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- Amazon.co.jp ・本 (122ページ)
- / ISBN・EAN: 9784803907902
感想・レビュー・書評
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宮柊二氏による、日中戦争の一兵卒として読まれた短歌集。私が挙げるまでもなくひとつひとつが生々しく、強烈だ。
ひきよせて寄り添ふごとく刺ししかば声も立てなくくづおれて伏す
山くだるこころさびしさ肩寒く二丁の銃かつぐなり
これは勿論、歴史に残る歌集だと思うのだが、柊二氏は後記で
「正直を告白すれば之は作品ではない」
と言い。続後記では
「出来得れば、多くは読まれざるを希ふ」
とまで言う。
それには凡庸にして、太平楽の世に生きる私如きには察して余りあるものがある。
しかし、私は全ての人に読まれるべき歌集であると確信する。私も「どうしてもっと若い時にこれを読まなかったのだろう」と悔やんでいる。
しかし、もう二度とこのような歌集は編まれてはいけないと思う。
ある夜半に目覚めつつをり畳敷(たたみしき)きしこの部屋は山西(さんしい)の黍畑(きびばた)にあらず詳細をみるコメント0件をすべて表示
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