EV新時代にトヨタは生き残れるのか「電気自動車」市場を巡る日独中の覇権戦争

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  • 洋泉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800313652

感想・レビュー・書評

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  • 第5次EVの世界的潮流をドイツの完成車メーカーとコンチネンタルとボッシュと言う世界的な自動車部品メーカーが、日系メーカーつぶし、世界的なデファクトを取るために100年に1度の変革とブームを作ったという内容が相当に現実的で面白かった。

  • 中国…2019年より電動車の販売台数義務
    →PHEVは含まれるがHVは含まれない
    インド…2030年より国内販売はEVのみ
    英仏…2040年より国内販売はEVのみ

    トヨタはEVを短距離移動のシティコミューターと位置付けていたが、中国の動向によりEV事業推進室を立ち上げ、2020までにEV量産

    EV販売台数…リーフ、テスラモデルS、BMW i3
    中国にEVベンチャー数百社

    1990-2015カリフォルニアZEV法、オバマ グリーンニューディール政策、中国EV開発推進によりEVバブル
    EVバブル崩壊、米国にてリチウムイオン二次電池関連企業の経営破綻を経て第5次EVブーム?
    課題①コスト高②航続距離が短い③充電インフラ未整備
    電池性能の劇的な向上は難しい、充電インフラは増えているが時間がかかるのがネック、価格は電池連動

    フォルクスワーゲンは排ガス不正を経て2025年に向けてEV推進(100万台製造)へ方針転換
    ダイムラーはCASEとくくって2025年にプレミアムEVリーダーを目指す
    BMWもEVシフトへ、ジャーマン3はメガサプライヤーを巻き込んでデファクトスタンダード目指す

    ダイソンのEV参入、日系電機は既に部品メーカーとしての事業あるため追随は難しい

    GM、フォード、FCAは米国のEV施策の今後が見えず低迷

    アップル、Googleは競争激化により、自動運転車全体の開発からシステム構築へ集中

    中国は補助金により異業種からの流入もあり競争激化、中国は燃料電池プラグインハイブリッドからの燃料電池車の世界制覇を目指している

    インドもEV政策へ積極的な意向

    CASEそれぞれを検討する会社は多いが、複合的、総括的な事業戦略は描けていない

    ボルボの全車種電動化とファクトリーデリバリー等のサービスによる高級化
    ドライブスウェーデン

    電池はトヨタのこだわる全固体とのつなぎにリチウムイオン二次電池の高機能化があるはず

  • 私が結婚した頃(1994)だったと思いますが、冬季五輪の複合という種目で日本人選手が物凄く強かったです。ジャンプの後のクロスカントリーのゴールでは、日の丸の旗を持って余裕の優勝だっとのを記憶しています。

    それとダブって思えるのが、今の日本のメーカ(特にトヨタ)のハイブリッド車での成功です。向かう処、敵なしという状況でしょうか。それに対して、欧米・中国では、ルールを変更(戦う場所を変える)することで、自動車メーカとして勝利しようとしています。それが完全電気自動車の進展です。

    この本ではプリウス潰しに動いた、第三次ともいわれる電気自動車ブームについの解説がなされています。果たして今回のブームは大化けするのでしょうか、インターネットの前に似たような技術が出ては無くなっていきましたが、最後にはインターネットは普及しました。今回の電気自動車がどうなるのか、ここ数年目が離せないですね。

    以下は気になったポイントです。

    ・直近でのEVシフトの元凶は、仏・英・印ではなく、明らかに中国にある。2019年から中国で実施されるNEV法(2018年施行)によって自動車メーカはEV,燃料電池車、プラグインハイブリッド等の電動車の販売台数の義務を負う、NEV法にはカリフォルニア州のZEV法もかかわっている。(p7、39)

    ・カルロスゴーンはパリで、アライアンス2022を発表し、ルノー日産三菱で、共通プラットフォームを採用し、12種のEVを市場導入すると発表した(p32)

    ・自動車業界の4つの新潮流の融合、1)EV,2)AV(自動運転)、3)CV(コネクテッドビークル)、4)Mass(シェアリングなど自動車の新たなるサービス領域)である(p35)

    ・一般的な顧客がEVを乗用車として見た場合、充電時間や再販価格などに対する不安が払しょくされていない(p36)

    ・現在のEV需要は、0.6%、車種別売上では、日産リーフが1位:5.1万台、二位がテスラモデルS、6位以降は中国メーカが続く(p43)
    ・EVの欠点、1)製造コスト、販売価格が高い(リチウム二次電池は新車価格の4分の1を占める)、2)航続距離が短い、3)充電インフラ未整備(p48)

    ・米中両国でEVバブルがはじけたのは、フィスカー、リチウムイオン二次電池関連企業が経営破たん、中国では「十城千両」の実証試験で達成目標に至らない都市が続出し、2012年にフェードアウトした(p57、112)

    ・ダイムラーは、CASEという戦略、コネクテッド、オートノーマス(自動運転)、シェアリング、エレクトリック(p70)

    ・ロールスロイスはBMW、ベントレーはVW、ジャガーとランドローバーはタタ、アストンマーチンは中東企業ファンド、ロータスはジーリ(中国)に経営権が移った(p81)

    ・アップルが目指す方向は、自動運転を管理するソフトウェア、クラウドとのデータ連携システム(p94)

    ・第5次EVブームは、1)VWの排ガス不正問題の反動、2)欧州CO2規制、NEV法の法規制を建前、3)ドイツ連合が巧妙に仕掛けたマーケティング戦略とみられる(p106)

    ・ボルボは2019年以降、全車種に電動車を投入する戦略を出している、ドライブスウェーデンの実施期間2016-19がその準備期間(p126、139)

    ・2010年に携帯電話を通話で使用するデータ量と、メール等デジタルツールとして使用するデータ量が同じになった、2013年にはその差は10倍となり、音声はノイズと言われるようなった(p143)

    ・トヨタは全固体電池ありきの近未来型EVの開発に偏りすぎてはならない、現状のリチウムイオン二次電池の改良による早期EVプラットフォーム開発もありえる(p157)

    ・2011年の中期計画パワー88では、2016年までに累計150万台を販売すると公約したが、2017年の7月までで48万台(p159)

    ・トヨタは2021年までに、販売する全車種にクラウドと情報のやりとりをする、データ・コミュニケーション・モジュール(DCM)を搭載する(p205)

    ・セグウェイは2015年に中国のナインボットに買収されたが、これはセグウェイの模倣品を製造販売していた企業(p212)

    2018年1月8日作成

  • ZEV法やNEV法は、突如できたわけではなく、当然ながら規制への対応期間としてかなり前から告知されていた。
    それにも関わらず、世界的に突如EVに方向転換を切り始めたのは違和感を感じていたが、その点での筆者のジャーマン3の世界戦略という見立ては面白かった。

    中国としてはそこで覇権を取れる確率が高いのであれば、急な法改正や発表、国を挙げての方向転換も簡単なため、フィットしているように見える。

    一方で、中国がそういう動きをする以上、第三者的に見ているわけにはいかず、対応せざるをえない、でも量がさばけてくる=儲かるのは少し先になるため、合従連衡を組む方向は間違っていないと思っている。

    スバルにスズキにダイハツ、日野も先日発表のあった通り。日本はトヨタ、日産、ホンダ(アリババとの提携発表が出たが)の3チームで、世界に挑んでいくのだろうが、ホンダの動きに注目したい。

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