EV新時代にトヨタは生き残れるのか「電気自動車」市場を巡る日独中の覇権戦争
- 洋泉社 (2017年11月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
- / ISBN・EAN: 9784800313652
感想・レビュー・書評
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第5次EVの世界的潮流をドイツの完成車メーカーとコンチネンタルとボッシュと言う世界的な自動車部品メーカーが、日系メーカーつぶし、世界的なデファクトを取るために100年に1度の変革とブームを作ったという内容が相当に現実的で面白かった。
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私が結婚した頃(1994)だったと思いますが、冬季五輪の複合という種目で日本人選手が物凄く強かったです。ジャンプの後のクロスカントリーのゴールでは、日の丸の旗を持って余裕の優勝だっとのを記憶しています。
それとダブって思えるのが、今の日本のメーカ(特にトヨタ)のハイブリッド車での成功です。向かう処、敵なしという状況でしょうか。それに対して、欧米・中国では、ルールを変更(戦う場所を変える)することで、自動車メーカとして勝利しようとしています。それが完全電気自動車の進展です。
この本ではプリウス潰しに動いた、第三次ともいわれる電気自動車ブームについの解説がなされています。果たして今回のブームは大化けするのでしょうか、インターネットの前に似たような技術が出ては無くなっていきましたが、最後にはインターネットは普及しました。今回の電気自動車がどうなるのか、ここ数年目が離せないですね。
以下は気になったポイントです。
・直近でのEVシフトの元凶は、仏・英・印ではなく、明らかに中国にある。2019年から中国で実施されるNEV法(2018年施行)によって自動車メーカはEV,燃料電池車、プラグインハイブリッド等の電動車の販売台数の義務を負う、NEV法にはカリフォルニア州のZEV法もかかわっている。(p7、39)
・カルロスゴーンはパリで、アライアンス2022を発表し、ルノー日産三菱で、共通プラットフォームを採用し、12種のEVを市場導入すると発表した(p32)
・自動車業界の4つの新潮流の融合、1)EV,2)AV(自動運転)、3)CV(コネクテッドビークル)、4)Mass(シェアリングなど自動車の新たなるサービス領域)である(p35)
・一般的な顧客がEVを乗用車として見た場合、充電時間や再販価格などに対する不安が払しょくされていない(p36)
・現在のEV需要は、0.6%、車種別売上では、日産リーフが1位:5.1万台、二位がテスラモデルS、6位以降は中国メーカが続く(p43)
・EVの欠点、1)製造コスト、販売価格が高い(リチウム二次電池は新車価格の4分の1を占める)、2)航続距離が短い、3)充電インフラ未整備(p48)
・米中両国でEVバブルがはじけたのは、フィスカー、リチウムイオン二次電池関連企業が経営破たん、中国では「十城千両」の実証試験で達成目標に至らない都市が続出し、2012年にフェードアウトした(p57、112)
・ダイムラーは、CASEという戦略、コネクテッド、オートノーマス(自動運転)、シェアリング、エレクトリック(p70)
・ロールスロイスはBMW、ベントレーはVW、ジャガーとランドローバーはタタ、アストンマーチンは中東企業ファンド、ロータスはジーリ(中国)に経営権が移った(p81)
・アップルが目指す方向は、自動運転を管理するソフトウェア、クラウドとのデータ連携システム(p94)
・第5次EVブームは、1)VWの排ガス不正問題の反動、2)欧州CO2規制、NEV法の法規制を建前、3)ドイツ連合が巧妙に仕掛けたマーケティング戦略とみられる(p106)
・ボルボは2019年以降、全車種に電動車を投入する戦略を出している、ドライブスウェーデンの実施期間2016-19がその準備期間(p126、139)
・2010年に携帯電話を通話で使用するデータ量と、メール等デジタルツールとして使用するデータ量が同じになった、2013年にはその差は10倍となり、音声はノイズと言われるようなった(p143)
・トヨタは全固体電池ありきの近未来型EVの開発に偏りすぎてはならない、現状のリチウムイオン二次電池の改良による早期EVプラットフォーム開発もありえる(p157)
・2011年の中期計画パワー88では、2016年までに累計150万台を販売すると公約したが、2017年の7月までで48万台(p159)
・トヨタは2021年までに、販売する全車種にクラウドと情報のやりとりをする、データ・コミュニケーション・モジュール(DCM)を搭載する(p205)
・セグウェイは2015年に中国のナインボットに買収されたが、これはセグウェイの模倣品を製造販売していた企業(p212)
2018年1月8日作成