首相政治の制度分析- 現代日本政治の権力基盤形成 (叢書 「21世紀の国際環境と日本」)
- 千倉書房 (2012年5月29日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784805109939
作品紹介・あらすじ
低迷の20年。選挙制度改革、官邸機能改革、政権交代を経て首相の権力基盤と「日本政治」は如何なる変貌を遂げたのか。
感想・レビュー・書評
-
首相、内閣の機能の強化はよく言われることであり、実際に起きていることである。そうした変化は「首相の大統領化」と言われることが多い。本書はそうした変化をどう定義し、どう実証するかにフォーカスして考察したものである。
まず、首相の大統領化の要因を国際情勢の悪化や社会の変化といったザックリしたことに求めることを戒め、また参照される首相や大統領が実際のものではなくあくまで理念としてのものであることを戒めている。その上で比較政治制度論の知見から大統領的首相の概念を比較可能なように再定義(議院内閣制における与党と内閣の融合を前提として、選挙制度や官僚との関係を規定する制度の変更によって、首相の影響力行使の制約要因となる「目的の分立」解消に成功した首相)し、その上で大統領的首相と呼ばれる中曽根康弘や小泉純一郎を体系的に分析することを可能にする。
そして、関係者との面会回数や官僚、国会議員へのアンケート調査を活用して、小泉政権以降、政策が成功したかはともかく首相機能の強化が進んでいることを明らかにした。
着眼から論証の姿勢まで、本当に参考になる一冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
首相とはどういうものであるかが書かれていた。
-
【要約】
・
【ノート】
・ -
記者会見を横目に読み始めたら、読了。
-
日本の執政権力に着目して分析をおこなう
-
大統領的首相論(政治の大統領制化論)の批判的検証や、長期政権を握った中曽根康弘と小泉純一郎の比較、そしてアンケート調査を基に、首相政治の現状を読み解く研究 。単純な指導者論が幅をきかす中で、 データや確固たる理論に基づいた検証は、八つ当たり的な政治論よりも重要である。