- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784802400237
作品紹介・あらすじ
朝鮮戦争・ベトナム戦争から現在進行中の南シナ海紛争まで、そのカラクリが、類書にないオリジナルのチャートと地図で一目瞭然!二色刷!目からウロコの地図満載!現実を直視し"九条真理教"を捨て、"海洋国家"日本に目覚めよ!!リーマンショック、クリミア併合、英EU離脱など数々の事件を予測した国際政治学者・藤井厳喜がおくる「地政学」入門書の決定版!
感想・レビュー・書評
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地政学についてわかりやすく解説されています。
一読をおすすめします。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
分かりやすい。
現在の脅威は中国である。日本はこの脅威に対応できないと、未来はない。まずは日本人がシーパワーの国であることを自覚すること。
地政学的思考で南シナ海の現状などを考察すると、危機的状況にあることがわかる。 -
著者は、「ニュース女子」のパネリストでトランプ当選を見事的中された方。
地図類も分かりやすく多彩だと感じた。読みやすい仕上がりだ。
しかし、テキストとしては本論から離れて、随所に著者の右派反中の主張が差し込まれている。
らしいなと感じたが。
巻末に補足として、ランドパワーはシーパワーになりえない(特に中国)論がある。
著者は、強く否定したいようなのだが、どうも納得がいかない。
鄭和艦隊のように異民族リソース活用と現時点の南シナ海進出の意志があれば、シーパワーを維持していけるのではないだろうか? -
読み難い
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さすが藤井厳喜さん、こういう視点(地政学)で世界をみるのかという事がよく分かりました。
地政学という視点に立てば、今後の日本の方向性が見えてきます。これは学問として学校教育に組み込むべきですね。
教える人がいないか^_^ -
<目次>
はじめに
◆現代でも通用する地政学の英知
◆「地政学」とはどういう学問なのか
◆「地図の読み方」を知らない日本人
◆混沌とした時代を自信を持って生き抜くための知恵
1 視点の転換 ― 見方を変えることの重要性を知る
◆人は生まれたところの地図に縛られている
◆視点の転換によって見えてくる別世界
◆イギリス人はオーストラリアをどう見ていたか
◆地政学の考え方はきわめて重要
◆世界ビジネスは地政学抜きに展開できない
2 シー・パワーとランド・パワー ― 海洋国家・日本の原点を確認する
◆日本は典型的なシー・パワーである
◆シー・パワーとしての日本の自己規定
◆地政学で使われる概念を知っておこう
◆地政学理論はどのように発展してきたのか?
◆イギリスの基本戦略に学ぶべきこと
◆3B政策と3C政策の実際
◆朝鮮半島は日本のバッファーゾーン
◆満州までが日本の限界だった!
◆シー・パワーの自覚なく兵站まで無視した
◆軍事とビジネスの本質は同じ
◆チャイナ艦隊はマゼランより先に世界一周をしていた?
◆ランド・パワーだった国がシー・パワーになった実例はない
◆モンゴル帝国の再評価とグローバリズム
◆ランド・パワーとシー・パワーを兼ね備えた国家
3 信仰にも似たアメリカの戦略 ― どうやって形成されてきたか
◆近代世界をつくったのはヨーロッパ中心の地図
◆なぜ日英同盟は成立したのか?
◆フランス革命はイギリスの大陸政策?
◆日本と大陸・半島は水は油の関係
◆アメリカを知るための3つのキーワード
◆人間は「生命と自由と幸福追求」の権利をもつ
◆「モンロー主義」とは「鎖国」のことではない
◆アメリカの世界戦略
◆アメリカにおける保守とリベラルの違い
◆ヨーロッパとは違う、その外交姿勢
◆ブッシュはアメリカ人の本音を言った
◆なんとアメリカとソ連は隣国だった
◆キューバはアメリカの喉元につきつけられた匕首
◆「善悪二元論」から「トータル・ウォー・アプローチ」へ
◆トランプの外交姿勢はどうなるか
4 2つのランド・パワー ― 「ロシア」「チャイナ」の視点で地図を見る
◆大陸国家ロシアの防衛を理解する
◆ロシアによるクリミア併合の意味を考える
◆なぜロシアはクリミアを取り戻さねばならなかった
◆ロシアから見ると日本がいかに邪魔かわかる
◆「ランド・パワー」チャイナの野望
◆北京の生命線は遼東半島と山東半島
5 アジアと東シナ海、南シナ海 ― 台湾防衛の意義とは
◆ベトナム戦争と朝鮮戦争の地政学
◆冷戦下の韓国は島国だった
◆戦略原潜・南シナ海の重要性
◆台湾防衛の意義
◆チャイナの日本に対する「超眼戦」
◆チャイナのインドシナ半島支配と鉄道
◆チャイナによるインドシナ半島河川支配
◆現在の東アジア情勢を総括する
6 中近東とイスラム社会 ― ISとクルド独立
◆ISはなぜ出てきたのか
◆クルドの独立
◆クルドの独立に向けて、日本はどうすればよいか
7 日本の地政学 ― シー・パワーであることに目覚めよ
◆海洋国家・日本のなずべきこと
◆東京から見渡した世界はどうなっているのか?
8 覇権国交替の法則 ― 近代的価値観崩壊の時代へ
◆空白の100年を経たスペイン→イギリスへの覇権交替
◆ランド・パワーを3度退けたシー・パワーのイギリス
◆米ソ冷戦から近代的な価値観崩壊の時代へ
◆日本は今後どうすべきか
おわりに
◆『「世界地図」の切り取り方』復刻に寄せて
《巻末付録》「ランド・パワー」が「シー・パワー」になり得た実例はない
1)モンゴル帝国はシー・パワーではなかった
2)チャイナがシー・パワーに成れない事を証明した鄭和の大海洋遠征
3)明朝・清朝の海禁策について
4)漢民族のもつ海洋に対する恐怖心
5)ランド・パワーとシー・パワーを兼ね備えた帝国の存在
6)警戒すべきチャイナの海軍力
7)モンゴル帝国の偉大さ
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多分に著者の右寄りな歴史観、国際政治観が垣間見える一冊だが、それでも地図を違った角度から見ることで先入観のある世界観にくさびを入れ、世界市場の出来事を地図と併せて分析することで見えてくる要因などは読んでいておもしろい。また、本書が書かれたのはトランプ大統領が誕生する前のことだが、本書の中でトランプ大統領の誕生を確信していることが書かれており、このあたりからも本書の説得力をうかがい知ることができる。万人におススメは出来ないが、歴史好きなら読んで損はない。
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私が「地政学」という言葉を知り、それに興味を持ち始めたのが昨年(2016)の始めです、それ以来、私の目に「地政学」とタイトルに含まれた本が飛び込むようになりました。
この本も本屋さんで見つけた中の一冊になります。これは米国大統領選挙が行われる数か月前に発刊されたもので、原稿を書かれていた時期(おそらく選挙の半年以上前)に、トランプ氏が当選することを明言できた人は少なかったのではないでしょうか、この本の著者の藤井氏は、本文においても、トランプ氏の当選をしっかりと予測されています。
その方が、私がいま、最も興味を持っている分野である「地政学の入門書」を書いてくれました。この本には多くの地図が登場しますが、その描かれ方が私が普段見るものと比べると少し異なります。しかし、この少しの差が、私にとっては「目から鱗」をもたらしてくれました。
最も大きかったのは、日本が日清戦争で勝利したときに、なぜ、遼東半島の取得に拘り、三国干渉にてその場所をあきらめたときに「臥薪嘗胆」という言葉を使ってまで悔しがったのかが、中国北京から見た地図(p131)を見て、一瞬でわかりました。朝鮮半島を併合していた日本にとっては、遼東半島はそこに繋がる場所であることも初めて認知しました。また第一次世界大戦開始とともに、いち早く、遼東半島と反対側にある「山東半島」を押さえてことも。
相手の立場に立って考えなさい、とはビジネスでもよく言われることですが、それは、このように地図を反対側にひっくり返してみるこトなのかもしれません。頭の中でイメージするだけでは難しいのかも、と考えさせられた本でした。
以下は気になったポイントです。
・地図は空間を、年表は時間を戦略的に思考するための最良の道具である。地政学とは、地理学x軍事学、である。地図を戦略的に見る見方である(p4、5)
・視点の転換というのは、地政学で使われる発想法の一つである、新しい視点から地図を見ると新しい事実が発見される(p21)
・日本近海は世界で最も航海の難しい海域である、黒潮と親潮という非常に速度の速い二大海流が日本を取り囲んでいる、台風以外に、四季により季節風も複雑に変化する、ここがイギリスとの違い(p30)
・イギリスはヨーロッパ文明の一部であるのに対して、日本は大陸国家のチャイナに対して、独自の文明圏を構成してきたことが異なる(p31)
・18世紀以降のイギリスは、まず海軍力の優位により、広大な植民地帝国を築き、膨大な海外からの原材料の供給により、産業革命が起きて、世界の工場になる。綿花をアメリカ南部、インドで生産させ、綿製品をつくり世界に輸出した(p39)
・欧州大陸を単一国家に支配させないというのがイギリス外交の原則、ナポレオンのフランスと戦い、第一次・二次大戦ではドイツと戦い、冷戦ではソ連と対立した。イギリスは二次大戦でソ連と同盟国となり、結果的に日本と敵対したことで、東アジアでは日本により植民地を解放させられてしまった(p42)
・歴史に「もし」はあり得ないと言ってはダメ、多くの「もし」を発して、仮説を検証しつつ、大いに歴史から学ぶべき(p53)
・親日派のハル国務長官は、初期においては、満州は仕方ないが、チャイナからは撤退しろと要求した。一方で反日派のモーゲンソー財務長官は両方からの撤退を要求し、最終的にはこれがルーズベルト政権の政策となった(p55)
・陸軍は対米戦に関してはよく健闘したが、海軍に決定的な戦略的欠陥があったため日本は惨敗した、太平洋に消えた勝機に詳しい、シーパワーである日本に、兵站を最重要視する思想がなかった(p56)
・目標達成に必要な3つのCとは、コマンド(命令)・コントロール(統制)・コミュニケーション(情報伝達)、本社は司令部というのも軍事用語(p58)
・鄭和が色目人(トルコ系イスラム教徒)で宦官であったため、彼の業績(マゼランよりも100年も前に世界一周)は記録さえ散逸した。中国人が大陸の民でしかないという民族性を証明している(p61)
・アングル人は、ドイツのホルシュタイン州に住んでいたが、5-6世紀にグレートブリテン島へ移民した、サクソン人はドイツのエルベ川に住んでいたが彼らも同じ場所へ移民して、一体化した。やがてノルマン人に征服されるが、彼らはフランス語を話したので、今の英語はこの2つの言語が融合した。Beefはフランス語を語源、OxやCowはアングロサクソンを基礎とする(p79)
・ノルマン王朝が攻めてきたとき、イングランドにおいて降伏しない場所がロンドン城(今のシティ)であった、そしてノルマン王朝にロンドンの自治を認めさせ、自分たちの城以外は、ノルマン王朝の統治権を承認した。だからいまだにエリザベス女王がロンドン・シティに入るときには、市長の許可が必要。大戦後はシティはタックスヘイブンとなった(p80)
・フランスのブルターニュ地方が「小ブリテン」、本島が「大ブリテン」という(p81)
・米国とキューバが国交を正常化するとは、キューバが裏のオフショア金融センターの役割を果たせなくなることで、非常に意味がある(p109)
・南北戦争では、北部は保護主義(自国工業の発展、奴隷不要)を、南部は自由貿易(工業はイギリスに任す、綿花を輸出、そのためには奴隷必要)を主張して国が割れてしまったから起きた、新興工業地帯の北部と、綿花を中心とする農業地帯の南部の経済権益をめぐる争いであった(p110)
・モスクワから見えるバルト海、黒海に対して、ロシアに接している国は、フィンランド・エストニア・ラトビア・リトアニア・ベルラーシ・ウクライナである。(p118)
・チェチェン紛争のときに、上陸用輸送艦艇(強襲揚陸艦)がなかったので苦労した、黒海側から兵隊を上陸させられれば制圧がスムーズであった(p123)
・黄海と渤海を隔てる2つの半島、遼東半島と山東半島は、海からの脅威に対する北京の生命線である(p132)
・地政学的には、1)アメリカと仲良く、2)東南アジア諸国との連携、3)内陸アジア(モンゴル、チベット、ウイグル)との連携が大切(p196)
2017年4月23日作成 -
・アメリカ→英国→ロシア、チャイナ←日本←アメリカ
アメリカにはユーラシアへのジャンピングボードが必要
・米キューバ国交正常化ーオバマ外交の唯一の遺産
裏のオフショア金融の役割を果たせなくなるので意義ある
・南シナ海の重要性
チャイナ領海になれば戦略原潜SLBMの聖域となり、
核の第二撃能力を持ち、※MAD破壊が成立。
=日本に対するアメリカの核の傘がなくなる。
+日本シーレーン分断、米第七艦隊封じ込め、東南アジア諸国属国化
※Magnetic Anomaly Detector
対潜哨戒機や対潜ヘリに搭載される磁気異常探知装置。
潜水艦の存在により地球の磁場が乱される現象を用いて潜水艦の存在を探知する。
・台湾防衛の意義ー東シナ海、南シナ海をとられる。
・ランドパワーチャイナのインドシナ半島制覇のリム・ランド戦略=鉄道+ダムによる河川支配による恫喝
・当面の課題はチャイナの脅威
アメリカと仲良く、東南アジア諸国(台湾含む)との連携、内陸アジア(モンゴル、チベット、ウイグル)との連携、なるべくロシアを近づけておく。
↓著者による紹介
https://youtu.be/SV980JrOlnU
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副題が、あなたも国際政治を予測できる!ということで、現代でも通用する「地政学」をツールとして、読み解く解説書というスタイルであ。
地図は空間を、年表は時間を戦略的に思考するための道具で、地図をどういう風に戦略的に見るか、そこからどういう風に戦いに勝つかを割り出していく、これが地政学だと著鞘は言う。ということで、
1 視点の転換 見方を変えることの重要性
2 シー・パワーとランド・パワー
海洋国家・日本の原点を確認する
3 信仰にも似たアメリカの戦略
どうやって形成されてきたか
4 2つのランド・パワー
ロシア チャイナの視点で地図を見る
5 アジアと東シナ海、南シナ海
台湾防衛の意義とは
6 中近東とイスラム社会 ISとクルド革命
7 日本の地政学 シー・パワーであることに目覚めよ
8 派遣国交替の法則 近代的価値崩壊の時代へ
おわりに
巻末付録
ランド・パワーがシー・パワーになり得た実例はない
いつも見慣れている地図ではなく、その国の立場になって地図を見る、例えば、北極海を挟んで、アメリカとロシアはまさしく隣国である、ということなど、人間、発想・視点を変えるということの重要性を再認識させられた本でした。