新版 偽書『武功夜話』の研究 (歴史新書y 44)

  • 洋泉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800303592

作品紹介・あらすじ

『武功夜話』は、江戸時代まで遡る可能性があるから「偽書」でないという意見がある。しかし、「偽書」とはその史料の成立年代だけが問題なのではない。資・史料の作成者の名義を偽るという重要な要素がある。『武功夜話』はその点に疑いがあるのだ。本書が新版で刊行される意義のひとつは、そもそも「偽書」とは何かという根本的な問いを含んでいる。

感想・レビュー・書評

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  • 佐藤雅美先生の楼岸夢一定好きだったのに~
    信長の棺も好きだったのに~
    あああ、質の悪い偽書でもしんっじるのは、
    読者が騙されたがっているからなんですね

  •  『武功夜話』を偽書とするか否かについては諸説あるが、偽書とするのが妥当と思える。本書で指摘している通り他の史料と整合性が取れていないだけでなく、同じ本の中にさえ矛盾がある点は見逃せない。確かに伝聞やいくつかの記録を集めたものであることを鑑みれば矛盾が含まれることだけで偽書とするのは早計であろう。しかし本書が指摘するように、「本人が残したとされる本人に関する記述」に間違いがあるようではデタラメであると言わざるをえない。
     本書は『武功夜話』が偽書であることの説明を試みているが、ここで使われている手法は、ある事件が他の史料でどのような記述がなされているかを突き合わせる、ある言葉がその次代に使われていたのかを検証するというものである。これは史料の正当性を確認する作業としては歴史研究家においては一般的なのだろうが、そうであるがゆえに非常に不親切な書き方となっている。例えば手紙の書き方が「書札礼」に従っていないことを指摘しているが、その「書札礼」がどのようなものであるか、他のちゃんとした手紙ではどのようになっているのかを示していない。歴史研究家にはそれで通じるのかもしれないが、本書を読むであろうそうでない人に対して不親切である。
     もう一つ。著者らは『武功夜話』を評価・宣伝したマスコミや有名作家、研究者を批判している。しかしこれは著者らにも当てはまるように思う。「……当時は批判する気にならなかった。この程度の偽文書や偽絵図が世間に通用するとは思わなかったし、……」と言って何もしなかったのは批判の矛先を向けているマスコミや有名作家、研究者らと同罪であると感じる。当初から疑問が付いていたのと広まってから疑問が付いたのでは世間の見る目が変わってくる。一言「おかしい」と批判していれば、今のようなややこしい事にはなっていなかっただろう。

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