ボクの穴、彼の穴。

  • 千倉書房
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (64ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784805109175

感想・レビュー・書評

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  • 今戦争している人達もこんな感じなんだろうかと思った。
    相手は悪だ、血も涙もない悪魔だと刷り込まれて戦場へ送られていくのだろうか。
    理不尽な戦いに巻き込まれる人がいない世界になることを祈らずにはいられない。

  • 『まってる。』と同じ作家&絵描きの二人による作品。『まってる。』に引き続き戦争が題材となっている。

    戦争では人は視野が狭まり盲目になる。
    戦争では戦う相手の個性はなくなり記号化される。
    そして、これらの現象は対称的である。
    そんな戦争の性質を見事に絵本のシンプルなストーリーに昇華した作品。

    オリヴァー・ジェファーズが好きな絵本10冊のうちの一つ。
    (多分この記事が出典だったものの、アクセスもうできず→ https://babyccinokids.com/blog/2017/11/14/oliver-jeffers-top-ten-favourite-childrens-books/)

  • 塹壕戦!砂漠の中の二つの穴に兵隊が潜んでいる。ボクも、敵兵の彼も、穴から顔を出さずに、相手の気配を伺っている...戦友は亡くなってしまい、誰も来てくれない。ボクは孤独だ。彼もきっと、同じように孤独だろう...何週間も何ヶ月も、大砲の音を聞いてない。もしかしたら、戦争は終わった? 世界は、まだ、存在するのだろうか? 考えても、しようのないことを考えてしまう。 ああ...。彼も疲れているだろう。「戦争をやめて、家へ帰ろう」 ハンカチにメッセ-ジを書いて、瓶に栓をして、彼の穴に思いきって投げた・・・。

  • 図書館で、ふと、見つけた1冊。
    とても薄くて、訳が、「東京タワー オカンとボクと、時々オトン」を書いた作家である。
    どんな内容なのか?
    砂漠にある、2つの穴の兵士の物語りである。
    少し前に手にしていたら、これは、人と人とのコミュニケーションの違いだとしか、思わなかっただろう。

    しかし、このウクライナの侵攻で、考えが一変してしまった。
    本当は、戦争なんか、したくないはずなのに、上からの命令で、マインドコントロールされた者達が、殺戮している。
    自分の穴から出て、隣の穴へ行った兵士が、見たものは、家族の写真!
    みんな、こんな素晴らしい家族が、待っているのに、殺し合いをしている。
    そして戦争の栞には、みな嘘ばかり!
    今も、流れるフェイクニュース。
    何を信じていいのかわからないのに、命令を従わないといけない。
    こんなことでいいのだろうか?
    未だ、この世界で、このようなちぐはぐな思想で、明日は、我身か家族が、死の直面に立たされている。
    平和と思っていた日本も、先日、一人の利己的で、一方的な思い違いから、自作の銃で、偉大な政治家を殺してしまった。

    このような事は、人類の損失にしか値しないという事が、わかっていないのだと、・・・
    そう、この本でも、早く兵士が家族の元に帰って欲しい。
    奪われた命は戻らないのだから、・・・一人でも、生きて帰って!!!と、思わずにいられない気持ちになった本である。

  • 原題 L'ENNEMI
    by Davide Cali & Serge Bloch
    2007

    松尾スズキ訳

    ボクと彼、それぞれ砂漠の穴に入っていてお互いは見えない

    敵同士

    毎朝起きて銃を打つ
    撃ち返される

    穴から顔は出さない

    戦争が始まった時に手渡された「戦争のしおり」に書いてあることを守る

    敵を殺さなければならない
    敵から殺されるから

    敵は残酷で情け容赦ない
    家族を殺すしペットも、動物も
    街を焼き払う、飲水に毒を入れる
    人間ではないから

    孤独に耐え、空腹に耐え、
    用心しながら、戦争の意味を考える
    でもこちらからやめようとはいえない
    殺されちゃうから
    彼からやめようと言ってもらいたい

    ある時、意を決して、穴を出て
    彼の穴へ
    穴は空っぽ
    彼はボクの穴へ行っているに違いない

    彼の穴はボクの穴と変わらない
    ビーフジャーキーとシリアルバー
    家族の写真
    そして、「戦争のしおり」
    そのしおりの戦う相手にはボクの写真が!
    ボクがモンスター??

    二人とも相手のことを知った
    疲れている
    戦争をやめたい、家に帰りたい


    ハンカチにメッセージを書いて
    プラスチックのビンに入れて
    相手には向かって投げる


    以上

    さて二人は?

  • おしゃなカフェにて。絵本沼にはまりたい。

  • 図書館をフラフラしていて、芸術の棚にありました。
    何だろうと思って、立ち読みしました。
    戦争のお話ですね。
    こういうこと、あったんだろうな。
    平和な日本に感謝。

  • こういう時ってあるよなあ
    訳がよいです

  • 2015年2月22日

    <L'ennemi>
      
    ブックデザイン・編集協力/ペグハウス

  • 砂漠に、兵士がひとりずつ入った穴がふたつありました。
    というお話。
    これは寓話。戦争の風刺ではなくコミュニケーションの寓話と言ったほうが近い。
    でも風刺も含んでいるかな。

    最初は小川未明の「野ばら」みたいな話かと思った。
    読んでみたらそうじゃなかった。
    ふたりのあいだには無知という溝がある。
    疑心暗鬼は思考を縛り、動きを鈍らせる。

    むかしなにかで読んだ「止められないのは止める気がないからだ」という言葉を思い出した。
    傍目には愚かしい、自分がその場に立ったら気力をふりしぼらなければならない、小さな一歩を踏み出す話。


    紙工作に落書きしたような絵が童話っぽさをかもしだしてかわいい。
    でも面倒くさかったのかわざとなのか、たくさんの細かいもの(ゴミやら星やら)がコピーなのが残念。
    せっかくの星空が壁紙みたいなパターンじゃ「いろいろなことがわかってくる」気がしない。

    ふりがながないこの本はいかにも大人向け絵本だけど、これは子供向けにしてほしかったな。


    戦争をリアルに描くための本じゃないけど、「野ばら」みたいに知り合えないのがリアル。
    クリスマス休戦を連想した。
    知り合うことは許されない。知り合ったら殺せない。
    「銃声のやんだ朝に」http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4198622612
    「世界で一番の贈り物」http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/456605070X

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