ヴィジュアル・クリフ 行動心理捜査官・楯岡絵麻 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

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  • 宝島社
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800283153

感想・レビュー・書評

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  • タダで物を配って集めた老人に、高額の商品を売りつける。
    悪徳商法のご長寿研究所・葛飾立石店の店長が、殺されて……。

    シリーズ第6作。

    嘘を暴くのではなく、嘘をついているサインがないからこその、不自然さを追求するとか。
    大学時代絵麻が師事した、行動心理学の教授との対決とか。

    いつもと違った切り口が新鮮。

    男を転がすプロとしての矜持を見せるジャスミンも、痛快。

  • 今回の題名は、魅力的な題名だ。視覚的断崖という三次元の感覚は生まれながらに人は持っているのだろう。YouTubeなどで見かける下がガラスで絶壁のところには、たとえ安全だと分かっていても、恐怖心から足を踏み入れたくないものだ。

    題名だけでなく、登場人物にも魅力を感じる。6冊目にして最強のボスキャラが出てきたようにも感じる。私の恩師は他界したので、話すこともできないが、懐かしさが込み上げて来た。

    催眠商法から始まり、その店主が殺害される。そこから事件がさまざまな方向に散らばっていく。読み応えがある作品だ。
    SF商法と借りの心理、返報性の法則、なんだか私自身が引っかかった経験がある。同調効果は日常でも頻繁に経験する。プラシーボ効果は中学時代に保健の先生にやられた。

    印象深い心理学の要素は「無意識の転移」、人の記憶を書き換えてしまう言葉は、催眠術にも応用される。心理学に興味のある私には、読んでいて楽しめる作品だった。

  • シリーズ第6弾。5作目が図書館で見つからなかったため、泣く泣く。
    特に前作からの続きもないため、普通に楽しめました。
    心理学を利用した記憶の書き換えが本作では多く書かれていて、嘘を見抜くのではなく、嘘を認めた上でのやり取りでした。
    西野のキャバ嬢相手の心理学を駆使した駆け引きが楽しく、ためにもなりました。

  • 佐藤青南『ヴィジュアル・クリフ 行動心理捜査官・楯岡絵麻』宝島社文庫。

    シリーズ第6弾は初の長編。毎回どんな作品かと楽しみにしているシリーズ。

    長編というだけに、これまでのシリーズに描かれた行動心理学の知識が総動員されている。何しろ今回の楯岡絵麻の前に立ち塞がるのは大学時代の恩師。一筋縄でいかない恩師を相手に苦戦を強いられる絵麻……

    SF商法で老人たちに高額商品を売り付けていた店舗の店長が何者かに殺害される。捜査に駆り出された楯岡絵麻と西野は少しずつ事件の核心に迫るが、あろうことか事件に大きく関わると目される老人は絵麻の大学時代の恩師だった……

  • 楯岡絵麻シリーズ6作目。今までは事件そのものが読み切りパターンだったが、本作では1冊でひとつのストーリ。絵麻の恩師との対決が見所ではあるが、落としどころが今二つで、シリーズで一番面白くなかった。周辺描写は結構良かったのに残念。

  • シリーズ第6弾。
    似非健康食品の店長が殺された事件について調査する絵麻達。
    そこに浮上した、かつての恩師。
    その恩師との関りを軸に事件解決へと進む今作。
    かつての第一人者の成れの果て。哀しい物語でした。
    彼はきっと心の弱い人間だったんでしょうね。
    かつての恩師を超えた絵麻は、また次へと進んでいく。

  • シリーズ第6段。

    久しぶりに読んだシリーズだけれど、キャラ立ちがしっかりしているのですぐに世界観に戻ってこれた。

    かつての師との哀しい対決・・・コンセプトの面白さは十分だったが、動機と手法がね。。。
    作中で駆使される心理テクニックがもはや、少年漫画主人公の特殊能力じみてきたなと。。。

    とはいえエンマ様とそのしもべ達(?)の愉快な道中はまだまだ続く模様。

    一応、まだシリーズは追っていく。

    ★3つ、7ポイント。
    2023.01.29.古

    ※エンマ様と西野くんとの掛け合いもこのシリーズの醍醐味♫
    (予想通りな)クスッとくるエンディングが◎。

  • これは本当に長編でした。
    殺人事件の関係者として浮上するのが絵麻の恩師! 妻の病気で退官し、今は安アパートに一人住まい、詐欺紛いの健康商法の店の常連になっていた。誰よりも奴らの手口を熟知している教授がなぜ?
    勝つのは、絵麻か、恩師か⁉️
    この設定がおもしろく、一気読みでした。

  • 人を観察して、その所作で考えてることがわかったり、自分の思うように動かせたりできたら幸せかなと思ってしまうけど、想像するよりもっと虚しいものなんだなと思った。
    自分の信じたい過去を作り上げて、つい最近まで事実を語ってた昔の知り合いにも、やっぱりその偽りの過去を語るように、本当に人はなるのかな?

  • 心理学を応用して犯罪者を追い詰めて行く
    「エンマ様」シリーズの第5弾(かな)。
    操作する警察側は「お馴染みのメンバー」。

    今回は、捜査線上に浮かび上がったのが
    エンマ様の学生時代の「恩師」。
    で、犯罪捜査を巡っての「師弟対決」なのですが...

    割と今回は全体的に地味な印象(^ ^;
    テンポもやや一本調子な感じで、
    「巧みな緩急でハラハラさせられる」感が薄い。

    ...何だ、その無理矢理な「感」は > 自分(^ ^;

    謎解きや操作のピース一つ一つは、
    きちんと説明されていて、納得できなくはない。
    が、登場する「心理学のテクニック」も、
    以前の作品に比べて「初心者レベル」な気がするし、
    捜査を進める上でもの凄く重要な役割を担う人物が、
    割とテキトーな人だったりして(^ ^;
    言ってみれば「ネタ切れ感」があって(^ ^;

    巻末を見ると、初出が割と特殊な発表みたいで(^ ^;
    何か大人の事情があったのかも知れませんが(^ ^;

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著者プロフィール

佐藤青南
一九七五年長崎県生まれ。「ある少女にまつわる殺人の告白」で第九回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞し、二〇一一年同作でデビュー。一六年に『白バイガール』で第二回神奈川本大賞を受賞。ドラマ化された「行動心理捜査官・楯岡絵麻」シリーズ、「白バイガール」シリーズ、絶対音感刑事・鳴海桜子が活躍する『連弾』『人格者』『残奏』など、著作多数。近著に『犬を盗む』『ホワイ・ダニット 行動心理捜査官・楯岡絵麻』『ストラングラー 死刑囚の逆転』がある。

「2023年 『残奏』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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