キレる私をやめたい ~夫をグーで殴る妻をやめるまで~ (バンブーエッセイセレクション)

著者 :
  • 竹書房
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感想 : 79
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  • Amazon.co.jp ・本 (131ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784801907652

感想・レビュー・書評

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  • 以前「母がしんどい」を読みました。ご自身がお母さんになられ、毒母(失礼な言い方ごめんなさい)は連鎖するのでは…と不安になられたでしょうね。すぐに切れる自分に悩み情動のメカニズムまで勉強したこの本は同じ悩みを持つ方々の指針となる一冊になると思いました。

  • 人は、親や恋人など、身近な人から良いところも悪いところも学んでしまう生きものだ。
    虐待された子どもは、大人になって虐待する側に回ってしまうことが少なくないという。
    著者は必死でもがき、苦しみ、のたうちまわりながら、その連鎖を断ち切ろうと、カウンセリングやセラピーに行くなど、積極的に行動している。
    殴られても受け止めてくれる夫さんのおかげもあるが(もちろん険悪になることも多々ある)、不幸の連鎖を止めるのはこういう人なんだと、納得できた。

  • 自分が、夫など近しい人にキレてしまうことを、赤裸々に淡々(ある意味分析的に)記載しているところがすごいなと思った。

    「ゲシュタルト療法」で、自分のことを客観的にみられるようになるところが見せ場で。筆者にすごいフィットした療法だったのだと思います。

    本当に、相手の立場になって考えてみること、ファクトと自分の感情(評価)を分けること、が大事。

  • 『母がしんどい』( http://booklog.jp/item/1/404602884X )でも描かれていた負の連鎖――母親と同じヒステリーを起こしてしまうことに問題を感じた著者が、いかにしてそれを克服した(感情の制御ができるようになってきた)かを、丁寧に描いている。
    自己啓発の「片付け」本からセミナー、カウンセリングなどを調べ、体験していくが、なかなか改善されない。
    そして「ゲシュタルト療法」に触れる。
    そこでは自身をいかにして客観視し、分析することを経て、感情をコントロールしていく術を身に着けていったか――
    わかりやすく描かれている。

    自身の怒り方がかつての母に似ていること、ゲシュタルト療法を用いて、その母の気持ちを共感できるようになること、劣等感から旦那さんを高みに押し上げることで、お互いの悪い面を見ないように(対等な人間としてのコミュニケーションを避ける)していたなど、詳しい。

    著者はイライラするのは「過去の失敗」と「未来への不安」に囚われ、「今」を見ていないことにあることに気づく。
    旦那さんのネガティブな部分を見て、自身のそれや過去の母を見出してしまい、過剰反応(怒り)することでそれから目をそらしていたという事実に気づく。

    「暴力がいけない」のは、怒りはあくまで「二次感情」であり、暴力は「報復」に過ぎない(問題の本質ではない)からという事も、著者は気づき、読んでいて私も気づかされる。

  • 怒りは6秒で収まらないし、衝動に駆られることがある。止めたいけど、どうしたらよいか分からないという方にオススメなエッセイ漫画。

    作者は夫を殴ったり、物を投げたり、警察を呼んでしまったりとヘビーな状況だった。その原因は、幼少期からの母の支配や否定され続けたこと。そこからキレなくなるまで、文章やイラストで論理的に表現している。
    怒りの根本の理解や改善方法、キレてる人への対応にも活かせそう。

    ●「今ここに意識」
    キレてパニックになるのは、未来に悪いことが怒ると勝手に決めつけているから。過去と未来を行き来し、誰かにダメと言われることに怯えている。
    「空が見えます」等、目の前に見える物を心の中でいう。

    ●状況でなく心に注目
    例 上司が嫌で会社辞めたい
    ×就職難なのに勿体無い。
    ×辞めたら。この本よいよ。
    実は別のことが原因かも。上司の期待に応えられない自分が嫌。別の人への怒りを上司に重ねていたり。

    「部屋が片付いてない」と現実の話をしても、自分の前提(お前はダメ)で意識が別のところに反応

    ●休む、「今ここにいる」ようにする、自分を褒める

  • 今まで私が恋人にムカつくとき、喧嘩をするとき、
    母とまったく同じキレ方をしていたことに気付いた。

    普段から短気なところはあるけれど(超江戸っ子の祖父似)
    友達とがっつり喧嘩をしたことは
    子供時代を除けば高校生の時1度、
    そして大人になってから1度しかない。
    (子供の頃は毎日のように喧嘩してましたが笑)

    それくらいある意味平和主義ではあるのに
    恋人となるとそうはいかなくなる。
    それは家族に準ずるものだからであって、
    同様なキレ方をしてしまうのであった。
    (でも決して根には持たずさっぱりはしている)

    だけどそれは本当に何の生産性もないことで、
    怒りをぶつける、キレるといったことの無意味さを
    心理学の本というより哲学や仏教の本を読みあさり
    自力で矯正したけど、どこか完全ではないはずだ。

    この不安のセーフティネットとして、
    ゲシュタルト療法を置いておきたいと思った。

    2016.10.29

  • すごくよかった。絵がすごく簡単な絵になっていたけど、「自分」を書くのだから、そうなるのも仕方ない、とも思う。没個性、というか、普遍性のある顔みたいな。
    私は「ママだって、人間」の絵がとっても好きだった(個性的な顔の脇役など)ので、このタイプの絵だったので、すこしがっかりしたけど、この本は絵じゃなくて、内容の部分が大きいから、絵はこれでいいのだと思う。
    内容は、とってもよかった。本当によかった。田房さん、本当によくがんばったと思う。そして、この体験をまたも、自分を客観視して、本に書き上げているところも本当にすばらしいと思う。キレないようになってよかったね。
    旦那さんが神じゃなくて、よかった。神じゃないのが見えるようになってよかった。
    キレと怒りは、違うんだよね、うんうん、そうだと思う。
    そんでこどもへのキレは、社会的にある程度容認されているようだ、というのも、本当にするどい、そして、本当にそうだと思う。お母さんに寄り添います、みたいな講演会でも、よく言ってる。仕方ないよ人間だもの、みたいなかんじで。
    本当に田房永子さんと朝までじっくりおしゃべり会、やってみたい。

  • 夫に何か言われるとちょっとしたことで爆発したようにキレてしまうという田房永子さんが、その怒りの構造やコントロールについて考察したコミックエッセイ。いわゆるアンガーマネジメント。
    他人や友人には不快にさせないよう言動に気を遣いすぎて疲弊するぐらいなのに、夫や子供などにだけキレてしまうというのは、自尊心の低い人あるあるだと思う。
    ここで紹介されていたゲシュタルトセラピーってすごいですね。怒りが爆発しそうになったら、とにかく"今目の前にあるもの"を考える。過去を振り返るのでも未来を心配しすぎるのでもなく、ただ今をみつめる。"今ここにいる"ことを考える。まだ実践してないけど、この方法はすごく冷静になれそうな気がする。
    あとは怒ってしまいそうなとき、状況に対してアクセスするのではなく、自分あるいは相手の心にアクセスする。育児書とかでも目にするけど、これは共感することに近いのかもしれない。
    私もいつも冷静に叱ったりすることができず、突然溜まりたまった怒りが噴火するようになってしまうことがあるので、また後悔する前にちゃんと練習してみたい。キレることをやめたい!って自分で強く思うことから始まるのかもしれない。

  • 私も過去の失敗や理不尽なことを思い出しては、壁を壊したりしていました。今もしています。

    キレてしまうのは、心が傷つき過ぎているから。
    相談するときには、そのときの状況に注目するのではなく、感情に注目すると、傷ついた心は納得してキレなくなる。

    この方法と体験談が書いてありました。
    難しいのは、良いカウンセラーを見つけることだと思います。
    プロでも相性の悪い人はいるし、まして身内に話すと「誰でも苦しんでいる」などと悩みを一般化されて余計悪化するし、なかなか実践のめどが立ちません。

  • どうしてもキレてしまう自分を直したい人全員に効果がある方法が書かれている、とか、そういうことではない。

    ここまで誠実に、自分の気持ちを外に発信して良いんだ、という風潮が出来てくると良いと思うし、私はそういう人が一人でも増えるような雰囲気を作る。

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著者プロフィール

1978年東京都生まれ。漫画家、エッセイスト。武蔵野美術大学短期大学部美術科卒業後、漫画家デビュー。2001年第3回アックス新人漫画賞佳作受賞。2012年、母との確執による葛藤を描いたコミックエッセイ『母がしんどい』(KADOKAWA/中経出版)を刊行。そのほかの著書に『しんどい母から逃げる!!』(小学館)、『キレる私をやめたい』(竹書房)、『ママだって、人間』『お母さんみたいな母親にはなりたくないのに』(共に河出書房新社)、『大黒柱妻の日常』(MDNコーポレーション)などがある。

「2021年 『なぜ親はうるさいのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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