京都の近代と天皇――御所をめぐる伝統と革新の都市空間一八六八‾一九五二
- 千倉書房 (2010年9月23日発売)
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感想 : 2件
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- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784805109519
作品紹介・あらすじ
都市・文化・国民・君主制-京都は日本の近代を映す"鏡"である。
感想・レビュー・書評
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近代における京都御所・御苑空間の変容を軸に、京都の都市としての変貌や君主制の変化を描いている。大正期までかなり自由な空間であった京都御所・御苑が昭和以降、秩序化されていく様子がよくわかった。
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明治天皇は京都を離れたものの、京都が好きで、寂れていく町が心配でたびたび行幸していたとのこと。そして鉄道が敷設され、京都駅から御所までの道路拡張など都市計画が進んでいく。古都なので烏丸通、丸太町通、河原町通などがあるのは当たり前のように思ってしまいますが、明治から大正にかけて、都市として整備されていく様子が良く分かります。この時代は御所が別邸のように天皇が宿泊に来る場所であったということが今では考えづらいです。そして20世紀になったころから男女の密会の場として風紀の乱れが心配されるようになったという件は苦笑ですね。大正・昭和の即位も京都で行われ、天皇家にとってもその時代までは特別な場所であり、京都市民との相思相愛のような信頼関係があったのだと感じました。明治天皇が沿道の人たちが雨に濡れている姿を見て傘を指すように伝えてほしいと言ったのに対し、昭和天皇は自らも濡れるようにしたというのは、微笑ましい、融通が利かない人柄を物語っています。
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