- Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
- / ISBN・EAN: 9784802512381
作品紹介・あらすじ
本書は、ソフトウェア開発におけるアジャイルのエッセンスを、「組織づくり・組織変革」に適用するための指南書です。ソフトウェア開発の現場で試行錯誤を繰り返しながら培われてきたアジャイルの本質的価値、すなわち「探索」と「適応」のためのすべを、DX推進部署や情報システム部門の方のみならず、非エンジニア/非IT系の職種の方にもわかりやすく解説しています。アジャイル推進・DX支援を日本のさまざまな企業で手掛けてきた著者による、〈組織アジャイル〉の実践知が詰まった一冊です。
感想・レビュー・書評
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組織論からそれを構成している人たちへとつながっていく4章が自分としては痺れた。
最適化に最適化しすぎた組織を、現場に今いる人が変えていく道筋が見えて希望を持てる内容だった。
DXというワードが流行している現状は、最後の神風としてチャンスをものにできるかの瀬戸際なんだとわかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
第1章 われわれが今いる場所はどこか
組織の芯を捉え直す問い
●自分たちの組織を取り巻く環境、社会に対して立ち遅れていると感じることは何か?
●デジタル利活用を前提とした社会や環境に適した組織、組織活動とはどのようなものか?
●あなたの組織で探索しなければならないこととは何だろうか?
●新たな取り組みを始めようとしたときに、真っ先にぶつかる組織の制約とは何か?
また、それはなぜ起こると考えられるか?
第2章 日本の組織を縛り続けるもの
組織の芯を捉え直す問い
●方法について過度な最適化が起きていないか?遵守するのが目的になっている標準は存在しないか?
御前会議を催行することや、折寿司のような説明資料を作ること、あるいはそれを読み解くことを仕事にしてしまっていないか。
●体制について過度な最適化が起きていないか?分業によって同僚や隣の部署・グループが何をしているかまったくわからないということはないか?
分業とともに兼務が多重化していないか。なぜ兼務が増えていると考えられるか。
●道具について過度な最適化が起きていないか?
業務で使える道具が固定化されており、かつ陳腐になっていないか。
●組織の意図と方針は、顧客や社会に適したものになっているか?
意図がほぼ消失してしまっていて、これまでの状態を頑なに守るだけの方針だけが残り、あとは現場で臨機応変が求められる、ドーナツのような状態になっていないか。
●組織の中で当たり前の認識になっていることに何があるだろうか?
実行、方針、意図それぞれの段階で、特に確認しなくても共通の前提となっていることは何だろうか。そうした認識は、これからの組織にとっても必要なものか、それとも阻害要因か。
●アジャイルとは何か?なぜアジャイルが組織に必要なのか?
アジャイルによって具体的にどのような状態を作り出すのか。
第3章 自分の手元からアジャイルにする
組織の芯を捉え直す問い
●アジャイルを始めるのに、大がかりに、大勢の関係者から始めようとしていないか?
まったく経験がないのに、アジャイルプラクティスをフルセットでやろうとして、さらに成功の約束を交わしてしまっていないか。
●チームのミッションややるべきことを一部の人間のみが理解して、他のメンバーには逐一すべて指示することで仕事を回すようになっていないか?
やるべきことの可視化、構造化、順序付けが行えているか。
●新たな取り組みを始めることばかりに意識が向いて、やるべきことの交通渋滞が起きていないか?
新たな取り組みを始めるだけの時間を物理的に確保できているか。チームや部署で何から始める必要があるか。
●すでに方向性が変わっているのにもかかわらず、従前の目的と目標の達成しか頭になく、考え直しができないていないことはないか?
立ち止まって考え直す機会を定期的に作れているか。そこでは何を問うべきか。
●自分たちが何を果たすべき存在なのか、問い直すことができているか?
顧客、社会、環境に対して自分たちがどのような役割を果たすことで、いかなる貢献を行うのか。自分たちで定義した提供価値は相手にとって重要なものとなっているか。
第4章 組織とは「組織」によってできている
◾️組織アジャイルの成熟度を測る指針
第五レベル:自己組織化
第四レベル:学習の仕組み化
第三レベル:安定した実行力
第二レベル:見える化
第一レベル:自己管理(セルフマネジメント)
組織の芯を捉え直す問い
●「不条理(なぜそうするのかのなぜがない)」、「非効率(昔ながらの方法ではもはや適していない)」、「機械的(定められた指示以外の判断や動きは不要とされる)」が組織の中に蔓延っていないか?
そうした思考停止は何によってもたらされるものか。
●チームや部署、会社の組織アジャイルの成熟度合いはどの程度になっているか?(自己管理、見える化、安定した実行力、学習の仕組み化、自己組織化)
なぜ、現状の段階にとどまっているのか。次の成熟を目指すには何が必要か。
●他部門や他チームとのあいだで、「これまでの思考と行動」と「アジャイルな価値観と振る舞い」の二項対立を作り出してしまっていないか?
そうした対立はなぜ起きるのか。どのようにして乗り越えていくか。
●マネージャーや経営人材とのあいだで、アジャイルに関する理解や期待の点で認識組齬が起きていないか?
どのようにすれば理解を整え、適切な期待を設定することができるか。
●組織図上の箱と線をつなげて、目の前の相手とコミュニケーションがとれていれば、意思疎通が出来ていると考えてしまっていないか?
その先にいる人たちに働いている「意図」や「方針」、「実行」をどれだけ知っているか。
第5章 組織を芯からアジャイルにする
◾️組織アジャイル適用7つの原則
1.小さな勝利を手にする
2.相手の時間軸に合わせる
3.その場にいる人たちで始める
4.アジャイルから始めない、仮説検証から始める
5.傾きをゼロにしない
6.勝てるところまで戻る
7.アジャイルを連鎖させる
◾️アジャイルCoEの8つのバックログ
1.組織アジャイルの実践ガイド作り
2.教育コンテンツ作り
3.社内コミュニティ作り
4.社外への発信
5.組織理念との整合を取る
6.実践の伴走支援
7.体制の拡充
8.学びの集積
組織の芯を捉え直す問い
●他部門や他チームに働きかける際のスタンスを再確認しているか?
「組織アジャイル適用7つの原則」を見直し、どこまで意識ができているかを点検しよう。
●組織にアジャイルを広げるために必要となる取り組みを整理できているか?
「アジャイルCOEの8つのバックログ」を確認し、どこまでできていて、これから何に取り組むべきか、話し合おう。
●ミドルでのアジャイルを始めるにあたっての指針を持っているか?
「ミドルの回転4つの方針」について、どのように実現するかを話し合ってみよう(やるべきことを組織のバックログとして捉え、マネジメントする)。
●トップに何を伝えられれば、組織アジャイルを展開できるか?
偶発的な取り組みを続けるだけでは展開は進まない。トップに何を伝え、どのような意図で組織アジャイルを実現するのか、作戦を練ろう。
●組織の意図を「どこから(From)」「どこへ(To)」向かうのかで捉えられているか?
Toを真新しい言葉を使っただけのありたい姿になっていないか。また、Fromに引きずられ過ぎてこれまでと大差がない意図になっていないか。
●組織の芯はどこにあるのか?
自分たちの「芯」をどこから作り始めることができるか。最初の「越境」について、チームや部署で話し合おう。
付録1 組織の芯からアジャイルを宿す26の作戦
1 2つの変革を同時に取り組む(両利きの変革)
デジタルトランスフォーメーションとは、「提供価値の変革(CXの向上)」「組織内部の変革(EXの向上)」に同時に取り組む「両利きの変革」と言える。新たな価値創出に挑み、その取り組みを組織的に仕組み化することで、組織内部の変革へとつなげる。あるいは、組織内部のプロセスや業務の再定義に取り組むことで、組織外部に提供する価値の変革へとつなげる。2つの変革は相互作用的であり、一方の取り組みを他方へとつなげることを意図する。
2 3つの最適化の「呪縛」を捉え直す
組織をこれまでの思考と行動で呪縛する最適化が3つ存在する。「方法」「体制」「道具」の観点について、過度な最適化となっていないかを捉え直す。
3 組織は戦略に従い、戦略は意図に従う
組織とは、その存在意義を果たすための「意図」(狙い、目的)があり、意図を果たすために「方針」(戦略)を立て、その方針に則った「実行」の遂行にあたるための仕組みである。意図、方針、実行の各段階がどのような状態にあるかを言語化し、組織内でどこまで共通の認識となっているかを想定する。そもそも言語化ができなかったり認識が合っていなかったりといった組織内の「認識負債」について検出し、その打ち手を講じていく。
4 手元から始める、一人から始める
組織のアジャイルに取り組むには、「自分の手元から始める」そして「一人から始める」。手元から始めるにあたっては、「期間」「範囲」「リスク」の条件が限定的、寛容なところで臨む(実験的なプロジェクトなど)。さらに、アジャイルのプラクティスをまずは自分ひとりで取り入れて練習する(見える化、よりかえり、むきなおり)。然るのちにチームや部署への展開を行う。
5 組織を「一人の人間」のように見立てる
組織を一人の人間のように見なしてその動きをなめらかにしていくことをイメージする。意図、方針、実行においてつながりが悪い、時間がかかる箇所がないかを推定する。そして、組織としての一つひとつの動きが機敏に、何よりも自分たちの意図したものとなるように、分断、ボトルネックの解消に動く。
6 探索と適応と最適化を周回する
探索と適応、そして最適化の周回を作る。探索とは、「学び」を得るための仮説検証や試行の活動であり、適応とは、探索の結果から得た学びにもとづき、意思決定と行動をより適したものとなるよう変えていくことである。
7 始めるよりやめるほうを先立たせる
たいてい、何か新たな取り組みを始めようにも「その時間がない」といった声があげられる。新しい取り組みを積み上げる前に、「やめられることは何か」という観点に立ち、仕事の「断捨離」から始めるうにしたい。
8 バックログでチームの「脳内」を表す
いま取り組むべきものについて、チームや部署内で共通の理解を得るための「可視化」、さらに粒度を合わせるための「構造化」、何から取り組むのかという「願序付け」を行うことで、チームの脳内を整えて行動を揃える。チーム脳をバックログとして外在化するからこそ、判断や行動の「留保」ができる。
9 〈重ね合わせ〉〈ふりかえり〉〈むきなおり〉の段階を辿る
組織アジャイルの3つの段階〈重ね合わせ〉〈ふりかえり〉〈むきなおり〉のを段階的に辿る。3つの段階を繰り返し実施することで、「次は何をすればいいのか?」といった意識が組織に不要となるくらい自ずの動きになることを目指す。
10 同時に取り組む課題を一つに絞る「一個流し」
複数の課題を扱うことで、解決まで相応の時間がかかることになる。2~3スプリント先で3つほどの課題解決が得られるよりも、1スプリント目で最初の課題が解決できるほうが即効性がある。
11 組織アジャイルの成熟度を測る
組織がどれほどのアジャイルに到達しているかを測るために、以下の5つの基準を用いる。(1)「自己管理(セルフマネジメント)」(2)「見える化」の到達(3)「安定した実行力」の獲得(4)「学習の仕組み化」(5)「自己組織化」
12 動的な動きを捉えるために仕組みも動的にする
プレゼンテーション資料だろうと、ワード文書であろうと、ドキュメントのような固定的な情報では組織を適切に動かすことができない。意図も方針も行動もすべて、取り組みのなかで動き、変わっていく。人と人とのあいだをつなぐ、ひいては組織の構造と構造のあいだをつなぎ、必要な情報の流れを作る仕組みを「アジャイルの構造化」によって実現する。
13 関心を共通の意図によって近接させる
「関心の重なり」を見つけたり、意図的に作り出そうとしなければ、組織の中がつながることはない。互いの仕事の前提に「共通の意図」を見出すことにまずは取り組む。
14 心臓のようにリズムを作ることで、血(関心)を組織に通わせることができる
〈重ね合わせ〉〈ふりかえり〉〈むきなおり〉という周回によってリズムを作り出す。さらに個別最適化した組織の構造、サイロや塹壕を突破するために、10N1、OKR、ハンガーフライトなどの意図的な越境、つなぎ合わせを行う(組織内での鼓動をバイパスする)。
15 組織アジャイル適用7つの原則
組織アジャイルを他の部門やチームに伝えるにあたって、以下を原則として用いる。(1)小さな勝利を手にする(2)相手の時間軸に合わせる(3)傾きをゼロにしない(4)アジャイルから始めない。仮説検証から始める(5)その場にいる人たちで始める(6)勝てるところまで戻る(7)アジャイルを連鎖させる
16 アジャイルCOEの8つのバックログ
組織的にアジャイルを展開するにあたって、以下を最初の取り組みとして講じる。(1)組織アジャイルの実践ガイド作り(2)教育コンテンツ作り(3)社内コミュニティ作り(4)社外への発信(5)組織理念との整合をとる(6)実践の伴走支援(7)体制の拡充(8)学びの集積
17 組織アジャイルの経験を問う5つの質問
アジャイルの協力を外部に依頼するにあたって、以下の質問を投げかける。(1)「アジャイルとは何か?」(2)「組織のアジャイル化」として何をしたのか?」(3)「どんな結果が出たのか?」(4)「どうやって広げたのか?」(5)「結局、何をしたのか?」
18 具体的経験から概念化を得る〈ものわかり〉
具体的経験からは具体的な工夫が得られるが、そのままでは同じ問題に適用するほかなく、応用が効かない。具体的な工夫について、なぜ効果が得られるのか、その背景に立ち返り、対象の問題の本質と解決策たる工夫の特徴を捉え、概念化する。
19 アジャイルの回転を再帰的に構造化する〈フラクタル・アジャイル)
アジャイルの回転を、ボトム(現場組織)からミドル(中間部門)、トップ(経営)へと接続させる。
20 ミドルの回転(マネジメント・アジャイル)4つの方針
ミドルの回転を得るために、以下を方針として用いる。(1)ミドルのタイムボックスはボトムのその長さを踏まえて決める(2)ミドルとボトムのバックログを連結させる(3)「ゴールの連顔」でミドルとボトムの共通理解を育む(4)線表で「意志」を可視化する
21ゴールの連鎖と、適応の連鎖をつなぐ
意図から方針、方針から実行への整合(ゴールの連鎖)と、実行から方針、方針から意図へのフィードバックループを連結させる。
22 OODAのO2(情勢への適応)を組織内で合わせる
O2が合えば、O1(観察)の結果をどう解釈し方向づけるのか、各組織で自律的に判断し、実行に移すことができる。このO2の合わせ込み、組織としての方向づけが<むきなおり>にあたる。
23 スプリントの数だけ、変わるチャンスを手にする
反復(スプリント)のなかでお互いの接点があり、取り組みについて向き合い、フィードバックをあげることで「関心」は育まれていく。開心によって、私たちの変革活動はつながりを作り、維持することができる。
24 反復の刻みと解像度の調整(組織アジャイルの2つの要)
反復の刻みがなければ、探索からの適応、適応からの変化が得られない。解像度の調整がなければ、反復を繰り返すのが大変な負荷となる。
25 組織アジャイルで働かせる2つの力「求心力と遠心力」確かな回転のためには求心力が必要で、それを組織内に伝えるためには遠心力を同じく意図的に効かせる必要がある。
26 組織アジャイルの4つの価値観
(1)「最適化に従うことよりも探索と適応を」価値とする。
(2)「これまでの前提や判断基準よりも他者との間で新たに得られた関係や可能性を」価値とする。
(3)「固定化した文書よりも利用ができるアウトプットを」価値とする。
(4)「プロセス、ツールよりも個人と対話を、そしてそこから生まれる互いの関心を」価値とする。
◾️付録2 組織アジャイル3つの段階の実践
〈むきなおり〉の実践
むきなおりには、スプリントに参加している者や普段はスプリントに参加していないが組織活動に関係を持つ者などを集める。むきなおりでは、スプリントゴールよりも大きな範囲、粒度で捉える「組織目標」を変える可能性がある。組織目標にコミットメントやオーナーシップを持つ者の参加は不可欠である。むきなおりもおおよそ1時間が目安であるが、内容によっては1日がかりで行うこともある。目標を根本的に再定義する可能性がある場合などは相応の時間を投じるべきである。
a、むきなおりの準備
組織目標に対する結果を整理しておく
→組織目標に対して、むきなおりを行う時点でどのような結果をあげられているか、事前に整理しておこう。スプリントゴールとその結果を収集することがこの整理につながるだろう。また、参加者に事前に組織目標自体についての評価やコメントがあれば挙げてもらうようにする(ファイブフィンガーとその理由を挙げてもらうのでもよい)。スプリント活動としては問題はないが、組織の目標としては方向性として疑問が出てきているなど、組織目標への考察は普段とは異なる粒度で考える必要がある。その場の思いつきのように捉え直すのではなく、あらかじめ各自のむきなおりを期待したい。
b、むきなおりの実行
第一むきなおりとして、組織目標自体を問い直す
→まずもって、組織目標自体の方向性に変更の必要性はないかを参加者で確認しあう。この際、「この基目標を達成できることで何が得られるのか、その獲得がわれわれや顧客、周囲の期待することなのか」といった問いを投げかける。このままの方向性で進めた場合に何が得られるのか、その具体的な言語化を改めて行う。それに対して、自分たち自身として、また自分たちの仕事を受け取る相手(たとえば顧客)に対して、さらには他の部門や上位の組織長や経営から見て、期待する内容となっているかを考える。方向性を見直す必要があるとなれば、参加者で合意してその変更を行う。こうした判断がその場でできるように、むきなおりには組織目標にオーナーシップを持つ長や然るべき立ち位置の者が参加する必要がある。
第二むきなおりとして、定めた組織目標に到達できる現状となっているか問い直す
→第一むきなおりを経て、組織目標に変わりがなかったとしても、第二のむきなおりを行う。捉えた組織目標を達成するために必要なことが十分行えているか。組織目標を達成するためには逆算して何が必要となるのか。こうした問いや観点を投げかける。組織目標に向けて改めてやるべきことが挙げられるならば、ふりかえり同様にStart、Stop、Continueの観点で整理する。新たにやることはStart、目標達成のためにやめるべきことはStop、達成のために重要性が再確認できたことはContinueとして挙げる。このStart、Stop、Continueをそのままあるいは、ここから必要に応じてブレイクダウンして、バックログに乗せる。
再定義した組織目標を記録する(インセプションデッキの更新)
→むきなおりのタイミングで、インセプションデッキや組織目標を言語化しているものについてアップデートを行おう。組織メンバーおよび関係者の共通認識となるように、記録をする。 -
やや内容はマニアックで、本当にアジャイルにフォーカスした内容だが、組織に浸透させる段階では再読すると思う。
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問いかけについて、会社のチームで話し合うだけでも、共通認識が生まれて視野が広がるなぁと思った。
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私は、本書のメッセージを「組織にアジャイルを導入する」ということではなく「現実と向き合いながら探索し変化していける組織になる」だと受け取った。
ソフトウェアエンジニアリングの文脈は、ここでは希薄だ。しかしソフトウェアエンジニアリングの世界で20年前から脈々と続いてきた変革の中心にアジャイルはあり、その中心にいた筆者が「組織変革」のキーファクターとしてアジャイルを選択した理由は本書から十分に伝わってくる。
そして、コアがアジャイルになってゆくための術を丁寧に綴っている。それはソフトウェアの世界からみると、そこからスタートする必要があるのかと驚嘆するようなものだったりするが、それほどまでに現実に寄り添っている。そう、この本も、それこそ芯にアジャイルが宿っている。