静かな終末 (竹書房文庫 ま 8-1)

著者 :
制作 : 日下 三蔵 
  • 竹書房
3.11
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本棚登録 : 217
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784801924253

作品紹介・あらすじ

眉村卓の知られざる傑作。未収録短篇を多数収録。

感想・レビュー・書評

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  • 懐かしい感じの装丁に惹かれ購入。作家活動初期のショートショート集。星新一や筒井康隆を彷彿させるものが多いのは書かれた時代のせいか。「よくある話」「怨霊地帯」「最初の戦闘」「あなたはまだ?」「錆びた温室」が印象的だった。

  • 本屋に行ったらたまたま発売日だったらしく、なぜか気になり購入。未収録作品多数収録にも惹かれた。未収録に弱いのがオタク。タイトルと帯の煽りと表紙も購入の一つの要因。
    星新一のショートショートのようなわけのわからない、けれど無性に読みたくなる、独特の面白さ。しかしSFだからか小難しく私には「?」で終わった。
    意外と怖いものも多かった。「行かないでくれ」とか。というか発想が怖すぎる。生きたままの脳を地面に埋めるとかなんてことを考えるんだ。
    前半は仕事の話が多かった。意外と大事というか考えさせられる内容だった。後半から話の作りやとんちが上手になってきた。不思議さの残る面白さ。llは面白くないというより、怖い。lllも引き続き宇宙のことなのでイメージが湧かない。
    手放したいけどなかなか手に入らなそう。こういう本が何冊かあると良い。たまに読みたくなるし。抽象的でイメージや解釈が膨らむ。短編集って読みやすくて便利だし。

    「よくある話」黒真珠は何もないと思う。そこがとても面白い。
    「晩秋」子供の時は早く大人になりたい、あれがしたいと思っていたのに、実際になってみると今は過去ばかり見ている。
    「最初の戦闘」自分の分身が亡くなると自分にダメージがいく。自分の中で自分が何人も亡くなっていく。狂うどころではないと思う。自分の中に各自分の分身が得た情報が入ってきて繋ぎ合わさることで全貌が見える。戦闘では効率的だろうがこれは続けられない。
    「怨霊地帯」地面に生きたまま取り出した脳が埋め込まれている。それが呪いを発している。この発想がこわすぎる。
    「行かないでくれ」亡くなろうとしている人に行かないでくれというと背後霊として付いてくる。こわい。
    「最後の火星基地」人工子宮と凍結保存の受精卵。機械的に子供を作り戦闘員として育て上げる。もしこの基地で負けていたら人ではないものに支配されていた。発想がこわい。
    「敵と味方と」どちらが本当だったのだろう。洗脳こわい。
    「静かな終末」毎日工場へ行き、学校に行き、その涯に何かが来るのをただ待っていただけ。それはもう生きていないことと同じこと。「テレビやラジオが嘘をついていたらみんな信じてしまう。世界戦争が始まったと実感するのはみんなが亡くなった時だ。何をもって証明する?実感する?」全てが終わってから出来事を認識して実感する。そして同じ体験を同じ時間に複数の人としていたときにはすでにおかしくなっていた。表題作なだけあって傑作。
    「錆びた温室」組織などの大きなものに制御されて行動するようにはじめから作られた個人を抑制された人間が、細胞を変化させ自己を改革して自分のやりたいことをやれるようになった。制御が強すぎたものは耐えきれずに狂い亡くなる。恐れていたあれは自らを自由の身へと変貌させる良きものであった。
    「デストロイヤー」仕事ごとに顔を変えて過去を捨てる。感傷は不要。面白い話だった。
    「電話」転勤した後に亡くなった親身にしていたプレイガールのユミが主人公を心配して、命の危機に晒されそうになった時電話をしてきてくれていた。主人公仕事しろ!と思うが遊び歩いていたからこその助けの電話。ほっこり系。



    何の変哲もない毎日を繰り返しているだけでは、もはや社員として失格なのだ。

    学校の成績だけでビジネスマンの適性はわからない。あそこの成績のいいのを採用するのが、一番うまい手だからな。(潜在意識に働きかけ退社させることができる→あそことは、操りやすいということ?頭が良いということ?)

    そう早くベテランになってしまわれては、こっちの仕事がなくなってしまう。ま、ぼちぼち経験を積むんだな。専門家というのは、そう簡単になれるもんじゃない。

    結局、未来を本気で見つめなければ、いつまでも助からなかったんですな。小さな頃、本気でそう考えていたのに。何かして未来を求めなければならないんでしょう。

    生物というものは、すべて自己の存在をおびやかすものを倒してこそ、優位に立つのではないか?

    しかし、この世の中は、働くためにあるんじゃない。楽しむだけ、楽しまなければ生まれてきた甲斐がないというものではあるまいか?

  • かなり前の話がメインだがあまり古さを感じさせない。
    星新一とは違ったショートショート感あり。

  • 収録作品数が多くバラエティにとんでいるのでお得感はあるが、落ち着かない読後感。
    その中で、表題作が素晴らしく光っている。次に収録されている「錆びた温室」とセットで読んで欲しい。

  •  SFには手を出さずに来たのだが、竹書房文庫の日下三蔵編シリーズということで、関心を持った次第。
     日本SF第一世代の作家として名前は知っていたが、本作で初めて眉村作品を読んだ。

     核戦争の危険が現実化していた当時を感じさせるSF物よりも、ショートショートの方が好み。

  • SFショートショート集。あまりSFは読みつけないのですが、程よくゆるい読み心地です。
    お気に入りは「怨霊地帯」。タイトルがホラーっぽくて気になったのですが、たしかに恐ろしい物語でした。これと、第II部の作品には宇宙戦争的なものが多いのだけれど、宇宙に限らず戦争というものの虚しさが感じられます。
    「大当り」はちょっと愉快な作品。だけどこんな当たり要らない。大がかりなことなのに有り得ないスピーディさで進むところが面白いです。

  • 前半の短編がとても面白かったので購入
    なんとも言えない不思議な空間と、終わり方がいい
    途中から長めのSFに入り読み進めれず断念。

  • どのお話もかなり短いので、電車の中や休憩中にサクッと読むことができます。コンパクトながら、ぎゅっと物語がつまっていて、こんなにも短いストーリーでゾッとさせたり、クスッとさせたりする著者のセンスに脱帽です。
    待ち時間や、試験勉強の合間の息抜きに最適です。

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著者プロフィール

1934 - 2019。SF作家。1979年に『消滅の光輪』で泉鏡花文学賞および星雲賞を受賞。また1987年に『夕焼けの回転木馬』で日本文芸大賞を受賞。代表作にジュブナイルSFの名作といわれる『なぞの転校生』『ねらわれた学園』などがある。

「2023年 『不思議の国の猫たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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