京都の近代と天皇――御所をめぐる伝統と革新の都市空間一八六八‾一九五二

著者 :
  • 千倉書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784805109519

作品紹介・あらすじ

都市・文化・国民・君主制-京都は日本の近代を映す"鏡"である。

感想・レビュー・書評

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  • 近代における京都御所・御苑空間の変容を軸に、京都の都市としての変貌や君主制の変化を描いている。大正期までかなり自由な空間であった京都御所・御苑が昭和以降、秩序化されていく様子がよくわかった。

  • 明治天皇は京都を離れたものの、京都が好きで、寂れていく町が心配でたびたび行幸していたとのこと。そして鉄道が敷設され、京都駅から御所までの道路拡張など都市計画が進んでいく。古都なので烏丸通、丸太町通、河原町通などがあるのは当たり前のように思ってしまいますが、明治から大正にかけて、都市として整備されていく様子が良く分かります。この時代は御所が別邸のように天皇が宿泊に来る場所であったということが今では考えづらいです。そして20世紀になったころから男女の密会の場として風紀の乱れが心配されるようになったという件は苦笑ですね。大正・昭和の即位も京都で行われ、天皇家にとってもその時代までは特別な場所であり、京都市民との相思相愛のような信頼関係があったのだと感じました。明治天皇が沿道の人たちが雨に濡れている姿を見て傘を指すように伝えてほしいと言ったのに対し、昭和天皇は自らも濡れるようにしたというのは、微笑ましい、融通が利かない人柄を物語っています。

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著者プロフィール

1952年 福井県に生まれる
1981年 京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学
    名古屋大学文学部助教授、京都大学大学院法学研究科教授などを経て
現 在 京都大学名誉教授、博士(文学)

著 書
『大正デモクラシーと政党政治』(山川出版社、1987年)
『立憲国家の確立と伊藤博文』(吉川弘文館、1999年)
『政党政治と天皇』(講談社、2002年、講談社学術文庫、2010年)
『昭和天皇と立憲君主制の崩壊』(名古屋大学出版会、2005年)
『明治天皇』(ミネルヴァ書房、2006年)
『山県有朋』(文春新書、2009年)
『伊藤博文』(講談社、2009年、講談社学術文庫、2015年)
『昭和天皇伝』(文藝春秋、2011年、文春文庫、2014年、司馬遼太郎賞)
『原敬』上・下巻(講談社、2014年)
『元老』(中公新書、2016年)
『「大京都」の誕生』(ミネルヴァ書房、2018年)
『大隈重信』上・下巻(中公新書、2019年)
『最も期待された皇族東久邇宮』(千倉書房、2021年)
『東久邇宮の太平洋戦争と戦後』(ミネルヴァ書房、2021年)他多数

「2023年 『維新の政治と明治天皇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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