日本史が面白くなる「地名」の秘密 (歴史新書)

著者 :
  • 洋泉社
2.88
  • (0)
  • (2)
  • (17)
  • (5)
  • (0)
本棚登録 : 102
感想 : 10
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800302632

作品紹介・あらすじ

日本の国の成り立ち、古代律令制下の六十余国、江戸時代の全国三百藩、さらには江戸・東京と京都の地名、明治時代の廃藩置県と現在の四十七都道府県、そして昭和や平成の「市町村大合併」-本書を読めば、これまで不思議に思っていた地名の謎が解けたり、信じていたことが「都市伝説」に過ぎなかったことが分かります。雑学的な発想を排し、テーマを絞って地図や図表を多用して問題を掘り下げてみました。本書を通読すれば、地名を通じた日本列島史が見えてきます。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 以前、同じ著者の世界史編を読みましたので、日本史編も読んでみました。
    東京や京都の地名など、細かいところもありましたが、日本がなぜJAPANになったのか、都道府県名はどのように決まったのか、というこれまでなかなか知ることのできなかったことを知ることできました。地名の決まり方にはいろいろなパターンがあり、どうしても明治維新の遺恨などと絡ませて、陰謀論などを聞くことがありますが、著者は明確に否定しています。これには、実際はいろいろ説があると思いますが、非常に興味を沸き立てる、面白い一冊でした。

    <目次>
    第1章 日本国の成り立ちを国名・地名から考えるー世界では、国名はどのように決まったのか?
    第2章 驚きの「ご当地名」の起源ー時代によって地名に流行がある
    第3章 「京都」の地名には謎がいっぱいー「洛陽」など京都を表す言葉のさまざま
    第4章 地名が語る「江戸・東京」誕生の謎ー東京府と東京市があった時代の名市長たち
    第5章 廃藩置県と県庁所在地のドラマー始皇帝とナポレオンが都道府県と郡の元祖
    第6章 市町村合併と地名の悲喜こもごもー明治以降、市町村大合併は三回もあった?

  • ちょっとなぁ。
    もっと純粋に「地名」を語って欲しかったんだけど、
    所々に、著者の思想が入っていて、イマイチ。

    著者の思想をいれこむのは自由ですけどね。

  • 明治政府は佐幕側の都道府県に不利な状況をつくったという陰謀史観を一蹴。 都道府県名は最初に庁の所在地になった(なる予定だった)所の郡名を採用するのが基本だった。

  • ●「藩」というものが、江戸時代にはなく明治時代に初めて公式名称として誕生したものだった、という事実には驚いた。

  • 豊後、豊前の豊の国の地名由来は、里芋が繁殖していたこと
    肥前、肥後の肥の国の由来は、火の国、不知火 
    では、筑前、筑後の筑紫の国の由来は?

    ・・・・これは由来が分からないのだ。

  • 個人の意見が多過ぎんじゃないの?

    地名の秘密が知りたくて手にとったんだよね。
    八幡さんのファンとかなら面白かったのかも知らんけど、私、そうじゃないしな。
    最後のベスト&ワーストとか勘弁して とまで思わせる、潔いくらいの偏見っぷり(笑)
    もし私がその土地の住民だとしたら詳泉社にクレームのメールくらいは送ってるね。
    後味良くない感じ。

  • ①平成大合併で生まれた良い地名ベストテン

    南アルプス市 山梨県

    場所とイメージのアピール力絶大!!

    市名はかぶらない 読みやすいが原則

    ②薩摩藩、土佐藩は幕末にはない

    明治時代、廃藩置県で藩が初めてでき、すぐ県に

    つまり坂本龍馬は脱藩していない

    脱走でしかない笑

    ③彦根のゆるキャラ、ひこにゃんは東京生まれ

    江戸の町に彦根藩領があった

    東京の豪徳寺で見た猫が井伊直孝を救った猫!

    一読すれば、不思議な地名の謎が解けるかも

    実は都市伝説にすぎなかったことが分かるかも

  • 2014年初読了。まえがきどおり、従来の雑学本にはない地名の考察だった。廃藩置県の誤った認識に目から鱗。昭和・平成の市町村大合併後の命名に対する著者の好悪は、清々しいくらいに一方的で、同感はしないが別の視点があるということを再認識。やけに国際化を意識した所見を述べているが、外国語でも英語、フランス語、ポルトガル語など同じような綴りでも違う発音をするのだから、ローマ字表記を推してもだめだろう。

  • 昔から地図を見ていて気になっているのは、現在の県名・県庁所在地名・江戸時代の国名の関係です。見てみると、西日本では、昔の国名の都市が存在していて、県庁所在地とは別に存在していたり、県名と同じ地名(例:兵庫県、神奈川県、栃木県等)がありながら、他の都市が県庁所在地になっています。

    これらの疑問をいずれ解き明かしたいと思っていた私にとって最適の本を最近見つけました。この本の著者は「本当は恐ろしい江戸時代」で、目から鱗を落とさせてくれた、八幡氏です。

    今後も歴史と地理の両方とも好きな私を楽しませてくれるような続編を期待したいです。

    以下は気になったポイントです。

    ・日出ずる国の意訳として「日本」という漢字を与え、4,5世紀に日本に漢字が伝わったころ交流していた中国南北朝時代の南朝における「呉音」読みで、日本を、ニッポンとかニホンと呼ぶようになった、その後北朝の隋が589年に南朝を倒した後に、日=ジツと発音した(p15)

    ・1934年にNHKでは、正式な国号として使う場合には、ニッポン、その他の場合にはニホンでもよいとした(p17)

    ・インドとは、現在パキスタンの一部となっている、カラチなどインダス川下流の一部地域の呼称、スイスやオランダも、ハプスブルク家からの独立戦争のときに先陣を切った州の名前(p19)

    ・琉球とは中国での古くからの呼称、小琉球が台湾、大琉球が沖縄を指した。明の時代(1368-1644)には沖縄国王が明に朝貢した(p25)

    ・琉球の全盛は室町時代、明が日明貿易を遣明使に限定したが、琉球王国には人口に不相応な貿易枠を与えたので中継貿易で潤った、これをポルトガル船が行うことにより繁栄が終わった(p26)

    ・日清戦争にて得た遼東半島を三国干渉により放棄したが、日露戦争後に、先端部の関東州の権利を引き継いだ(p31)

    ・日本人は血縁的には単一でない、容貌も多彩、言葉はアルタイ系言語に近い文法構造と、南方のオストラネシア系の単語でできあがっている。言葉は縄文人の原日本語で、弥生人の影響は少ない(p37)

    ・716年には、高句麗人1700人余りを東国へ移して、埼玉県日高市高麗郡を設置、東京都狛江市、神奈川県大磯町高麗なども同系統、美濃国は715年に新羅人を、武蔵野国新羅郡(のちに新座)と移住させた(p42)

    ・大陸からの脅威が衰え文化の受容もひと段落すると、徴兵による国軍はコストにひきあわなくなり、国司に丸投げする受領制、民間委託である荘園制が発展した。それを支えたのが民間警備業者である武士であった(p44)

    ・徳川幕府は、主要都市を含む全国の4分の1ほどの領地は幕府代官が治め、残りは大名の領国として統治が任されている(p45)

    ・鈴木の名字は、植物のススキという、やまと言葉に由来するもので「鈴」「木」という漢字は当て字で意味はない(p50)

    ・奈良時代に出された勅令「好字二字令」で、国名や郡名は二字で、しかも印象の良い字に統一させたので、地名のもとの意味はほとんど不明(p50)

    ・醍醐天皇のころには、全国で合計582の郡が上げられている(p61)

    ・全国の県庁所在地において、城下町でなかったのは、札幌・千葉・横浜・新潟・長野・奈良・神戸・長崎・宮崎・那覇のみ(p64)

    ・江戸時代の日本は、大名領(藩)は全体の75%ほど、残りは幕府の直轄領(400万石)、旗本領、寺社領、公家領であった、経済力では25%以上(p72)

    ・幕府領では支配は緩やか、年貢の取立ても鷹揚で領民には幕府の直接支配がもっとも好まれた、預かり地はその次、大名領への組み入れは嫌がられた(p74)

    ・京都という名前が定着したのは明治維新後に京都府が設けられてから、地名の本来の呼び名は「平安京」(p76)

    ・室町時代の京は、烏丸・室町・今井川・上立売に囲まれた花の御所であった、中国風には太政大臣を「相国」、参議を「宰相」、中納言を「黄門」、近衛大将を「大樹」と呼んだ(p87)

    ・例えば、会津の松平容保は、朝廷との関係では「源」、正式名は、源肥後守容保で、松平は通称、松平容保という呼び方は、明治になってからの戸籍法での姓名の考え方で現代風に呼んでいる(p91)

    ・昭和18年までは現在の23区が東京市、三多摩地区などは東京府、政府の統制をより強力にするために、東京市を廃止して一部の機能は特別区に渡して残りは東京府に吸収させるかたちで東京都ができた(p110)

    ・平安時代に江戸重継という武士が11世紀に居館を構えた、江戸氏が本拠を構えたから江戸なのではなく、江戸を本拠としたので江戸氏と名乗った(p116)

    ・幕末期、最後の将軍である徳川慶喜は京都にあって、京都は名実共に首都であった。東京への正式遷都はない。明治3年に京都への還幸延期を発表、16年に即位の礼を京都で実施、大正4年、昭和3年も京都で即位礼が行われたが、平成2年は東京にて行われた(p131)

    ・明治11年に都区町村編制が実施され、江戸時代の「江戸市中」を15区に分けて、各郡(豊島、葛飾、荏原、足立)か独立させた。(p133)

    ・東京都のうち23区以外で島嶼部を除く地域を三多摩という、この地域が、北多摩郡・西多摩郡・南多摩郡にわかれていたから(p135)

    ・明治政府は、旧幕府領については、府・県に再編成して直轄領としたが、版籍奉還によって大名領についても、大名を知藩事として任命して公式名称として「藩」が誕生した、廃藩置県では、藩をすべて県と改めて、政府が任命した県令に統治させた(p144)

    ・城が残されたかどうかも官軍賊軍と関係ない、姫路・松山・備中松山城は西日本における幕府方の中核であったが、現在もっとも保存状態の良い城である、長州藩の萩城は真っ先に壊された(p151)

    ・県庁について、都市名か郡名かの判断で郡名を避けたものの中には、熊本の飽田、愛媛の温泉のようにネーミングとして県名にふさわしくないもの(p154)

    ・明治体制では、市町村は自治体で、県庁は内務省の出先で、知事も主に官僚が任命され警察トップでもあった。横浜は東京と同じ武蔵国、兵庫は大阪と同じ摂津国だから、横浜や神戸に県庁をおけない、なので武蔵国の三多摩・横浜・川崎などを分離して小田原を県庁とした。神戸も、播磨・但馬がひとつの県になる中で県庁となり姫路が犠牲となった(p156)

    ・幕末の神奈川と兵庫の開港要求に対して、神奈川は宿場町であり外国人とのトラブルが予想されたので、南にあった横浜を開港地とした。県名に神奈川が使われたのは、幕府の出先が神奈川奉行所だったから(p156)

    ・神戸も横浜同様に、幕府の役所の名前が兵庫だったから県名に使われた(p157)

    ・県庁所在地でもっとも多いのは、元城下町、旧幕府領で県庁所在地になったのは、東京・横浜・新潟・大津・甲府・京都・大阪・奈良・神戸・長崎がある(p158)

    ・彦根は県庁になっていないが、普通は県庁所在地にしかない施設をもっている、気象台(この例外は、他には銚子・熊谷・下関)と、教育機関である「一中」、明治19年に文部省が各府県の高等尋常中学をひとつにだけとする命令をだしたのに由来する(p162)

    ・明治になり小学校をつくる必要もあり、300-500戸数で村とすることで、7.1万から1.5万に再編成(明治22)されて市町村となった、昭和22年の地方自治体法施行には1.05万に減少、新制中学新設のため、昭和の大合併により3472市町村(556,1935,981)、最後の平成合併は、1719市町村(789,746,184)となった(p175)

    2014年7月13日作成

  • あま市が地名ワースト1とかっっっっっ

    全国に数え切れないほどある地名のなかでワーストとしてあげられちゃうとは・・・・よっぽどセンスない名前と見られたのでしょう。

    まあ、別に反論はしないけど笑

    日本 にっぽん、にほん の由来とか
    コリア←高麗 チャイナ←支那 とか、いろいろ面白く読みました。
    日本史詳しくなすぎで読みづらいとこも多かったけど、
    ○籐さん(藤原姓からきている)の話もわりとまとめて書いてあって知識として役立ちそう。
    あとは地名に意味があるところや、完全に当て字なところや。色々あって興味深かったです^^

全10件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1951年、滋賀県大津市に生まれる。東京大学法学部を卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。北西アジア課長、大臣官房情報管理課長、国土庁長官官房参事官などを歴任。在職中にフランスの国立行政学院(ENA)に留学。現在は徳島文理大学大学院教授を務めるほか、作家、評論家として活躍中。著書は150冊を超え、ベストセラー『江戸三〇〇藩 最後の藩主』(光文社新書)のほか、近著に『365日でわかる世界史』『365日でわかる日本史』(清談社Publico)、『日本の総理大臣大全 伊藤博文から岸田文雄まで101代で学ぶ近現代史』(プレジデント社)、『日本人のための日中韓興亡史』(さくら舎)、『歴史の定説100の嘘と誤解 世界と日本の常識に挑む』(扶桑社新書)、『令和日本史記 126代の天皇と日本人の歩み』(ワニブックス)、『誤解だらけの韓国史の真実』『誤解だらけの平和国家・日本』『誤解だらけの京都の真実』『誤解だらけの皇位継承の真実』『誤解だらけの沖縄と領土問題』(イースト新書)、『消えた都道府県名の謎』『消えた市区町村名の謎』『消えた江戸300藩の謎 明治維新まで残れなかった「ふるさとの城下町」』『消えた国家の謎』(イースト新書Q)など、日本史、西洋史、東洋史から政治、経済、文化など多方面でリベラル・アーツを重視する斬新な視点で話題となる。

「2022年 『家系図でわかる 日本の上流階級』 で使われていた紹介文から引用しています。」

八幡和郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×