証言1・4橋本vs.小川20年目の真実

  • 宝島社 (2018年12月14日発売)
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本 ・本 (346ページ) / ISBN・EAN: 9784800290854

感想・レビュー・書評

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  • 1999年1月4日。
    新日本プロレス東京ドーム大会。

    橋本真也vs.小川直也。

    破壊王と柔道五輪銀メダリストの3度目の対決は、セミファイナルの前に組まれた。

    当時、チャンピオンから陥落していた橋本。
    プロレス転向後、ぱっとした活躍が出来てなかった小川。

    あの日、私は友人たちと観戦していた。
    多くのファンが、大した期待をしていない試合だった。

    だが、そこから思わぬドラマが生まれる。

    先に入場した小川。ぽっちゃりしていた体型を肉体改造し、ギラついた表情になっている。

    後から入場する途中の橋本のテーマ「爆勝宣言」が流れる中、田中リングアナからマイクを奪った小川が叫ぶ。

    「橋本! 死ぬ気があるなら上がってこい!」

    試合は、一方的な展開。

    無効試合となったが、実際は橋本のノックアウト負けだった。

    試合後は両陣営入り乱れての大乱闘。

    何が起こっているのかさっぱりわからなかった。


    ここから、2人のプロレスラー人生が大きく変わっていってしまう。

    同年秋の再戦でも返り討ちに遭い、後がなくなった橋本。

    「橋本真也34歳 小川直也に負けたら即引退!スペシャル」と銘打たれた5度目の一騎打ちは、8年3カ月ぶりのゴールデンタイム生放送となる。

    だが、橋本は敗れた。

    一度は復帰を果たすも、追われるように愛する新日本プロレスを退団。自らの団体を設立。

    紆余曲折を経て、怨敵小川とタッグを結成する。

    「やっぱり体を合わせてというか、闘った者同士じゃないとわからないなにかがあるんだろうなと思います。橋本ってすごく寛大な人だったんですよ。どんなにケンカしても、相手が謝ってきたら許してしまうようなところがあったので、小川さんと2人で話をしてみたら疑心暗鬼が解けたのかもしれないですね」(元夫人橋本かずみさん)

    20年前の試合を巡って、多くの関係者が証言をし、1冊の本ができあがる。
    それを当時を知るファンも、新しいファンも読みあさり、語り合う。

    本書にも登場する闘魂三銃士の盟友武藤敬司の言葉を思い出す。

    「プロレスとは、ゴールのないマラソンみたいなもの」

    そして、永遠に続いていく大河小説でもある。

  • あたりまえだけど猪木は橋本を潰すつもりはなかった。

    大仁田の参戦もあり今までと同じように緊迫感を演出したかったが小川も未熟でうまく対処出来なかった事と何よりも橋本自身がプロレスラーとして、アクシデントに対応できないほどコンディションを落としていた。

    小川戦が無くとも、プロレスラーとして長く活躍できなかったのかな、と思ってしまった。

    改めて動画でもこの試合再度見たけれど、潰すような戦い方には見えなかった。この内容でここまで語り継がれる試合をこれから作れるのか。いい試合だけでは限界があるとする従来の考え方を今の新日がどれだけ実現してくれるのか楽しみ。

  • 橋本vs小川 一連の話。

    テレビで観てたな〜

  • 2019.10.06 読了。

    リアルタイムで観ていたあの試合の真実!どんな話が読めるのかと期待して手に取った一冊。
    まさかの元奥様へのインタビューも載っていてすごく貴重な話を読めると思いきや、基本的に誰のインタビューも似たり寄ったりで、結局真実は多分〜だと思う。ばっかり。
    最悪、小川直也なり、アントニオ猪木なり、当の本人らに聞けよ!と言いたくなるし、最後はこの二人も出てくるんでしょ?と思いながら読んでいたら、出てこなくてズコーって感じだった。

    興奮剤で小川がキマっていた説が当時からあったけど、その辺もうやむやな感じで、真実が何一つ分からないというのはどうなの。タイトル間違ってないかい?
    ちょいちょい出てくる写真も、もっと意味のあるシーンとかだったら良いのに特に解説もなし。

  • みんなの証言がある程度は一致している。人によって言うことが違う部分もある。
    当事者である小川、橋本、猪木のインタビューはない。

    猪木は新日運営から自分が阻害されていることにイライラ。新日が大仁田を使うことにもイライラ。総合格闘技ブームの勃興期。猪木は、大仁田とは対極の真剣勝負的な試合を観客に提示したいと思い、小川に指示。指示はあくまでも「緊迫感のある試合をしろ」ということ。結末はノーコンテストで決まっていた。小川の相手がなぜ橋本になったのかというと、単純に橋本が空いていたから。武藤はチャンピオン、蝶野は怪我、健介は大仁田の相手。

    小川は試合前のミーティングをすっぽかし、橋本側は疑心暗鬼になりセコンドに山崎、安田などをつける。小川のセコンドにゴルドーがいることも疑心を煽る。小川のコンディションは万全。対する橋本のコンディションは最悪状態。橋本は「自分は新日のエース路線を外されたのではないか」と不満を持っており、新日=長州と揉めている状態だった。

    試合で小川がパンチすると橋本は「仕掛けてきた!!」とレフェリーを攻撃してノーコンテストにしようとするが、レフェリーは試合を止めず、、ドーム興行でいきなりノーコンテストをするにも勇気がいる。さらにレフェリーがリング上から不在となり、無法状態のリングで小川の暴走が続く。とはいえ、小川が明らかな暗黙のルール違反をしたというわけではない、それなりにプロレスの範疇で行動している。

    試合後に橋本と小川は電話で会話。謝り続ける小川だが対面することは拒否。
    「どういうことなんだ、これは!」
    「・・・・・・すいません」
    「お前には俺を救う義務があるんだぞ!」
    「・・・・・」
    小川橋本はこのあと盛り上がるが、新日と橋本には溝。結局、橋本は離脱。橋本は捨てられたようなもの。優柔不断な藤波社長、猪木の新日での復権、格闘技路線へ。暗黒の00年代へ。

    ・新日上層部は知っていて橋本を見殺しにした説。仕掛けたのは新日側説。
    →ミーティングすっぽかしで疑念はもっていた。ここで誰も積極的に動かず。永島が猪木に「大丈夫か?」と確認しただけ。長州は大部屋の映像で試合を見た。稀なこと。試合後に小原に「行け!」と指示。

    ・猪木の指示説。
    →猪木流の抽象的な言葉で小川をけしかけたらこうなった。

    ・佐山の指示説。
    →小川の暴走をかばうために「薬が効きすぎちゃった」とか言うから話がややこしくなった。

    統合すると、まあアクシデント。猪木の抽象的な言葉。新日は橋本との関係がよくなくて放置状態、新日の強さの象徴である橋本を守ろうと全力で予防措置することを怠った。ミーティングをせず、試合が始まっても「あらららら」という感じで誰も積極的に介入せずだった。こんな感じの理解。

  • プロレスが出来ない(理解してない)当時の小川の暴走であるという説が一番しっくりくるため、各人の証言をまとめるほどのこともないかなあという感想。

  • 1999年1月4日の橋本vs小川について、当事者以外の様々な選手や関係者が証言した一冊。

    至近距離にいた人たちの話だけあって、どれも真実味があって面白かった。

  • 20190320

  • 宝島の「証言」シリーズ最新作。
    こないだまで”証言UWFシリーズ”だった気がする(^^;)
    のだけど、まぁ応用の利きそうな企画だし、今回のテー
    マもなかなか興味深いのでOK。

    テーマは「橋本真也vs小川直也」。
    1999年1月4日、新日本プロレス・東京ドーム大会で行
    われたあのあまりにも歪な試合に焦点を当て、各方面の
    関係者へのインタビューから引き出した「証言」が、淡
    々と綴られている。下記が証言者。

    第1章:小川を「取り巻いた」男たち
    佐山聡、村上和成、ジェラルド・ゴルドー、X(元猪木
    事務所スタッフ)

    第2章:橋本を「守った」男たち
    山崎一夫、藤田和之、安田忠夫、加地倫三(テレ朝ディ
    レクター)

    第3章:橋本を「見守った」レスラーたち
    前田日明、武藤敬司、大仁田厚

    第4章:橋本vs小川「至近距離見」の目撃者たち
    金沢克彦、辻よしなり、田中ケロ、上井文彦、中村祥之、
    永島勝司、橋本かずみ

    ・・・面白かったのはやっぱりこの手の本に普段出てこな
    いテレ朝の加地プロデューサーと元実況アナの辻よしな
    り氏の談話。二人はテレビ局からの視点を大いに語って
    おり、共に橋本に対する「愛」を感じる内容。生前の強
    くて豪快で面白かった橋本真也を、懐かしく思い出せた。

    これに対し、小川に好意的な証言をしている人がほぼ居
    ない、というのは少々寂しい気も。やり方の問題こそあ
    れ、橋本が最後に輝いたのは、やっぱり小川の存在あっ
    てのこと。橋本と小川ではキャラや人間力に大きな差が
    あるのは否めないが、それでも少しだけ小川直也を認め
    てあげて欲しい、と思っちゃう僕はヘンなのかなぁ(^^;)。

    とにかく、“UWF”という文字が外れ「証言」だけに
    なったことで、掘り下げられるテーマが増えた気がする。
    SWSやインディの本が出たら読むな、きっと。

  • これまでにも1.4事変については
    さまざまな媒体で特集記事やインタビューが組まれてきたが
    それら過去の例に漏れず、ここでも
    証言によってかなり内容が食い違っており
    結局、真相は「藪の中」ということを確認できたにすぎなかった
    まあすべてに忖度した小川直也単独の暴走に加え
    橋本の疑心暗鬼による塩対応がコトを大きくしたのだと
    総括できないこともないけど
    しかしこの本を読んだとき
    少なくとも99年当時のプロレスはまだ
    ヤオガチのボーダーライン上で、どちらにも解釈できるものであり
    そこから文学的な面白さも生じえたのだ
    そのようにあらためて、なつかしい気持ちになれたのです

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著者プロフィール

1959年大阪府生まれ。幼少期より、少林寺拳法や空手を習う。1977年に新日本プロレスに入団。その体格と格闘センスの高さから将来を嘱望され、移籍した第一次UWFに至るまであらゆるリングで伝説の戦いを繰り広げた。
新日本プロレスに復帰後はアンドレ・ザ・ジャイアントらと名勝負を行い、「新格闘王」と呼ばれる。
第二次UWFを旗揚げすると、社化現象とまで言われるほどのUWFムーブメントを巻き起こす。UWF解散後は総合格闘技団体RINGSを創設し、総合格闘技ブームを牽引。
引退後はRINGSのみならず、HERO'Sスーパーバイザーを務め、現在はThe Outsiderをプロデュースしている。
読書家、刀剣鑑定家、骨董収集家としての側面も持ち、知識も豊富である。著書には「格闘王への挑戦」(講談社)、「無冠」(集英社)などがある。

「2021年 『日本人はもっと幸せになっていいはずだ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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