文芸オタクの私が教える バズる文章教室 (サンクチュアリ出版)
- サンクチュアリ出版 (2019年6月7日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784801400672
感想・レビュー・書評
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ポップな表紙とイラスト、そしてバズる文章教室という題名等、従来の文章読本とは様相の違う本書は、読んで楽しいエッセーだった。
文豪たちが書いた文章読本とは違い、各方面から選ばれた文章のどこが面白いのか、どういう文章が読みやすいのか、読者を引きつけるのかなど、人に読んでもらう文章の書き方のエッセンスが著者のセンスで分析されていて興味深かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
このブクログで観た映画や読んだ本の感想を書いているのですが、書くからには良い文章を書いてみたいと思い読んでみました。著者の三宅さんが自身を「文芸おたく」と評している通り、村上春樹、谷崎潤一郎、松井玲奈、武田鉄矢(全て敬称略)等、色々な方の文章を読んで分析され、その中からバズるポイントを教えてくれます。繰り返し読んで少しでもいい文章が書ける様、頑張りたいと思います!
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文体への愛がすごい。
心に残る文章には、緻密に計算された構図があるんだな〜。
例で出された引用文献を通して、自分が手にとらないような本の作者にも触れることができるのが魅力。 -
著者の読書好きが伝わる本。
バズる文章術!というキャッチーなタイトルとは裏腹。
すごく硬派で、知識量を感じさせる。
文章ってこんな自由でいいんだなーと目から鱗でした。
特に開高健の一節。同じ文末が続き歯切れが悪い。でもすごくいい。
他にも句読点打ちまくったり、接続詞を大幅に削ってしまったり……それが味になるし面白味になる。
他人の文章を読むときに、こういう着眼点で特徴を、捉えていくんだなぁ、とすごく参考になった。
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文を綴る上でのセンス解体新書とでもいおうか。そんな大仰な内容ではないけれど。
読解力の低下というのが言われて久しいけれど、読解というのは文意を読み取るということが一番肝要なことではあるのだけれど、文章の味わいを味わうということも含まれる。上級な要素だけれど。例えば、純文学など文芸作品には「大した話じゃないなー」という物語を文体の味わいで読ませる作品が少なくない。蕎麦でいうノド越しを味わう感じ? その”ノド越し”を言語化してみようというのがこの本のねらいなのだと思う。
タイトルがいかにも「ネットで炎上上等な空気に乗りましょう!」的なイキり方を漂わせるのでちょっと距離を置いて、当り屋気分で読み進めたのだけれど、それは全くの誤解だった。文芸オタクをなのるだけあって、文章をよく読まれている人だなという印象。文体ソムリエみたいな。
義務教育の間は文章の意味を読み取ることを国語の授業の中心にするべきだと思うけれど、高校三年くらいになったら文体の味わいを味わうという授業に力をいれてもイイと思う。・・・思い返すと教科書にはそういう狙いの単元が小中の頃からあったのだけれど、ここまで理路的に語られてなかっただけかもな。 -
正直に言う。『バズりたい』
カッコ悪くてもいい、注目を集めたいのだ。
そんな訳で、ちゃんと勉強をしようと思って手に取ったのが本書である。
「文芸オタク」と枕詞に書いてあるように、色々な文章を例にとり、注目すべき観点を丁寧に解説してくれている。
表紙はちょっとゆるキャラがエッチな格好をしているけれど、内容は非常に濃厚な実技になっている。
本書を読みながら取ったメモを参考にしつつ、今後のブログやXライフを送っていきたいと思う。 -
頭脳明晰な文芸評論家であり文芸オタクの京大生による著名な作家の文体や文章構造の分析を基にして文章を学べる本。(というか教科書レベルによく分析されています。文章教室でテキストにしてる人絶対いるはず。)
どうして私はこの文体に引き込まれてしまうのか、私はどうしてこの文体が好きなのか、と疑問に思っていた点を明確な分析と考察により、解き明かしてくれる。この筆者、めちゃくちゃ賢いなぁ。(って当たり前だけど。私よりは当然数百倍賢いはず)
バズる=注目を浴びる。
人生に1度くらい私もバズってみたい、とは思うけど、まだそこまでの情熱が持てない..。
もっとバズる文章を勉強したいと思った時に書き込みと付箋でいっぱいにさせてください。 -
あなたの書きたいことを自由に書きなさい。そう言われても何を書いたらいいかわからない。
書きたいことがあったとしてもどうやって書いたらいいかわからない。
起承転結はわかるけど「うまく書けないなあ」と思う。先生に聞くと言葉の使い方や読み手のことを考えてと言われる。
わかるけどわからない。
そんな時にこの本は心強い。
文章を書くことにはいろいろな方法があるのに、それを知らないまま「さあ、思ったことを書きなさい」と言われても困るし、「となりの人と読み合ってアドバイスしあいましょう」とか言われてもどう読んでなにを話したらいいかわからない。
学校の中で起きていることはだいたいこんな感じで、作法としての文章を学ぶのは大学以降のレポートや論文くらい。大人になってから仕事や生活に必要な文章をなんとなく身につけたという人がたくさんいるんじゃないだろうか。
でも、本当はもっと文章でいろいろなことを表現したい、コミュニケーションしたいという人は多いんじゃないだろうか。
知らない言葉を調べるように、いま自分が欲しい文章のテクニックを調べられる、しかも肩ひじ張らずに「あ、こんな書き方いいな」と真似したくなる親近感。
いま、これを書いている自分もそうだが、「ちょっと文章書いてみるか」という気にさせてくれる一冊。