感染症の世界史

著者 :
  • 洋泉社
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800305541

作品紹介・あらすじ

微生物(ウイルス・細菌・寄生虫)の最新遺伝子情報、40億年の地球環境史の視点から、人類を苦しめる感染症の正体を暴く問題作!!最強の感染症=エボラ出血熱を人類は押さえ込めるのか!?

感想・レビュー・書評

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  • 【琉球大学附属図書館OPACリンク】
    https://opac.lib.u-ryukyu.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB17520312

  • 改めて思いましたが、なんと感染症が多くてその危険に晒されているか。人口増加と交流拡大という歴史的必然ですね。遺伝子分析という手法でウイルスも含む生命の歴史が解き明かされ、感染症がいかに人類の歴史に影響を与えてきたのか良く分かりました。そしてその頻度は今後も増えていかざるをえないのですね。歴史的必然なので。「すべての災害の中で、感染症は最も人類を殺してきた」、なるほど。また、日本が「感染症後進国」という事実。今回のワクチンの件もうなずけます。

  • 1.感染症について興味が出てきたので、軽く調べることにしました。

    2.人類は感染症と向き合って生きながら生活していきます。しかし、感染症は常に人間に脅威をさらし、かつ想像を上回る被害を出してきます。人や動物の生活が変化したり、未知の動物と接触したりすることで何らかの作用を引き起こし、ウイルスと結合し、新しい感染症となります。ペスト、エボラ出血熱、スペイン風邪などの感染症がどのような経緯で人間に被害を与えていくのかを述べています。

    3.感染症が発症する理由は主に2つだと思いました。まず、不衛生な動物と接触することで人間の保有しているウイルスと結合します。今回のコロナウイルスに関していえば話題になっている「蝙蝠」がカギになっているのだと思います。次に人間の生活が変化していることです。かつて、農業開発を行い、森林伐採を行ったことで自然が減少してきます。それにより、動物たちが町中に出没したり、天敵が減少することで人間との接触機会が増えてしまいます。
    これを考えると、現代では多くの自然が無くなっています。これにより、生活が豊かになる一方で、動物たちの環境が変化していきます。つまり、人間との接触機会が増えていくのではないかと私は懸念しています。近年、途上国の多くは経済成長を果たしたにもかかわらず、不衛生な場所が依然として残っています。このような場所が感染源となり、感染症を引き起こしていくと思います。完全に消毒することが難しく、かつ動物を食べることも禁止するにはかなり難しい状況下で、感染症を防いでいくのは厳しいと実感しました。

  • 面白かった。
    が、参考文献があいまいで、段ボール饅頭やマックの古い鶏肉など、真偽の定かでないニュースもないまぜになっているため、そのまま信用していいかはわからない。

    発想がよいため星4つ。

  • ヒトの歴史と切っても切れない病気。今を乗り切るには歴史を知らねばならない。
    今巷を騒がせているコロナウィルスについての理解を深めるために読んだ。知らずに一方的にメディアやネットの情報を見ていると、不安になるばかりである。落ち着いて今何をすべきか、冷静に考える心を持ちたい。

    [目次]
    序章 エボラ出血熱とデング熱-突発的流行の衝撃(最強の感染症=エボラ出血熱との新たな戦い
    都心から流行がはじまったデング熱)
    第1部 二〇万年の地球環境史と感染症(人類と病気の果てしない軍拡競争史
    環境変化が招いた感染症 ほか)
    第2部 人類と共存するウイルスと細菌(ピロリ菌は敵か味方か-胃がんの原因をめぐって
    寄生虫が人を操る?-猫とトキソプラズマ原虫 ほか)
    第3部 日本列島史と感染症の現状(ハシカを侮る後進国・日本風疹の流行を止められない日本 ほか)
    終章 今後、感染症との激戦が予想される地域は?(感染症の巣窟になりうる中国
    相つぐ食品スキャンダル ほか)
    「BOOKデータベース」より

  • 世界の湿地は、過去半世紀に50%が失われた。日本でも50%が消失した。また、アジアなどの水田地帯では、増産の圧力から休耕期をおかずに耕作するようになったため、カモの餌場が縮小し続けてきた。その結果、カモなどの水禽類の越冬地は狭められて過密になり、ウイルス感染の機会が格段に増えた。

    1960年前後から次々に独立を果たしたアフリカでは、政治と経済の混乱の中で深刻な干ばつが発生し、各地で伝統的な農村社会が崩壊した。その結果、仕事を求める人々が都市へ流入し、セックスワーカーとして働く女性も集めってきたことで、HIVが持ち込まれ、広がったと考えられる。

    コンゴなど西アフリカのフランス語圏では、1960年前後の独立時に、旧宗主国のフランス人やベルギー人が追放された。その穴を埋めるために、ハイチから教師や技術者などの専門職が招かれた。彼らがHIVを持ち帰ったことから、1966年頃に最初のエイズがハイチで発生したらしい。ハイチはアメリカなどからのゲイのツアー客に人気が高かったため、彼らがHIVをアメリカに持ち込んだことで広がったと考えられる。

  • 非常に興味深く読んだ。
    各種感染症が人類を発展させたといってもよいのだ。
    人体にはそれこそ細菌やウイルスがごまんと存在し、実際にそういった細菌などが人体の中で重要な役割を担っている(例えば腸内で活躍する乳酸菌など)。つまり、人体に細菌がなければ人間は生きていけないのだ。その数と質量(体内に存在する細菌やウイルスをかき集めると数キロ以上になるらしい!)の多さには改めて驚かされた。

    本書は「世界史」ということで、過去に猛威を振るった各種伝染病などが詳細に描かれていて勉強になったが、細菌や病原菌の人間に対する歴史的役割などはジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』の方が分かりやすかったかな。

  • こんなにたくさんの感染症があるとは思わなかった.インフルエンザ,ハシカ,風疹が馴染みがあったので,詳しく読んだ.縄文人と弥生人が持ち込んだ白血病と結核の実態には驚いた.遺伝子の解析で発生時期や突然変異などが判明するのも凄いことだ.国内でも感染症の危険性があることを認識できた.

  • 医療分野に進学しようと思っているので、大変勉強になりました。
    近年話題になったデング熱やエボラ出血熱など凄く怖くて対策がまだできないところなど恐ろしいと感じました。
    医療は日々進化していますが、今でさえ追いついていないように思えました。

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著者プロフィール

1940年東京都生まれ。東京大学卒業後、朝日新聞入社。ニューヨーク特派員、編集委員などを経て退社。国連環境計画上級顧問。96年より東京大学大学院教授、ザンビア特命全権大使、北海道大学大学院教授、東京農業大学教授を歴任。この間、国際協力事業団参与、東中欧環境センター理事などを兼務。国連ボーマ賞、国連グローバル500賞、毎日出版文化賞をそれぞれ受賞。主な著書に『感染症の世界史』『鉄条網の世界史』(角川ソフィア文庫)、『環境再興史』(角川新書)、『地球環境報告』(岩波新書)など多数。

「2022年 『噴火と寒冷化の災害史 「火山の冬」がやってくる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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