- Amazon.co.jp ・本 (599ページ)
- / ISBN・EAN: 9784801913912
感想・レビュー・書評
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映画を見た後に読みました。とても読み応えのある一冊です。ストリックランドがどれだけ苦労してアマゾンから半魚人を連れてきたかが前半に書かれていましたが、映画では全くその事には触れていませんでしたよね。他にもイライザの生い立ちや首の傷のこと、イライザの隣人ジャイルズの過去、友人ゼルダのイライザを慕う気持ち、ストリックランドの妻レイニーとジャイルズの交流、研究所で働くホフステトラー博士の葛藤、などなど映画には到底収まりきれない細かいストーリーを補うような豊富な内容で、だからこの厚みか!と思いました。どうしてイライザの首に傷がなくちゃいけなかったのかとか、シャワーじゃなくお風呂に浸かる派とか、改めて納得する部分が色々ありました。そしてギレルモ・デル・トロ監督はイライザと半魚人のロマンスだけではなく、女性蔑視や人種差別、マイノリティ差別などの問題も提起したかったんだなと思いました。この本はノベライズという事で映画と合わせて読むことをオススメします。ただ一つ、血や肉の描写がグロすぎて読んでいて顔がゆがんでしまうとこが何度もありました...
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映画に感銘した人だけが読むべき本。
一層感動します。より深く人物像が読み込めます。若干意味不明なラストが感動のラストに生まれ変わります。半魚人を受け付けない人は読んだらあきません。アカデミー賞に釣られて見る人も決して少なくないでしょう。しかし此れは観る人を選ぶ作品です。ラゴン、ピーターが好きな人はきっと入り込めます。忘れられない作品になるでしょう。 -
ヴェネチア映画祭で金獅子賞を獲った時から楽しみにしていた映画の小説版。普段好きな映画でもノベライズは買うことはないのだけど、イライザと不思議な彼とのラブロマンス以外にも、各キャラの背景ももっと見たくなったので読んだ次第。
小説で一番力が入っているのは、敵役でありながら60年代当時の「マッチョなアメリカ」に追い立てられるようにも思えたストリックランドの描写。理想を体現しつつ、弱き者には牙をむく鼻持ちならさがあるものの、やはりどこか哀れさも多少覚えたもので。でも嫌なやつではあったね。 -
映画を観たので。
映画とはまた違う道筋を辿る物語。
ただの敵であるはずのストリックランドが、なんだかとても、かわいそうな人だった。
みな必死だったのだなぁ、と。
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ギレルモ監督のインタヴューに於いて……
不思議な生き物と心を通わせる主人公イライザ役のサリー・ホーキンスをはじめ登場人物の多くは俳優のイメージを反映させた“あて書き”。
「役者たちを選んだポイントは“目”だ。どんなエネルギーを放つ目をしているか。優しさ、知性、厳しさ…。特にサリーの目が語る現実味は素晴らしいね。彼女がクリーチャーを見るとき“彼”を本当に美しいと感じていることが伝わってくる。僕はイライザを、化粧品や香水のコマーシャルに登場するような女性にはしたくなかった。若く美しい20代の女の子ではなく、現実にいる30〜40代の平凡な容姿の女性。でも物語が進むにつれて美しく輝きだす。そういう女性を望んでいた。バスの隣座席に座っていてもおかしくない人なんだけど、どこか魔法のように人を魅了する力がある女性をね。対するストリックランド役のマイケル・シャノンの目は、とても強いけど傷つきやすい脆さも感じられる。彼は悪人だけど人間らしい悪人なんだ。まあ、あの目は本当に怖いけどね(笑)。イライザの親友ゼルダを演じるオクタヴィアの目はヒューマニティーと知性にあふれている。あの2人の友情も本作の重要な要素だ。女性同士の友情ってすごく深くて特別なものを感じるよ。“不思議な生き物”役のダグとは30年一緒に仕事をしてきた仲だ。このクリーチャーを演じられるのは彼しかいない。傷つきやすくもある一方で力強くもあり、恐ろしくも美しくもある、純粋無垢なところもあったり神々しさもあったり、いろんな要素を持つ複雑な役だ。それを特殊スーツとメイクを付けて演じることができる役者はまれだよ」
http://www.tokyoheadline.com/405171/
……ストリックランドの、傷つきやすい脆さも、という部分に、小説版のあの様子を思い出し、合点がいった。 -
※ノベライズ版は、映画鑑賞前に読まないほうがいい※
(鑑賞前に読了)
主要5人の視点がひっきりなしに切り替わるので読み辛くて仕方なかったです。始終そんな構成ですが、中盤から波に乗れました。(300pは我慢)
自己嫌悪に苛まれるストリックランドには同情しつつも、他者への思いやりがなく触れるものすべてを破壊してしまう、こいつ何なの?感。悪役としての素質が形成されるアマゾン編と韓国編。結果的に主役を食う魅力で半魚人のラブロマンスとか一体何の話だったか忘れました。
その妻レイニーは映画では3分以内の登場。彼女が家事をこなしながら仕事を覚えていく段階は、教科書に載せてもいい。努力して評価されてふと立ち止まる。ヅラとビーハイブの化学変化はお互いの宝になる。こういう誰にでも訪れる出会いが印象的でした。
ストリックランドの聞く猿の声
ギル神の何通りもの発光
イライザの靴コレクション
ジャイルズ渾身の一枚
どれも読み手の想像力を掻き立てる描写でした。映画にどれほど期待に胸膨らませたことか。一切無かったのでいっちょ前に失望しました。
ほぼ映画バッシングをしましたが、読む前に映画を見さえすれば良いと思います。ノベライズが映像的な作風でさすがデルトロなので。 -
映画とは違った切り口で登場人物の心情が明らかにされている。「モンスター」が本当は何を意味するのか。映画を観ただけではおぼろげだが、この小説でより輪郭が明瞭になったと思う。
全てがあたたかな目線で描かれている。 -
映画シェイプオブウォーターが好きで、読書が好きならば、絶対に読んだ方がいい