう受け止め再びピアニストを目指していくのか、次作も気になるところです。
    その上、各シリーズをリンクしてくるので、つい他のシリーズも読んでしまいますね。

  • 岬洋介シリーズ第4弾は、洋介の高校時代を描く。

    岐阜県の田舎の高校の音楽科に転入した洋介。そのずば抜けたピアノ演奏と自分の才能/他人の感情に全く無自覚・無頓着な天然キャラで、クラス中にたちまちドス黒い嫉妬の嵐が。

    「喩えて言えば、小学校の運動会にオリンピックのメダリストが闖入してきたようなもの」、「不意に露わになった岬と僕たちを分かつ溝に慄然とする。どんなに汗を流そうと、どんなに歯噛みしようと絶対に越えられない溝がそこに横たわっている」、「旋律はただ音の連なりに過ぎない。それにも拘わらずこれほど胸に迫ってくるのは悪魔の術としか思えない」等々。一体どんな演奏なんだか。

    本作は、音楽の神に愛される天才、岬洋介とその周囲の人間の双方が被る悲劇を通して、人間・岬洋介の魅力を見せつけている。この際、謎解きはつけあわせのようなものといっていいだろう(ちょっと言い過ぎかな?)。

    それにしても、嫉妬に狂う同級生達の言動、酷いな。人間として失格な連中ばかりじゃないか! それがまた、岬洋介の魅力を引き立たせているのどけれど。著者の術中にすっかり嵌まってしまったな。

    岬の父親を主人公とした最終章(コンチェルト)で、ちらっと御子柴礼司の名前が出てきなのはちょっと嬉しかった。いずれ、岬洋介と御子柴礼司の対決が見られるかも。

  • 中山七里さんのいろいろな作品に登場する、岬洋介の高校時代。
    検事の父の転勤に伴い、音楽科とすごいピアノのある高校に転校し、天才的なピアノの才能と美貌で一躍話題をかっさらう岬。クラスメイトなどと軋轢もありつつ、理解者というか保護者的な友達もできて、それなりの学校生活を送る。この保護者的友達の鷹村の視点で語られる作品になっている。
    夏の嵐の日、学校が土砂崩れに巻き込まれそうになり、鷹村と岬は助けを呼ぶために校舎を出て、岬は川の上にかろうじて渡された電柱を渡り、鷹村はクラスメイトに避難を促すために戻る。
    そして岬が民家から助けを呼び、学校にレスキューが着く。しかしそのとき、岬と軋轢のあった少年が他殺体で見つかり、岬は容疑者になった。

    ピアノに賭ける岬の思い、音楽科に居る少年たちの思い、天才と凡人の軋轢とそれぞれの苦悩、青春の挫折、そして殺人事件のミステリー。
    大変盛りだくさんで面白かった。
    青春もほろ苦い。

  • 中山七里さんの作品を読むのは、初めてです。

    中山七里さん、どのような方かというと、ウィキペディアには次のように書かれています。

    中山 七里 (なかやま しちり、1961年12月16日 -)は、日本の男性小説家、推理作家。岐阜県出身。花園大学文学部国文学科卒業。

    本作の内容は、次のとおり。(コピペです)

    加茂北高校音楽科に転入した岬洋介は、その卓越したピアノ演奏でたちまちクラスの面々を魅了する。しかしその才能は羨望と妬みをも集め、クラスメイトの岩倉にいじめられていた岬は、岩倉が他殺体で見つかったことで殺人の容疑をかけられる。憎悪を向けられる岬は自らの嫌疑を晴らすため、級友の鷹村とともに"最初の事件"に立ち向かう。その最中、岬のピアニスト人生を左右する悲運が…。

    17歳の岬洋介が登場します。
    この作品では、ピアノが天才的に上手い高校生として登場しています。
    私は、初めて、中山七里さんの作品を読んだので、良くわからなかったのですが、この人物、「岬洋介シリーズ」で何度も登場するようですね。

  • 中山七里は登場する人物が色々なシリーズに出てくる。岬洋介シリーズも最初は「さよならドビュッシー」で出会ったが、不思議な印象を持っていた。本作は、その岬が高校生時代の話しだが、類稀なピアノの才能と反比例するような小学生のような思考に笑ってしまう。それでいて親譲りのような、犯人を突き止めてゆく推理力。今回も真犯人と、その犯行を見ていた人物がいたことに驚かされた。その一方で、最後の章で父と息子で協力する話しが出てきたが、これの犯行の流れは直ぐに分かってしまった。作者が手を抜いたのか、それとも共同で事件を解決するという事を強調したかったのか?

  • 面白かった
    岬洋介の高校時代の物語
    ここで、最初の事件の解決を行うことに..
    また、高校の先生の言葉が重い

    ストーリとしては、
    地方の高校の音楽科に転入してきた岬。
    そのピアノ演奏でクラスメイトたちを魅了しますが、羨望と妬みから、クラスメイトの岩倉にいじめられます。
    演奏会に向けて、練習しているさなか、集中豪雨とがけ崩れで生徒たちは校舎内に閉じ込めらます。
    岬は何とか脱出して、助けを呼びに行き、事なきを得ますが、その際、岩倉が他殺体で発見。
    岬がその容疑者に。
    自身の容疑を晴らすため、級友の鷹村とその真相を解き明かすという展開。

    本書でも、今まで同様、音楽の描写シーンが出てきますが、どちらかというとそれよりも、今回は、岬のピアニスト人生を左右する秘密。

    そして、才能と努力、夢と現実を伝える棚橋先生の言葉。これが、とても重い。
    正しい努力、選択する勇気、諦める勇気

    お勧め!

  • 天才ピアニストにして名探偵の岬洋介が、高校時代に遭遇し、その真相を暴いた最初の事件。
    メーンは殺人事件の犯人捜しだが、むしろ、転校した高校の音楽科で、岬とクラスメートとの間でその才能の違いによる諍いを巡る、青春小説の趣き。
    『連続殺人鬼カエル男』を読んだ直後では、これが同じ作者の作品だとは、とても思えない。
    そしていつもながら圧巻なのは、岬のピアノ演奏を言語で表す著者の語彙の豊潤なこと。恩田陸著『蜜蜂と遠雷』と比較してしまう読者も?
    彼が弾く『月光』と『悲愴』の場面では、家にあったレコード(ピアノ・フチードリヒ・グルダ)を思わずかけながら、読んでいた。
    しかし、演奏のどの部分が著者の文章に対応するのか、半可通の読み手にはわからなかったのが実情(笑)。

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著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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