外交的思考

著者 :
  • 千倉書房
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レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784805109861

感想・レビュー・書評

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  • 国連次席大使も務めた、日本政治外交史を専門とする著者のエッセイ集。
    会員制国際情報誌『Foresight』(現在はウェブ版のみ)の『外交的思考』の連載(2006~2010年)と、『日本経済新聞』のコラム『あすへの話題』の2010年の連載を中心に、他の雑誌等への寄稿、本の解題などが収められている。
    著者は、「外交の基礎は何といっても正確な現状認識である。出来る限りの情報を速やかに集めて客観的に評価することが出来なければ、的確な外交は出来るはずがない。そして、もう一つの外交の基礎は歴史である。歴史は、想像力をはばたかせて、われわれを目の前の現実を越えた世界に導き、他方で、人間と社会の限界についても教えてくれる」と述べており、『外交的思考』の章では、国民感情、日中歴史共同研究、国家安全保障会議、文化的成熟、憲法九条と集団安全保障、サミットにおける日本の役割、国連安保理改革、国益、東日本大震災と国際協力等について綴っている。
    また、『あすへの話題』の章では、主に自分の半生のエピソードが綴られているが、その中で「二十年近く前、ある高名な評論家に、意見の賛否は別として、この北岡という人は、いつもバッターボックスに立っていると言われたことがあった。・・・大体、自分が責任者だと思って考えなければ、真剣にはならないものだ。どうせ誰かが決めてくれるだろうという態度では、進歩はない。バッターボックスに立って、凡打や三振を繰り返して人は成長するのだと思う」とのフレーズは印象に残る。
    (2012年4月了)

  • 本書は、政治学者・歴史学者である北岡氏が『フォーサイト』や『日本経済新聞』などに寄稿したエッセーを集めたもの。
    北岡氏は、過去に東京大学大学院法学政治学研究科教授、日本政府国連代表部次席大使などを歴任しており、政治・外交に長けている。
    外交的思考は、さまざまな情報を通しての正確な現状認識とともに歴史を理解した上での判断・交渉になると説いている。
    特に『歴史は、想像力をはばたかせて、我々を目の前の現実を超えた世界に導き、他方で、人間と社会の限界についても教えてくれる。』と述べており、なくてはならない教養だと痛感。
    話はそれるが、日本サッカー協会のロゴにある黄色地に黒く書かれた鳥について、それが熊野那智大社のご神体である「八咫烏」であることを初めて知った。日本に近代サッカーを紹介した中村覚之助氏が吉野であることから、採用されたとのこと。
    一日本サッカー民として、お恥ずかしい限りでした。
    世界へ羽ばたこうとしている人には、必読の書かと。

  • 外交の基礎を「現状認識」と「歴史」

  • 東京大学大学院法学政治学研究科教授(日本政治外交史)の北岡伸一(1948-)のエッセー集。なお、北岡氏は2012年3月末をもって同大学院を退官する。

    【構成】
    第1章 外交的思考
    第2章 書物との対話
    第3章 バッターボックスに立て!

    本書は、新潮社の雑誌『Foresight』や日経新聞のコラムあるいは書籍の巻末解説などに北岡氏が寄稿したものを編集した内容となっている。

    本書を読めば、ここ数年北岡氏が考えてきたこと、取り組んできたことがおおよそつかめる。その一方で第1章などは『グローバルプレーヤーとしての日本』で既に詳しく述べられている内容が含まれていたりする。

    本書の中で面白いのは第2章だろう。福澤諭吉『文明論之概略』、清沢洌『暗黒日記』、松本清張『史観宰相論』、山崎正和『歴史の真実と政治の正義』、そして高坂正堯の60年代の著作集について、その面白味を語っている。

  • 外交の基礎を「現状認識」と「歴史」に置き、近年の外交問題や世界情勢を過去の歴史と比較し、右左でなく中道から冷静に分析している。本書によって縦にも横にも視野が広がった。また、本書の端々から著者の愛国心、教育者としての優れた人柄を感じる。

    3章構成のうち第2章では福沢諭吉の文明論之概略を非西洋諸国の近代化に真っ向から挑んだという点で世界規模の古典だと紹介。グローバル化が進む現代において、未だ日本は福澤の目指した「文明」に達していない。

  • 著者のエッセイ集。非常に考えさせるような内容が多い。
    個人的には国益についてというところが興味深かった。

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著者プロフィール

北岡 伸一(キタオカ シンイチ)
JICA理事長、東京大学名誉教授、立教大学名誉教授
1948年生まれ。東京大学法学部卒業。同大学大学院法学政治学研究科博士課程修了(法学博士)。専門は日本政治外交史。立教大学教授、東京大学教授、国連大使、政策研究大学院大学教授、国際大学学長などを経て、現職。2011年、紫綬褒章。著書に『清沢洌』(中公新書、サントリー学芸賞受賞)、『日米関係のリアリズム』(中公叢書、読売論壇賞受賞)、『自民党』(読売新聞社、吉野作造賞受賞)など。

「2020年 『新しい地政学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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