総理にされた男 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
4.05
  • (84)
  • (96)
  • (55)
  • (6)
  • (2)
本棚登録 : 877
レビュー : 106
  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800287359

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 総理大臣にそっくりで、劇団の前座でモノマネをしていた加納慎策がいきなり拉致され、病気で倒れた本物の総理の替え玉をさせられることになってしまう。最初の辺りの乗り切り方が痛快だ。型破りでユーモアがあり、相手の心にも入り込むことができる総理を演じるのだが、慎策、うーん、上手くいきすぎ。この後はなかなか大変なことになっていく。国会での施政方針演説、内閣人事局設置法案の提出、アルジェリア日本大使館へのテロ組織の占拠。自己中心的な官僚組織への取り組みへの族議員や官僚の抵抗、憲法第9条に縛られたテロへの対処の難しさなど非常に大きな問題を取り上げていて、日本人としては簡単に見過ごせないことなのだ。慎策は、国会議員・日本のトップという総理大臣の原点に回帰することを自分自身に突き付ける。最後のテレビを使った解決とレストランでのやり取りは、ほこっとするね。
    中山七里は上手い!テーマもプロットも人間の描き方も素晴らしい。官房長官の樽見には思わず感情移入してしまう。本当の官房長官もこうだといいが。さて、現実の日本政府のトップたちはコロナ禍をどう解決してくれるのか。慎策ならどうしていただろうか。

  • 総理そっくりの容姿の役者が、意識不明の総理の替え玉として政局に向かう物語。
    当初はバレるかバレないか。という不安から事態はそれどころではなくなり。
    閣僚、野党、官僚。そして国際テロへと難題が襲い掛かり。
    参謀はいたとは言え、とても一般人のレベルでは厳しいものではないのかなとも思った。
    自分自身政治に疎い方なので、様々な仕組みやしがらみなど。勉強になる事も多かったけど。
    総理大臣はやはり大変な職務なんだなとも改めて感じました。
    スピーディーかつスリリングに読了。
    今回もいい作品でした。

  • 「政治の勉強、メンドクサイな」
    「社会のことを学んで、なんの役に立つんだろう」

    そんな風に思っている方に、ぜひオススメしたいのがこの小説です。

    主人公の槙策は、ひょんなことから総理に「されて」しまいます。
    読み終わったとき、自分も槙策みたいにひょっとして総理に「される」ことが起こりそうな気がして、誰か自分を総理にさせるために捕まえに来てないだろうか?!とうしろを振り返ってしまう…そんな小説でもあります。

    槙策は売れない役者という設定ですが、それにしてもこんなにうまく総理を演じられるもの?!でしょうか。
    総理よりも総理らしい総理です。
    自分がもし総理になったとしても…残念ながら、とても槙策のようにいきそうにありません…。

    読み進めていくと、政治のしがらみが山ほど出てきます。
    こういう出来事を経て、政治家は「政治家らしく」なり、初心を忘れていってしまうのか…と悲しくなりました。
    だからこそ、庶民感覚のまま政治の中にいる槙策を、応援したくなりました。

    解説には、槙策を通じて政治の仕組みを学べる、とあります。
    確かにそうなのですが、政治の仕組みの説明
    は表現がやや難しく、正直流し読みした部分も多いです。
    小中学校の社会の知識を、全て学校に置いたまま卒業した私は、
    「あー、ちゃんと政治のこと学んでおけばよかったな~。そしたらこの小説も、もっと楽しめたのに…」
    と悔やみました。

    学校で学ぶ知識も、こんな風に小説を楽しむ下敷きになるので、知っておいて損はありません。
    でも、私のように学校で学び損ねたり、授業つまんなくてやっぱり政治について学ぶなんてムリ!という方、大丈夫です。
    今はおもしろく楽しく学べる政治の本が、手に入る時代ですから。

    裏表紙の小説紹介には「痛快エンタメ小説!」とありましたが、これはそんな小説てはありません。
    愉快痛快気持ちよくスカッとする!エンタメという娯楽気晴らし小説!というには、現実にあまりにも似すぎている政治問題ばかりで、ドキドキしてしまい胃が痛くなりそうでした(苦笑)

    政治の説明がちょっと難解な部分があり、「痛快エンタメ小説」というには胃が痛すぎるドキドキ、ということで、☆3つにしました。
    ですが、読み終えたときには「社会」の勉強に身が入ることこの上なし、な小説です。

  • 面白い!

    読みながら、真垣総理は進次郎、樽見官房長官は菅さんをイメージしてしまった。進次郎...ガクリ

    日々、本当に国のことを考えている気骨のある政治家なんていないんだから、会社員が交代制やるほうがいいんじゃないか。何なら自分やるけど?と思っていたので
    そうだそうだ!ってすごく納得しながら楽しめた。
    まぁ自分が政治家になったところで、早々に絶望して諦めてしまうのかもしれないけど。

    この本はまだ政治に絶望していない中学生や高校生にぜひ読んでほしい。そして選挙に行き、ぜひ立候補もしてほしい。

    もちろん現役の政治家にも読んでほしい。
    想いが届く政治家はどれくらいいるだろうか。

  • 『総理にされた男』
    タイトルからして面白そうだと思っていたけど、まさかこれほど面白いとは思わなかった

    主人公の慎策は、総理と瓜ふたつの容姿であることを活かして総理の真似をする売れない舞台俳優

    慎策はあるとき官邸に連れてこられ、官房長官の樽見に『病気の総理大臣の影武者をしてほしい』と頼まれる

    そして慎策は総理大臣として、官房長官の樽見と友人の風間と共に政治の世界で躍動する

    ありえない話ではあるけど、政治家の不祥事、官僚主導の政治、憲法9条などの背景も丁寧に描かれていてリアリティもある

    こんな総理大臣がいたらもっと政治に興味を持つ国民も増えるのにと思う反面、ニュースの上っ面ばかり見てる自分を反省

    誰もに読んでほしい一冊
    さっそく妻に勧めます

  • 下手な政治評論よりもよっぽどわかりやすい!着想自体はよくある話だが、それ以上にテンポが良く、引き込まれていく。作者の力量には感心させられた。

  • 面白い!!そして最後の一文にほくそ笑む。
    あらすじ(背表紙より)
    「しばらく総理の替え玉をやってくれ」―総理そっくりの容姿に目をつけられ、俺は官房長官に引っさらわれた。意識不明の総理の代理だというが、政治知識なんて俺はかけらも持ってない。突如総理にされた売れない役者・加納へ次々に課される、野党や官僚との対決に、海外で起こる史上最悪の事件!?怒涛の展開で政治経済外交に至る日本の論点が一挙にわかる、痛快エンタメ小説!

  • 総理に似ているだけの売れない役者が、病に倒れた総理の代役にされる話。ミステリー色は薄いけど、これは単純に面白かった。現実としてこんなにうまいこと進まないんだろうけど、若い総理が青臭くても実直な言葉を発信したら、案外政治家も国民もついていくのかも。
    これは映画にしてほしいなぁ。

  • 著者の本は、主に推理小説で、どんでん返しがあり、読者をあきさせず、好きで読んでいるが、これは趣向の違ったものである。

    政治小説であるが、非常に面白い。

    何が面白いかと言うと、今の日本の政治に照らしあわせて見ると、そうだよなぁと納得できる。

    国民の為に、という感覚が、今の政治、霞ヶ関の官僚にはあまり感じられない。
    自分達の利得の為に、制度をいいように利用しているかと。熱く語るのは、自分の事に利害が及ぶ時。

    上級国民と下級国民との言葉があるが、まさしく、その事を痛烈に記してある。

    日本人は戦後、耐え忍ぶ事が大切であると、教育されてきた。
    だから、他国のように、大規模なデモもない。
    どうせ変わらないと諦めている。

    そういった点で、ここに出てくる総理みたいな人物が出てきたら、日本は変わるかと。

  • 日本の政治の現況がわかって、主人公の人間ドラマも楽しめる。読みやすいけど勉強になる。非常に良い小説でした。こういうクライマックス、個人的には好きです。

全106件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

作家。
1961年生まれ、岐阜県出身。『さよならドビュッシー』にて第8回「このミステリーがすごい!」大賞で大賞を受賞し、2010年に作家デビュー。著書に、『護られなかった者たちへ』『総理にされた男』『連続殺人鬼カエル男』『贖罪の奏鳴曲』『騒がしい楽園』『帝都地下迷宮』『夜がどれほど暗くても』『合唱 岬洋介の帰還』『カインの傲慢』『ヒポクラテスの試練』『毒島刑事最後の事件』『テロリストの家』『隣はシリアルキラー』『銀鈴探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『復讐の協奏曲』ほか多数。

「2020年 『境界線』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中山七里の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
辻村 深月
有効な右矢印 無効な右矢印

総理にされた男 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)を本棚に登録しているひと

ツイートする
×