本物の「上司力」 「役割」に徹すればマネジメントはうまくいく

著者 :
  • 大和出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784804718699

作品紹介・あらすじ

いつ何時でも、部下の「管理者」ではなく「支援者、伴走者」であれ!これまで400社以上を支援!現場を預かるリーダー達から圧倒的支持の「上司力」提唱の第一人者が、この時代だからこそ必要な新しいマネジメント手法を説く

感想・レビュー・書評

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  • 忘れられない上司がいる。ひとりは「男の中の男」と呼ばれた人で、熱血指導で、いつもプンプンしてまくしたてる人だった。もうひとりは「ホトケ(仏)の~」と呼ばれた人で、いつもニコニコして「まあまあ~」とぼやいていた。

    若い僕を育ててくれた対照的な二人とも、後に大きな公立病院の院長になった。間違えなく器が大きかったのだろうが、若い僕はそんなことに気づいてなかった。今になって、二人の偉大さを認識するのだ。

    研修医の2年目の時に出会った部長は、

    「ハマダ、毎日、朝夕、患者さんのところに行って、診察しなさい!」
    「ハマダ、ふざけるな!<患者さんを診る>とか、言うな。10年早い。
    <診させて頂く>と言え!」
    「ハマダ、そのズボンは何だ!ちゃんとしたスラックスをはけ。」
    「ハマダ、ラーメンは、汁から!」
    「ハマダ、全員にお酌をして、挨拶をして回れ!」
    「ハマダ、看護師さんとか呼ぶな、病棟の看護師の名前を全部覚えろ!」

    といつも怒鳴っていた。だけど、僕は好きだった。怒鳴った後には、笑顔で僕の肩をポンと叩いて、「まあ、頑張れ、今が頑張り時だ」と優しく言ってくれた。この名物部長を慕う人は沢山いて、研修医からも若手医師からも人気があった。結局のところ、愛情があったからだと思う。今ならパワハラだの、セクハラだのと言われるかもしれないが、僕の医者としてというか、社会人としての基盤を作ってくれたのはこの人だ。

    次に、5年目に出会った上司は、穏やかだった。
    その頃、仕事はとてもハードで、朝6時に出勤して、7時から研修医との回診で、8時からカンファ(と言っても、上司と僕と、研修医2~3人)。雨漏りのする南2階病棟の40ベッドの中や、内視鏡室や救急室を日中走りまわり、夜8時とか9時頃になってようやく座れるという感じだった。そんな生活が長く続いた。いろんなことがあった。カルテの電子化、新病院の建設、新研修医制度の導入、総合診療病棟の構築…、次から次に難題が押し寄せてきた。僕はいつも荒波の真っ只中にいて、不満だった。それを上司にぶつけていた。
    そんな上司はニコニコした笑顔で、僕の愚痴を聞いてくれて、

    「はまちゃん、まあ、人生、そんなこともあるだよ~」
    「はまちゃん、人はいろいろいるから、そんなに求めても~」
    「はまちゃん、正しいとか正しくないとか、難しいからね~」
    「はまちゃん、まあ、ボツボツと言うことで~」

    と、答えにならないようなことを言ってくれた。当時若い非力の僕には解決のしようのないことばかりで、言っても詮無いことであったのだが、この上司が丁寧に聞いてくれたのだろう。

    忙しすぎることに対する不満というよりも、「自分はこれだけ頑張っているのに、なんで周りは頑張らないのか。なんで頑張っている自分の評価は低いのか」ということだったと思う。それに対して、「そんなことはないさ。しっかり私が見ている。私だけはちゃんと評価している」というメッセージをやんわりと出してくれていたのだろう。良い人に出会ったと思う。振り返ってみると、この上司から僕は<寛容になれ>ということを学んだと思う。なかなか今も身についてはないのだが…。

    人は、誰しも、働き始めると上司を持つ。
    良い上司に恵まれる場合もあるし、そうでない場合もある。いずれにしろ、新人や若手にとって、上司の影響は大きい。そして、人はいずれ上司になる。

    本書からいくつか抜粋しよう。

    「優秀な人が上司になると、批判を否定的に受け止める、威圧的である、拙速に結論を出す、マイクロマネージメントに走る」

    「本物の上司は、働き甲斐のある職場をつくり、部下ひとりひとりが自律的に動き、個人では達成できない結果を導きだすチームを作る」

    「リーダーの話し方において重要なのは、3つ。自分の思い(主体性)、他人への思いやり(愛他性)、わかりやすさ」

    「ひとりひとりのミッションがわかる組織図をつくる」

    「組織に帰属して、承認されることが大切」

    本書は、令和の時代の中間管理職のマニュアル本であるが、いつの時代も変わらない上司像はあると思う。この本を読みながら、僕は二人の上司を思い出して、この文章を書いた。僕の上司たちは、上司という役割に徹していたと思う。ふたりは、手法は異なるが、上司として部下を守り、明確なビジョンを持って組織を発展させた。結果として、院長に抜擢されたことがそれを物語っている。

    本書のサブタイトルは、「役割に徹すればマネジメントはうまくいく」。
    結局のところ、自分自身が「上司」という役割を演じ切り、自分自身が変われるかにかかっていると思う。

    じゃあ僕自身は今、「上司」の役割を果たしているのか? 自分自身が変わったのか? そう問いかけながら、今日も一生懸命「上司」を演じたいと思う。

  • 忘れられない上司がいる。ひとりは「男の中の男」と呼ばれた人で、熱血指導で、いつもプンプンしてまくしたてる人だった。もうひとりは「ホトケ(仏)の~」と呼ばれた人で、いつもニコニコして「まあまあ~」とぼやいていた。

    若い僕を育ててくれた対照的な二人とも、後に大きな公立病院の院長になった。間違えなく器が大きかったのだろうが、若い僕はそんなことに気づいてなかった。今になって、二人の偉大さを認識するのだ。

    研修医の2年目の時に出会った部長は、

    「ハマダ、毎日、朝夕、患者さんのところに行って、診察しなさい!」
    「ハマダ、ふざけるな!<患者さんを診る>とか、言うな。10年早い。
    <診させて頂く>と言え!」
    「ハマダ、そのズボンは何だ!ちゃんとしたスラックスをはけ。」
    「ハマダ、ラーメンは、汁から!」
    「ハマダ、全員にお酌をして、挨拶をして回れ!」
    「ハマダ、看護師さんとか呼ぶな、病棟の看護師の名前を全部覚えろ!」

    といつも怒鳴っていた。だけど、僕は好きだった。怒鳴った後には、笑顔で僕の肩をポンと叩いて、「まあ、頑張れ、今が頑張り時だ」と優しく言ってくれた。この名物部長を慕う人は沢山いて、研修医からも若手医師からも人気があった。結局のところ、愛情があったからだと思う。今ならパワハラだの、セクハラだのと言われるかもしれないが、僕の医者としてというか、社会人としての基盤を作ってくれたのはこの人だ。

    次に、5年目に出会った上司は、穏やかだった。
    その頃、仕事はとてもハードで、朝6時に出勤して、7時から研修医との回診で、8時からカンファ(と言っても、上司と僕と、研修医2~3人)。雨漏りのする南2階病棟の40ベッドの中や、内視鏡室や救急室を日中走りまわり、夜8時とか9時頃になってようやく座れるという感じだった。そんな生活が長く続いた。いろんなことがあった。カルテの電子化、新病院の建設、新研修医制度の導入、総合診療病棟の構築…、次から次に難題が押し寄せてきた。僕はいつも荒波の真っ只中にいて、不満だった。それを上司にぶつけていた。
    そんな上司はニコニコした笑顔で、僕の愚痴を聞いてくれて、

    「はまちゃん、まあ、人生、そんなこともあるだよ~」
    「はまちゃん、人はいろいろいるから、そんなに求めても~」
    「はまちゃん、正しいとか正しくないとか、難しいからね~」
    「はまちゃん、まあ、ボツボツと言うことで~」

    と、答えにならないようなことを言ってくれた。当時若い非力の僕には解決のしようのないことばかりで、言っても詮無いことであったのだが、この上司が丁寧に聞いてくれたのだろう。

    忙しすぎることに対する不満というよりも、「自分はこれだけ頑張っているのに、なんで周りは頑張らないのか。なんで頑張っている自分の評価は低いのか」ということだったと思う。それに対して、「そんなことはないさ。しっかり私が見ている。私だけはちゃんと評価している」というメッセージをやんわりと出してくれていたのだろう。良い人に出会ったと思う。振り返ってみると、この上司から僕は<寛容になれ>ということを学んだと思う。なかなか今も身についてはないのだが…。

    人は、誰しも、働き始めると上司を持つ。
    良い上司に恵まれる場合もあるし、そうでない場合もある。いずれにしろ、新人や若手にとって、上司の影響は大きい。そして、人はいずれ上司になる。

    本書からいくつか抜粋しよう。

    「優秀な人が上司になると、批判を否定的に受け止める、威圧的である、拙速に結論を出す、マイクロマネージメントに走る」

    「本物の上司は、働き甲斐のある職場をつくり、部下ひとりひとりが自律的に動き、個人では達成できない結果を導きだすチームを作る」

    「リーダーの話し方において重要なのは、3つ。自分の思い(主体性)、他人への思いやり(愛他性)、わかりやすさ」

    「ひとりひとりのミッションがわかる組織図をつくる」

    「組織に帰属して、承認されることが大切」

    本書は、令和の時代の中間管理職のマニュアル本であるが、いつの時代も変わらない上司像はあると思う。この本を読みながら、僕は二人の上司を思い出して、この文章を書いた。僕の上司たちは、上司という役割に徹していたと思う。ふたりは、手法は異なるが、上司として部下を守り、明確なビジョンを持って組織を発展させた。結果として、院長に抜擢されたことがそれを物語っている。

    本書のサブタイトルは、「役割に徹すればマネジメントはうまくいく」。
    結局のところ、自分自身が「上司」という役割を演じ切り、自分自身が変われるかにかかっていると思う。

    じゃあ僕自身は今、「上司」の役割を果たしているのか? 自分自身が変わったのか? そう問いかけながら、今日も一生懸命「上司」を演じたいと思う。ホッホホ~、次回をお楽しみに。

  • 上司は役割

  • 上司が思っている以上に、部下は上司の言葉に深く傷付いている、という帯裏を見て購入。中身はよくある「上司とは役割。自己開示して、信頼を得て、感謝することで部下はついてくる。目的を教え、仕事を与えれば、能動的に動いてくれる」というもの。上司の言葉の使い方等を期待していたが、ほとんどなかった。
    内容としては良い。リモートワークやSNSの普及による若者の働くことに対する考え方と管理者の考え方のズレを前提とした、上司のあり方。
    本書の3分の2は実用的な内容。上司の悩み、置かれている環境、部下に求めているもの、部下として何をすればいいかなどもわかるので、部下の立場にある人にも参考になる。特に、5章の部下から上司への質問、6章の傾聴。
    上司にプレゼントした本。参考にしてくれるだろうか。自分も教える立場になった時にまた読みたい。
    「作業は言い方一つで仕事に変わる」「上司の影響は離れても一生続く」

    個人的な追記。
    2020.10.22、プレゼントしました。

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著者プロフィール

(株)FeelWorks代表取締役・青山学院大学兼任講師

「2017年 『5人のプロに聞いた! 一生モノの 学ぶ技術・働く技術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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