カメラマンのための写真レンズの科学

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  • 地人書館
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  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784805205617

感想・レビュー・書評

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  • 20年ほど積んでおいた本を読了。

    著者は1934年に大学卒業の戦前から活躍している技術者。昭和11年の日食のとき天体観測をするレンズを設計したりしている。観測の目的は太陽による重力レンズ効果から相対性理論を証明すること。惜しくも観測結果については書かれていない!

    魚眼レンズを使ってパノラマスクリーンに投影するレンズも設計している。魚眼レンズは特殊な写真を撮るレンズと思われがちだが、撮影した写真を魚眼レンズで投影すれば半球スクリーンに空を再現できる。カメラしか頭にないとこういう原理的な発想はなかなかできない。

    レンズが光を集める原理、製造方法、ザイテルの5収差とその補正方法等をかなり分かりやすく書いてある。分かった気にさせてくれる本。ただ、「色消」と簡単に書いてあるがこの原理はあまり詳しくは説明していない。これは他の人の本に分かりやすく書かれている。

    後半はいろいろなレンズの断面図とそれぞれのレンズがどう設計されているかが説明してある。設計できる人の説明だけにカメラ雑誌の説明とは視点が違う。レンズの組み合わせのパターンはやはり意味がある、見る人が見ればレンズの性質まで分かるというのを知った。

    カメラ趣味の人はぜひ読むべき本。

  • 三角関数の知識が必要。内容的には基礎的なもので、最新技術に関することではないが、基本を抑えるためには有効か。

  • 写真の画像がボケたり、流れたり、歪んだりするのは色々な原因がある。(1)光学に関係のない手ブレ、乗り物の動き。(2)光学に関連するがレンズに責任のない被写体との距離(ピント)、絞り過ぎ(回折)による解像力低下。(3)ガラス材料内の脈理・吸収、コーティング、偏心。(4)収差。写真レンズのボケ味は収差に起因する。光学設計は収差との戦い。軸上色収差。球面収差。画面の中央と周辺でボケ味は異なる。「テッサーf4.5鷲の目」「エルノスターF1」「ヘクトールF1.9/73mm」写真レンズは奥が深いなぁ。。

  • 吉田正太郎

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著者プロフィール

1934年東京帝国大学理学部天文学科卒業。東京帝国大学、東北帝国大学を経て、1960年東北大学教授に就任し、天体測定学や応用光学などを研究。また、1950年から仙台市天文同好会の会長を務めるなど、アマチュアの天文家としても活躍。1976年の定年退官後は、東北大学名誉教授として後進の指導にあたるとともに、数多くの書籍を執筆し一般や青少年を対象に知識の向上に努めた。1982年、天文知識普及、天文台施設運営指導、科学教育向上に寄与した功を評価され、仙台市市政功労者に選ばれる。1985年に勲二等瑞宝章受章。2002年仙台市同好会名誉会長。主な書籍に『アマチュアのための望遠鏡光学』『望遠鏡発達史』『光学機器大全』(いずれも誠文堂新光社)など著書多数。2015年7月、永眠。

「2023年 『光学機器大全』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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