木曜日にはココアを

著者 :
  • 宝島社
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感想 : 236
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800275714

感想・レビュー・書評

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  • 『透明な夜の香り』『横道世之介』に続き、シリーズものに目覚めた私。やっぱり面白いからこそシリーズ化するのですね。納得です。
    青山美智子さんの連作短編集は本当に素晴らしい!
    人って、全く意識しないところで誰かと繋がっているんだなぁ、一人で生きているわけではないんだなぁ、と気付かされます。
    そして、「私のことなんか、誰も理解してくれない」と思っていても、本当は見守っている人がいるんだよ、というメッセージ‥‥ホントに泣けます!今回も何回もウルウルしてしまいました。

    今作では、不思議なご縁というか、スピリチュアルな話がたくさん出てきました。こういう展開は好き嫌いが分かれるところかもしれませんが、私は好きだなぁ。
    なんだか、ふわっとしたおとぎ話のようなお話が多かったです。
    「おしまい」と絵本を閉じるような温かな気持ちで、読み終えました。

  • 12編からなる連作短編集なんですが一貫してこの形式にこだわってるとこが見事ですね。この作品は青山さんのデビュー作になるのですが、ほわぁぁんって暖かい空気に包まれて、恋バナが豊富でキュン死寸前でした。就寝前に読んだら目が冴えてしまって眠れないじゃないですかぁ。
    なんですかねえこの甘い雰囲気にほっこりする安定の展開は読んでてニマニマしてくるし、天候不順で山に行けずガックリした気分も吹っ飛んでしまいました。
    どことなく繋がってるとこが嬉しくなる世界観。それぞれが主人公でスポットがあたるショートストーリーが12色。彼女の作品に登場する人々が3D社会に溢れていたら楽しいだろうなって思えてしまうんですよね。またまた青山美智子さんに拐われてしまいました。ココアって整腸作用もあるしリラックスさせてくれますよね。それにしても毎週木曜ココア1杯で3時間粘られたら気になりますよね。
    最後の恋文なんて
    お熱いので、気をつけてくださいって
    うぁああもうだめ、火傷しそうです。
    私的には、ランジェリーショップ経営してるピーちゃんにもっとスポット当てて欲しかったなあ

  • 「赤と青とエスキース」で好きになった青山美智子さんのデビュー作。
    心がホワーッと温まる素敵な一冊でした。

    「マーブルカフェ」のお客さんと雇われ店長のエピソードから始まり次々と繋がっていく色にまつわる連作短編集。

    この作品の登場人物が少しずつ重なって繋がっていくように、きっと知らず知らずに私達ってどこかの人生に些細なことであっても、影響受けたり、与えたり組み込まれていることもある…
    何気なくすれ違うだけの人たちにもそれぞれにドラマがあり懸命に毎日を生きている…
    私も頑張ろう…。

    そして「マーブルカフェ」のような居心地のいい場所見つけたいな、私も…。

    表紙のミニチュアにも癒やされる。
    田中達也さんはミニチュア写真家・見立て作家さん。


    • おのひろさん
      チーニャさん、こんにちは、表紙のミニチュア写真、惹きつけられますよね。分かります!
      確か私も初めてこの本を手にしたキッカケは、表紙の雰囲気が...
      チーニャさん、こんにちは、表紙のミニチュア写真、惹きつけられますよね。分かります!
      確か私も初めてこの本を手にしたキッカケは、表紙の雰囲気が気になってだった気がします。
      イメージよくあっているなあって思いました。
      2023/08/16
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      おのひろさん、こんにちは〜(*^^*)
      いつもありがとうございます!

      そうなんですよね!
      ミニチュア写真の表紙が凄くいいんですよね☆彡
      ホ...
      おのひろさん、こんにちは〜(*^^*)
      いつもありがとうございます!

      そうなんですよね!
      ミニチュア写真の表紙が凄くいいんですよね☆彡
      ホントこの作品にピッタリで凄いですよね!小さくて可愛い。

      田中達也さんのミニチュア展も、時々、やっているみたいですよね…。うちの近くでの開催が無くて行けなくて残念に思ってます…
      (。•́ - •̀。)…

      コメントありがとうございました〜\(^o^)/
      2023/08/16
  • 「マーブル・カフェ」で始まり「マーブル・カフェ」で終わる。エアメールや万年筆の、涙の理由もあぶり出しのようにあらわれてくる。

    いくつもの表現がこの物語を彩る。ひとつひとつの短篇の内容をより豊かにしていく。
    「ほほえましさと軽い嫉妬が心の中で手を取り合う」
    「ふわあっと雪が溶けるみたいに笑った」
    「胸がきしんだ」
    「小さな手は、菜の花にとまったモンシロチョウみたいだった。」
    「ひとつひとつがライブなんだ。試行錯誤で、体当たりで、合っているかどうかわからない正解を探し続ける。」
    「沈黙に切れ目を入れる」
    「乾いた土に作物が実るような幸福を私にくれた。」
    「好きな場所にいるだけで、元気になることもある。」

    登場人物ひとりひとりの温もりが伝わってくる。12編が少しずつ、あるいはダイナミックに繋がりをみせる。
    なぜか迷いながらも正解を探し続けるえな先生を応援している自分がいる。

    #青山美智子

  • 「鎌倉うずまき案内所」を読んで、青山美智子さんの他の作品も読んでみたいなぁ…と思い図書館に予約し、1ヶ月ほどで借りられた。

    リレー形式の短編集。
    ライトテイストとでも言いましょうか、「鎌倉…」に比べると構成がシンプルな感じ。
    でも、ホットココアのように心が温まるお話ばかり。

    重めの本が続くと、箸休めと言ったら失礼かもしれないが、肩の凝りをほぐしてくれるような、そんな小説に出会えるとホッとする。

    次は「猫のお告げは樹の下で」を予約中。
    小春日和のような、青山さんのお話が楽しみだ。
    2020.11.15

  • 東京とシドニーを舞台に……。

    物語は、川沿いの桜並木がちょうど終わるあたりで、大木に隠れるように建っている小さな喫茶店マーブル・カフェからシドニーへ12種類の色をテーマにして進んで行きます。そして東京のマーブルカフェへ戻ってきます。

    この物語は、2015年6月~2016年5月まで、シドニーの情報誌「月刊ジャパラリア」に掲載したものを書籍化したものです。

    【読後】
    超短編のため展開が早く、読みやすく、季節の巡りにあわせて色を意識して物語が動いていきます。読み終って、心がほんわかと温かくなって、私もココアを飲みたくなりました。買って来ようと思います。

    【好きな言葉】
    私は思うんだけど、正しい謙虚さというのは正しい自信だし、本当のやさしさは本当のたくましさじゃないかしら。116P
    オレンジ色は「楽しい色だから。赤ほど自己主張が強くないし、黄色ほど奇抜でない。人を明るく迎え入れて、元気で愉快な気持ちにさせてくれるから」144P
    マーブルカフェの店員が、マコがいつも座っている席が空いたので、マコに「いつもの場所です。好きなところにいるだけで、元気になることもあると思います」213P
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    木曜日にはココア
    2017.08発行。字の大きさは…小。2022.08.05~07読了。★★★★☆
    木曜日にはココアを、きまじめな卵焼き、のびゆくわれら、聖者の直進、めぐりあい、半世紀ロマンス、カウントダウン、ラルフさんの一番良き日、帰ってきた魔女、あなたに出合わなければ、トリコロールの約束、恋文、の超短編12話。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    【月曜日の抹茶カフェ】
    「月曜日の抹茶カフェ」を手に取ってビックリしました。「月曜日の抹茶カフェ」は、「木曜日にはココアを」の続編でした。すぐに「木曜日にはココアを」予約したのですが、多くの予約が入っているので。まずは「月曜日の抹茶カフェ」から読み始めました。そして「木曜日にはココアを」を読んでいると続編の「月曜日の抹茶カフェ」に出てくる人たちが出てくるので、この人知っているとほんわかしながら読んでいきました。本当は逆なんですが(^-^)
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  • 「鎌倉うずまき案内所」「ただいま神様当番」は少し変わった設定からの再生物語だったが、この作品は割とオーソドックス。

    <マーブル・カフェ>とそのオーナーで『マスター』と呼ばれる謎の人物を軸に、一つの物語の脇役が次の物語の主人公になっていくという数珠つなぎ方式の連作短編集。

    <マーブル・カフェ>の若き雇われ店長が密かに思いを寄せている常連客、仕事は出来るが家事が全く出来ない母親、仕事と環境に行き詰まりを感じ始めている幼稚園の先生、彼が離婚調停の末に結婚出来た女性、五十年連れ添った熟年夫婦、緑に惹かれて緑を描き続ける女性…。

    仕事も家庭もうまくやっていそうに見える人も、何だかんだでうまく立ち回っていそうな人も、生き辛さを抱えている人も、みんな頑張っているしみんな何かに躓いたり悩んだりしている。

    冒頭の雇われ店長とオレンジのカフェを開いたおじさんが結構好きだった。
    なぜシドニーが舞台の話?と思ったら、シドニーの情報誌の公式サイトに掲載されたのが初出らしい。青山さんも実際シドニーで働いていた時期があったとのこと。なるほど。

    文字も大きめで話もシンプルなのでスイスイ詠み進めた。謎の『マスター』も良かった。
    最後には雇われ店長の話ときれいに繋がって一つの丸になった。スッキリ。
    詠み終えてホッとする話、良かった。

  • 2023/09/11読了
    #青山美智子作品

    すべてがつながる連作短編。
    これぞ青山作品という心の芯からほっこり
    する内容になっている。
    誰もが誰かと知らずのうちにつながり
    光を与え、影響しあっている。

    相手の名前を知らない同士が恋をし
    互いにココアさんと名付けるとかエエやん。

  • 読みやすく読後は気持ちがほっこりする短編集。
    どの作品も少しずつ繋がっていく。

    カフェの店長とマコさんの恋の行方が気になります。2人ともお互いを「ココアさん」と呼んでいたことが素敵。

    疲れた日々に前向きになれる本だと感じました。

  • 短いストーリーの中で、登場人物が少しずつ重なり合い、繋がって行く、優しくあたたかな物語。

    このお話はある人にはとても響くだろうし、
    ある人にはきれいすぎてリアルじゃない、と感じるかも。
    わたしはその狭間で揺れながら読んだ。

    生きにくい世の中で、自分を保つこと、
    安全な場所を見つけることは重要。
    たまにはけがれのないこんな優しい世界で
    誰にも傷つけられず、しあわせに浸るのもいい。

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著者プロフィール

1970年愛知県生まれ。横浜市在住。大学卒業後、シドニーの日系新聞社で記者として勤務。2年間のオーストラリア生活ののち帰国し、上京。出版社で雑誌編集者を経て、執筆活動に入る。第28回「パレットノベル大賞」佳作を受賞。デビュー作『木曜日にはココアを』が、第1回「宮崎本大賞」を受賞する。『お探し物は図書室まで』で2021年「本屋大賞」2位に、『赤と青とエスキース』で2022年「本屋大賞」2位に選ばれる。他の著書に、『鎌倉うずまき案内所』『ただいま神様当番』『月曜日の抹茶カフェ』『マイ・プレゼント』(U-ku氏との共著)『月の立つ林で』『リカバリー・カバヒコ』等がある。

青山美智子の作品

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