- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784801301245
感想・レビュー・書評
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戦前の日本人の生活の様子が垣間見える本。興味を引く内容が多く、これを機に戦前の文化史をもっと知りたくなった。
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面白かったっ!!
ヤクザも昔は任侠者としてかっこよかったみたい
吉田磯吉のファンなった
三井や三菱財閥と庶民の貧富の差は凄まじいな
まさに親ガチャ
いまの時代なんてちょろいもんだと感じた -
自分の祖父母、父母の生きた時代の雰囲気と背景を知り、自分の暮らしている国につながる過去を理解するのに大変役立つ本だと感じた。
この時代というと戦争の暗いイメージが強いし、その時代の話は聞けないのだが、明るい部分や発展的な部分も随分見られる。
小泉純一郎の祖父は全身刺青で「いれずみの又さん」って言われてたというのは知らなくてびっくりした。また、表紙のツェッペリンが日本に来た時の写真を見ると、波平さんのように当時の男性達が外出の際はデフォルトで帽子をかぶっているというのが一目瞭然でわかる。 -
戦前の世俗的な側面について、雰囲気を感じることができた。
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TT6a
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資料として読んだけどとても面白かった!
これってこんな昔からあったんだ!って思うことも多かったし、戦前って思ったより近代化してたんだにぁとか。特にサラリーマンとか住宅事情、デパートの辺り!乞食も衝撃的だった。。
結核のページを読んで、ジブリの風立ちぬで謎だった、なんで外で寝てるの?って疑問が解決しました。
個人的にはおじいちゃんおばあちゃんの子供の頃、青春時代なので、こんな感じだったんだぁと想像できたのも良かったな。 -
現在の日本と今から100年近く前の日本との差異を、書いた本。
特に今との違いが大きいような箇所をピックアップしていて参考になる。
例えば、
戦前のカフェは、現在のカフェよりも風俗店に近く、女給に穴の開いたスカートをはかせて陰部を触ることができたなど、奇天烈。そんな風俗カフェが東京に8000軒あった。
当時電気がない時代、エジソンが発明後7年で日本にも導入されるが当時は電気を使える家は皆無であり、その後輸入された冷蔵庫なども今でいう数百万円の価格であった、夢の夢であった。
ハチ公のストーリーなど。
戦前と戦後では、
常識が変わる。
今の常識が非常識であったことを知れる。
歴史を学ぶことは、
その時々のことのみにとらわれることなく、歴史の大きな流れの中で俯瞰的に物事を見る目が養われる。 -
この本は以前に単行本で出版された本で、私の場合は2009年に読んでおります。最近(2017.10)本屋さんの文庫本のコーナーで見つけまして、久しぶりに読んでみようと思い、手に取ってみました。8年ぶりに読んでみて、その間に歴史・地政学に関する本に触れていたこともあり、以前より興味深く読むことができ嬉しく思いました。
太平洋戦争前後については、日本史の授業で習う機会がなく(時間切れ、若しくは理系の私はその時間、内職をしていたかも)その史実は社会人になってから知ったことが多かったです。
しかしこの本の面白いところは、それまで私が読んできた得た知見とは異なるものでした。戦前の日本はすでに、発展していました、ただしバリバリの資本主義社会・身分社会であったので、国民内部での経済格差は大きかったようです。戦前の仕組みには問題があったかもしれませんが、それは成長を遂げた後での現在との仕組みとの比較であって、当時の経済状況を踏まえれば、日本政府の決断の背景を理解しようとする試みは大切だと思います。
現在の仕組みも、戦中や戦前に完成されたものも多く、このくだりを読んで、野口悠紀雄氏の書かれた「1940年体制」という本を思い出しました。その体制が築かれてから今日で70年を経過しました。そろそろ見直す時期に来ているのだろうか、とこの本を読みながら考えました。
以下は気になったポイントです。
・公娼の条件は、1)尋常小学校卒業以上の学歴、2)親の経済がひっ迫、3)親が不動産をもっていない、当時の公娼は実家の家計を助けるためにやむなく身売りされるケースが多い(p20)
・昭和4年の吉原では、泊まりが3-10円、4時間コースならその半額、当時の3円は現在の貨幣価値では1万円程度(p22)
・公娼制度は戦後、GHQの手によって廃止、その後も赤線地帯として営業を続けたが、昭和33(1958)売春防止法により遊郭、貸座敷は消えたことになった。(p24)
・高級チョコレートで有名な「神戸モロゾフ」「ゴンチャロフ」の創業者は白系ロシア人である(p59)
・昭和4年に、飛行船ツェッペリン号は、飛行時間のべ300時間、飛行距離3.4万キロの世界一周を成し遂げた、この時の切符は2500ドル(5000円)で、家が一軒建てられるほどの大金、しかし昭和12年に大事故を起こし信頼を失い、ジェット機に追いやられた(p68)
・日本は戦後に急に成長したのではなく、明治維新以来ずっとハイペースで経済成長を続け、戦争中に一時中断しただけというのが正確な見方(p76)
・日本はイギリスより100年遅れで産業革命を体験したが、最新技術をそのまま取り入れた、中小業者が入り乱れていたイギリスに比べて、日本では財界人たちが協力して、大規模な工場を作ったのが勝因であった(p80)
・自転車の製造は、フレーム部など鉄砲と共通する技術が多かった、そのため鉄砲鍛冶は自転車が普及始めると、まず修理業、そのうち自ら自転車を製造するようになる(p83)
・明治20年には(東京電燈設立の翌年)浅草に200KWの大出力火力発電所を建設開始、浅草凌雲閣には電力稼働のエレベータ登場(p99)
・八木教授の発明(シンガポールを陥落させたときにイギリス海軍が保有していたアンテナ)が日本で軽視されたのは、当時の日本では発電や送電などの「電力」に関する技術がもてはやされ、電気通信は二の次とされていた(p106)
・オギノ式(排卵日と月経との関係を明確化)は当初、不妊治療のために考案されたが、後に避妊法として使われる。荻野氏は最後まで反対したが、現在ではローマカトリック教会で唯一認められた避妊法である(p108)
・昭和13年に打ち出された「弾丸列車計画」は、昭和15年に実行決定、時速200キロ、軸間1453ミリ、車両25メートル、ホーム500メートル、1日片道42本、これは新幹線開業時と似ている。最初は電車を考えていたが、軍部の反発により蒸気機関車にした。変電所の爆撃により動けなくなるので。蒸気機関車で時速150キロ以上だすために軸輪の直径を2.3メートル(D51が1.4メートル)の巨大列車を考えた(p110)
・最終的には、東京と北京をつなぐ予定であった、下関から朝鮮半島まで海底トンネルを掘る予定であった(p111)
・大阪市が大正末期になって人口1位になったかは、大正14年に行われた行政区域の再編にある、隣接部の東成郡と西成郡が大阪市に編入されて、44町村が加わったため(p117)
・国産映画のシェアが大きかったのは、言葉よりも文化の壁である、外国文化に疎い当時の人々にとっては、外国映画は難解であった(p124)
・教室内の席順は成績順であり、試験の成績に応じて変更された、成績の順位を「席次」というがこの頃のなごりである(p129)
・戦前の高校は全国に35校のみ、高校に入学できたのは1割程度、しかし高校の定員と帝国大学の定員は同じであり、高校に受かりさえすればどこかの帝大に入れた(p133)
・明治4年の戸籍法により、家族は一つの「戸」とみなされ、父親には「戸主」という一家を代表する役割が与えられた、明治31年には旧民法の家族法が施行された、重要な場面で戸主の決定が必要とされた、25歳未満の者が離婚するときは結婚を承認した者の許可が必要(p139、149)
・明治初期の婚期は早かったが、その後に晩婚化が進み、昭和15年には、男性28歳・女性24歳であった(p145)
・昭和8年頃の、配偶者の理想的月収は100円以上、現在では35万円ほど(p150)
・昭和5年の国勢調査によれば、サラリーン層である、事務・技術・管理関係職種は215万人程度で全体の7%程度、サラリーマンはエリートの代名詞(p152)
・ハチ公の銅像が作られた翌年の3月に、ハチ公は亡くなった。渋谷駅付近の路上で冷たくなっているところを発見された(p180)
・昭和10年の男性の平均寿命は47歳程度、女性は50歳、若くして亡くなる人が多かったから(p185)
・明治維新後、藩主は石高に応じて金禄公債が与えられた、藩主だったころより税収は減ったが、藩士に給料を払わなくてよくなったので、ほどんどの旧大名家は実質的に収入は増えた、最も困窮したのは公家出身の家族(p193)
・戦前の4大財閥(三井:生糸防衛のための貿易会社、三菱:海運業、住友、安田)は全国の会社の振込資本金のおよそ50%を占めていた(p196)
・都内にあった貧民街は、深川・浅草・芝・小石川・下谷・京橋・麻布・牛込・本郷・四谷・神田・赤坂(p202)
・北海道や沖縄では、労働力を確保する必要から、徴兵を行っていなかった。北海道、沖縄に本籍を移せば、徴兵から逃れられた(p240)
・多摩地区=武蔵野地域には、数々の軍事施設があった、陸軍航空士官学校、傷痍軍人東京療養所、多摩陸軍技術研究所、軍用飛行場、中島飛行機の武蔵野製作所(p247)
・軍都として、市川、豊橋は陸軍師団や連隊が置かれていた、横須賀、呉は海軍の軍港、多摩は飛行場や航空関連の施設があった(p248)
・特攻隊の基地があった、福岡県の太刀洗は、国際航路の出発点でもあったが、いまは見あ渡す限りの田園地帯であり、何もなくなった(p249)
2017年10月29日作成 -
タイトルのとおり、戦前の世の中についてあれこれ教えてくれる。34もの項目があって次から次へと話題が移ってしまうのでまるで週刊誌を読んでいるよう。
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明治から戦前の昭和時代の日本の社会、日本人の生活の様子をまとめた一冊。近代日本に関して学校で習うことが少ないからでしょうが、戦前の明治以降の日本に対する正しい認識が少ないということを危惧して書かれたのだと思います。近年流行の、「日本は悪く無い、日本はすごかった」と言うよな自己陶酔の類の内容ではなくて、庶民の実際の生活、行動、風俗などに迫ろうとしている内容です。写真なども掲載して読みやすくまとめられているので、明治以降、資本主義、帝国主義の申し子としての日本の歴史を振り返るのにもちょうど良いと思います。ただ、自分で読んでいて明らかな間違いのようなものが結構見つかったのが残念。例えば、井上靖の小説「北の海」が「春の海」となっていたり。気付いてない部分も多くの間違いがあるのかもしれないので、内容を鵜呑みにするのはちょっと怖い。