家族パラドクス: アディクション・家族問題症状に隠された真実 (シリーズCura)

著者 :
  • 中央法規出版
4.13
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本棚登録 : 87
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784805830055

作品紹介・あらすじ

人はなぜ悩み、苦しむのか。本書では、家族機能やアルコール依存などの嗜癖(依存症)研究で著名な著者が、摂食障害の当事者やDVに悩む家族からの相談に隠された真実を読み解く。「母に暴力をふるってしまう」「何もかも捨ててしまいたい私」など、現在の家族に潜む問題を浮き彫りにする1冊である。

感想・レビュー・書評

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  • よく聞く著者の本を(多分)初めて読んだ。著者の受け答えが時に大胆で面白くて頼もしい。いろんな洞察を与えてくれる本。
    そして、改めて、苦しい思いをしても生きてる人は、自然なり宇宙なり命に忠実な人だと思わされた。

    第一章:カルトの信者とクリニックの患者
    ・1つのドグマは1人の人間を作る。
    ・人間関係の記憶が人の人格。
    ・優しくて強くて愛で包んでくれて、あなたをそのままでいいよと言ってくれるような存在をカルトに求めざるを得なかったAさん。
    →家族や何かに親を求めても得られない、対等な仲間を見つけて、「これを守っていればいいことがある、これに反すると悪いことが起きる」そんなドグマを捨てればいい。
    ・不安な感情や寂しい感情なんて生きてる証拠。

    第二章:母
    ・「人に運命を決められてしまった悲しい子供の物語」じゃなくて、「(二人の女の取り合いになった玉、宝石としての自分」
    ・あなたという素材からどうゆう像を作り出すかという仕事。
    ・人が人にしてあげられることはせいぜい「関心を持つ」こと。親が子供にしてあげられることも、「関心を持つ」ことにつき、それ以外は余計なもの。
    ・親密そうによってくる人の方がかえって危なかったりします、誰か子分が欲しくて寄ってくる人もいますから。
    ・本当に親密な他者との間では、一緒にいて不安を感じない。侵入されたり、限界を持たれたり、座った途端に去られたり、そうゆうことはないのです。
    ・愛着対象である人は、死んだり、逃げたり、あるいは愛が失望に変わったりして消えていく。その喪失を嘆く人は、「去って行った人」の特徴を取り入れ、しゃべり、考え、多くは無意識にしていて気づかない。

    第三章: 娘と息子
    ・親が子供に責任を負える年齢はせいぜい15歳まで。
    ・世界のありとあらゆる生物の中で、ただ人間だけが、性質を変えることができる。
    ・人間、何かやってる時は、みんな必要だからやっているのです。引きこもりもまたやる意味があるのです。(水商売をする人も)

    第四章: 自分
    ・性格を克服したいと言うけど、自分の性質をやっつけて勝ってやるという気持ちになっても勝てるはずはない。
    「まあ自分の性質のこうゆうところもかわいいな」くらいに思い、自分に優しくて、自分のすべてを受け入れる。
    ・「自分がだめだ」と思うようになったのは自分のせいではない、なぜなら、生まれた瞬間からそう思う子供はいないから。親の期待するように育ってないからだめだと感じるのです。
    ・孤独を支払わない人は、楽しそうかもしてないけど、ただの人です。孤独な魂にしか作品は作れないんですよ。
    ・人は何かをしたから罪悪感を持つのではなく、根拠なしに罪悪感を持ってその大きさに見合った犯罪をする。様々な問題は生物の脳皮質が起こしているにすぎない。だから、驚くほど無個性な共通した行為になる。
    ・何かをするのが楽しくて仕方なくてその人の勝手でしている場合は相手は重く感じない。自分自身が肯定できるかどうか。
    ・証拠を集めて確証を得て、愛があるとかないとか分かるものではない。自分の都合のいいように思うものというだけ。
    ・価値観の転換、世界の読み取り方の変化
    ・家族の不幸が長年にわたって続いているという人の場合、日々新たなはずの体験や感覚が、自己についての一定のストーリーを補強するものとしてしか取り入れられず、過去が現在を規定することが起こっている。

  • 依存について目からウロコの本。
    肩が軽くなる感じ。
    ・人格=人間関係の記憶。濃い関係が人格を変える
    ・ハッピーな生活とはたくさん悩めること。悩みを正面から引き受けて一つひとつ解決する生活を。
    ・ACという言葉の有効性は将来どう生きたらいいかを考えるときに役立つ
    ・寂しさは実は成長の源
    ・価値観の転換(世界の読み取り方の変化)を自分の中に起こす

  • アディクションという症状を手放すためにはどうしたらいいか。
    いろいろなケースが紹介されています。

    個人的に気になったフレーズは、
    「孤独な魂にしか作品は作れない」
    はっとさせられました。

  • 家族の中のアディクション(止めよう止めようと思いながらも止めることのできない悪い習慣に耽ってしまうこと)について、家族と著者(研究者・カウンセラー?)のやりとりを書き記した本。
    ある事例が、自分の問題に似ていて、共感・理解が進んだ。問題に対し哲学的な表現で対応されているところが気に入った。また、的外れのような回答をされる理由も書かれており、納得がいった。
    問題とは当事者の表現であり、感の後に動があることを説かれていた。この点を指摘した本はあまりなかったので、復習にもなりよかった。。

  • 146.8

  • [ 内容 ]
    人はなぜ悩み、苦しむのか。
    本書では、家族機能やアルコール依存などの嗜癖(依存症)研究で著名な著者が、摂食障害の当事者やDVに悩む家族からの相談に隠された真実を読み解く。
    「母に暴力をふるってしまう」「何もかも捨ててしまいたい私」など、現在の家族に潜む問題を浮き彫りにする1冊である。

    [ 目次 ]
    第1章 父(カルトの信者とクリニックの患者;父と取っ組み合う息子)
    第2章 母(人と親密になれない;母に暴力をふるってしまう;母は麻薬?)
    第3章 娘と息子(魅力的な母ほど、娘にはスフィンクス;カボチャを怖がる息子)
    第4章 自分(自分のこと、すっげぇ嫌いです;恋人にしがみついてしまう;公務員やめました;摂食障害―どん底じゃないけど苦しい;何もかも捨ててしまいたい私)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 結局自分の問題を家族に原因を見出して、ぶつけたところで問題が解決するわけではないし、自分自身も家族もまた一人の人間としての考えがあるわけで。もやっとした。

  • 摂食障害やDVなどに悩む家族の相談についてかかれており、中でも「悩みは黙って貯めておくと水を吸ったように重くなるが、人に話すと水が乾くように軽くなる」という言葉が印象的。
    【志學館大学】ニックネーム:美由紀

  • 第1章 父(カルトの信者とクリニックの患者
    父と取っ組み合う息子)
    第2章 母(人と親密になれない
    母に暴力をふるってしまう
    母は麻薬?)
    第3章 娘と息子(魅力的な母ほど、娘にはスフィンクス
    カボチャを怖がる息子)
    第4章 自分(自分のこと、すっげぇ嫌いです
    恋人にしがみついてしまう
    公務員やめました
    摂食障害―どん底じゃないけど苦しい
    何もかも捨ててしまいたい私)


    オープンカウンセリングという形式で事例を持ち込んだ人とのやり取りを載せている。スパッとした切り口で何が必要かが述べられており分かりやすい。ちょっと自分と似たような感覚の人かもしれないなって思ったけど、過去にこの人の本を読んでいるし、知らず知らずのうちに影響を受けたのかもしれないな。
    「人は行動の後に罪悪感を抱くのではなく、すでに存在する罪悪感にしたがって行動する。」この発想は面白かった

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著者プロフィール

精神科医、家族機能研究所代表。
1941年東京都生まれ。1967年慶應義塾大学医学部卒。同大助手、WHOサイエンティフィック・アドバイザー(1995年まで)、フランス政府給費留学生、国立療養所久里浜病院精神科医長、東京都精神医学総合研究所副参事研究員(社会病理研究部門主任)などを経て、医療法人社団學風会さいとうクリニック理事長、家族機能研究所代表。
医学部卒業後、母校の神経科学教室で精神分析のトレーニングに入る。同時期より、国立アルコール症センターとして発足した久里浜療養所(当時)で臨床にあたりつつ、アルコール依存症など「依存症」という用語を提唱し定着させ、依存症の家族に代表される、温かさや安心感などが提供できない機能不全家族で育った「アダルト・チルドレン」という概念を日本に広めた。著書に『すべての罪悪感は無用です』『「愛」という名のやさしい暴力』(ともに小社刊)など多数。

「2022年 『毒親って言うな!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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