高機能自閉症・アスペルガ-症候群入門: 正しい理解と対応のために

制作 : 内山 登紀夫 
  • 中央法規出版
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本棚登録 : 148
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784805821855

作品紹介・あらすじ

本書の特徴は、発達障害専門の医療機関のスタッフと、学校という第一線で教育に携わっている教師が協力して援助に必要な理論的背景とともに、学校や家庭での具体的な援助の例を示している。

感想・レビュー・書評

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  • 結論から言うと、児童の専門家には入門だけど、私にはほどよくむつかしく、読みやすかった。
    「ごっこ遊び」と「ふり遊び」の違いなんてあんまり気にしたこともなかった。支援する側はぜひ、読んで見て欲しいです。

  • 症状、事例、その対処法が豊富で、実践的な一冊。
    かなり平易な文言で書かれており、分かりやすい。

  • アスペルガー症候群について。その特徴付け、診察および治療の現状、そのような子供の扱い方など。自閉症スペクトラムの考え方に立っているので、本書では高機能自閉症とアスペルガー症候群は同義に用いられている。狭義の自閉症(カナー型自閉症)からより高機能のものまでに自閉症は渡ると考えられている。

    自閉症スペクトラムは次の三ツ組の要素に対する程度として捉えられる(p.13-24)。(1)社会性の障害。これはどのレベルの他社との社会性(同年代か、身近な大人か、まったくの他人か)によってもレベルが分かれ、またその対応によって(a)孤立型、(b)受身型、(c)積極・奇異型に分けられている。(2)コミュニケーションの障害。表現が定型的過ぎたり、言語理解・非言語理解に問題があったりする。(3)想像力の障害。いわゆる「他人の心」の読解に関するものや、同じものの繰り返しに固執していて少しでも変化があるとパニックを起こす、など。

    さらにはアスペルガー症候群に付随しやすいいくつかの症状として、AD/HDやトゥレット障害、学習障害が挙げられている。また、医学的心理学的治療方法として薬物療法や行動療法と並んでTEACCHメソッドが取り上げられている。TEACCHメソッドについての記述はそれなりに量がある(p.54-60)が体系的ではなく、事例の紹介になっていてTEACCHメソッドが何であるのかについては他書に譲られているのがやや残念。これら治療に関する記述が薄いのは以下の認識によるのだろう。「現代の医学や心理学、教育学では、自閉症を「治す」ことはできません。たとえ高機能であっても、それは同じことです。私達はこの眼前んたる事実を受けとめるところからまず出発しなければなりません。」(p.45)

    本書の後半は学校や家庭においてアスペルガー症候群の子どもたちをいかに扱うか、に焦点がある。実際の小学校の教諭などが執筆している。アスペルガー症候群の疑いをいかにして発見するか、どう対処するか。執筆者の立場もあって、全般的には小学校くらいの子どもを記述の対象にしているようだ。事例の中には高校生も出てくるが、基本的には未成年に対する記述である。前半の自閉症スペクトラムに関する話が年齢に依存しないような記述であることに比べると、成年後の人々に対する視点が失われているように感じる。

    他には、本人にアスペルガー症候群を告知するという選択肢についての考察(p.61-74)が目を引いた。自覚をもたせることによって改善できることもあるし、それが医学的なラベルを貼ってしまうことによって問題をもたらす可能性もある。また、自閉症は「心の理論」の障害であるというよくある通説への批判も目を引く(p.119-128)。特に高機能自閉症に関して言えば、心の理論の障害を検知しようとするテストにおいて高得点を取れる事例もたくさんある。「自閉症の子どもが他者の心の状態を把握する仕方は、健常の子どものほとんど無意識で直観的なとらえ方とは大きく異なり、意識的で努力を要する論理的な情報処理プロセスのようなのです。しかも他者の心の状態について彼らが努力して下す判断が、通常では考えられない不適切なものである場合も多いのです。」(p.124)したがって、系統的な学習や経験の蓄積によってある程度パターン化して他者の心の状態を読むことができるようになっても、新たな状況では常に困難を伴いつづけることになる。

    個人的にはもっと医学・物理学的な話が読みたいのだが、そうした本はあまり無いようだ。自閉症スペクトラムを生む脳の生理学的構造はほとんど明らかになっていないし、したがってそれに対する薬物を始めとする治療やその機序のメカニズムもあまり明らかではない。多少探しては見たが、看護系、しかも子どもの事例の書籍が主のようだ。

  • 「入門」という割にはずいぶん難しい
    といっても今から10年近く前の著書だし、最近は高機能自閉症と言わずアスペルガー症候群という言葉の方が定着している。
    まずは、高機能自閉症、アスペルガー症候群とは何かということから始まって、教育に関しての理解と対応策が丁寧に解説されている「教科書」にできる本だと思います。
    やはり早めに発見して早く対応していくことが重要なんだなあと思います。

  • わかりやすい。

    指導法の参考にもなる本だと思う。

  • 第1章 高機能自閉症・アスペルガー症候群とは何か―医学的理解と治療(高機能自閉症・アスペルガー症候群とは
    自閉症スペクトラムの基本症状 ほか)
    第2章 高機能自閉症の子どもの心理(認知の特徴と高機能自閉症
    社会性とコミュニケーションの障害)
    第3章 高機能自閉症の子どもの家庭教育(人に不快感を与えないことば遣いができるようにする
    礼儀作法を身につけさせる ほか)
    第4章 高機能自閉症の子どもへの保育・教育(幼稚園、保育園、小学校での高機能自閉症の子どもの特徴
    幼稚園・保育園での高機能自閉症の子どもの指導 ほか)


    *アスペルガーと高機能自閉症の特徴と対応について筆者の経験をもとに、とても具体的に描かれている。
    編著者は精神科の医師の視点から、子どもの実態像を丁寧に記述しおり、名称だけではつかみづらい生の姿を読む者に伝えてくれる。
    こういう場合はこういった類の対応が必要ということがその理由も含めて書かれているので、初めて触れるにしては非常に良い本だと思われる。
    ただしここで出てくる「子ども」の多くは、就学前~小学校中学年くらいの子達であるように思われ、それ以前と以後にどういった関わりをすればいいかについてはあまり触れられていない。

    特に育てにくさに関わる育児との関連、学校卒業後の就労との関連などでどういった問題があるのかについてはさらに調べる必要がありそうだ。

    最後に「子どもの様子を正確に把握する」という節をメモしておこう。
    これらの点を正確に記述しておくことは、彼らのサポートには欠かせないとのことである。
    P218にある。
    ・集団行動ができるか、どこまでなら可能か
    ・学力(認知能力)はどの程度か、アンバランスを的確に把握する
    ・言語、コミュニケーションはどのような状態か(相手の言葉の理解の程度、言葉数、独り言、声の調子、鸚鵡返しや文法上の誤り、場にそぐわない話題、一方的でやり取りのない話し方、指差しや身振りや表情の理解と使用)
    ・運動発達のアンバランスや不器用さはないか
    ・遊びや興味、関心は偏っていないか、友達遊びができるか、ごっこ遊びや見立て遊びをするか(幼児)
    ・対人関係はどんなタイプか(孤立、受け身、積極・奇特)、人との適切な社会的距離と保てるか
    ・こだわりはあるか、どんなことにこだわるか
    ・その他(パニック、常同行動など)

  • わかりやすい。

  • 授業で使ってます。
    学校の先生向けに書かれているのでちょっと?と思う箇所も。

  • 高機能自閉症、アスペルガー症候群の子どもたちに対して、対応に気をつけてあげる事で、彼らの生活が非常に楽しく、分かりやすいものになる事を痛感しました。

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