LOVED 市場を形づくり製品を定着に導くプロダクトマーケティング
- 日本能率協会マネジメントセンター (2023年7月16日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784800591210
作品紹介・あらすじ
最高の製品であっても、市場では負けてしまう。「負け組」と「勝ち組」はどこで勝負がつくのか。それは、より優れたプロダクトマーケティングを持っているかどうかだ。優れたプロダクトマーケティングは、市場に投入する最良の方法を指示することである。これにより市場のプロダクト評価が形づくられ、プロダクトのストーリーが語られるきっかけとなる。『INSPIRED』『EMPOWERED』に続くSVPGシリーズの一つである『LOVED』は、プロダクトチーム、マーケター、起業家、そして製品とビジョンを持つすべてのリーダーに向けて、最高のプロダクトマーケティングの基本を説明する。MicrosoftとNetscapeでプロダクトとマーケティングのリーダーとして活躍し、カリフォルニア大学バークレー校の工学部大学院講師でもある著者が何百もの企業とのコラボレーションから得た教訓を抽出し、現代のプロダクトマーケティングの決定版としたのが本書だ。プロダクトマーケティングの四つの基本やプロダクトマジャーなど他職種との連帯、GTM戦略やメッセージングのキャンバスなどが多くのシリコンバレーの事例とともに紹介されている。『LOVED』は、顧客や市場を中心にしたダイナミックな実践によりプロダクトが熱狂的なファンを生み出し、市場での潜在能力を最大限に発揮するための招待状だ。
感想・レビュー・書評
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プロダクトマーケティングとは何かというのを網羅した1冊。プロダクトマーケターではないので自分の中に落とし込めなかったが、こういうことしてるんだなという学びにはなった。
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■プロダクトマーケティングの基本
基本1:アンバサダー:顧客と市場のインサイトをつなぐ
・プロダクトチームと市場をつなぐ
・顧客をセグメンテーションし、ターゲットペルソナを特定する
・競合のダイナミクスを把握する
・カスタマージャーニーと顧客ディスカバリーを把握する
・市場トレンド、競争力あるメッセージングと競争のダイナミクスを把握する
基本2:ストラテジスト:プロダクトのGo-to-Marketを方向付ける
・プロダクト Go-to-Market計画を策定する
・実行と適応を導く
・適切なパイプラインやファネルのダイナミクスを把握する
・ブランディング、パッケージング、 プライシング戦略において協業する
・計画的なマーケティング活動を導き、 整合する
基本3:ストーリーテラー:世界がプロダクトをどう捉えるかを形づくる
・ポジショニングとメッセージング
・Go-to-Market のストーリーを組み上げる/カテゴリーを形成する
・プロダクト中心な主要コンテンツを作成する
・適切なマーケティング活動やデマンドジェネレーションにおいて協業する
基本4:エバンジェリスト:他者がストーリーを語れるようにする
・顧客のストーリー
・アナリスト、メディア、インフルエンサーをイネーブルメントする
・効果的な営業プレイブックと営業ツールを作成し、営業をイネーブルメントする
・ファンダム (熱狂的なファンによるグループ)とコミュニティを イネーブルメントする
■顧客と市場の現実を常に把握するために、最低限実践すべきプロダクトマーケティングの基本
・顧客と直接対話する。 理想的には毎週。
・顧客や見込み顧客向けの、自由回答形式の標準的な質問リストを用意する。
・プロダクトチームとGo-to-Marketチームの議論にインサイトを反映させる。
・最も重要なインサイトを書き出し、簡単に共有と活用できるようにする。
■CAST
メッセージングが顧客の聞きたいことに根差しているかをチェックする指針
1. クリア(Clear)。何をするのかが明確で、好奇心がそそられる理由があるか?網羅的であることを目指しすぎて、明快さを妨げていないか?
2.オーセンティック(Authentic)。顧客にとって感情に訴えられる、意味のある言葉を使っているか?顧客が「わかってもらえている」と感じられるように語っているか?
3.シンプル(Simple)。何が魅力的で、他と何が違うのかがわかりやすいか?顧客は何が他よりも良いのかがわかるか?
4.テスト済み(Tested)。顧客が実際に経験する状況下で繰り返しテストされたか?
■強力なプロダクトマーケターの主なスキル
・顧客に対する深い好奇心と強力な傾聴力
・プロダクトに対する真の好奇心
・戦略的かつ強い実行力
・コラボレーション
・口頭と文字での強力なコミュニケーション能力
・幅広いマーケティングの知識
・ビジネスへの精通
・技術的な能力
私がマーケットフィットという時は、「プル型のマーケティング」をディスカバリーすることを意味している。顧客が、あなたのプロダクトのことを調べ、試し、買うという行動を起こしたくなるほど、あなたのプロダクトを必要とし、欲しいと考える要素はなんだろうか?そして、そのパターンが繰り返されるようになる要素は何だろうか?
プロダクトのユーザビリティ、実現可能性、そして事業実現性以上に、価値に関するプロダクトディスカバリーは、この答えを見つけるためのものである。それは最も難しく、かつ最も重要な精査すべきリスクであるにもかかわらず、あまり発展させられていない傾向がある。
ユーザーは多くのケースで、「使うはずだ」「買うはずだ」と言うが、これによってプロダクトが本当に望まれていると誤解してしまうことがあるテストや何かしらの手法の結果で、現実的に十分な市場環境だと意思決定して行動を決めるのは、常に正しいとはいえない。
マーケットフィットを判断するためには、ディスカバリー活動から得たインプットを、現実の条件の中で人々が本当に望んでいることに当てはめて考える必要がある。競合がひしめく市場、対立する優先順位、限られた予算、十分にうまく行っていて満足している、という状況だとすると、人々はどのように行動するだろうか?
価値のディスカバリー活動は、「このソリューションを買うか?我々のプロダクトを買うか?いくらで買うか?」という質問を超えた探索でなければならない。マーケットフィットを評価するためには、行動をとる動機や緊急性を生み出す市場の状況を、より深く探求する必要があある。時には、プロダクトの流通方法も考える必要が出てくるだろう。
■ディスカバリー活動で常にカバーすべきポイント
・あなたの顧客はあなたが思っている通りの人たちだろうか?
・あなたが考えている問題を本当に抱えているだろうか?
・現在、顧客はその問題をどのように解決しているだろうか?
・解決方法を切り替えてもらうために何が必要だろうか?
プロダクトや市場のディスカバリーが得意かどうかを見分ける、特別な資質が一つある。それは、傾聴(アクティブリスすニング)力である。傾聴力のある人は、返答や、自分の推測を検証するために話を聞くようなことはしない。あたかも学ぶことが使命であるかのように、オープンに注意深く耳を傾けるのだ。
■プロダクトマーケティングのための指標
【プロダクト指標】
・HEARTメトリクス:幸福度(Hapiness)、エンゲージメント(Engagement)、定着(Adaption)、リテンション(Retention)、タスクの成功(Task Success)
・顧客ファネル指標
【マーケティング指標】
・カスタマージャーニー・エンゲージメント
・MQL(マーケティング・クオリファイド・リード)
・インバウンドディスカバリー
【営業指標】
・営業サイクルタイム
・Winレート
【財務指標】
・プロダクト別のコンバージョン率
・顧客獲得コスト(CAC)
・顧客生涯価値(LTV)
・リテンション(顧客維持)
■プライシングを考える際の基本的な考え方
・プロダクトの価値を反映する指標、かつ価値を提供すればするほど、大きくなるような指標を活用する。
・顧客が頭の中で計算できるくらいシンプルでなければならない
・簡単に測定可能でなければならない
・CFOや調達担当者が他のプロダクトとの違いを比較して理解できるようなものでなければならない
■プロダクトマーケティング候補者に聞いてきた質問
・本当に素晴らしいマーケティングを行っていると思うプロダクトや企業について教えて下さい。何でも構いません。そして、なぜそれが素晴らしいと思うのかも教えてください。
・では、あなたがその「優れたマーケティング」を行っている会社の競合他社でマーケティングリーダーを務めていると仮定してください。あなたがその会社とうまく競り合うために、最も重要だと考えるものを二つか三つ教えてください。
■優れた候補者の回答に求められるもの
・マーケティングツールセットの幅
・急激な変化にはどう対応するか?
・新しい情報に対してオープンか?
・制約事項をどのようにマネジメントするか?
■VPとディレクターを分けるもの
・マーケティングの卓越性にこだわるのをやめる
・「会社>チーム」
・「何」から「なぜ」に向き直る
・専門家でなく、オープンであれ -
正直なことをいうと、本書を読むまでプロダクトマネジメントとプロダクトマーケティングというものをほぼ同一視していた。プロダクトマネジメントの拡大解釈とも言えるし、プロダクトマーケティングの過小評価ともいえる。
本書はプロダクトにまつわる様々な役割の責務の違いを明確にし、そのうえでプロダクトマーケティングの重要なポイントを示してくれる。
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プロダクトマーケティングの基本が分かる。
確かになーって共感するポイントとそんなやり方あるんだって気づきがある