文芸オタクの私が教える バズる文章教室 (サンクチュアリ出版)

著者 :
  • サンクチュアリ出版
3.54
  • (41)
  • (68)
  • (66)
  • (28)
  • (5)
本棚登録 : 1513
感想 : 111
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784801400672

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ポップな表紙とイラスト、そしてバズる文章教室という題名等、従来の文章読本とは様相の違う本書は、読んで楽しいエッセーだった。
    文豪たちが書いた文章読本とは違い、各方面から選ばれた文章のどこが面白いのか、どういう文章が読みやすいのか、読者を引きつけるのかなど、人に読んでもらう文章の書き方のエッセンスが著者のセンスで分析されていて興味深かった。

  • このブクログで観た映画や読んだ本の感想を書いているのですが、書くからには良い文章を書いてみたいと思い読んでみました。著者の三宅さんが自身を「文芸おたく」と評している通り、村上春樹、谷崎潤一郎、松井玲奈、武田鉄矢(全て敬称略)等、色々な方の文章を読んで分析され、その中からバズるポイントを教えてくれます。繰り返し読んで少しでもいい文章が書ける様、頑張りたいと思います!

  • 文体への愛がすごい。
    心に残る文章には、緻密に計算された構図があるんだな〜。
    例で出された引用文献を通して、自分が手にとらないような本の作者にも触れることができるのが魅力。

  • 著者の読書好きが伝わる本。

    バズる文章術!というキャッチーなタイトルとは裏腹。
    すごく硬派で、知識量を感じさせる。

    文章ってこんな自由でいいんだなーと目から鱗でした。

    特に開高健の一節。同じ文末が続き歯切れが悪い。でもすごくいい。

    他にも句読点打ちまくったり、接続詞を大幅に削ってしまったり……それが味になるし面白味になる。


    他人の文章を読むときに、こういう着眼点で特徴を、捉えていくんだなぁ、とすごく参考になった。

  • 書評ライターである著者がブログ、エッセイ、ビジネス書等の引用文を用いて、全四章に分けて魅力のある文章とはどのようなものか、そしてそのテクニックは何かという解説を行っています。本書の前書きにもあるように「文章で的確に伝える」という技術的な考えより、「文章で楽しんでもらう」という"文芸的"な書き方に重きを置いた内容で、小論文やレポートを書く人向けというより、SNSやブログを書く人向けの内容だと思いました。

  • もっとおもしろい文章が書けないかな、と自問していたある日、おもしろそうなタイトルの本を発見。わたしの場合、本の感想を書くのはクッキーをつくるのと同じで、時間がかかる。生地をこねて、丸めて、寝かせて、型抜きして、焼いて、ようやくできあがり。うまくできたと思っても、次の日に見たら不格好なこともしばしば...。でも、この本に載っている手順で隠し味を入れれば、おいしい文章ができあがる。どのような文体やテンポや構成で書けば読み手に届くのか。知っているのと知らないのとでは、書き方が変わりますね。

    p97
    「心の底で感じてることって、たいてい、その場では言葉として頭に浮かばないのだ」

    p218
    私たちは心のどこかで、万物との共通点を探している。

    p222
    結局のところ、白黒はっきりしません。でも、その白黒はっきりつけることの難しさこそが、さまざまな問題を扱う上で大切なことだと思うんです。
    こういう視点がある。
    ただ、こういう視点もある。
    ただ、こういう視点もあった。
    なかなか結論を出さずに、揺らぎ続ける。
    そして自分の意見が、何度も別の視点に戻されるたび、「限られた視点から、物事の善悪を決めつけない」ことの必要性に気づかせてくれます。
    書き手の切実さが伝わってきて、「私も一緒に考えてみよう」という気持ちにもなる。
    結論を出さずに、ぐっとこらえて、揺らぎ続ける。
    そんなふうに負荷をかけ続けることによって、心の筋肉がきたえられ、文章に深みが増していくんです。

    p223
    さまざまな角度から見れば見るほど、なんでも肯定できるようになる。

  • 文を綴る上でのセンス解体新書とでもいおうか。そんな大仰な内容ではないけれど。

    読解力の低下というのが言われて久しいけれど、読解というのは文意を読み取るということが一番肝要なことではあるのだけれど、文章の味わいを味わうということも含まれる。上級な要素だけれど。例えば、純文学など文芸作品には「大した話じゃないなー」という物語を文体の味わいで読ませる作品が少なくない。蕎麦でいうノド越しを味わう感じ? その”ノド越し”を言語化してみようというのがこの本のねらいなのだと思う。


    タイトルがいかにも「ネットで炎上上等な空気に乗りましょう!」的なイキり方を漂わせるのでちょっと距離を置いて、当り屋気分で読み進めたのだけれど、それは全くの誤解だった。文芸オタクをなのるだけあって、文章をよく読まれている人だなという印象。文体ソムリエみたいな。

    義務教育の間は文章の意味を読み取ることを国語の授業の中心にするべきだと思うけれど、高校三年くらいになったら文体の味わいを味わうという授業に力をいれてもイイと思う。・・・思い返すと教科書にはそういう狙いの単元が小中の頃からあったのだけれど、ここまで理路的に語られてなかっただけかもな。

  • 正直に言う。『バズりたい』
    カッコ悪くてもいい、注目を集めたいのだ。
    そんな訳で、ちゃんと勉強をしようと思って手に取ったのが本書である。

    「文芸オタク」と枕詞に書いてあるように、色々な文章を例にとり、注目すべき観点を丁寧に解説してくれている。
    表紙はちょっとゆるキャラがエッチな格好をしているけれど、内容は非常に濃厚な実技になっている。

    本書を読みながら取ったメモを参考にしつつ、今後のブログやXライフを送っていきたいと思う。

  • 頭脳明晰な文芸評論家であり文芸オタクの京大生による著名な作家の文体や文章構造の分析を基にして文章を学べる本。(というか教科書レベルによく分析されています。文章教室でテキストにしてる人絶対いるはず。)

    どうして私はこの文体に引き込まれてしまうのか、私はどうしてこの文体が好きなのか、と疑問に思っていた点を明確な分析と考察により、解き明かしてくれる。この筆者、めちゃくちゃ賢いなぁ。(って当たり前だけど。私よりは当然数百倍賢いはず)

    バズる=注目を浴びる。
    人生に1度くらい私もバズってみたい、とは思うけど、まだそこまでの情熱が持てない..。

    もっとバズる文章を勉強したいと思った時に書き込みと付箋でいっぱいにさせてください。

  • あなたの書きたいことを自由に書きなさい。そう言われても何を書いたらいいかわからない。
    書きたいことがあったとしてもどうやって書いたらいいかわからない。
    起承転結はわかるけど「うまく書けないなあ」と思う。先生に聞くと言葉の使い方や読み手のことを考えてと言われる。
    わかるけどわからない。
    そんな時にこの本は心強い。

    文章を書くことにはいろいろな方法があるのに、それを知らないまま「さあ、思ったことを書きなさい」と言われても困るし、「となりの人と読み合ってアドバイスしあいましょう」とか言われてもどう読んでなにを話したらいいかわからない。
    学校の中で起きていることはだいたいこんな感じで、作法としての文章を学ぶのは大学以降のレポートや論文くらい。大人になってから仕事や生活に必要な文章をなんとなく身につけたという人がたくさんいるんじゃないだろうか。

    でも、本当はもっと文章でいろいろなことを表現したい、コミュニケーションしたいという人は多いんじゃないだろうか。
    知らない言葉を調べるように、いま自分が欲しい文章のテクニックを調べられる、しかも肩ひじ張らずに「あ、こんな書き方いいな」と真似したくなる親近感。

    いま、これを書いている自分もそうだが、「ちょっと文章書いてみるか」という気にさせてくれる一冊。

著者プロフィール

1994年生まれ。高知県出身。
京都大学大学院人間・環境学研究科博士前期課程修了。大学院時代の専門は萬葉集。大学院在学中に書籍執筆を開始。現在は東京で会社員の傍ら、作家・書評家として活動中。
著書に『人生を狂わす名著50』(ライツ社)、『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』(サンクチュアリ出版)、『副作用あります!? 人生おたすけ処方本』(幻冬舎)、『妄想とツッコミでよむ万葉集』(大和書房)、『(読んだふりしたけど)ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法』(笠間書院)。ウェブメディアなどへの出演・連載多数。

「2021年 『女の子の謎を解く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

三宅香帆の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
新井 見枝香
米澤 穂信
伊坂 幸太郎
ヴィクトール・E...
宇佐見りん
恩田 陸
辻村 深月
小川 哲
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×