欠落ある写本: デデ・コルクトの失われた書 (フィクションの楽しみ)

  • 水声社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784801002791

感想・レビュー・書評

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  • 凝った作りの小説である。
    トルコ系遊牧民オグズ族の民族叙事詩「デデ・コルクトの書」の元ネタとおぼしき写本が発見され、古文書を研究する私がそれを読むという体裁を取る。
    写本の内容は、いわば正史である「デデ・コルクトの書」の隙間を埋めるもので、登場人物たちは、より複雑に感情、利害をもって動く。
    その暴露話も面白いのだが、合間に全く異なるサファヴィー朝創始者にしてアゼルバイジャン語の詩人であるイスマイール1世の話がはさまる。
    それを、ガンジャ地震(多分、アレッポ地震のこと)が封筒のように囲み、更にその外側に作中の現実世界である私がいる。
    これら全ての話は未完で終わり結論は無い。
    メインのデデ・コルクト部分は、遊牧民の生活習慣や、伝承文学ぽさ、超自然的な力と、人間の普遍的な嫉妬や驕り親子の感情などがあって興味深い。
    構造はちょっと凝りすぎかと思う。構造説明の前書きで危うく挫折しそうになった。

  • 2018-2-27

  • やー面白かったなあ。既にある「デデ・コルクトの書」に登場する世界を、想像力を駆使して膨らませたのが「欠落ある写本」のようだね。

    カップヌードルカレー味食べる時、よく混ぜてるつもりがいつも調味料が溶けきれない。同じくこの本も5分の4位まではボヤけたはっきりしない記述が続くが、底が見え始めた途端に濃厚に面白くなるんだなあ。映像化する場合、武将の長は竹中直人さん、デデ・コルクト(速記者)は緒形直人さんでお願いします。

  • 「失われた」とか「欠落」と言うフレーズに反応しちゃいました。。。

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    秘密は秘密の中に収められ、秘密によって隠される
    文書館に忽然と出現した、古代の謎めいた写本。そこに描かれる、遊牧騎馬民族オグズの部族内で行われるスパイ探しの審問の様子と、サファヴィー朝のシャーの影武者をめぐる逸話、一見すると無関係な二つの物語のテキストは、写本の中で入り交じり、緊張を高めながら、悲劇的結末へと向かう……
    中世チュルク叙事詩の最高傑作『デデ・コルクトの書』に隠された謎を題材に、現代アゼルバイジャンを代表する小説家=文学研究者が書き上げた歴史幻想小説を、本邦初紹介。
    http://www.suiseisha.net/blog/?p=7623

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