- Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
- / ISBN・EAN: 9784805209219
作品紹介・あらすじ
我々を守るはずのワクチンを恐怖の対象にしたのは誰なのか? それは、誤謬に満ちた一本のドキュメンタリーに端を発し、一本の捏造論文によって火がついた。その根拠のない恐怖は、現実の脅威となって我々の、そして子どもたちの命を危険にさらしている。アメリカで最も成功した市民運動の一つ、反ワクチン運動の歴史と真実を明らかにする。
感想・レビュー・書評
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反ワクチンの考えはどのように作られるか?
ということに興味があって読んでみた。
エビデンスの無い主張を広めるには…都合の良い専門家を引っ張ってくる!専門家の言葉には説得力があるので…
専門家の言ってることが確かなことなのか、それを見極めるのは難しいことだけど必要なことだと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ロタウィルスワクチンの開発者でもある。
先の『代替医療の光と闇』に続いて非常に分かりやすくまとまっている。
反ワクチン運動が如何に発生し、そのエビデンスのない恐怖がどのように広がって、また広げられていくのか。
米国の場合、宗教や思想による拒否が認められるために非接種者が自由を得ている現状もあるよう。
非接種が自分とその子供だけではなくコミュニティに対してリスクを与えているというのは知る必要がある。
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ワクチンを巡る議論がよくわかる名著
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①感染症が猛威を奮う
②ワクチンが福音として歓迎される
③感染症が激減
④実在非実在の副作用が注目される
⑤ワクチン忌避が広がる
⑥感染症が再興,予防できた病気で人が死ぬ
19世紀の天然痘から21世紀のHPVまで繰り返されてきたこのサイクル。いい加減人類は学ばなくてはならない。
本書は主にアメリカにおける反ワクチン運動の歴史がまとまっていて,「百日咳ワクチンによる脳症」や「風疹ワクチンによる自閉症」等の疫学的に誤った(捏造された)情報が,集団免疫をいかに脅かしてきたかを書いている。保護者の素朴な(自然崇拝的)感情をゆさぶり,あるいは集団免疫へのフリーライドを推奨する反ワクチンの言説は,あまりにも無責任で,その割に影響力は大きく,社会運動というものの危うさを痛感する。もちろんワクチンが完全に安全だということはなく,過去にはポリオワクチンやBCGの製造ミスで多くの人命が失われた事件もあったし,最近不活化ポリオワクチンが普及するまでは,ワクチンで稀にポリオに罹患することは許容されてきた。しかし主流の反ワクチン運動は,こういった本質的なワクチン問題を指摘するのではなく,知的障害や自閉症といったより「一般受けする恐怖」で人々を脅すのだ。ワクチンに関係なく一定の割合で起こる病気が,ちょうど接種時期に判明しやすいというだけで,弱者に寄り添う社会運動によってそのワクチンのせいにされ,死ななくて良かった命を奪っていく。
強制接種と宗教的・思想的忌避,公教育や職業の前提としての接種,そのあたりの経緯も詳しい。個人の自由と公衆衛生にいかに折り合いをつけるか,これからも試行錯誤は続くのだろうか。 -
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新型コロナ 「反ワクチン派」は何を考えているのか | 毎日新聞(有料記事)
https://mainichi.jp/articles/202...新型コロナ 「反ワクチン派」は何を考えているのか | 毎日新聞(有料記事)
https://mainichi.jp/articles/20210707/k00/00m/040/134000c2021/07/08
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登録番号:0142248、請求記号:493.938/O19
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これは社会学の観点で難しい本。3種混合(DTP)のうちの百日咳ワクチンの効果と副作用に関する科学的な研究と、英国を舞台にした訴訟の経緯。だが、これを一般大衆に話してもどうにもならない。専門家の集まりとして、ワクチンと副作用の関係を真摯に研究し、科学的に真実を追及してもらうのが唯一有益な未来につながる方法だろう。
ワクチン、の一言で丸めてしまっているが、インフルエンザワクチンと3種混合では効果も位置づけも全く違う。民衆が皆賢くなって受けるべきワクチンと忌避すべきワクチンを峻別せよ、とは無理筋。この本を読んで、「ああ、これで安心してワクチンを受けられる」なんて思う人がいたら相当におめでたいと思うが、いかがか?
一般に医療分野は製薬と結びついて利権化しやすい。薬害スキャンダルが後を絶たず、保険制度に胡坐をかいて医療費の増大を率先して進める人の集まりという見方もむべなるかな。反ワクチン運動を推進し医療分野を批判する勢力は、社会全体で見て決して悪い存在ではない(悪徳弁護士を除けば)。
反知性主義の歴史を知れば、この本自体が壮大なミスコミュニケーションの産物であることが理解されよう。
>ワクチンに副作用はつきものだ。
これは一市民として許容できない。現時点の科学や医学では達成できなくても、将来的に副作用ゼロの方策を実現する執念を持ってもらわねば専門家集団として価値はあるまい。専門家集団はあまねく、飛行機事故をゼロにしようとする航空業界の努力を見習うべきだ。