フェオファーン聖譚曲 op.1 黄金国の黄昏

  • サンクチュアリ出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784801496514

作品紹介・あらすじ

発行:株式会社opsol book

「私には、この大王国の黄昏の鐘が聞こえるよ」

強大なる中央集権国家を維持するため、稀代の悪法を用いて繁栄を極めてきたロジオン王国が、今、ひそやかに、変革の時を迎えようとしていた。その引き金を引いたのは、魔術師団長のゲーナ・テルミンとその甥のアントーシャ・リヒテル、そして、王国への怒りが限界に達しつつある地方領主たちだった。
洗練を極めた王族、老練な政治家、忠義に生きる騎士たちは、その流れを堰き止めることができるのか。一方、アントーシャたちが強大な王国を倒すために採ろうとしている前代未聞の手法とは——。
ソリッドファンタジー長編小説シリーズ。

感想・レビュー・書評

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  • 中世を彷彿とさせる世界を舞台にした剣と魔法のファンタジーの定番の舞台設定ではあるが、まずは世界観の共有からきちんと描かれている。宮廷内の陰謀によりキャラクターたちの立ち位置がはっきりしてくるが、意外と分かりやすい構図になっている。この辺は読みやすさを取るか物語の深みをとるか好みが分かれるところかもしれない。私は分かりやすさも良いと思う。深慮遠謀・権謀術数が渦巻くといったほどではないが、そこそこの陰謀と正義の味方でいいではないか。こういう物語は勧善懲悪でスカッと読みたいものだから。如何せん、まだまだ序章。この先どのように展開していくか楽しみである。

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  • 強大なる中央集権国家を維持するため、稀代の悪法を用いて繁栄を極めてきたロジオン王国。王国維持のため召喚魔術の儀式が行われようとする。宮廷魔術師団長ゲーナ・テルミンは「私には、この大王国の黄昏の鐘が聞こえるよ」とつぶやく。
     ゲーナの甥の孫・リヒテルは、生まれてすぐにその絶大なる魔力により大叔父ゲーナに引き取られ、我が子同然に遇されている。ゲーナはあまりに強い魔力を有するため「契約の魔術紋」により王命に逆らえない体となっており、そのために意にそまぬ魔術を行使させられてきた彼は、アントーシャの魔力までが王国に使われることがないように彼の魔力を一部を封印する。異世界からの強奪を意味する召喚魔術の執行を前にして、ゲーナはアントーシャの封印を解き、自分の死を賭してアントーシャに召喚魔術の儀式を失敗に導くように命ずる。
    ゲーナの死により、アントーシャはゲーナの盟友エウレカ・オローネツ辺境伯爵とその護衛騎士と共にロジオン王国との対決を決意する。
     
     出版社曰く「豊富な語彙を用いた重厚な文体」と言うことだが、こうした小説にありがちな回りくどい持って回ったような書きぶりはないので、ストーリーにスピード感がある。本編ではドロドロしたロジオン王国の陰謀劇が繰り広げられるが展開が早く、謎解きを楽しむがごとくに陰謀のからくりを読み解くことができる。ファンタージ長編叙事詩として、高田大介の図書館の魔女シリーズ、上橋菜穂子の精霊の守人シリーズを彷彿させるが、物語としては前奏曲というべきところでその世界観の全容はまだよく見えない。今後ストーリーが進んでいく中でスケールの大きい物語に成長することを期待したい。

     一つ残念なのは、ヒロイン格にあたるような魅力的な女性キャラがいないこと。ネタバレになるので詳しくは書かないが、陰謀の陰に女ありの様相。テルミンは生涯独身で、アントーシャは身内と生まれたときから絶縁状態。ちょっと寂しいばかりである。

  • よくある異世界召喚に物申すもの。たしかに、異世界に無理矢理連れてこられた日にゃあ迷惑千万ですわ…食い止めてくれる人とかいてホッとする。そして召喚する側のクソッタレ具合よ!絶対にコイツらのために働かんぞ!と言いたくなるクソッタレ具合。

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