シナリオの基礎技術 新版

著者 :
  • ダヴィッド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784804801759

感想・レビュー・書評

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  • 映画、テレビは視覚と聴覚の芸術 vs. 演劇

    映像芸術の特性
    ①時間と空間の飛躍
    ②視覚を武器に cf. アップ
    ③枠をもつこと
    ④モンタージュの表現
    ⑤ドキュメント性
    演劇と違って、映画の背景は描いたり建てたりするものではない。写真という、嘘のつけないものを信じている(本当は違うのだけど)ものを持っていることで、海にしろ、山にしろ、怪獣にしろ、自由自在に出すことができる。そこにおける真実は、好奇心と共に胸に深く刻み込まれる程の迫力を持っている
    ⑥ナレーション、タイトルの駆使


    「私は彼女に恋を打ち明けたいと思って迷っているのだ」とセリフで言わないで、どう気持ちを観客に伝えるか、この技巧がドラマツルギーとなって発達した。演劇での工夫の根本は、葛藤(ストラグル)を最大限に利用すること。
    映画・テレビはすべて描写であること。

    リトマス法
    一つの状態にリトマス的な、人物、セリフ、小道具、事件、事情、自然現象等を投げ込むことによって、その反応(リアクション)からその人物の心理や感情や事情等を描く。電話、マンホールからの突風

    テーマーモチーフー素材
    テーマ
    書くための目的=テーマ
    「戦争は罪悪である」。「戦争」だけではテーマにならない。自分の主張をただプラカードで見せるのではなくして、感動させなくてはいけない。感動させるためには、肉体化しなくてはならない。ここに芸術への止揚がある。テーマとは、表に出すものではなくて、その作品の中に溶け込ますもの。
    こちらから表現してはいけない。観客に考えてもらうお膳立てをする。

    モチーフ
    「戦場での虚しい死に方」「愛し合った男女が戦争のために引き裂かれてしまう」「戦争の犠牲になった人々の話」など。人物とか、時代とか、社会とかを決めることによって、いろいろな角度から同じテーマをとらえることができる。これをモチーフという。そして、それを思いつくのがアイデア。モチーフは、具体的事実、テーマのようなパサパサした考え方を心打つまでにもって行くもの。

    素材
    どんな登場人物、どこに勤めている、どんな友達を作る

    天(時代、情勢)地(場所)人(人物)

    起承転結
    起 
    テーマと反対のこと(アンチテーゼ)を考える。「友情とは尊いものだ」をテーマにしたかったら「友情とは下らんものだ」ということを考える。ドラマとは、葛藤(対立)だから
    最も適当はところから始めなければいけない(栗ようかんの栗(事件、感情)がちょうどひっかかるところ)
    魅力がなければいけない
    ①人物の魅力
    ②場所の魅力
    ③疑問の魅力
    ④行動に対する魅力

    張り手型(アクションもの、時代もの)と撫ぜ型(ホームドラマ、メロドラマ)
    起と承を同時に説明させる=人物を紹介しながら、すでに事件が起きている
    承 
    障害、葛藤、ストラッグル
    表と裏を利用する。主人公だけを追っては単調なドラマになりやすいので、主人公の人生の裏のことも考える、7つか8つの裏の生活を考えて、その方が的確な表現が出来、面白い表現ができるなら、裏の生活を表に直す。
    リトマスを利用して、話を発展させる
    みんなが主人公に石を投げつける
    転 
    テーマを感じさせる。あくまで語るのではなく、観客の胸にしみとおるように感動させる。転の最高潮では無言が本当。
    結 
    転のところでドラマは既に終わっている。余韻(単なる静かなものをさすのではなく、何か未解決なものをあとに残しておくやり方)と期待(連続ものの場合)。

    天(時代・情勢)地(場所)人(人物)

    地(シーン)
    柱を書いたら、次のト書は誰と誰が何をしているのか明確にイメージ化する
    最もストーリーに適しているところ
    ドラマが密着しているところ
    感情の一番表しやすいところ
    一番説得に効果のあるところ
    説明しなくてもいっぺんで分かるところ

    人(人物設定)
    性格をまずはっきり決める、リトマスで表現
    性格だけに頼らずに、各人に事情を背負わせたら性格が出てくる

    この人とこの人にはどんな感情が、あるいは人間関係かを考えなければいけない。
    関係を相関図にして残しておく
    その人に秘密を作る
    その人物に弱点をつける
    人物を構成する時に、欠損家族は勿論、必ず不安定な要素を内在させる
    年齢の高い経験者に対して、尊敬の言葉ではなく友達づきあいみたいな言葉使いとかも異常な設定として作品を膨らませる。
    二面性をうまく表現する
    憧れ(ああなったらいいな)という願望と、共通点(なーんだ、俺と同じじゃないか)という親近感を持たせると魅力は生まれてくる
    何かしらの「渇き」「飢え」が人間にはある
     人間は何かしら飢えというか渇きというか、こころの一隅にあるものです。はたから見れば何不自由ない幸福な家庭をもっている人妻にも何かあるものです。もう少し覇気のある生活が欲しいとか、もう少し贅沢な生活が欲しいとか、勉強をしたいとか、何かある筈です。誰からももてはやされる美しいOLでも、ひとり寂しい下宿の生活から抜け出したい気持ちはあるでしょうし、面白く遊び暮らしているハンサムな青年でも、あるときは味噌汁やお茶漬けにあこがれるかも知れません。そうした渇きをいやしてくれるものが、そのいとぐちになります。例えば、ふとこぼしたお茶をなにげなくふいてくれる女の子の心きいた動作に、男ばかりの生活にいる青年は、心を動かされるでしょうし、父に甘えていて今は遠くに離れているOLは、中年のやさしさにすぐほだされるかも知れません。したがって、これらの作る要素は、その男なり女なりがそうした乾いた状態であることがはっきりしなければならないのです
    欲望をはっきりさせること。社会的欲望・個人的欲望・生理的欲望
    人間性は、職業にからませると明瞭に出てくる


    貫通行動 主人公の目的
    貫通行動が妨害されることによって初めてドラマになる
    日常生活の貫通行動にドラマ的障害を与えるとディテールが出来る
    出会い方、別れ方、ラブシーン、けんか、殺し方、逃げ方、いじめ方、商売のヒント、誠意の表し方、恥のかき方、復習の仕方、熱心だ、退屈だ、困る、いたずら、クセ

    登場人物に貫通行動を持ってきて、それに反対な障害を持ってきてアイデアで解決

    会話
    セリフは嘘つき
    会話とはアクションである。会話とは、描写である。会話とは、対立である。
    シーンが浮かばないからセリフが過剰になる
    このシーンではこういうことを感情として見せなければならないということがはっきりしないと余計なセリフを書く
    「心配だから探してくるわ」よりも気持ちの芝居を作るべき
    「これが、うまいんだなぁ」では理屈、ドラマに理屈は禁物。並べ方を逆転させる「うまいんだなぁ、これが」
    セリフは、1→2→3→4と順序よく述べるのではなくて、1→2→4とすると面白くなる。飛躍させる。線的思考(順序を追って考える)ではなくて、点的思考(感覚で内包する)で感覚に訴える(マクルーハン)
    作者の感情をセリフの中に入れるのはもちろん、常に相手のリアクションを考えながら、セリフを進めていく
    抽象よりも具象。「お母さんに、何か買ってあげてください」→「お母さんに、銘仙を買ってあげてください」

    セリフの機能    フライターク「劇作法」
    事実(情報)を知らせる
    人物の心理、感情を表す
    ストーリーを進展させる

    セリフの条件
    物語の進行方向に進むべきである。進展させる。重複させない
    人間らしい言葉でなければならない
    魅力あるセリフでなければならない
    簡単明瞭であることが必要だ
    長ゼリフは極力避けること
    ひとつのセリフの中には、テーマ(情報)は一つ

    セリフの種類
    セリフは必ず噛み合わなければいけないものではない。噛み合ないから言葉そのものを越えた何かが醸成されてくる

    反対セリフ 
    反対のことを言って、その裏の真実を観客に分からせる。セリフは嘘つき

    包むセリフ
    そのものズバリと言わないで(間接)、そのくせはっきりと表す。 Ex.月給のゲの字も言わないで、数字でそれを観客に分からせる
     
    飛躍セリフ
    1→2→3→4と順序よく述べるのではなくて、1→2→4
    A「どう?ボーナス?」
    B「まぁね」
    A「なに買う?」
    B「買わない」
    A「?」
    B「ためて家建てる」
    A「ニクイ」

    飛躍によって新鮮味を感じさせる、意外性を感じさせる
    線的思考(順序を追って考える)ではなくて、点的思考(感覚で内包する)で感覚に訴えるから(マクルーハン)

    強調セリフ
    これこそ聞かせておきたいという重要なセリフは、セリフ尻に置く
    対立セリフ
    対立のないようなところでも、対立したセリフを書いていくのが面白くする道
    A「お茶漬けでも食べたいなぁ」
    B「そんなのいつだって食べられるじゃないの、なべやきうどんの方がいいわ」

    A「この椅子はどうしたんだ」
    B「原島がかけたもんで…」
    A「あいつが、かけたんじゃなぁ」

    はずすセリフ
    台所
    男「別れてくれ」
    女「・・・・・・・・・・・」
    男「好きな女が出来た」
    女「・・・・・・・・・・・」
    男「もう1年になる」
    女「・・・・・・・・・・・」
    男「頼む」

    台所
    男「別れてくれ」
    女「どうして?」
    男「好きな女が出来た」
    女「いつから?」
    男「もう1年になる」
    女「どうしても?」
    男「頼む」

    台所
    男「別れてくれ」
    女「今日、サンマ買ってきたの」
    男「好きな女が出来た」
    女「秋はやっぱりサンマよね」
    男「もう1年になる」
    女「アナタ、焼き魚に大根オロシが好物だから」
    男「頼む」

    感情のあるセリフ
    ①感情的にする
     相手のリアクションを考えながらセリフを進めていく
    ②個人の話に引き戻す
    ③抽象を具象化する
    ④小道具を使用する
     人間の習性の中に、物を人間に例える、つまり擬人化して見る考えがある。動物はもちろん植物でも鉱物でも感情移入ができる

    映像表現はリアクションであること。しゃべっているよりは、そのおしゃべりをどう反応して聞いているかの方に重点がかかる芸術

    葛藤
    人物あるいは自然等の葛藤によって表すぶつかり合いの中に、作者の訴えたいもの(抽象)を、感情や理性、または事件によって表す(具象化)こと
    登場人物がその時点において最も感情を表現するのに適当なときに、適当な事件なり事情、事件を投入する(男と別れてきた姉が家に帰ってくると、妹のところに素晴らしい縁談がきている。この縁談が転がり込んだという事件は、姉の心にどう反応するか?その反応がドラマになっていく
    隠し事

    カットバック

    表と裏
    演技する場所を決めること。同じストーリーを語るにしても、場所の決め方で、面白くなったり、つまらなくなったりする

    映像芸術独特の表現方法
    映像の枠の利用
    モンタージュの利用
    小道具の利用

    小道具
    性格や立場をはっきり表現することによって、対立が生まれる。そのことによって、その人物たちが反応しあって物語が進んでいく
    モンタージュを利用する

    モンタージュ
    2つのシーンを組み合わせて、第3の意味を見いだす。
    表に出た表現でないものを感じさせることで、映画は芸術になった
    人物のストラッグル
    場所のストラッグル
    いかに省略するか
    いかに飛躍させるか
    いかに場面の相克によって表すか
    いかに表と裏を選ぶか
    カットバックで時間を盗む

    葛藤の作り方
    リトマス投入によって、反応が得られる。それがドラマになる

    リトマスの種類
    ①対立
    ②事件の投入
    ③反応させるためのものを投入

    見た目(カメラ位置)

    フレーム
    映像表現にはフレームを使えるということを忘れずに!
    ①細部の描写ができること
    ②見せたいものは強制的に見せることができる
    ③見せたくないものは隠すことができる
    枠外について自由に想像させることができる

    シャレード
    間接描写をしながら、そのくせズバリと表現する方法
    人物に対するシャレード
    場所に対するシャレード
    状況に対するシャレード
    人間関係に対するシャレード

    カセ
    登場人物が、ある目的に向かって進んでいこうとするとき、条件として邪魔になるもの。葛藤にもっていく材料。グランドホテル形式―ロードムービー形式 巻き込まれ型―
    時間的なもの
    秘密性を持つもの
    その人自身の秘密 
    出生、過去、身分、職業、病気、家族関係、くせ、不名誉なもの、知らないこと、年齢
    人間関係の秘密
    家族関係、恋愛関係、社会的地位、肉体関係、かくし妻、かくし子、社会的地位
    物の秘密
    お金がない、お金持ちである、借金、へそくり、こわしてしまった、取ってしまった、かくす、落し穴(仕掛け)、宝物、
    場所の秘密
    いる場所(追われるもの、誘拐)、かくし場所
    状況の秘密
    家族の事情の秘密、社会の事情の秘密、戦況等の秘密、下界との不連絡
    行動の秘密
    作戦の場合、犯人の場合、浮気等の場合、探偵等の場合、スパイ、忍者の場合、隠密行動(恋人たち)
    計画上の秘密
    業務上計画の秘密、仇討ち・復讐等の秘密、喜ばせるための計画の秘密、作戦の秘密、陰謀の秘密、詐欺の秘密
    善意の秘密
    突然の喜びのための秘密、相手を傷つけないための秘密、病気等を告げない秘密、他から悪い噂話等を聞かせたくないための秘密、善意を持って財産等の秘密
    他愛ない秘密
    当人だけが秘密と知っている秘密、恥になると思っている秘密、知らない秘密、ごまかすための秘密、言いそびれたための秘密
    肉体の秘密
    その人自身、病気、くせ
    場所のカセ
    特定の場所でなければいけないもの
    ニューヨークのキングコング、ターザンの密林、戦争物の戦地、観光的目的のあるもの(道中記、ローマの休日等)
    固有の場所でないもの
    密室、袋小路、敵軍に包囲されたところ、ドコボコ道、交通マヒの街・道路、浮遊力を失った潜水艦、脚の出ない飛行機、占領された場所(ハイジャック、海賊)、落盤事故現場、離れた土地と土地、橋、プラットフォーム
    人間関係のカセ(同じ立場にいるもの、立場の異なっているものを勘考する)
    親と子、兄弟、伯父と甥、無医村の医師と村人、医者と患者、教師と生徒、上役と下役、人間と動物、親友、同業者同士、近所同士、村落同士、国民同士、宗教、弁護士と容疑者、商売人と買い手、世論(うわさ)、仇同士(ライバル)、大人と子供、タレントとファン(orマネージャー)、刑事と犯人
    ex.父親が機動隊で子供が学生運動、姉妹で一人の男を愛す
    獣医が盲腸を治す
    内心のカセ
    してはいけないと思うとき、
    しなくてはならないと思うとき
    性格的な弱さ、相手(世間体)への考慮それがドラマになる
    誤解のカセ
    信頼が失われた時
    コミュニケーションの悪い時
    無知な時
    社会的つながりのあるもの
    仕事、社会的ヒューマニズム(公害等)、社会的圧力、法律、因習(村八分など)、一般的民衆の考え方(閉鎖的)、宗教
    約束等によるもの
    約束、デート、遺言、一旦約束してしまったもの、掟(仲間の規律)、規則、契約、習慣、作業、職業につく
    物に関するもの
    貴重品、危険物、人物にとって意味のあるもの、災難を招くもの
    状況的なもの
    天候(暴風雨、雨、雪、地震、火事、洪水、日照り、長雨、暑さ、寒さ、虫の発生等)、戦時下(インフレ、デフレ)、社会不安、会社の状況、団体、家族的状況、その人自身の状況
    目に見えないもの
    占い、予言、宗教的な圧力、雰囲気、脅迫、コンピュータの指示、世論、噂、世間体
    肉体的なもの
    肉体的なハンデキャップ、拷問、病気、顔の美醜からのコンプレックス、精神病、無知、性格的なもの、男であること、女であること、飢え、眠れない
    その他
    学問上のカセ、派閥のカセ、つまらないカセ、面白さのためのカセ、心理的なもののカセ(コンプレックス)、職業上のカセ、お化け、ものものしさ、威圧

    伏線
    一つの事件、事実が起こる時に、その事件の起こるのを暗示するようなキッカケを前持って、それとなく用意しておくこと
    これから行われるドラマの前提
    ドラマとは、作者が一人で創作するのではなくて、観客との共同作業。記憶とか思考によって、観客を参加させる用意がなければいけない。観客が興奮するということは、観客自らの頭の中で思考を通じてなされる。記憶機能を利用するのが伏線

    ストーリー(目の前で映されているドラマ)現象
    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー→
    陰のストーリー(観客が覚えているドラマ)記憶

    観客は、最初写った画面を元にして記憶を蓄積して、そのつもりになって見ている
    cf. 「恐怖の報酬」ニトログリセリンを1滴垂らす

    動機付け
    二面性を表現することが、真に迫った性格描写になる
    食欲
    生きたい願望
    所有欲
    愛 愛すればこその動機は誰もが納得する

    人物の魅力
    憧れという願望(ああなったらいいな)と、共通点(なーんだ、オレと同じじゃないか)という親近感を持たせること
    魅力とは、単なる美徳ばかりではなく、それと反対のそそっかしいとか、あわてものとか浮気心をいつも起こしているとかが必要になってくる

    商品:7up
    タイトル:頭突き
    貫通行動:一人で飲みたい
    カセ:一人で飲めない
    アイデア:二股ストロー
    アイデア:頭突き
    伏線:
    テーマ:女は強い
    モチーフ:飲み物
    リトマスとシャレード

    葛藤
    解決策の提示
    思いもよらない展開

    商品:バドワイザー
    タイトル:試験
    貫通行動:面接突破
    カセ:女の誘惑
    アイデア:裏切り(バーチャル試験)
    伏線:
    テーマ:良いセールスドライバーしか採用しません
    モチーフ:ドライバー試験
    リトマスとシャレード

    テーマ=コンセプト

    転・転・結

    ストーリーの23原型    新井一ドラマ98.2
    かちかち山型  復讐もの
    桃太郎型 集団で勧善懲悪
    太閤記型 サクセスストーリー
    西遊記型 道中もの、一つの目的地まで行く途中にいろんな障害が出て来る
    逃亡者型
    シェーン型 股旅もの、困っている人がいる、旅の人が助ける
    半七捕物帳型 誰かが殺されてる、それを解明していく、探偵もの
    水戸黄門型 変身もの、ローマの休日、遠山の金さん
    柔ちゃん型 主人公が特技を持っている
    サザエさん型 ホームドラマ、ちびまる子ちゃん、ゴッドファーザー
    巨人の星型 スポコンもの
    ひらり型 人間の不決断、性格もの
    また逢う日まで型 純愛もの、野菊の墓
    曾根崎心中型 不倫、三角関係
    母三人型 母もの、父もの、師弟もの、人間関係によるもの
    マリア・テレサ型 難病もの、貧困もの、野口英世の伝記
    血煙荒神山型 人間関係のカセによるもの
    氷点型 秘密型 自分の殺した犯人の娘をひきとって、娘に内緒で育てていく
    哀愁型 約束型 走れメロス
    夕鶴型 
    悪い奴ほどよく眠る型 悪者が勝利する
    生き方型 善人が最後に勝利する

    新井 一による23の基本形式
    『かちかち山』型
    復讐もの。
    『桃太郎』型
    集団で勧善懲悪をやる。
    『太閤記』型
    サクセス・ストーリー。
    『西遊記』型
    道中もの。1つの目的地まで行く途中にいろんな障害が出てくるドラ マの構成。
    『逃亡者』型
    TVドラマ、映画の『逃亡者』。逃げる。
    『シェーン』型
    股旅もの。困っている人がいる。そこに主人公が現われる。
    『半七捕物帳』型
    誰かがいじめられえちる、あるいは誰かが殺されている。それを解明 していく。
    『水戸黄門』型
    変身もの
    『柔(やわら)ちゃん』型
    主人公が特技をもっているもの。(何で「柔ちゃん」なのでしょう? そもそも「柔ちゃん」て誰? 柔道の谷(旧姓 何だっけ?)さん?)
    『サザエさん』型
    ホームドラマ。人物がいろいろなことになっていく。
    『巨人の星』型
    スポ根もの。
    『ひらり』型
    「ひらり」(NHKテレビ小説)のように、不決断なもの(優柔不断?)。
    『また逢う日まで』型
    純愛もの。
    『曽根崎心中』型
    不倫的なもの
    『母三人』型
    母ものとか父ものとか。師弟ものとか、人物関係によるもの。
    マリア・テレサ型
    難病ものとか、貧困とか、野口英世の伝記ものみたいなもの
    『血煙荒神山』型
    兄弟の盃だとか、夫婦別れだとか、親子、兄弟、医者と患者、教師と 生徒など人物関係のカセによるもの。
    『氷点』型
    「氷点」は、自分の娘を殺した犯人の娘を引き取って、娘に内緒で育 てていく、一種の秘密型。
    『哀愁』型
    約束型。登場人物が約束をしている。
    『夕鶴』型
    なんか不思議な人物が出てくるもの。これは一種の推理ものになって くる。
    『悪い奴ほどよく眠る』型
    「三年寝太郎」とか悪者が勝利をする。
    生き方型
    本当の完全懲悪型。善人が最後に勝利する。
    その他
    災難とか運命が出てくるものがある。

    シナリオ作法論集に、新井 一によるカセ(制約、 拘束、束縛)の分類が挙げられています(pp.39〜)。それらを抜き出して書いて おきます。
    時間的なもの
    秘密性をもつもの
    その人自信の秘密(人物)
    出生
    過去
    身分
    結社に入っていること
    職業
    病気
    家族関係
    くせ
    不名誉なもの
    知らないこと
    年齢
    人間関係の秘密(人物)
    家族関係
    恋愛関係(姦通)
    社会的地位
    肉親関係
    かくし妻、かくし子
    物の秘密
    お金がない or お金持ちである
    借金
    へそくり
    こわしてしまった(過去)
    とってしまった
    かくす
    落し穴(仕掛け)
    宝物、密書、その他
    場所の秘密
    いる場所(追われるもの、誘拐)
    かくし場所
    状況の秘密
    家族の事情の秘密
    社会の事情の秘密
    戦況等の秘密
    外界との不連絡
    行動の秘密
    作戦の場合
    犯人の場合
    浮気等の場合
    探偵(警察官)等の場合
    スパイ、忍者の場合
    隠密行動(恋人たち)
    計画上の秘密
    業務上計画の秘密
    仇討ち、復讐等の秘密
    喜ばせるための計画の秘密
    作戦の秘密(前記「作戦の場合」)
    陰謀の秘密
    鷺の秘密
    善意の秘密(多くのホーム・ドラマ)
    突然の喜びのための秘密
    相手を傷付けないための秘密
    病気等を告げない秘密
    他から悪い噂話等をきかせたくないための秘密
    善意をもって財産等の秘密
    他愛ない秘密
    当人だけが秘密だと思っている秘密
    恥になると思っている秘密
    知らない秘密
    ごまかすための秘密
    言いそびれたための秘密
    肉体の秘密
    その人自身
    病気
    くせ
    場所のカセ
    特定の場所でなければいけないもの
    勧進帳の安宅の関
    ニューヨークのキングコング
    ターザンの密林
    戦争物の戦地
    観光的要素のあるもの(道中記、ローマの休日等)
    固有の場所でないもの
    密室
    袋小路
    敵軍に包囲されたところ
    デコボコ道
    交通マヒの街 or 道路
    浮揚力を失った潜水艦
    脚の出ない飛行機
    占領された場所(ハイジャック、海賊)
    落磐事故現場
    離れた土地と土地
    橋、プラットホーム
    その他
    人間関係のカセ
    親と子(単数、複数)
    兄弟(姉妹・姉弟・兄妹)
    伯父と甥(姪)
    無医村の医者と村人
    医者と患者
    教師と生徒
    上役と下役
    人間と動物
    親友
    同業者同士
    近所同士
    村落同士(グループ)
    国民同士 (or 指導者と国民)
    宗教 (徒党)
    弁護士と容疑者
    商売人と買い手
    世論 (うわさ)
    仇同士 (ライバル)
    大人と子供
    タレントとファン (or マネージャー)
    刑事と犯人
    内心のカセ
    してはいけないと思うとき
    しなくてはならないと思うとき
    誤解のカセ
    信頼が失なわれた時
    コミュニケーションの悪い時
    無知な時
    社会的つながりのあるもの
    仕事
    社会的ヒューマニズム (公害等)
    社会的圧力
    法律
    因習 (村八分など)
    一般的民衆の考え方 (閉鎖的)
    宗教
    約束等によるもの
    約束
    デート
    遺言
    一旦承知してしまったもの
    掟 (仲間の規律)
    規則
    契約
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    つまらないカセ
    面白さのためのカセ
    心理的なもののカセ (コンプレックス) --- 内心
    職業上のカセ
    お化け
    ものものしさ、威圧

  • テレビ就職を視野に入れて読み始めたが、シナリオの立場から作品を考える機会がなかったので、非常に充実した内容に思えた。

  • 20240301
    一度目読了。
    なにしろ中身が濃すぎて、読むのに数日以上かかってしまった。
    これからは、必要なところだけきりわけて読むことになると思うから、この努力は無駄にならないと信じたい。

  • 仕事でシナリオを読む機会が多いのだが、あまり自分は読解力が無くどこがなんでダメなのかなどがロジカルに説明できない。
    そのため、書き方がわかれば読み方もわかるだろうと思いこの本を手に取った。

    古い本のため、正直読むのが結構しんどかった。

    ただ、良いシナリオ、ダメなシナリオがとにかくロジカルに様々な例を交えながら説明されており、なぜあの話は面白かったのか、面白く無かったのか、などを今後少しは理解できるようになったのでは、と思う。

    登場人物1人1人の性格をどういった描写で表すのか、登場人物が持っている枷(制限)によって物語はディティールを持つ事などが特に参考になった。

    読むと眠くなってしまうため少しずつ長期に渡って読み進めたが、改めて部分的に読み直したいと思った。

    こういった映像制作の裏側のテクニックに関する書籍を読んで学ぶ事で、より深く映像作品を楽しむ事ができそうなため他の本にも手を出してみようと思う。

  • (01)
    20世紀ほど、たくさんの新作シナリオが創作された世紀(*02)はかつてなかったのではないだろうか。
    シナリオ技術という同じテーマを先行して論じた書物もある。本書にも引かれているのは例えば、フランシス・マリオンの「シナリオ講話」であり、「長谷川伸小説戯曲作法」(横倉辰次編)、フライターク「戯曲の技術」、安田清夫「トオキィ・シナリオ構成論」などである。本書は映画とテレビにほぼ限ってシナリオを論じ、小説や戯曲との違いを述べ、映像ならではの時間省略やモンタージュ、小道具といった術にも言及している。
    その上で、各技術を分解して、論を小分け(*03)にし、具体例を示しつつ、誤りの診断といった禁則を提示し、面白いシナリオを理論化しようと試みている。

    (02)
    大衆的なメディアが確立し、そのメディアが駆使する物語を効果的に駆動させるためには、より多くのシナリオの書き手が必要であった。シナリオを書くことは技術でもあり、同時代の欲望や感動、情緒や機微を共有さえしていれば機械的に繰り出せる側面もあることから、本書のような方法論も普及していったという事情もあるだろう。2013年においても27版が出版されているから、2020世紀のシナリオ技術の需要もまだまだ多いと言える。


    (03)
    シャレード、ストラグル、パンチ、モンタージュといった技術、伏線やサスペンス、アクションとリアクション、リトマス法やカセ(枷)、まぎれといった例えや用語も混え、ト書きとセリフの役割、人物たちの舞台(フレーム)への登場の方法、ドラマツルギーやストーリーテリングといった物語の基礎、あるいは風景やロケーションの効果などにも触れ、網羅的なシナリオ技術を企図している。

  • 物語を創るうえで基礎となる考え方が網羅的に紹介されていて、大変参考になった。

  • シナリオの基礎をこれだけ体系的に網羅してあるものを見たことがなかった。困ったときの指針になるような本だと思います。

  • 3

  • シナリオ・センター創設者・新井一によるシナリオ基礎技術まとめテキスト。古い本だけれど、今のドラマ、映画製作にも通じる。

    ・ドラマはストーリーやキャラクターよりテーマが重要。ただし、ストーリーもキャラクターも重要。
    ・セリフがストーリー説明になっていたらだめ。生きている人間のセリフにする。
    ・セリフやストーリーはテーマを描写する内容にする。テーマをそのまま説明しない。描写する。
    ・どう表現するか、表現の可能性は無数にある。素人は無数の可能性が思い浮かばない。プロは無数に可能性が浮かぶ。しかし、そのドラマのテーマにとってベストなセリフは、1つしかないはず。それを当てこんでいく。

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著者プロフィール

シナリオ・ドクター
1915年東京に生まれる
戦前より劇作を学び、戦後は新国劇『ボス』などを発表後、文春企画、東宝企画部で、映画企画に参画。
シナリオ・ライターとして、『喜劇駅前シリーズ』など200本のシナリオを執筆。
1970年、シナリオ・センターを創立主宰。シナリオライターの教育・養成に一身を捧げる。
門下からは、ジェームス三木氏、内館牧子氏などの人気作家をはじめ、映画・テレビ界で活躍する数多くのライターはシナリオ・センターから巣立っている。
主な著書・共著に『シナリオの基礎技術』『シナリオの技術』『シナリオの基礎Q&A』(以上ダヴィッド社)、『新井一のシナリオ作法論集』(映人社)、『日本映画黄金期の影武者たち』(彩流社)などがある。

「2015年 『目からウロコのシナリオ虎の巻 言視舎版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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