総理にされた男 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
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本棚登録 : 1976
感想 : 214
  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800287359

感想・レビュー・書評

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  • 総理大臣にそっくりで、劇団の前座でモノマネをしていた加納慎策がいきなり拉致され、病気で倒れた本物の総理の替え玉をさせられることになってしまう。最初の辺りの乗り切り方が痛快だ。型破りでユーモアがあり、相手の心にも入り込むことができる総理を演じるのだが、慎策、うーん、上手くいきすぎ。この後はなかなか大変なことになっていく。国会での施政方針演説、内閣人事局設置法案の提出、アルジェリア日本大使館へのテロ組織の占拠。自己中心的な官僚組織への取り組みへの族議員や官僚の抵抗、憲法第9条に縛られたテロへの対処の難しさなど非常に大きな問題を取り上げていて、日本人としては簡単に見過ごせないことなのだ。慎策は、国会議員・日本のトップという総理大臣の原点に回帰することを自分自身に突き付ける。最後のテレビを使った解決とレストランでのやり取りは、ほこっとするね。
    中山七里は上手い!テーマもプロットも人間の描き方も素晴らしい。官房長官の樽見には思わず感情移入してしまう。本当の官房長官もこうだといいが。さて、現実の日本政府のトップたちはコロナ禍をどう解決してくれるのか。慎策ならどうしていただろうか。

  • 総理にされた男 中山七里著

    想定外 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

    中山さんは、主人公がピアニスト、検事、解剖医師、銀行員と、まったく違うタイプを執筆されます。
    まず、その時点で驚愕です。
    さらに、その内容は、相当の調べをされた上で執筆されていることも読み取ることができます。

    そして、いよいよ国、政府、首相を主人公に、、、。

    主人公は、総理と似ている舞台俳優です。
    主役ははれず、ひなたにでることなく数年の下積みの繰り返しです。
    さて、そんな彼が誘拐されて、連れてこられたのが首相官邸です。

    なんで?!

    この主人公が自身の置かれた状況の理解に努め、一つひとつ役割をこなしていきます。
    そう、環境に適応することのできるタイプです。

    欲はなく、ただ、ただ、実直に務めを果たす。

    物語の面白さだけではなく、主人公の彼から、生き方、考え方を教えてもらう人も多くいらっしゃるのかもしれません。

  • 総理大臣に、似てるからって急に代役!
    (重症で本人ヤバイ…)
    な〜んも、政治経済の事も分からんのにどうなるの?って感じ。
    強みは、青臭さだけという…
    でも、魑魅魍魎の政治の世界では、新鮮な感覚に見られ、みんなを徐々に魅了する。あんな妖怪だらけのとこで、仕事したくないけど^^;
    何事も初心にかえるのは、重要やな。長く続けると垢が溜まって、あかんし。当然、磨かれる部分もあるやろうけど、思いとかそういうのは、1からってのも大事やと思う。
    今の政治とか、玉虫色な判断とか多いし。それを分かってて、そのまま…
    そろそろ、白黒つける時やな!
    こういう総理大臣の時がチャンスやな!
    なかなか面白かった!
    現実見ると、総理大臣、急に総裁選出んとかなってるし…
    みんな初心にかえって!

    PS
    主人公のように、子供ように目がキラキラやったら、良いけど、もう濁ってそう^^;
    白内障ではないです!!!

  • 役者志望でヒモのような生活を送る加納慎策。
    総理大臣に瓜二つの容姿を活かし、精巧なものまね芸で人気が出てきていたところだった。

    そんなある日、意識不明に陥った総理大臣の替え玉を依頼されあれよあれよと言う間に総理大臣の椅子に座ることに!!


    なんちゅー突拍子もない話やねん!!!
    とたまげたが、これが超面白い。

    政治なんて全然分からないアホな私が読んでも、ページを捲る手が止まらなくなるほど。
    この先どうなるの!?ちゃんと元の家に帰れるの!?
    もう心配で、心配で、心は慎策の母にでもなったかのよう(笑)

    クライマックスの場面は、あれ?私この映像どこかで見てる。。。。
    なぁ~んて既視感が。

    それもそのはず、この場面は中山先生の他の本でしっかり読んでいた。
    読めば読む程、そうだ!確かそうだったと確信に。


    政治苦手の女性でも、かなり勉強になる素晴らしい本じゃないかなぁ~と思う(*^-^*)
    もちろん、話の内容もかなり面白い(*^-^*)

  • 中山七里さんといえば刑事もの、ミステリーしか読んだことがなくこのような政治小説は初めてでした。

    政治を知らない素人がいきなり総理大臣に!という展開はよくある話で、『記憶にございません』『民王』などで経験済。
    同じようなコメディタッチかと思いきやそこはやはり中山七里さんと言うべきか、中盤からは怒涛の展開。
    「VSテロ」の部分はとてもハラハラしました。

    解説が池上彰さんであることからも分かる通り、実際の日本の政治を基にした箇所が多くあるため、政治に興味を持つにも役に立つ一冊です。
    インフレターゲット、消費税と法人税の関係、東日本大震災の復興予算の使い道、憲法第9条の是非等々…

    その中で政治家不祥事問題も取り上げられていましたが、
    解決すべき問題は山のようにあるのに、そのための貴重な時間をスキャンダルなんかで潰していいのかと思いました。

    少子高齢化でもはや未来はないと叫ばれる日本ですが、
    悲観する前にまずは自身で考え、自らの一票で未来を託す人物を選ぶことが大切なのだと思いました。

  • 総理そっくりの容姿の役者が、意識不明の総理の替え玉として政局に向かう物語。
    当初はバレるかバレないか。という不安から事態はそれどころではなくなり。
    閣僚、野党、官僚。そして国際テロへと難題が襲い掛かり。
    参謀はいたとは言え、とても一般人のレベルでは厳しいものではないのかなとも思った。
    自分自身政治に疎い方なので、様々な仕組みやしがらみなど。勉強になる事も多かったけど。
    総理大臣はやはり大変な職務なんだなとも改めて感じました。
    スピーディーかつスリリングに読了。
    今回もいい作品でした。

  • 役者志望の慎策さん、総理にソックリで意識不明の総理代役にさせられるお話。

    政治まったく分かりませんが、色々勉強になりました。
    慎策さんと一緒に成長できた気がします。(笑)
    展開もドキドキで慎策さんの演説が凄かった。

    面白かったです。

  • これは面白かった!
    ハチャメチャな設定ながらも、後半はぐっと来ました。
    素人が総理大臣になる設定ものってコメディタッチでいろいろとありますが、本作は、それとはちょっと違うエンターテイメント作品です。

    本作で、今の日本の課題、論点が明確になります。
    政治の勉強ができます(笑)

    ストーリとしては
    売れない役者、慎策は総理大臣にそっくり。
    劇団の前座でモノマネをしながら、貧乏で恋人のヒモの生活。
    ある日、拉致され、意識不明の総理の替え玉をやらされることに。
    その事実を知るのは、官房長官の樽見のみ

    政治知識の全くない慎策でも、その演技力で総理大臣の替え玉になりきれるのか?

    この導入から、
    閣僚、野党、官僚、テロと様々な困難を乗り切っていきます。
    そして、その流れの中で政治を学ぶことができます。
    筆者中山さんの政治に対する考え方も理解できます。

    なんといっても、はやり後半
    内閣人事局設置法案やテロ対応には心熱くなりました。

    こんなにうまくいくはずがないとは思いますが、そんなことは差し引いても、慎策の想いに心動かされます。

    エンターテイメントストーリとして、楽しめました。
    これはお勧め!

  • 4.8
    いや〜、面白かった!!
    読んでいて、最後はどうなるんだ??と思いながら読んでいましたが、予想も出来ず、最後はこんなオチかと、思いました。とにかくオチが最高でした。
    この作者、有名ですが私は初めて読みました。この一冊ですっかりファンになりました。
    主人公の思い、語りも、とても自分の価値観に合うものでしたし、話しの書き方、表現の仕方についても、話に入り込んでいるところでいきなりリアルに引き戻されるような違和感のある部分もなく。
    もちろん、話そのものはツッコミどころはありますが、私はそういうのは気にせず読むので、いい具合に楽しんで読むことができました。
    作者の別作品も読んでいきたいと思います。

  • やられた、という気がした。以前、総理大臣を主役に据えたドラマは観たけれども、そこで描かれた総理大臣は、いかにも正義感にあふれて、庶民感覚に満ちた……つまり一般市民にとってある意味で理想形だった。本作の総理大臣(代理)となる主人公は、しがない俳優であり、たまさか容姿が現総理大臣と生き写しだったため、病に罹った総理大臣の緊急代理として祭り上げられた。もちろん、政治的な知識や経験といったバックボーンは持ち合わせてはいない。この設定だけで、ワクワクもドキドキもさせられる。だから、やられた、という気持ちになったのである。

    政府に対する諦念、閉塞感、ひいては絶望をも感じてしまう昨今の状況下で読めば、この物語から大いなるカタルシスを得られる。加えて、政治・経済に対する知識をも獲得できるという意味で、社会学的ハウツー本としての側面もある。解説を池上彰氏が執筆していることからも、著者の政治・経済に対する知識が、本作品にリアルな感覚をもたらしていることが窺えるだろう。

    容姿が似ているというだけで総理大臣(の代わり)を務めることとなった主人公は、知識や政府運営、根回しといった部分は周囲の助けを得ながら、おのが熱意をカリスマへと変換させ、いつしか「本物」の総理大臣となってゆく。リアルな世界では、現総理大臣を見れば端的に理解できると思うが、「本物の総理大臣」となる過程で市民感覚を失い、利権とカネにズブズブにまみれ、結果として本来目を向けるべき国民の信任を失ってゆく。現在の我が国で起きているこうした事態と、物語で描かれるカリスマと国民目線を兼ね備える理想の総理大臣は、まさに強烈なコントラストとなっている。とりわけ主人公が、総理大臣として、常に「自分の言葉で」語り掛けようとして、決して原稿を読まないという姿勢を貫くところは象徴的だ。

    ともすると、政治を扱う物語であり、かつ主人公がその中枢に立つ総理大臣という理由で、敬遠されてしまいがちなテーマなのかもしれない。しかし、老若男女問わず、世界的な大禍に直面している今、多くの人が読むべき小説であろう。

    著者の作品といえば、これまで『さよならドビュッシー』などの著名な音楽家を冠したタイトルのミステリー作品しか読んだことがなかった。それゆえ、大変失礼ながらここまで政治的な物語をものしたことに驚いた。そして、読んでみてその完成度のあまりの高さにもう一度驚愕させられた。物語としても、政治・経済の入門書としても、お薦めできる作品であることは間違いない。

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著者プロフィール

1961年、岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。同作は映画化もされ、「岬洋介」シリーズとしてベストセラーとなる。その他の著書に「刑事犬養隼人」シリーズ、「御子柴礼司」シリーズ、『連続殺人鬼カエル男』『贖罪の奏鳴曲』『ヒポクラテスの誓い』『護られなかった者たちへ』『鑑定人 氏家京太郎』などがある。

「2022年 『カインの傲慢 刑事犬養隼人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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