フ-ドファディズム: メディアに惑わされない食生活 (シリーズCura)

著者 :
  • 中央法規出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784805830048

作品紹介・あらすじ

「フードファディズム」=食べ物や栄養が健康や病気に与える影響を過大に評価したり信じたりすること。適当な量を守り適切な食事法を行えば、ある食品を摂取した結果、急激に体によい/悪い状態になることはない。しかし、マスメディアを中心にそんなあやしい食情報が溢れる昨今、有益な情報のみを取捨選択するのは至難である。そこで、この概念を日本ではじめて紹介した著者が、メディアから身近な食品までを例にあげ、食情報の読み解き方や食と健康のあり方を提言する。

感想・レビュー・書評

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  • 群馬大学教育学部、高橋久仁子教授著
    「フードファディズム メディアにまどわされない食生活」
    2007年発行

    安部司著「食品の裏側」「食品の裏側2」を読んだ私に、
    歯科医の友人が薦めてくれたので読んでみました。
    fad=一時的な熱中

    ある意味「食品の裏側」と対峙する本だけど、
    実は安部氏と意見が一致する部分も多い。
    野菜ジュースを飲めば野菜は充分などという考えは大間違い、
    ということなど。

    (メモ)
    著者が引用している、あるアメリカの研究者による指摘では、
    「その支持者が熱狂的に取り入れた食行動の異常なパターン」と定義(19)

    食品成分に「栄養効果」とは別に「身体に良い効果」を期待する時、量を考慮しないとフードファディズムに陥りやすい。
    一例として、ニガウリ(ゴーヤー)の血糖値を下げる効果。
    ラットの実験では効果があったが、体重と比べると与えた量がとても多い。体重50キロの人なら9.5キロのニガウリに相当。(50)

    なお、ニガウリをたくさん食べている沖縄県は、糖尿病死亡率が男女とも第二位(ワースト2)。(56)

    飢餓こそ食における最大の危機、であり、食料自給率39パーセントの日本が危機に直面していることを実感している人は少ない。
    ○○は身体に悪い、食べ過ぎ、食べなさすぎ、ばかりを気にするフードファディズム。(57)

    健康食品の問題点
    1.有害物質を含むものがある
    2.医薬品成分を含むものがある
    3.一般的食品成分でも病態によっては有害作用をもたらす
    4.抽出・濃縮等による特定成分の大量摂取が問題を生むことがある
    5.食生活の改善を錯覚させる
    6.「治療効果」の過信で医療をないがしろにする
    7.非食品の食品化(69)

    中国から輸入した減肥茶から薬剤フェンフルラミンが検出されることがある(72)

    強精を暗示する製品にバイアグラの成分であるクエン酸シルデナフィルがしばしば検出される(72)

    マスメディアによる食情報の問題
    2006年、TBSが放送した「白インゲン豆を使用したダイエット法」で嘔吐や下痢などを訴える人が続出し、30人が入院したのは、調理法で3分程度炒るとされたが、それではレクチン等の有害物質が無害化しなかったから。(97)

    納豆品切れ、結局、あるある大事典放送終了問題も説明している(94)

    著者の研究室が2004年に行った調査によると、
    「よく見る健康情報娯楽番組が多い人たちには肥満が多い」という結論を得た。
    テレビ好きだから身体を動かさないこともあるかもしれないが、「1日に多様な食品を食べるようにしている」「食事には主食、主菜、副菜をそろえる」と答えた人が多く、結局、テレビで身体にいいと言っているものをあれこれと食べ過ぎているのではないか。(107)

    外食する場合、「ざるそば」「おにぎり」「ハンバーガー」だけは避けたい。
    ざるそばやおにぎりに牛乳とトマトが、ハンバーガーにトマトが加わると一応は食事の形になる。
    おにぎりとハンバーガーは持ち帰ってトマトや牛乳を添えられるが、そば屋にトマトや牛乳は持ち込めない。(182)

    ハンバーガーを危険だと批判する人は多いが、そばを食べていれば健康、安全だなんて思っている人は、やはりフードファディズムに陥っているかもしれませんね。

  • 『文献渉猟2007』より。

  • とても共感できる本 極端に体に良い食物も悪い食物もなく、健康食品や有害食品の主張には摂取量の概念が欠落しているという主張はわかりやすい。塩も大さじ2杯一度に飲み下すと人によっては致死量になるが、だからまったく摂取しない方がよいということにはならない。 植物性食品や全粒粉は善玉で動物性蛋白質は悪玉という風潮も栄養学的には根拠がないことがよくわかる。 以前から、伝統食は栄養的にバランスが取れているはずと思っていたが裏付けられた。

  • 498.5愛知県図書館

  • [ 内容 ]
    「フードファディズム」=食べ物や栄養が健康や病気に与える影響を過大に評価したり信じたりすること。
    適当な量を守り適切な食事法を行えば、ある食品を摂取した結果、急激に体によい/悪い状態になることはない。
    しかし、マスメディアを中心にそんなあやしい食情報が溢れる昨今、有益な情報のみを取捨選択するのは至難である。
    そこで、この概念を日本ではじめて紹介した著者が、メディアから身近な食品までを例にあげ、食情報の読み解き方や食と健康のあり方を提言する。

    [ 目次 ]
    第1章 「フードファディズム」とは何か
    第2章 あふれる食情報との付き合い方
    第3章 「健康食品」で健康は買えるか
    第4章 マスメディアに見る食情報
    第5章 宣伝トリックを見抜く目を
    第6章 男も女も料理ができて一人前
    第7章 「フードファディズム」に陥らない食事法

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 食べる事は消費ではなく自分の体を自分でデザインする重要な仕事である、ということ。

  • 「科学」って確かに妄信、宗教の領域だ。
    いつも思うんだけど、化学の知識に疎い人たちは何を信じたらよいのだろう・・・

    少なくとも過信はいけないことはわかった。

  • **

  • 07年に世に出た本だけど、今もその価値は色あせない。「食関連情報のかくらん者」が増えつつある昨今、この本が伝えようとしていることはとても重要になりつつある。

    フードファディズムとは、食べ物や栄養が健康や病気に与える影響を過大に評価したり信じたりすること。本を読み終えると「人を不必要な不安にさせるヒト」が身の周りにずいぶん多いことに気がつくはず。

    そしてそのヒトを注意深く観察すると、その行為が「虚栄心」「欲」によって生じていることにも気がつくだろう。そうしたものに惑わされないようにするためには、情報の精査、読み解き方が必要なのだ。

  • (2013-04-20)

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著者プロフィール

群馬大学名誉教授。一九四九年生まれ。日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士課程卒業。東北大学大学院農学研究科食糧化学専攻博士課程修了。農学博士。氾濫する健康関連食情報を「フードファディズム」という視点で読み解くことの必要性、ならびに食生活領域のジェンダー問題解決の重要性を提唱している。著書に、『「食べもの情報」ウソ・ホント』『「食べもの神話」の落とし穴』(いずれも講談社ブルーバックス)など。

「2016年 『「健康食品」ウソ・ホント 「効能・効果」の科学的根拠を検証する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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