日本怪獣侵略伝 ~ご当地怪獣異聞集~

  • 洋泉社
3.57
  • (0)
  • (4)
  • (3)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 19
レビュー : 1
  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800306135

作品紹介・あらすじ

20××年、日本列島は怪獣頻出期に突入した。現れた怪獣は皆、出現地の名物・名産の形状や特色を反映していたため、『ご当地怪獣』と呼ばれた。縄張り意識が強い彼らは、やがて境界を巡って相争うようになる。世に言う怪獣戦国時代の幕開けである-。人気特撮脚本家とイラストレーターが夢のコラボ!超豪華タッグによる怪獣短編小説集-!!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 「ご当地怪獣」という企画で日本の津々浦々その地域の特徴的なアイテムを怪獣化したデザインと造形作品で地域復興させようという企画の小説版は5話から成る短編集。「おちゃらけ企画」と思うなかれ。小説はしっかり≪その筋≫では著名な脚本家が真面目に取り組んでおり、ストーリーのバリエーションは非常に豊富。
    第一話 新潟県「ヨビコの文様」縄文怪獣ドキラ登場 村井さだゆき著 縄文時代と現代を新潟県魚沼の地より出土した火焔式土器にまつわる輪廻で繋ぐ男女の時を超えたロマンスと二人にとって因縁浅からぬ荒ぶる神「ドキラ」の存在を絡めたファンタジー作品。ラストは、なかなかどうして、グッと来る。
    第二話 東京都「十二回幻想」幻影怪獣ジューニガイン登場 小中千昭著 明治時代、浅草の名所「凌雲閣(浅草十二階)」にまつわる謎と怪奇のサスペンス。序盤に登場する「平井」とは平井 太郎。後の江戸川乱歩その人という演出で始まるストーリーは、実相時昭雄監督作品「帝都物語」へのオマージュ。謎、また謎のサスペンスは時を越え舞台は現代へ。そしてジューニガインによって「帝都」東京は驚天動地のクライマックスへ!!小中千昭氏、前出の「怪獣文藝の逆襲」での『トウキョウ・デスワーム」では、かなりがっかりしたのですが、 今作は凄かったです。メチャクチャ『力』入ってます♪久しぶりにオカルティック怪獣ストーリー「小中千昭作品」を堪能。
    第三話 大阪府「新喜劇の巨人」おせっ怪獣ヒョウガラヤン登場 中野貴雄著 大阪は第二の怪獣ランドマークの地。しかし、関西弁と独特のノリの怪獣作品は皆無だった。十三(じゅうそう)を舞台におばちゃん達が繰り広げるコテコテの「新喜劇」のノリで展開するコメディー作品。こんな話を観たかった!、いや、もう、コテコテ「吉本新喜劇」の舞台中継のような演出。やばいです。ベタベタギャグあり、パロディあり、パクリあり、強力なオバチャンあり。たぶん一番楽しい作品。
    第四話 千葉県「南総怪異八犬獣」伝奇怪獣バッケンドン登場 會川昇著 「南総里見八犬伝」にまつわる騒動を通して君主に対する「忠」と「義」の在り方をテーマにしたストーリーは、現代における会社の終身雇用制度の崩壊に揺れるサラリーマンの姿にオーバーラップさせる演出は実に見事。バッケンドン、それはまさしく「大魔神」の再来!
    第五話 神奈川県「女は怪獣 男は愛嬌」少女怪獣レッシー登場 井口昇著 岩崎きみの身の上を題材にした童謡「赤い靴」にインスパイアされた、レッド・シューズを略した名を冠された怪獣「レッシー」を鬼才(!)井口昇監督の趣味主張が色濃く反映された『読む者を選ぶ』奇想天外な怪獣小説。
    ボーナストラック<番外編> 沖縄県「ヒーカジドン大戦争」台風怪獣ヒーカジドン登場 空想特撮映像作品における脚本界の重鎮 上原正三氏の描く、沖縄を舞台にした怪獣小説。超大型台風を発生させ 沖縄に現われた怪獣に『防衛』を旗印に一方的に攻撃を仕掛ける人類。しかし、実は人類によって引き起こされた「地球温暖化」を相殺する為に地球の「魂=マナ」が実体化した姿だった。
    駐留米軍の主導により、自衛隊、韓国、台湾、中国による「アジア連合軍」による一斉攻撃に、しかし、怪獣の反撃する方法は大戦の沖縄で死んでいった全ての兵士や兵器を「蘇らせて」これを抑止する。日本で唯一、戦場となった沖縄出身の作者だから描ける、戦争を<させられた>琉球の民の目線で描かれた「怪獣との戦い」。今から43年前の5月15日は「沖縄返還の日」。しかし、今も沖縄はアメリカの駐留基地問題で揺れている。43年前の『存在』と、なにも変わらない、変わる事を≪許されない≫沖縄の存在に胸が締め付けられる。

全1件中 1 - 1件を表示

村井さだゆきの作品

ツイートする