がん消滅の罠 完全寛解の謎 (宝島社文庫 「このミス」大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
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本棚登録 : 1908
感想 : 184
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  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800279828

作品紹介・あらすじ

呼吸器内科の夏目医師は生命保険会社勤務の友人からある指摘を受ける。夏目が余命半年の宣告をした肺腺がん患者が、リビングニーズ特約で生前給付金を受け取った後も生存、病巣も消え去っているという。同様の保険金支払いが続けて起きており、今回で四例目。不審に感じた夏目は同僚の羽島と調査を始める。連続する奇妙ながん消失の謎。がん治療の世界で何が起こっているのだろうか-。

感想・レビュー・書評

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  • このミス大賞の本作。医療用語が様々出てくるため,難しいところは多々あったが,ぐいぐい引き込まれ読み終えることができた。

    実際の現場を経験しているからこそのリアルな様子は,想像しただけで怖いと思った。人生を決める瞬間であんなことをされたら誰もが混乱し、普通の判断が下せなくなるに違いない。

    そして,最後のシーンはまさかという衝撃だった。まさか生きていたとは...

    追記
    そして,宇垣もそういうことだったとは...

  • 面白かった!
    癌をテーマにした医療ミステリー。
    第15回「このミステリーがすごい」大賞受賞作品

    「このミス」受賞作品って当たり外れがありますが、これは、当たりだと思います(笑)

    ストーリとしては、「がん」が消滅する謎を追いかける話となっています。
    余命半年と診断された肺腺がん患者がリビングニーズ特約で生前給付金を受け取った後も生存し、癌が治ってしまった事例が発生。そして、同じような事例が4例あるということで、調査が始まります。
    なぜ、余命宣告される様な癌が治るのか?
    そしてそれにかかわる医療機関。
    学会では無名のその機関が高額な治療費とともに癌治療の実績があることが明らかになっていきます。
    背後には一体何が行われているのか?
    といった展開です。
    専門用語のオンパレードでちょっと厳しいところもありますが、ストーリ展開としてはわかりやすい!

    黒幕は誰?っていうのは最初にわかりますが、その動機がちょっと理解できません(笑)。その理由でそこまでやる?(笑)
    まぁ、本書では、黒幕やその動機がどうこうっていうようなものではないでしょう。
    メインはやはり、どうしてその医療機関では癌が治るのか?っと言うところにあると思います。
    本書で語られている手法がどこまでがフィクションでどこまでが今の科学で実現できるのか?はわかりませんが、説得力あります。

    がんについて、とても勉強になる物語でした。
    やっぱり癌検診って大事!

  • 呼吸器内科医である夏目は、保険会社の友人からある指摘を受けた。夏目が余命半年の宣告をした肺がん患者が生前給付金を受け取った後、がんが消えたという。しかもそれが何例も続いていて──。

    「殺人事件ならぬ活人事件というわけだね」
    という斬新な切り口で描かれる医療ミステリ!夏目は同僚の羽島とともにがん消失の謎へと挑む!がんとはそもそも何?治療法は?新薬承認とは?がん保険の内容は?など盛りだくさんで勉強にもなる。
    知識の物量はあるものの、読みやすく嚙み砕いてくれて面白い講義を聞いているようだった。特に新薬承認の副作用を治験だけで正確に把握するのは難しいという部分はなるほどと。確かに1万人に1人という副作用を治験だけで検出しようと思ったら、承認されるまでに何十年とかかっちゃうもんね…。

    「医師にはできず、医師でなければできず、そしてどんな医師にも成し遂げられなかったこと」をするために大学を出た恩師・西條。その言葉の意味とは?!がんを消滅させる治療というと希望に映るけど、秘められた謎と思惑の深さは絶望的。畳みかける終盤はがんのように闇が分裂していくようだった。

    単行本で買った以来の再読を文庫版にて。その時より理解が進んだ気がする。犯人の動機がどうしてこうなった感があるものの、その過去を紐解くといろいろ考えさせられる。このまま文庫化された続編を読むつもり。読み返しておいてよかった!硬派な医療ミステリを求めている方にはお薦め。

  • すごく面白くて、読み応えのある作品でした!癌の病巣が消える‥それを生命保険面から見てみると‥この発想スゴい!と思いました。

  • 本当にできそうな恐怖心をあおる作品

    さすが、その道のプロが描くとリアルでひきこまれた

  • 私のガンへの認識は、発生する場所と発見する時期により治療する事が出来ない病気。ルールを無視する増殖力の強い細胞。永遠の命へのヒント。


    本書はガンにより余命宣告された末期癌の患者が死なないどころか完治する事で、世間を全く騒がせない関係者達に疑問程度の波紋を与える事件?が発生する!
    主人公達はそのガン消失のトリックを探っていくうちにある組織が事件に関与している事に気がつく・・・

    何を持って本格化とは置いといて『本格医療ミステリー』
    解説にあった作者の次作も楽しみです!

  • やっと読了。読んだり読まなかったりで、結局約4ヶ月かけての読了でした。なので、記憶がちょいちょい曖昧で…。(人物相関とかエピソードとか)

    読み始めて思ったのは、作者さんはミステリー、特に海外ミステリーの大ファンなのかな、という印象。改行の仕方や文体が「翻訳ミステリーを意識してるのかな」という印象でした。だからちょっと読みにくいな、とも。
    あと羽島のキャラクターが、言葉遣いのせいか、奥田英朗の「イン・ザ・プール」シリーズ(?)の伊良部医師ともかぶりました。奇人変人の天才ドクターというのは、みんなあんなキャラなのだろうか…。

    本編は興味深く、面白く読み終えました。
    が、納得いかない…。何が納得いかないって、西條先生の娘、恵理香の死。恵理香が羽島をかばうためにウソをついたとの事だけど…、そのウソ、必要? 恵理香の死の真相を知っても、別に羽島のせいで死んだとも思わない。故意じゃないどころか、本人すら知らなかった事実なんだし。それを羽島のせいって言うなら、誰かと恋愛するときは、いちいち精密検査しなくちゃいけなくなるんじゃないの? って思ってしまう。読み飛ばしたか要となるエピソードを忘れたのか、あたしの読解力が無さすぎなのか…。他の方のレビューを読んでも、そこに触れてる人がいないので、あたしがちゃんと読めてないのかもしれない…。
    うーん。もやっとするけど、それ以外は面白かったです。

  • おもしろい。めちゃくちゃにおもしろい。
    がんの仕組みがよくわかる。キャラクターも魅力的。

    最後まで物語がもりもりすぎて、肝心の謎ときがあっさり行われたが、謎自体はすごく凝っていたからもっと時間をかけて解き明かして欲しかった。
    続編もあるみたいだから楽しんで読みたい。

  • 家にあったので読んでみた本
    医療に詳しい方が書いた小説らしく、物語やミステリーと言うより論説を読まされていたような気がする部分も多かったように思う。
    現在の最先端技術であるiPS細胞を応用する技術についての話など医療的な記述に説得力があるので、そこはすごいと思ったし読んで理解するのに時間がかかった。現在ある技術を応用して様々な医療の可能性があるのだと感じたし、倫理面をかなり考えないとまずい局面に来ているなというのもわかった。

    ただ大筋の物語としてはどうかな?
    西條先生のビジョンがよくわからなかったし
    娘さんの仇、と言いながら相手がわかったら突然奥さんへの恨みの話にすり替わってるし
    その娘さんが大事に思っている相手に偽名で付き合っていたこととか、なんでガン発覚で自殺するん?とか
    高邁な精神の西條先生が恨みを抱いているからと言って奥さんと不倫?した相手に痛み止めもなしに人体実験して、最後に自分の身代わりとして死体にさせるとか
    なんか、へ?と思う部分が度々見られ、
    医療に詳しい人が読むと面白いのかも知れないが、普通に物語として読みたい人にはちょっとあんまりな、よくわからない感じを受けました。
    最後、結局自分の精子バンクへの登録で生まれていた子が自分の弟子で、お互い親子と認めあってるってことでいいですかね
    そこに至る心理の変遷をもう少しして欲しかったなぁ。
    読むの疲れました。でも面白かったです。

  • 医学用語が分かりやすく解説されてて勉強になった部分もある。学んでいる知識が出てきたところはわかるわかる〜って思いながら読めた。
    最後が怒涛の伏線回収だったので途中で飽きないことが肝心。

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著者プロフィール

1976年、埼玉県生まれ。神戸大学大学院自然科学研究科修了。国立がん研究センター、放射線医学総合研究所で研究に従事。現在、医療系出版社に勤務。第15回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、2017年に『がん消滅の罠 完全寛解の謎』でデビュー。他の著書に『時限感染』(以上、宝島社)、『テウトの創薬』(KADOKAWA)がある。

「2022年 『がん消滅の罠 暗殺腫瘍の謎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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